「稼プロ!」事務局の小林 隆です。
先日、ある企業の研修の営業に行ったときのことです。
「中長期的にみると、主力商材の需要が減少することがわかっているにもかかわらず、中間管理職の危機感が欠如している」という社長の指摘を受け、中間管理職の「意識変革」を図り、自ら考え会社の将来を切り開くような行動ができるようになる人材を育成する研修を行いたい、という要望を当該会社の人事部ご担当より頂きました。
当該会社は、上場企業の100%子会社ですが、企業を取り巻く環境が構造的に大きく変化している現代、こうしたニーズは多くの企業に当てはまると考えれます。
企業は、環境変化を察知し事業を柔軟に変化させたり、新しい事業にチャレンジする、いわば「企業家精神」をもったプロフェッショナル・サラリーマンを必要としているのです。
ただ、そうした研修を受託するとき、私は企業のご担当に、ひとつ伺うことがあります。
それは、企業内に「前向きな挑戦」や、「前向きな失敗」を受け入れる「企業風土」があるかどうかです。
「企業風土」の中に、チャレンジを奨励し、前向きな失敗を許容するような姿勢がないと、いくら研修で意識を変革し、「チャレンジせよ」といっても、社員は委縮します。
かの、P.F.ドラッカー教授は、「企業家精神」が発揮される条件として以下の4つを上げています。
1.イノベーションを受け入れ、変化を脅威でなく機会とみなす組織づくり
2.イノベーションの成果の測定と評価
3.組織、人事、報酬についての特別の措置
4.企業として行わないと決めていること
(参考:P.F.ドラッカー, 上田惇生 訳, 「イノベーションと企業家精神」,2010年3月,ダイヤモンド社,P.P.174)
「社員からの提案が出てこない」、「言われたことは、高いレベルで遂行すものの、自らリスクを取るような行動はしない」
といった問題から研修を要望する企業では、もともと「企業風土」の中にそうした根本的な課題を抱えていたり、ドラッカー教授の指摘するような条件が整っていなかったりすることがあります。
「過去の延長線上に未来がない時代」、
働く社員の「企業家精神」とチャレンジを許容する「組織風土」はは、車の両輪です。
私が研修にかかわることで、企業全体の変革のきっかけになれば、研修講師としてまたコンサルタントとして、この上ない喜びと考えています。