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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

『坊っちゃん』の時代

2011-03-21 21:06:32 | マンガ
関川夏央・谷口ジロー 1987年~1997年 双葉社・アクションコミックス全5冊
副題は、「凛冽(りんれつ)たり近代 なお生彩あり明治人」。
全5冊で、最初のが「『坊っちゃん』の時代」で、以降、第二部「秋の舞姫」、第三部「【啄木日録】かの蒼空に」、第四部「明治流星雨」、第五部「不機嫌亭漱石」と続いている。
第一部と第五部の主役は夏目漱石、第二部は森鴎外、第三部は石川啄木、第四部は幸徳秋水が主人公。
谷口ジローの画による「孤独のグルメ」にハマってから、ずっとこれを読む機会をうかがってた。
たしか第二部の「秋の舞姫」が連載されてたころ「アクション」を読んでたんだけど、当時はピンと来なかった。
大河小説のような物語の一部が、たまにしか載らなかったからってこともあるかもしれない。
今回、5冊まとめて古本を買って、ほぼ一気に読んで、やっとその魅力がわかってきた。
なんの話かっていうのは、なかなか簡単には言えないんで、読んでもらうしかないんだけど。
原作者の関川夏央が、各巻のあとがきで、いろいろ語ってるのが一番わかりやすいかもしれない。
その興味とは、日本人とはいったいなにものか、ということである。(略)わたしたちの態度性向の多くは「戦後」よりはるか以前、明治中期にまでさかのぼって決定されているという仮説の展開がこの作品なのである。(略)現代の原型は明治にある。(「秋の舞姫」)とかってのが、まあそういうことになる。
そして、いろんな人物があちこちで出会ったりすれ違ったりする場面が、何とも濃くてよい。
たとえば「『坊っちゃん』の時代」の第七章で「歴史はときとして劇的な演出を好む その日の午後 新橋駅中央コンコオスの屋根の下で 多数の歴史的な人物が 本人たちはそれと気づかず一堂に会していた」なんてとことか、「秋の舞姫」の第五章の「明治東京の坂道はさまざまな出会いを生んだ」なんてとこは、ほんと作り過ぎって感じがするけど、読み応えがある。
また、絵がいいんだな。あいかわらず見てるだけで気持ちいい。

コメント
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