goo blog サービス終了のお知らせ 

東京都中小企業診断士協会中央支部認定!「稼げる ! プロコン育成塾」ブログ

東京都中小企業診断士協会中央支部認定マスターコース「稼げる!プロコン育成塾」のブログ。経営・ビジネスに役立つ情報を発信

POSシステムの功罪

2014-10-05 07:54:46 | 14期生のブログリレー

 14期生 木村です。ブログも5回目となりました。今回書かせていただくことは、既に述べられていることかもしれませんが、

しばしお付き合いいただければ幸いです。

 

 スーパーや、コンビニにあるPOSシステムは、データベースにつながれたバーコードリーダーと、JANコードがあれば

大抵のことはできますね。かつては、レジ打ちコンテストがあったくらいですが、今では入店初日のアルバイトでさえレジ業務ができます。

売上集計や、商品の受発注などのハードメリットもあれば、時間帯別の繁閑に合せた人員配置を行うLSP、

売れ筋、死に筋など商品改廃のためのデータ収集などソフトメリットもあります。近年では、SCMへのPOSデータの活用など、

製造から販売まで、企業を超えた管理にまで利用されています。これらは言うまでもなく、POSシステムによってもたらされた「正」の部分です。

 

 ただ、POSの基本はその名称が示す通り、いつ、どこで、何が、どれだけ売れた。という 「定量的」 なデータでしかありません。

言わば結果の数字です。効率化のため、この結果の数字だけで将来を予測し管理しようとすると、歪み、つまり「負」の部分が発生します。

そこには、 「定性的」 な部分、たとえば、商品のコンセプト、メーカーの思い、商品を売れ筋に育てる小売業の力、店頭で商品を選ぶ

消費者の気持ち、商品を買った方の満足感、など数字では表せない面が一切無視される可能性があります。

 

 昔、あるスーパーの若い女性バイヤーと面談したことがありますが、非常に優秀な方で、何百アイテムも管理しているのに、

 「あの商品は週販(1週間の販売数)が○○だから売場カット」 「この商品は、似た商品のPOSデータが良くなかったので不採用」 など、

細かな数字をよく記憶されており、てきぱきと瞬時に判断されていました。お忙しい方でしたし、企業は営利目的ですから当然かもしれません。

でも逆の見方をすれば、POSの数字が良くなるいのであれば、商品はなんでも構わないとも受け取とれます。

 

 POSデータの数字だけで将来の判断を繰り返していると、店頭にはよく売れる(よく見かける)商品しか残らなくなり、

商品の選択性の低下、売場の差別化の困難性が発生します。いわゆる 「つまらないお店」 です。

皆さんも思い当たることはありませんか?大きなスーパーなのに、売場に行くと「買いたいものが無い」なんていうことは?

 

 ある小規模なスーパーの社長がこんなことを言っていました。 「売り場が許す限りできるだけ多くのアイテムを品揃えしなさい。

売れない商品が出てきても構わない。来店していただいたお客様に 『数多くのアイテムの中から私はこれを選んだ』 

という満足感を与えなさい。そうすれば、そのお客様は又来店してくれるし、数字はおのずとついてくる。」

(商品選択性の向上による固定客の獲得。)

 

 又、別のスーパーのバイヤーはこんなことを言っていました。 「商品を販売するには 『ストーリー』 が重要。特に「社内」には、

多少誇張があっても様々なレベルの人にこの 『ストーリー』 を良く理解してもらうよう働きかける。

そして、その商品を 『売りたい』 という気持ちにさせること。」 (人的経営資源のコミュニケーションによる拡売、売場の活性化。)

 

 私もかつて、偶然こんな経験をしたことがあります。ある中堅スーパーのPBで、店頭販売と、それを詰め合わせたギフト商品を

展開することになりました。販売数は、売価が高いこともあり、大手のNB見比べれば何分の1かの販売数です。

とは言え、少ないながら常に一定数の販売実績があり、高利益商品でもあったので、カットにはなりませんでした。

ある時、この商品の購買層に、お店のパート従業員の方が多く含まれていることに気づきました。

つまり、パートの方々が自分たちで購入しつつ、来店客に奨めたり、知人にギフトとして送ったりしていたということです。

 『自分が気に入った良い商品なので、他の人にも満足してほしい。』 という気持ちが働いたに違いありません。

(満足の共有、共感、口コミ。)

 

 いくつか述べさせていただいたことは、結果としてPOSデータに反映されることはあっても、POSデータの結果から

導き出されたものではありません。POSシステムは、判断材料の一つにはなるものの、全てを表しているわけではないと考えます。

むしろ、POSが発達する一方で、POSでは見えないところでの差別化を図らないと、真の差別化にはならないといったとこでしょうか?

(なんだか、2次試験、事例Ⅱの解答の根源みたいな話ですね?)

 

 以前にも述べたかもしれませんが、消費者は、物を購入すること自体に満足しているわけではなく、

購入した物を通じて得られる効用に満足感を見出しているということです。

やはりこのような部分は、POSシステムだけでは答えが出ないのではないでしょうか?

 

 今日もお付き合いいただき、ありがとうございました。

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする