付け焼き刃の覚え書き

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「海街diary1 蝉時雨のやむ頃」 吉田秋生

2007-11-10 | その他フィクション
 中学生になってから、しばらく少年マンガは読まない時期がありました。いろいろ見た目は変わっても、男同士がケンカだかスポーツで汗まみれ血だらけになる話か中身のないギャグばかりなのに辟易。だったら江戸川乱歩とかハリイ・ハリスンとか買って読んだ方が面白いやん……。

 ただ、マンガをまったく読まなかったというわけではなく、少女マンガに走ったのですね。SFなら『11人いる!』とか『狼少女ラン』。アクションなら『こいきな奴ら』。コメディなら『エリート狂走曲』。ストーリーは骨太で面白いし、絵柄も極端な少女絵ではなくて男にも親しみやすいですもん。
 その延長線上に吉田秋生がいました。吉田秋生も絵柄が青年マンガに近いだけ入りやすかったな。最初はアニメにもなった『悪魔と姫ぎみ』。これはたいした作品でもなかったけれど、それが同時収録されていたのが『カルフォルニア物語』。このあたりは「まあ、読んだ。こんなもん」くらいだったけれど、80年代中盤から大友克洋っぽい絵柄になってハードボイルド路線へ一気に加速するんですよね。
 天女の末裔と言われる叶家の財産を狙う遠野家の人々が、叶家の跡取り娘の小夜子の美貌に翻弄され自滅していく物語『吉祥天女』。ニューヨークの天才不良少年アッシュが謎の合成麻薬「バナナフィッシュ」をめぐり、軍やマフィアや軍産複合体らとの抗争に飛び込んでいく『BANANA FISH』。その後日談で細菌兵器や殺人鬼があちらこちらから湧いてくる『YASHA-夜叉-』『イヴの眠り』で21世紀に至ると。
 面白いよね。男も女も、大人も子供も関係ない作品群。というか、こんなものが少女コミック誌に掲載されていていいのかね……。

 ただ、こういうハードボイルドな話ばかり読んでいると疲れてしまうので、合間合間に『ハナコ月記』とか『河よりも長くゆるやかに』みたいに平凡な日常の物語で息抜きするのは大事です。『海街diary』もそっち系の話。

 両親は離婚し、祖父母も亡くなり、看護師をしている長女・幸、信金勤務の次女・佳乃、スポーツ店で働いている三女の千佳の姉妹は鎌倉の一軒家で暮らしている。
 そんな姉妹のもとに、15年以上前に女を作って家を出て行った父親の訃報が届いた。葬式のためにいやいや山形へ赴いた3人は、そこで中学生の異母妹・すずに出会う。

 鎌倉を舞台に、家族の絆や恋人や友だちとの関係を描く物語。年の割にしっかりしているすずも良いけれど、愛想は悪いけれど意外に面倒見がよいシャチ姉もGPMの原さんを彷彿とさせて好き。

【海街diary】【蝉時雨のやむ頃】【吉田秋生】【鎌倉】【家族】【恋愛】【サッカー】

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