こんばんは、中小企業診断士(育成塾13期生)の児玉総司です。
4月1日から消費税が8%になりました。増税時の対応についてお国柄があるようなので、新聞記事などふくめてご紹介します。
増税前日、当日で一番多かったニュースは、値札の張替えや価格改定の作業を夜通しおこなう、小売業、サービス業の方々のご苦労だったように思います。同じくらい多かったのが、3月中にできるだけ買っておこうという駆け込み需要の様子でした。
これらのニュースとあわせて私が印象深かったのは、今回の増税に関する事前準備をふくめた国の注意深い対応です。混乱を防ぐために法律をつくり、総額表示義務を緩和し、しかし総額でない旨がわかるようにする「誤認防止措置」を義務付け、「消費税還元セール」などあたかも消費税の転嫁をしないような印象をあたえる表記を禁止し、さらに消費税分の支払いを拒むような行為を監視する「転嫁対策Gメン」を配置しました。またこういった法律や対策を、メディアや経済団体を通じて周知に努めていたと思います。
じつは、消費税増税時の日本でのこういった現象や対応とくらべ、外国の増税時の様子は違うようです。2014年2月24日の日本経済新聞の”経済教室”欄の記事「消費増税の課題」にフランスの例がありました。フランスの小売業者は増税が決まると、その実施前から、徐々に税込表示価格を改定していくそうです。その際、多めに価格を上げる商品と据え置く商品を考慮し、全体としての利益確保を念頭に、消費増税の負担を消費者に求めていく、とのことでした。そういう対応であれば、駆け込み需要も、価格の一斉改訂作業も、政府が細かな指示をしなければならないような苦労もなさそうです。
消費税率が高いヨーロッパ諸国(たとえば、スウェーデン:25%、イタリア:20%、フランス:19.6%、イギリス17.5%、2010年、内閣府の資料)では、消費税の歴史も古く改定の回数も多い(たとえばドイツは1968年の導入後7回の増税)ので、消費税というものへの理解が浸透しているのと、増税への対応に慣れているのだろうと思います。
今回の日本での増税対応も、前回と比べると慣れているのかな、と感じるニュースがありました。消費者へのインタビューで「増税後に一時的に価格が上がるが、客が減るとまた価格が下がる」ということを予想していたり「高いものであるほど慌てて買うのはよくない」と答える人もいました。売り手のほうも、大手スーパーが一部の商品は税込み価格の据え置きを宣言しつつ、その他の商品は価格改定するなど、全体としての利益を確保する方法を探っている様子が見えました。
次回の増税は予定されていますし、日本の財政再建のためには、さらなる消費増税が必要かもしれません。経験を経て、企業も消費者も、より落ち着いた増税対応ができるようになるといいと感じました。