付け焼き刃の覚え書き

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「ガンダムセンチュリー」 月刊『OUT』増刊

2020-09-18 | 巨大ロボット
 1979年のアニメ『機動戦士ガンダム』はあまりに戦記っぽく、それまでのロボットアニメと比較するとSF要素が強すぎたものだから、映像として見せられたもの以外、オフィシャルが設定していない部分まで、ファンがいろいろ考え始めました。その筆頭がガンダムFC「GUN SIGHT」で、その考察をさらに膨らませ、オフィシャルまで巻き込んで形にしたのが月刊『OUT』増刊の「ガンダムセンチュリー」。
 なので、普通のアニメムックにあるようなフィルムストーリーとかはありません。ひたすら「これは本当にあったことなんだよ」のスタンスで、アニメの映像と現実の科学や軍事のあれこれと整合性を考えながら、なぜ人型ロボットの必然性があるのか、どういう形で開発されていったのか、推進剤はどうなっているのか、コロニー落としの軌道や被害はどうだったのか、などなど辻褄合わせてます。今ではオフィシャルの設定そのものがファーストガンダムの頃と解釈が変わっているのでアレですが、モビルスーツの型式番号とか各種バリエーションだとか、宇宙空間での姿勢制御にAMBAC(能動的質量移動による自動姿勢制御)を導入してエネルギーを節約しているとか、エンジン開発とか大気圏突入実験とか、たいていの設定はここが出所です。
 これに美樹本晴彦(美樹本良晴)がイラストを描いたカラーストーリーとか、スタッフ対談とかインタビューとか、さらにはもともとの宇宙コロニー計画のリアルの方の解説とか盛り込んだ1冊。図版も豊富ながら、インタビュー頁等に原画が使用されているものの、頑ななまでにアニメのキャプチャーとか設定画を使わないのも特色。
 ここに収録されているスタッフの声が、単なる監督とかキャラデザイナーだけでなく、脚本家とか美術とか声優とかいろいろなスタッフまで集められており、演出と作画と脚本と美術とすべてがかみ合うと面白くなるんだなあと思いました。このガンダムに限らず、監督とかの特定のスタッフの色が強くなり、前面に突出する作品は癖が強くなりすぎるのだ。

【ガンダムセンチュリー】【月刊OUT9月号増刊 宇宙翔ける戦士達 GUNDAM CENTURY】【みのり書房】
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