「翼を持つ少女（上）」 山本弘

「武部さんの絵は時代を超えて素晴らしいですよ！　他の何物にも変えられませんよ！　何で変えちゃうんですか!?　『モナ・リザ』が古い絵だからって、新しい絵に変えたりします？　納得いきません！」
　伏木空は創元ＳＦ文庫が『火星のプリンセス』の新版を刊行した際に、イラストを武部画伯から火星の絵に差し替えられたことを怒る。
　私もこれに怒って買いませんでした。

　15歳の少女・伏木空は部活にも入っていないし、クラスにも親しい人間がいない。
　もともと学校になじめなくてＢＩＳに転校してきたわけだし、部活などしていては本を読む時間が減ってしまうではないか。彼女はＳＦ小説が大好きなのだ。
　そんな彼女をたまたま知り合った同級生・埋火武人がビブリオバトル部に勧誘する。埋火自身はＳＦに理解がないが、彼の亡くなった祖父はＳＦ小説のコレクターで、ビブリオバトルとは「本を通して人をつなぎ、人と知識をつなぐ知的ゲーム」なのだ……。

　本を紹介する青春小説。
　ＳＦ大好き、伏木さんが埋火くんちのお爺さんの書庫で見つけた本に感激して通い詰めるけれど、あそこに出てくる本のかなりがうちにもあります（さすがに銀背とかマガジン揃いは無理だけど）。誰かＳＦ好きの女子高生が、うちの書庫を探険してくれないかしらね。
　ＳＦ大好き少女が主人公なので、本の半分はおすすめＳＦの紹介文みたいなものですが、他のメンバーがノンフィクション至上主義者やらなにやらそれぞれ得意分野を持つ個性派揃いなので、全体的にはバリエーション豊富な読書ガイドになってます。

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