付け焼き刃の覚え書き

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「祝もものき事務所」 茅田砂胡

2014-04-26 | ミステリー・推理小説
 百之喜太郎は事務所に持ち込まれる依頼は原則として断ることにしている。面倒くさいから。それに探偵業の届け出もしていないし。
 でも、ときおりどうしても断り切れない気がする依頼があったりする。たとえば、凶器あり、指紋あり、目撃者あり、動機あり、無いのはアリバイだけ……という容疑者を無罪にするための証拠集めとか。
 そうすると、秘書の凰華に尻を叩かれるように調査に出かけるのだけれど、実は凰華も、彼に仕事を回す弁護士の雉名も、他の幼馴染みの仲間たちも、彼自身には何の期待もしていなかったのだ……。

 田舎の因習がらみで、金と権力はあっても世の中の流れから完全に置いていかれつつも全然気にしていない旧家が話に絡んでくるミステリだけれど、推理小説ではなく探偵小説。探偵があれこれ調査して、真相を追究するのを読者は後ろから見守ります。
 登場人物は桃太郎よろしく、もも、犬、猿、雉とそろっているけれど、鬼と鳳凰までが仲間だし、きび団子代わりなのか仕事を頼む代わりにメシを奢るのは桃太郎ではなく雉の方だし、特に昔話がベースとかネタになってるわけじゃないんですね。単に名前ネタに使っただけという感じ。むしろ三年寝太郎とわらしべ長者の方が近そうです。
 それにしても、るり香さんが本当にワンポイントなキャラだったのには、むしろびっくり。出番、あれで終わりなんだ……。

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