付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ジ・アート・オブ シン・ゴジラ」 責任編集:庵野秀明

2017-01-05 | 怪獣小説・怪獣映画
「僕の世代は『ゴジラ』はもちろん怪獣映画を多く見ています。でも、見たいけれど無かったのがとことんリアルな怪獣映画。敵怪獣もスーパー兵器も出てこない」
 美術スタッフ・林田裕至の言葉。

 映画「シン・ゴジラ」の公式記録集。
 普通、「ジ・アート・オブ」とかいうと、イメージイラストや美術設定にスタッフ・インタビューをはさむ程度のものなのだけれど、ハードカバー上製・箱入り560頁に完成台本がついたこれはもはや社史とか郷土史レベルのボリューム。
 確かに初期イメージ・イラストやCGモデル、没設定画、絵コンテ、ポスターや「ゴジラ対エヴァンゲリオン」の関連商品デザインなども載っているし、期待通り初期プロットから二転三転する構成メモから準備稿まで掲載されているけれど、思わず「誰得!?」と叫んでしまうのは、シナリオの版毎の刷り部数、カメラ別・パート毎のカット数、時間香盤表、スケジュール表まで網羅しようとしているから。これは電子書籍版がないと読みづらいかも。ゴジラの形態別のポリゴン数って一般読者に必要なデータ?(*゜∀゜*)
 なので、なんとなく社史のような雰囲気がある1冊。目次はあるけれど、索引も欲しい。
 資料的には巨災対の初期資料やヤシオリ作戦の作戦要領、内閣府や緊急災害対策本部のプレスリリースで出した報道資料や牧元教授の関連資料など、画面には映ってないけどここまで作り込んでたのねというものも掲載されていたのが良かったです。
 そして気になったのは、「看板作品だからクオリティを下げるのは許されないが、予算がなかなか出てこない」「竹やりで立ち向かうような予算」「このスケジュールとこのお金でまた同じことをと言われても、まず無理」「スカイツリーを映すと……」などと監督もプロデューサーもその他スタッフも、いろいろ言葉を選びながらも予算が少ないと言っている点。
 そういうわけで、細部にまでこだわり続けたスタッフが、予算と戦い続けた記録でもあるのです。

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