こんばんは、本間です。
先週末に日本酒チームで京都・伏見地区の酒蔵を見学し、その中の2つの酒蔵に対してインタビューを実施してきました。現在、企画進行中であるため詳細は割愛いたしますが、2つの酒蔵とも独自の考え・戦略をお持ちであり、診断士としての視点からも多くの「なるほど」と思うところがありました。
今回は京都・伏見という酒処を取材したわけですが、日本酒とその文化は全国に及びます。皆さんはどの都道府県が日本酒を一番造っているかご存知でしょうか?私の当初のイメージでは米どころと呼ばれる東北・北陸が多いのではないかという予想でしたが、国税庁の平成23年度資料によるとトップ5は以下のとおりとなります。
1位 兵庫県
2位 京都府
3位 新潟県
4位 秋田県
5位 愛知県
米どころのイメージは間違っていませんが、江戸の昔からの歴史のある兵庫・灘地区、京都・伏見地区がある両府県が多く日本酒を製造しています。これらの地区に関しては日本酒に適する水が豊富にある点に加え、特に兵庫県に関しては酒造好適米である「山田錦」の一大産地であり、出荷量は全国の約7割に達します。原材料である米・水が地元から調達できること、それに加えて長年の歴史を持つ兵庫県が1位というのも納得できます。
古来日本酒というものは地酒として地産地消されてきたものであり、同じ日本酒でも地域によって特徴があります。最近ではマーケットが地元だけでなく日本全国や世界に広がったこともあり、自分たちの地域性、アイデンティティを確保しようという取り組みが実施されています。逆にいうと、マーケットが広がったことにより他の酒類や日本酒業界内の競争において、自分たちの商品を消費者にアピールするためにはブランド化が必要になってきたとも言えます。
具体的な取り組みとして、「原産地呼称保護」と「地理的表示保護」があります。どうやらフランスワインのAOC法を参考にしているようですが、いわゆる製造方法や一定の品質基準を満たすことにより特定の名称の利用を許されるという内容です。フランスワインを例にとると、「ボルドー」、「プロヴァンス」が有名かと思います。フランスでは基準を満たさない製品の名称利用等は違法になるようですが、日本では一部実施されていますがまだ不十分な状態と言えると思います。
○日本酒の原産地呼称取り組み例
<兵庫県>灘酒研究会酒質審査委員会による「灘の生一本」認証
<新潟県>新潟清酒産地呼称協会による認定(原料:新潟産米100%、製法基準満たす)
<山形県>DEWA33による認証(原料:出羽蝶々100%、麹、酵母がすべて山形県産)
長い歴史がある日本酒ですが、マーケット面では未熟なところがあると思います。しかし、間違いなくポテンシャルを感じる市場であり、いろいろ調べていくと勉強にもなりますし、少しでも協力できれば良いなと感じます。