ポール・セロー/村上春樹訳 1987年 文藝春秋
きのうから、村上春樹の翻訳つながり。
1987年かあ、そんな前になるか、そのころは何にも知らない作家のものでも、村上春樹が訳すってこたあ面白いんだろ、くらいの価値観で、疑いなく読んでたんだろうな、私ゃ。
セローは、1941年生まれマサチューセッツ出身で、多産な作家だそうだけど、この本のほかに私は読んだことがない。
巻末の村上氏のあとがきによれば、「セローの小説は多かれ少なかれ我々に居心地の悪い思いをさせることになる」という作家だそうで。
そういう作風のあらわれの一端なのかもしれないけど、この短編集も、それぞれの登場人物がそれぞれの世界の果てのようなとこで、「なんかこの場所って、違うかも」って感じるような話が多い、不思議なテイスト。
「ワールズ・エンド(世界の果て)」
妻と6歳の息子をつれて、ロンドンの支社に移ってきたロバージ。移住は正解だと思っていたが、息子の言動から、妻が浮気している疑いをもつ。
「文壇遊泳術」
一冊の本も書いたことないくせに、もののはずみで作家だと自己紹介してたうちに、小説家や批評家たちとうまく近所づきあいできてしまう男の話。
「サーカスと戦争」
ロンドン生まれのディーリアは、フランスの田舎のコテージで1か月ホームステイのようなことをするようになったが、そこの家の主人のやりかたが何もかも気に入らなかった。
「コルシカ島の冒険」
マルセイユで妻と別れたシェルドリック教授は、コルシカ島に滞在するうちに、自分でも驚くことに、レストランで働く女にひかれて、一緒に逃げ出そうと持ちかける。
「真っ白な嘘」
アフリカの学校で働いていた昆虫学者が語る、同僚の悲劇の話。現地の娘と遊びでつきあっていたが、捨てようとした時期に、ノーアイロンのシャツにアイロンをかけるなと口論したことから、たいへんなことになる。
この話、気持ち悪いんだ、とても強烈な印象が残って、ほかの話は忘れてたけど、これだけは憶えてた。
「便利屋」
ロンドンにやってきたブラッドワース教授は、近くに高名な詩人が住んでいるのを見つける。なんとか未発表の作品でも手に入れて一山あてたい彼は、詩人の家に出入りする便利屋の男を手なずける。
「あるレディーの肖像」
どことなくはっきりしない投資資金の現金を受け取るために、運び屋としてパリに来た男。すぐに済む仕事だと思っていたのに、なかなか取引の相手に会えず、一週間をムダにしてイラつく日々のなか、相手のオフィスの秘書を誘い出す。
「ボランティア講演者」
国務省の仕事で、アジアや中東における苛酷な海外勤務をつづけてきた男が、一カ月の休みのあいだにプライヴェートな旅行で独仏国境の町を訪れた。そこに赴任していた同僚から、現地のサークルでの講演を頼まれる。
「緑したたる島」
駆け落ちのごとくプエルトリコに流れてきた、19歳の男デュヴァルと21歳の女ポーラ。ポーラは妊娠していて、二人はカネも仕事もなくて、作家志望のデュヴァルも現実逃避はしていられず、レストランではたらく。
きのうから、村上春樹の翻訳つながり。
1987年かあ、そんな前になるか、そのころは何にも知らない作家のものでも、村上春樹が訳すってこたあ面白いんだろ、くらいの価値観で、疑いなく読んでたんだろうな、私ゃ。
セローは、1941年生まれマサチューセッツ出身で、多産な作家だそうだけど、この本のほかに私は読んだことがない。
巻末の村上氏のあとがきによれば、「セローの小説は多かれ少なかれ我々に居心地の悪い思いをさせることになる」という作家だそうで。
そういう作風のあらわれの一端なのかもしれないけど、この短編集も、それぞれの登場人物がそれぞれの世界の果てのようなとこで、「なんかこの場所って、違うかも」って感じるような話が多い、不思議なテイスト。
「ワールズ・エンド(世界の果て)」
妻と6歳の息子をつれて、ロンドンの支社に移ってきたロバージ。移住は正解だと思っていたが、息子の言動から、妻が浮気している疑いをもつ。
「文壇遊泳術」
一冊の本も書いたことないくせに、もののはずみで作家だと自己紹介してたうちに、小説家や批評家たちとうまく近所づきあいできてしまう男の話。
「サーカスと戦争」
ロンドン生まれのディーリアは、フランスの田舎のコテージで1か月ホームステイのようなことをするようになったが、そこの家の主人のやりかたが何もかも気に入らなかった。
「コルシカ島の冒険」
マルセイユで妻と別れたシェルドリック教授は、コルシカ島に滞在するうちに、自分でも驚くことに、レストランで働く女にひかれて、一緒に逃げ出そうと持ちかける。
「真っ白な嘘」
アフリカの学校で働いていた昆虫学者が語る、同僚の悲劇の話。現地の娘と遊びでつきあっていたが、捨てようとした時期に、ノーアイロンのシャツにアイロンをかけるなと口論したことから、たいへんなことになる。
この話、気持ち悪いんだ、とても強烈な印象が残って、ほかの話は忘れてたけど、これだけは憶えてた。
「便利屋」
ロンドンにやってきたブラッドワース教授は、近くに高名な詩人が住んでいるのを見つける。なんとか未発表の作品でも手に入れて一山あてたい彼は、詩人の家に出入りする便利屋の男を手なずける。
「あるレディーの肖像」
どことなくはっきりしない投資資金の現金を受け取るために、運び屋としてパリに来た男。すぐに済む仕事だと思っていたのに、なかなか取引の相手に会えず、一週間をムダにしてイラつく日々のなか、相手のオフィスの秘書を誘い出す。
「ボランティア講演者」
国務省の仕事で、アジアや中東における苛酷な海外勤務をつづけてきた男が、一カ月の休みのあいだにプライヴェートな旅行で独仏国境の町を訪れた。そこに赴任していた同僚から、現地のサークルでの講演を頼まれる。
「緑したたる島」
駆け落ちのごとくプエルトリコに流れてきた、19歳の男デュヴァルと21歳の女ポーラ。ポーラは妊娠していて、二人はカネも仕事もなくて、作家志望のデュヴァルも現実逃避はしていられず、レストランではたらく。