互いの気持ちを確認することで心の闇が晴れた音無絢奈は、もはや陵辱系ＮＴＲゲーム「僕は全てを奪われた」の登場人物ではない。ただ１人の少女として雪代斗和を愛し、これまで逃げてきた問題に正面から向き合う覚悟を決めた。幼い頃から近所に住む幼馴染みの修との交流を強いて斗和と会うことには異を唱えていた母、星奈とも向き合うことにしたのだが、そこで知らされたのは星奈が斗和の父と幼馴染みだったということだった……。
「どちらかが一方的に与えるだけじゃない……俺たちは共に支え合い、何があっても前を向いて歩いて行く……互いを信頼し、必ず２人で幸せになる」
今まで迷いのあった雪代斗和も、絢奈との関係をはっきりさせ、佐々木修に対してそう宣言した。
視点が変われば、善悪・正誤の判断も変わるのだというあたり前の話に正面から切り込み、ゲームでは上っ面だけでしか語られなかった、それぞれの事情や人間関係を紐解いていきます。世界の修復力なのか、絢奈と斗和が本来のエロゲの道筋から外れるに連れ、揺れ戻しのように周囲のキャラへのイベントが起きそうになるのを潰しながら、２人の、そして２人の家族との関係を修復しながら複雑に絡み合っていた糸を解きほぐしていく展開です。残酷な未来は要らないのです。あとは、踏んだり蹴ったりっぽい主人公にも救いのルートが提示されているので、あとはそれをつかめるかどうかですね。
イラストも甘いところもユーモラスなところも真面目なところもちゃんと雰囲気出ていて良いです。
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