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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

絶叫委員会

2011-03-05 18:21:25 | 穂村弘
穂村弘 2010年 筑摩書房
歌人・穂村弘のエッセイ集。
んー、エッセイでいいのかな?
副題は「天使的な言葉たちについての考察」。
あとがきにて、名言集的なものをという意図で始めたけど、「偶然性による結果的ポエム」についての考察にシフトしたと著者が言ってます。
「結果的ポエム」というのは、そういうタイトルをつけた一節で、>正規のルートで詩を書くのは大変だ。才能やセンスや知識や労力が必要になる。だが、その一方で世界には偶然生まれては消えてゆく無数の詩が溢れているように思える。 と、その存在とそれを発見する喜びについて触れてるんだが。
具体的には、そういうキラッと光る言葉を求めて(?…求めてんだろうな?)、駅の伝言板に実際にあった「犬、特にシーズ犬」みたいなのを見つけると、正確に手帳に写すなんていうマメな蒐集活動の成果をいろいろと書いてる。
伝言板以外にも、貼り紙とか、電車や店のなかでの若者の会話なんかのなかで、アンテナに引っ掛かった言葉をいっぱいノートしてる。
その傾向は、「天然」という章で、>天然に憧れる。と吐露しているように、そういう自然に飛び出して場を和ませるものを好んでいるようにみえる。
その章であげられている例は、>「怪人二十面相はこんな油断しないと思うんだけど、でも、江戸川先生が書くからには本当なんだろうね」というもの。知人の読後の感想だというんだが。
たしかに謎のような言葉。著者も>突っ込みどころが多すぎて、わなわなしてしまうというくらい。
でも、>わななきながらも、全体としてはわかる。何が云いたいのか、気持ちはよくわかるのだ。矛盾に充ちた発言からは、「怪人二十面相」への愛と「江戸川先生」への敬意を感じ取ることができる。と絶賛してる。(絶賛なんだろうな?)
天然的なものにある「キュートな意外性」の魅力を肯定してる、その言葉に対する感覚がやっぱイイ。そうぢゃなきゃ鋭い短歌は詠めないんだろうなって思わされた。
コメント
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