米長邦雄 昭和57年祥伝社
きのうの続き、将棋つながり。
最も好きな棋士でした。現役引退しちゃいましたが、いま将棋連盟会長やってます。
この本は、好きな本です。持っているのは昭和60年の23刷なんで、はじめて読んだのはそのころでしょう。
大学入試のとき提出した書類に、好きな本三つ書けってのがあって、そこへ書いた記憶があります。(あと2つは忘れた)
これに関しては、若い頃に読んだせいか、きのう書いた本の感想とかとは違って、書いてある中身を素直に受け取ってます。結果、私の生き方に(ものの考え方に)ダイレクトに影響を与えています。
この本に書いてあることで、いちばん有名なのは、「米長哲学」と呼ばれ、私なんかだけぢゃなくて、将棋界全般に知れ渡って実践されていることです。それは、
>一生のツキを呼ぶとか、何年間かのツキを呼び込む大きな対局とは、実は自分にとっては一見、何の影響もない一番、その勝敗が自分の進退には直接影響がないけれども、相手にとっては大変な意味を持っている勝負
>そういう一番にマアマアで負けると、負けグセがついてしまい、運も逃げてしまう
というやつ。運を呼び込むにはどうするかという具体的な方法。
自分が勝ったら優勝というような勝負よりも、相手は勝ったら優勝だけど自分は勝っても負けても順位が変動しないとか、相手は負けたら引退に追い込まれるけど自分は勝っても負けても安泰とか、そういう勝負に全力を注ぐ。なぜなら、一対一の勝負なんで、相手には一生の運命がかかってるなら、こっちにも同じだけのものがかかっているはずだから、というのがその理屈。これは、まったくもって、正しいと私は思います。
ほかにも、大事なことほど簡単に決めるっていうのも、私は現実で役立ててます。
すごく重大な問題だから、簡単に決められないと長々と悩んでるうちにチャンスは逃げてってしまう。そうぢゃなくて、少しでも現在の自分にとってプラスだと判断できたら、そこで手を打つべし。いまの自分の持ち点が50点だとして、55点とか60点になる選択があったら、それを選ぶ。80点や90点のものが欲しいと思って見送ってるうちに、自分の持ち点は30点とかに減ってしまい、60点のものにも届かなくなってしまうかもしれないから。
世の中、最善のものってなかなか見つからないけど、最悪の状況に転落しちゃうことはいくらでもある、そんななかでちょっとでもいいものがあれば決めちゃう。これって結構わかりやすくて、あんまり間違いがないと思うので、実際私は致命的な不満がなければ、そこで決めるようにしています。冒頭で大学入試のこと書いたけど、そのときも実はこの考え方で決めました。もっと上を目指すとか、あそこしか考えらんないとか言わないで、最初のチャンスでスパッと決めました。それで間違いはありませんでした。
あと、貸し借り論。
著者は戦前は有数の地主だった家に生まれたんだけど、父親の代で、戦争のときに金目のものを政府に供出したり、戦後の農地改革で土地を取り上げられちゃったりで、没落してしまったと。これを恨んだりしないで、「米長家は、日本国に貸しがある」と解釈しています。なんという楽観? 国がそのうち借りを返してくれると信じて生きているんで、考え方に余裕というか自信というか強気なものがあります。それって、ぐちぐち不平不満を言うよりカッコいいです。
仕事きついわりに給料が安いと思えば、会社に貸しをつくっている。相手に対して怒っていいところでも、こらえて済ませば、それも貸しをつくってる。まわりに借りをつくるより、貸しにまわるほうが上等な生き方だと思います。勝負のあとには、勝っても威張らない、負けても言い訳しない。著者は、(たぶん)その実践によって「さわやか流」と呼ばれてました。
というわけで、実際の私の行動が、ほかの人からどう見えるかは自信ないんですが、この本は人生訓がいっぱい詰まってるんで、ときどき読み返してます。
きのうの続き、将棋つながり。
最も好きな棋士でした。現役引退しちゃいましたが、いま将棋連盟会長やってます。
この本は、好きな本です。持っているのは昭和60年の23刷なんで、はじめて読んだのはそのころでしょう。
大学入試のとき提出した書類に、好きな本三つ書けってのがあって、そこへ書いた記憶があります。(あと2つは忘れた)
これに関しては、若い頃に読んだせいか、きのう書いた本の感想とかとは違って、書いてある中身を素直に受け取ってます。結果、私の生き方に(ものの考え方に)ダイレクトに影響を与えています。
この本に書いてあることで、いちばん有名なのは、「米長哲学」と呼ばれ、私なんかだけぢゃなくて、将棋界全般に知れ渡って実践されていることです。それは、
>一生のツキを呼ぶとか、何年間かのツキを呼び込む大きな対局とは、実は自分にとっては一見、何の影響もない一番、その勝敗が自分の進退には直接影響がないけれども、相手にとっては大変な意味を持っている勝負
>そういう一番にマアマアで負けると、負けグセがついてしまい、運も逃げてしまう
というやつ。運を呼び込むにはどうするかという具体的な方法。
自分が勝ったら優勝というような勝負よりも、相手は勝ったら優勝だけど自分は勝っても負けても順位が変動しないとか、相手は負けたら引退に追い込まれるけど自分は勝っても負けても安泰とか、そういう勝負に全力を注ぐ。なぜなら、一対一の勝負なんで、相手には一生の運命がかかってるなら、こっちにも同じだけのものがかかっているはずだから、というのがその理屈。これは、まったくもって、正しいと私は思います。
ほかにも、大事なことほど簡単に決めるっていうのも、私は現実で役立ててます。
すごく重大な問題だから、簡単に決められないと長々と悩んでるうちにチャンスは逃げてってしまう。そうぢゃなくて、少しでも現在の自分にとってプラスだと判断できたら、そこで手を打つべし。いまの自分の持ち点が50点だとして、55点とか60点になる選択があったら、それを選ぶ。80点や90点のものが欲しいと思って見送ってるうちに、自分の持ち点は30点とかに減ってしまい、60点のものにも届かなくなってしまうかもしれないから。
世の中、最善のものってなかなか見つからないけど、最悪の状況に転落しちゃうことはいくらでもある、そんななかでちょっとでもいいものがあれば決めちゃう。これって結構わかりやすくて、あんまり間違いがないと思うので、実際私は致命的な不満がなければ、そこで決めるようにしています。冒頭で大学入試のこと書いたけど、そのときも実はこの考え方で決めました。もっと上を目指すとか、あそこしか考えらんないとか言わないで、最初のチャンスでスパッと決めました。それで間違いはありませんでした。
あと、貸し借り論。
著者は戦前は有数の地主だった家に生まれたんだけど、父親の代で、戦争のときに金目のものを政府に供出したり、戦後の農地改革で土地を取り上げられちゃったりで、没落してしまったと。これを恨んだりしないで、「米長家は、日本国に貸しがある」と解釈しています。なんという楽観? 国がそのうち借りを返してくれると信じて生きているんで、考え方に余裕というか自信というか強気なものがあります。それって、ぐちぐち不平不満を言うよりカッコいいです。
仕事きついわりに給料が安いと思えば、会社に貸しをつくっている。相手に対して怒っていいところでも、こらえて済ませば、それも貸しをつくってる。まわりに借りをつくるより、貸しにまわるほうが上等な生き方だと思います。勝負のあとには、勝っても威張らない、負けても言い訳しない。著者は、(たぶん)その実践によって「さわやか流」と呼ばれてました。
というわけで、実際の私の行動が、ほかの人からどう見えるかは自信ないんですが、この本は人生訓がいっぱい詰まってるんで、ときどき読み返してます。