付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「無双航路01」 松屋大好

2018-11-11 | ミリタリーSF・未来戦記
 高校2年生の阿佐ヶ谷真は、気がついた時には帝国巡洋戦艦カプリコンのAIになっていた。本来のAIカプリコンがスパイによるシステム攻撃でダウンした際に、建造時に構築された仮AIが出てきたのではないかというのだ。
 真にとっては悪い夢だが、カプリコンのクルーにとってはスパイの工作によって上級士官を失い、艦を制御するAIが消失し、さらに敵艦からの砲火が迫る中では、この挙動不審の仮想AIアサガヤシンが唯一の希望だった……。

 『機動戦士ガンダム』『伝説巨神イデオン』『銀河漂流バイファム』『宇宙空母ギャラクティカ』『漂流艦隊シェラザード』の系譜の、とにかく敵勢力のど真ん中に取り残された艦が必死で味方の支配領域めざして逃走する物語。敵との決戦前に指揮官を失い、想定外の敗走で、敵の支配宙域に取り残された艦隊の生き残りが、過去から蘇った者に指揮されて窮地を脱するという序盤の構図なんかは『彷徨える艦隊』そのままです。しかし、この作品が他の作品と異なるのは、そこからAI視点の宇宙史観に立ち位置を変えてAIの不死性と消失を語ってみたり、仮想世界を配置した上での胡蝶の夢ともいえる自己存在の問いかけ、帝国の権力闘争にまで話を広げていくあたりでしょうか。
 AI規範に縛られないアサガヤシンは、帝国皇女ソハイーラ・ユリウス・メイローザと共にどこまで行くのでしょうか。

【無双航路01】【転生して宇宙戦艦のAIになりました】【松屋大好】【黒銀(DIGS)】【レジェンドノベルス】【勇敢なる特攻】【廃棄艦の墓場】【仮想世界】【無双世界】【小説家になろう】

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「食い詰め傭兵の幻想奇譚7... | トップ | 「無職転生~異世界行ったら... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ミリタリーSF・未来戦記」カテゴリの最新記事