「ラブコメの悪役に転生した俺は、推しのヒロインと青春を楽しむ」 そらちあき

「龍介、これからもずっと一緒だよっ」

　面白くもない青春時代を過ごし、ブラック企業で公私の別のない働きづめの人生は終わった。
　気がつけば、見知らぬ家庭で高校生になっていた。もとの世界の記憶も、今の記憶もあやふやだが、これは転生ってやつらしい。少しずつ、今の身体の記憶も思い出しつつ学校に行く事にしたのだが、息子が高校に行くと言い出しただけで母親は泣かんばかりに喜んだ。金髪にピアスと、この進藤龍介は不良だったらしい。
　だが、学校で他の生徒たちの様子を見て気がついた。ここは彼が前世に愛してやまなかったラブコメ『恋する乙女は布施川くんに恋してる』こと「ふせこい」の世界らしい。そして彼は原作では主人公に絡んだあげく破滅する悪役だった。
　龍介は悪さをするでなく、主人公に関わることもなく、大好きなラブコメ作品を間近から傍観者として堪能しようと思っていたのだが……。

　周りから厄介者の不良として敬遠される中、彼に積極的に話しかけてくる幼馴染みのギャル、甘夏真白との立ち位置を迷いながらも一歩ずつ人生を立て直していく青春小説。
　タイトルの「推しのヒロイン」が、主人公を取り巻くヒロインではなく、彼女らと対立して破滅する少女の方なんだけれど、視点を変えれば彼女こそ真のヒロインにしか見えません。何を考えているか龍介からは分からない主人公、布施川頼人のラストショットもさわやかな青春小説。大きなどんでん返しはないけれど、安心しつつも２人の関係がどうなるかハラハラしながら読み終わりました。

【ラブコメの悪役に転生した俺は、推しのヒロインと青春を楽しむ】【そらちあき】【mmu】【ＧＡ文庫】【悪役転生主人公×推しヒロインで紡ぐ、青春やり直しラブコメ】【ハンバーグ】【不良漫画】【メイク】【ショッピング・デート】