塾長の鴨志田栄子です。
はじめに・・・
このブログの11月10日に、ローカル鉄道の旅として、津軽鉄道が取り上げられていました。その記事をよんで、素晴らしいおもてなしを体験したく、12月の青森出張の際に「ストーブ列車」を体験してきました。津軽鉄道の感想を以下に記します。
1.「待っていてくれた」感動
新青森から在来線でストーブ列車の始発駅の五所川原へ向かうが、悪天候のため途中駅で25分ほど停車してしまいました。このストーブ列車を目的で朝早くに東京を出てきたのに、これでは、もう接続に間に合わないとわかり、JR在来線の車掌に、接続をしてもらえるかと尋ねるが、「今問い合わせています」を繰り返すだけで、私の不安は増すばかり。ストーブ列車に乗れないならば、五所川原まで移動する意味がないので、宿泊地である青森市内に引き返そうと思いました。そこで、車内から携帯電話で津軽鉄道に直接問い合わせました。最初は、「本日の最終なので定刻に発車します。他のお客様もいるので。」と言われたのですが、このストーブ列車に乗るために朝東京から新幹線で来たことを告げ、なんとか接続してもらえないかお願いをして返事を待つことにしました。すぐに、携帯電話に折り返し電話が入り、「お待ちします」の一言。このスピード対応に感動しました。ホームでは、アテンダントの女性が待っていてくださり、列車に乗り込む乗客1人ひとりに挨拶をしていました。これもささやかな感動でした。
2.「スルメ」をさりげなく焼いてくれるサービスに感動
五所川原の駅で、在来線を待っていたため定刻を10分ほど遅れて発車したストーブ列車。発車するとすぐにワゴンによる社内販売が始まりました。先に乗っていた隣のボックスの男性2名は、すでに名物のスルメと日本酒に入っている! 迷わず、私も日本酒(ストーブ酒)とスルメを購入しました。すると、すぐにアテンダントの女性が、「スルメ、焼きましょうか?」と声をかけてくれました。見事な手さばきで、ストーブの上でスルメを焼き、食べやすいように割いてくれるのです。この慣れたてつき、そして、温かいスルメと日本酒の美味にも、また感動した次第です。
3.ワゴン販売の男性の優しいに感動
列車が各駅で停まり、その都度、私がカメラで外の景色を撮影していると、後のボックスから、ワゴン販売をしていた男性が、さりげなく、景色の解説をしてくれました。素朴な語りは、温かみがあり一人旅を満喫することができました。
4.一人ひとりの乗客に語りかけて歩くアテンダントの女性
プロ意識が高い人だなぁというのが、私の印象です。乗客が気持ちよく、楽しめるようなテンポで「どちらから来たんですか?」「何度目ですか?」など語りかけています。このアテンダントの女性は、津軽鉄道の社員ではなく、津軽のアテンダント協会から派遣されているのだそうです。先日も、名古屋まで、津軽鉄道のPRにいかれたとか・・・・。写真をとってもいいですか? 講演などでこの写真を使ってもいいですか?すべて笑顔で「どうぞ、どうぞ」というその接客は、乗客を楽しませてくれると同時に、癒しを与えてくれました。
おわりに・・・
ほとんどの乗客が、終点の津軽中里から五所川原に戻っていましたので、往復とも社内は、ほぼ同じ顔触れですが、片道45分、往復90分が、あっというまでした。そして、心地良いので、ついつい、ワゴンのいろいろなお土産も買ってしまいます。石炭クッキー(真っ黒ですが、実はココアクッキー)とか、リンゴジャムのどら焼きとか、お土産にストーブ酒とか、往復の乗車券が1600円(往復割引)、ストーブ列車の特別料金が片道300円、ストーブざけとスルメが各300円、ワゴンの商品はほとんど300円。購入しやすい単価なので、つい数を買ってしまいます。営業赤字でも、ついついお客様がお金を落としたくなる接客(おもてなし)、品ぞろえがあるので、最終的には黒字になっていることが実感できます。
また、私の近くには、11/10のブログ記事でも取り上げていたレールオーナーの人がいました。この人はたしか3度の乗車だったと記憶しています。名古屋から、大阪から、このストーブ列車に乗りに来ているのです。住民の方の移動手段として1両、その車輛に連結した特別列車、地元の人たちの知恵とおもてなしが見事に融合したサービスであり、経営という側面からとても参考になりました。来年からは、1日、2便から3便に増えるとのこと。今度は、一人旅・一人酒ではなく、旅の相棒と楽しみたいです。