付け焼き刃の覚え書き

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「化物嬢ソフィのサロン2」 紺染幸

2024-06-08 | 異世界転生
「殿方のサプライズで喜ばれるのは、高齢になってからのピンピンコロリだけですのよ」
 ソフィは門番のクロロ・ロム・ムクロの選択に怒る。

 原因不明の奇病によって全身の肌が醜くただれているソフィは、ささやかに皮1枚分だけを癒やす力を使って予約制のサロンを開いている。自分の顔のただれは治せなくても、困っている人の火傷痕を癒やしたり、刺青を消したりするくらいはできるのだ。
 そんな彼女のもとにこまめに顔を出すのは癒やしのエリート、三級癒師のオズボーン。だが、その日彼が訪れた理由はしばしの別れを告げるため。ドラゴン討伐のため、支援職のリーダーとして最前線に赴くというのだ。オズボーンはソフィに大事な認識票の片方を預けていく。もし、彼が死んでしまった場合、遺族恩給を受ける資格を証するものなのだが、普通なら配偶者か家族、せめて婚約者にしか渡さないであろうものだった。
 しかし、オズボーンは帰還予定を過ぎ、1ヶ月経っても2ヶ月経っても戻ってこなかった……。

 『化物嬢ソフィのサロン』2巻で完結です。ハッピーエンドです。続編の余地はありますが、もう嬢ではありません。紆余曲折ありながら、最後は今までの登場人物のほとんどが顔見せしての大団円。さまざまな人々の人生を優しく見守り癒やし続けてこそのフィナーレでした。未読の人も安心して読んでください。
 話も面白いですが、イラストも良い仕事をしていました。この話が書籍化すると聞いたとき、ヒロインをイラストにできるのか?!と心配しました。醜く膿ただれたヒロインの顔を表紙にできるのか、描けたとして物語のイメージを損なわないのか、そもそもヒロインを絵にするのだろうか……。
 でも、この作品は、醜くなったヒロインの顔をちゃんと描きながら、木漏れ日とか光のグラデーションとも見える処理で、逃げずに描いて、かつ優しいイメージを伝えてくれました。人々が厭う傷や痕に正面から向き合いつつ癒していく本編をまさに象徴するイラストだったと思います。
 総評としては、オズボーンのダサさとそれを意に介さぬメンタルの強さに脱帽です。

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