many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

マネー・ボール

2009-01-26 22:26:22 | 好きな本
マイケル・ルイス著 中山宥訳 2006年 ランダムハウス講談社文庫版
 この本、好きです。簡単にいうと、強い野球チームの作り方。
 メジャーのなかで資金力の乏しいアスレチックスが何で強いかってことを解説(解析?)した、刺激的な読みもの。まあ、野球と統計の両方が好きな私にとっては、ハマッてあたりまえだったかもしれないけど。
(※でも、私にとっては、アスレチックスといえば、ホセ・カンセコ、マーク・マグワイヤ、リッキー・ヘンダーソンを擁した、すげー強かったチームって印象のほうが大きく残ってんだけどね。それは昔のことみたい。)

 いろいろ書いてあるんだけど、たとえば。
 攻撃の真の目的は打率をあげることぢゃなくて得点をあげること、だから得点を評価すべき。そんなところから、「得点公式」の仮説とかができあがる。
 得点数=(安打数+四球数)×塁打数÷(打数+四球数)
これに過去のシーズン記録を代入したりすると、チームの得点数が当たっちゃう。
ってことは、打率と盗塁数は含まれていないので、大して重要ぢゃない 犠打は得点になんら影響を与えていないので無駄死ににすぎない 
 万事そんな調子で、要は野球に勝ちたかったら、得点数をあげるのが一番、得点数にもっとも影響するのは出塁率、だから出塁率の多い選手を獲るべし、ってことになる。日本にもよくあるけど、スカウトが、肩が強いとか足が速いとかって素質を重視したり、球の速い高校生ピッチャーの将来性にかけて獲得したりしようとするのは、ムダムダと断じている。そういうのが成功する確率は、スカウトの希望的観測に比べて全然小さいから。
 一方で戦術面では、バント・盗塁・ヒットエンドランは、たいてい的外れか自滅行為ってことで否定される。アウト増やす可能性の多い(バントなんて確実にアウト1個守備に献上するし)ことは一切しないほうがよい。盗塁は禁止、初球から打っていかないで四球を選ぶことは(出塁率が上がるから)高い評価をされる。
 究極の評価方法は、1番から9番までその選手ひとりに打たせて試合をしたら何点入るかのシミュレーション 誰かを放出して、代わりに誰かを獲得したら、得点が何点増えて失点がどのくらい減るかとか計算して補強することが、可能。
 もちろん、そういうやりかたを否定する声が多いことや、盗塁しないから実際にプレーオフでいつも敗退してるぢゃないかという批判とかも書いてあるけど、それにしたって、まあ面白い。

 日本国内でも、ボチボチ、セイバーメトリクスが取り上げられはじめてるけど、まだまだ、「ピンチのあとにチャンスあり」的な「流れ」の迷信みたいなのが幅きかせている。ほんと、フィジカルのトレーニングも含めて、非科学的な部分が多くて、ほかのスポーツより時代が遅れてるみたいなとこが、悲しくなるねー。
 
けど、それにしても、野球に関しては、私の座右の銘のひとつ「勝てば官軍」ってのが、やっぱ最もよくあてはまるんだよなー 

コメント
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