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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

坊っちゃん

2011-03-23 23:01:41 | 読んだ本
夏目漱石 昭和25年発行・昭和55年改版 新潮文庫版
前回の続きで、当然「坊っちゃん」。
夏目漱石の傑作であり、いちばん馴染みやすい小説である。
私が最初に読んだのは、小学生のときか、いわゆる少年向けの版であったかと思う。
子どものころに読んでも面白いと思ったものだが、いまあらためて読むと、やっぱいろんなところで触れられているとおり、主人公である坊っちゃんは敗者にほかならない、っていうことを再確認させられて、なんともむなしい物語である。
そのへんのとこ、「『坊っちゃん』の時代」の原作者・関川夏央は、“わたしはつねづね「坊っちゃん」ほど哀しい小説はないと考えていた。”なんてマンガの第一部のあとがきで書いている。
でも、まあ、この小説のいいところは、ダーッとたたみかけるリズム感みたいなとこであって、それはどこから来てるかっていうと、四百字詰原稿用紙にすれば215枚の作品なんだけど、それを明治39年の3月17日から23日までの一週間で書きあげたっていう制作過程にあるんだと思う。
日本近代文学史上、いちばん勢いにまかせて書かれた傑作っていうことになるのかなー。
コメント
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