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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

初秋

2009-01-15 18:35:10 | 好きな本
ロバート・B・パーカー 昭和63年ハヤカワ文庫

村上春樹つながりで、もう一丁、好きな本を。
(村上春樹のエッセイでよく触れられてたので、読んでみた、ロバート・B・パーカー。)
スペンサーシリーズは、読み始めたら面白くて、けっこう読んだ。文庫で出てるの読み尽くして、新刊が翻訳されるたび単行本買って読んだ。
なかでも一番気に入ってるのが、この「初秋」。
このシリーズは、私立探偵が主人公なんだけど、推理小説ってのとはちょっと違う、事件の犯人とかトリックとかがメインぢゃなくて、スペンサーが語る、男はいかに生きるべきか、みたいな哲学(?っていうか実践)が主題。(と思って私は読んだ)
「初秋」では、夫婦間のもめごとから、男の子を取り戻すのが依頼人からの仕事だったのに、途中からは、子どもを自立させるために、一緒に家を建て、ジョギングとボクシング、ウェイトリフティングを始め、料理を教える。

>「どうしてぼくのことを放っておいてくれないんだ?」
>私はまた彼の横に腰を下ろした。「なぜなら、おまえさんが生まれた時からみんなが放ったらかしておいて、そのために今、おまえは最低の状態にあるからだ。おれはおまえをそのような状態から脱出させるつもりでいるんだ」
>「どういう意味?」
>「おまえが関心を抱く事柄が一つもない、という意味だ。誇りを抱けることがまったくない。知りたいと思うことがない。おまえになにかを教えたり見せたりすることに時間をさいた人間が一人もいないし、自分を育ててくれた人々には、おまえが真似たいような点が一つもないのを見ているからだ」
>「なにも、ぼくが悪いんじゃないよ」
>「そう、まだ今のところは。しかし、なにもしないで人から見放された状態に落ち込んでいったら、それはおまえが悪いんだ。おまえはもう一人の人間になりはじめる年齢に達している。それに、自分の人生に対してなんらかの責任をとりはじめるべき年齢になっている。だから、おれは手をかすつもりだ」

長い引用しちゃった。鍛えて、生き方を教えるわけなんですが。かっこいいです。
あと、それまでハードボイルドってあんまり手にとらなかった私には、文体(翻訳なんでわかってないかもしれないけどね)もカッコよく映りました。クライマックスに近づくと、それまで貯め込んだぶんだけ、すごいスピードで暴力が炸裂するシーンとかが出てくることがよくあるんだけど、気もちいいです。

ドーナツ食ったり、ブルックスブラザース着たり、ボストンレッドソックスをひいきにしたり(当時ロジャー・クレメンスがいたってこともあったけど)、このシリーズが私に与えた影響は大きいです。

コメント
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