付け焼き刃の覚え書き

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「私は存在が空気」 中田永一

2021-12-05 | 超能力・超人・サイボーグ
「ようこそ、この世界へ」

 今どきエアコンも付いてない六花荘はオンボロアパート。その201号室に新しく引っ越してきたのは祖母がロシア系だというロングヘアーがさらさらの湯川さん。
 ところが、この湯川さんはどうやらパイロキネシス、発火能力者らしい。彼女がくしゅんとくしゃみをすると畳が焦げるのだ……。

 存在感がなくて親からも忘れられる少女とか、顔が醜いと苛められて引きこもりになった少年とか、もっぱら人づきあいが巧くなさそうな男女を主人公にした6つの短編。内容紹介では「超能力者たちの恋は、不器用で、おかしくて、ちょっぴり切ない。心が透きとおる、6つの恋の話」とか言っているけれど、基本的に「変わらない」物語が多いですね。
 苛められているとか、周囲から忘れられてばかりとか、交差点を渡るたびにつないでいる手が離れてしまうとか、あるいは先祖代々念動力があることを秘密にしないといけない掟があるとか、そんな状況はまったくといっていいほど変わらない。ただ、物語の最初と最後で変化があるとすれば、それは主人公の気持ちの持ちよう、それだけという話が多いのが特色だと思いました。
 世界は変わらない。自分が変えられるのは、自分の気持ちだけ。
 ストーリー的には、ドラえもんみたいな話から死体処理の話まで混在しているけど、平均するとジュブナイルの範疇に入るかな。カバー折り込みにちょろっと描き込まれているジャンパーのカットが救いになっている気がします。

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