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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

初恋

2011-03-25 20:41:53 | 読んだ本
ツルゲーネフ作・米川正夫訳 1933年発行・1960年改版発行 岩波文庫版
前回から、つながりのあるつもりが、ないものになってしまった。
というのも、「『坊っちゃん』の時代」から、「坊っちゃん」の次は「舞姫」に行くべきところなんだが、森鴎外は読んだことがないんである。
「『坊っちゃん』の時代」第二部の「秋の舞姫」の主人公は森鴎外だが、もうひとりの主要人物は、長谷川辰之助・二葉亭四迷である。かといって、二葉亭四迷も読んだことがない。
弱っちゃったな、どーしよーかなってんで、作中で二葉亭四迷がツルゲエネフを翻訳してるとこに注目して、ツルゲーネフにしてみた。
ちなみに「秋の舞姫」のなかには、「浮雲」を書いたあとの長谷川二葉亭が、森鴎外の訪問を受けたときに、書きものをしてるんだけど、「翻訳です 小説を書きつぐ能力なしと 痛感しました」と言って、ツルゲエネフを訳している場面があって。
そこのとこの逸話で、二葉亭は小説ってのは人はどのように生きるかを表現すべきものだと思いあたるんだが、その実践にあたって、「浮雲」を書くときに、自分の書きたいイメージをロシア語で書いて、それを日本語に翻訳して原稿とした、っていうんだけど。
近代知識人の疎外を描くに江戸狭斜の流れるような文章はふさわしくなかったから彼は新しい書き言葉をこのように開発したのである なーんてこととなっている。
(どーでもいーけど、これ読んで、村上春樹はデビュー作の「風の歌を聴け」を最初英語で書いてた、って逸話を思い出させられるね。)

んで、長谷川二葉亭の苦労は、読んでない私には、結局わかんないんだけど、とにかくツルゲーネフ。
なんでもよかったんだけど、手近にあったロシア文学で、いちばん薄かったのが、この文庫なんで、って理由だけで、「初恋」を読み返してみた。
主人公ヴラヂーミル・ペトローヴィッチが、16歳だった1833年の夏、隣に引っ越してきた公爵夫人の娘、ジナイーダ・アレクサンドロヴナに一目ぼれしちゃった話なんだが。
1860年の作品。小説を読んでるだけなら、十九世紀ってのは、いい時代だねえ。
持ってる文庫本は1988年の第50刷。なんで読もうと思ったのか、よくおぼえてない。たぶん、そのころロシア文学を読むのが自分なりに面白かったんぢゃないかと思う。
コメント
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