付け焼き刃の覚え書き

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「デューン 砂の惑星」 原作:フランク・ハーバート

2021-10-30 | ミリタリーSF・未来戦記
 有力諸侯の筆頭であるレト・アトレイデス公爵が、皇帝より砂漠の惑星アラキスへの転封を命じられた。アラキスは宇宙航行に必須のスパイス「メランジ」の唯一の供給源であり、その管理は膨大な富を約束されていたが、同時に反抗的な原住民勢力や過酷な環境によって統治が極めて難しい星でもあった。
 アトレイデス公爵はこの仕置きに皇帝の陰謀を察知していた。デューンの前統治者であるハルコンネン男爵との軋轢を生み出し、争わせることで両者を疲弊させようというのだ。しかし、ハルコンネン男爵側もそれを理解しており、この機会を利用して公爵家を滅ぼさんと陰謀を画策していた……。

 『デューン』は日本では古いSFファンのバイブル程度だけれど欧米では何作も映像化が試みられていて、『スターウォーズ』の製作の際にもあれこれインスパイアされている、そっちのジャンルではメジャータイトル。日本でいうと『銀河英雄伝説』あたりに位置するのかな?
 とりあえず二部構成の1作目ということで、作品を見終えてテーマ曲を口ずさみながら帰路につく……というような爽快感はなく、ただただ砂の世界とそこに生きる人々の生き様、生き馬の目を抜く銀河帝国内部の権力闘争にズーンと打ちのめされて、ただ「早く続きを!」という飢餓感に駆られての家路でした。
 同行の家族には一様に好評。けれど、「この重要な設定については、このシーンの台詞と描写でサッと説明するから、あとは察しろ」みたいな構成が日本の一般的な観客に受けるのかなあと不安がってました。代表的なのは、銀河系をまたにかけた文明なのに戦争が剣と格闘でけりがつくのはなぜ?というあたり。あれは、個人シールドが普及しちゃって、銃弾なんかの高速の物理攻撃は弾くし、ビームを使うと誘爆して敵も味方も吹き飛ぶので……という設定を映像だけで説明するんですよね。見て、主人公がなにをしているか理解した上で分かれと。
 あと、すぐ間違えるのだけれど「デューン」って星の名前じゃないんだよね。星の名はアラキス。英語で砂丘の意味だから、直訳すれば砂球というあたりかな。地球が水の星ならアラキスは砂の星なのだ。

 主人公のポール・アトレイデスを演じたティモシー・シャラメがかつてのイタリア映画を彷彿とさせる美男子で妻は喜んでいたけれど、剣士ダンカンが『アクアマン』のジェイソン・モモアで、男爵の甥のラッバーンは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のデイヴ・バウティスタで、フレメンの謎の少女チャニが『スパイダーマン』のゼンデイヤでと脇を固める役者がなんとなく見たことある個性派ぞろいなので、なんとなく『マイティ・ソー』のトム・ヒドルストンの若い頃に見えてきてしまって困りました……。

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