Leaf製作のノベルゲーム「ToHeart」の、メインヒロインルートの後日譚を描いた二次創作。あかりと浩之の高校生カップルが遊びに行く顛末が描かれているわけですが、そこでいかにもゲーム内の二人が言いそうな会話が交わされる、穏やかで、そして青春のリピドーあふれる1997年の物語なのです。リアルタイムでゲームをプレイしたことのあるのはアラフィフ以上かな? 読んで損はないよ。そのまま勢いで健全なアニメ版の視聴だか、R18なゲーム版に再挑戦するのだ。
巻末の対談が発売当時(90年代後半)の世相の振り返りにもなっていて二度美味しいので必携必読です。サブカル系の世相を総括する記録ってなかなか残らないので。
当時は1作目の「雫」が電波系だけど面白いノベルゲーだという評価がパソコン雑誌とかで語られていてカルトっぽい扱い。続く「痕」が伝奇系だけど前作以上に面白いと評判になったところで出てきたのが「ToHeart」だったのだ。当然一文字のタイトルが来ると思っていたところに横文字タイトルのスクールライフでびっくり。猟奇にも電波にもならなかったけれど、アンドロイドLoveに走るものがぞろぞろ出てきて、「Intel inside」のロゴをパロった「Multi inside」なんてシールをパソコンに貼るものがいっぱいいた時代が来たのだ(絶対マシンがポンコツになってる)。
その後、まともな神経ではプレイできない「ホワイトアルバム」(ちゃんとかわいくて献身的な彼女がいるのに他の女に手を出す話)とかコミケもの「こみっくパーティ」(がんばって原稿集めて本を出してイベント参加して売上を出す)とか登場してゲーム漬けにしてくれたわけだけど、そんな当時の空気を思わず思い出してしまったのだ。
ところで、キャラクターとしては「痕」の楓が好きだったれど、彼女をヒロインにした怪奇大作戦風の二次創作を読んでからは素直に見られなくなってしまったのだ。前世の縁だからと今世ではロクに知らない相手に恋して尽くすって怖いよね。
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