皆様、どうもお疲れ様です。塚本洋美です。
私は建設業界で働いておりますので、施主や設計事務所への提案営業なども行っております。今回は、ある建設設計事務所に7月上旬にお伺いした際に教えていただいた、皆さんの関心も高いと思われる地震の話をさせていただきます。
(関東地方では、ここ2週間で震度4以上の地震が4回発生しており、少々気がかりになります。)
その設計事務所のK先生は熊本県出身で建物の構造設計を専門にしておられる方でした。構造設計の先生とお会いする機会はほとんどなかったため、こちらの用件が済んだあとは、自然とK先生の故郷で発生した「熊本地震」についての話になりました。
熊本地震では、当初古い木造住宅の倒壊や山崩れなどの土木被害がクローズアップされましたが、時間の経過とともに鉄筋コンクリート造の県庁舎や新耐震の高層マンションなどにも被害が広がっていることがわかってきました。20年前の阪神・淡路大震災と同じ活断層による直下型地震ですが、これまでと大きく違うのは、”大きな揺れが短時間のうちに繰り返し起こり余震も多い”ことです。4月14日に最初の地震が発生後、30日までに震度1以上が1,079回、マグニチュード3.5以上が223回で平成16年の新潟県中越地震を上回る最多であったようです。特にどちらが本震かわからないほどに大きな揺れの最大震度7が2回、6弱は合わせて5回発生しております。
この熊本地震に対するK先生の見解を要約すると以下のようになります。
・1981年以降の新耐震基準でも短時間のうちに波状的に強い揺れを繰り返す地震は想定外であり、耐震基準を根本的に見直す必要がある。
・短時間に複数回の強い地震に見舞われると、地震力に対して強度で抵抗する耐震構造では限界があり、基本的には免震構造でしかこれに対応することはできないと思う。
・熊本市内にも22棟の免振構造の建物があるようだが、今後これらの被害状況などが判明すれば安全な建物の研究が進むであろう。
これらを踏まえて、K先生のお考えは、免震機能と耐震機能を合わせ持つ工法、具体的には「強固にした基礎地盤の上に免震構造のベースを設置し、その上に耐震構造の建物を乗せる工法開発」が望まれるとのことでした。
7/27付けの日経新聞には全国の公立学校の耐震状況について、耐震化率98.1%という高い数値が記載されておりました。しかし、新耐震設計法による建物でも大きな被害があることや、耐震診断で問題がないと判断されたり、耐震補強した建物でも壊されていることを考えると、耐震診断や耐震補強に本当に意味があるのだろうかという疑問がわいてきます。そのことから、地震への備えをおろそかにする風潮が広がること懸念されます。
どんなに準備しても、自然災害に対する備えは万全であるということはありませんが、次回はこの地震に対する会社での試みや我が家での対策法などについて述べてみたいと思います。