「稼プロ!」事務局の小林 隆です。
「現場」、「現物」、「現実」、を重視する「三現主義」は、
私が社会人になった昭和の時代から、使い古された言葉です。
今回は、それをコンサルティングの営業でこれを実践したおかげで、
2倍以上の報酬を頂けることになったエピソードをご紹介します。
ご存知の通り「三現主義」は、製造業の生産管理より生まれた言葉で、問題が起これば、机上で議論するのではなく、現場に行き、現物を確認し、現実を認識すことが問題解決や品質改善の近道だという考え方です。
私は流通業出身ですが、新入社員時代よりこれを刷り込まれました。
そのおかげで今でも、企業の経営環境を調査する際は現地に赴く、海外などの視察のチャンスがあれば、お金と時間が許す限り、できるだけ参加する等が習慣になっています。
先日は、この考えを貫いたおかげで、3か月に一度、すなわち1年に4日間と言われた仕事を、1年に9日間の仕事に変更して受注することができました。
仕事内容は、従業員約300名の中小企業の経営幹部約4名の人材育成。幹部4名がそれぞれ受けもつ4つの新規事業のビジョンと戦略を描くとともに、その実行を支援する過程で、将来 子会社の社長として自立できるように、知識や考え方を会得してもらうことです。合わせて、幹部が経営に関する共通の基礎知識を習得することで、
社内で事業に関する議論を行う際のプラットフォーム(土台)を作ることがミッションです。
業務をスタートするにあたり、当初 社長からは、3か月に1度の頻度で顧問として会議に参加し、その中で、適宜指導してもらえればよいと言われていました。しかし、目的から考えて、効果的な育成を行うためには幹部それぞれの社歴や職歴等経験、経営に関する知識の有無、担当新規事業の状況等を私が掌握することが必要でした。
そこで、無報酬でかまわないので、幹部4人に対する面談を行いたい旨を社長に申し出、許可を頂きました。
面談に際しては、都内や近郊に点在する、幹部が働く事業拠点をひとつづつ訪問し、
ヒアリングを行いました。本社に幹部を呼んで、1日で面談をすませることもできたのですが、どうしても、それぞれの幹部の事業と仕事をしている環境をこの目でみたかったためです。
店舗であれば、どのような店舗か、どんな立地環境にあり、商圏の人々はどのような職種、身なりをしているか、競合はあるのか等、オフィスであれば、どのような建物のどんなオフィスか、オフィス内のレイアウトは効率的、整理整頓されているか、事務機器等はどのようなものがおかれているのか等。実際に「現場」、「現物」、「現実」を見て、さらにそれらを五感で感じることで、面談で本人から聞く情報も、自分が得た情報と合わせて、鵜呑みにすることなく、客観的に分析できます。
今回は、この面談を踏まえて社長に育成計画を再提案したところ、計画を見直し、稼働日数を大幅に拡大して契約を頂くことができました。社長からは、「(それぞれの拠点を)全部、見に行ったの?遠かったでしょう。」とのコメントを頂きましたが、
再提案が通ったのは、この現場を踏まえた分析に基づく提案だからであったからであると考えられます。
加えて、会社を良くしたいとの思いで報酬を度外視して面談し、
幹部の職場に出向き、「現場」を確認してきた姿勢が評価されたのだと思います。
以前にコンサルタントの営業は、プレコンサル(本契約の前のコンサルティング)であり、それは無報酬であることを、ブログで書かせて頂きましたが、今回の、「現場視察」と「面談」による課題の洗い出しと提案も同様です。
無駄となることもあり、「もっと効率よく仕事をすることも考えなくては」と考えることもありあります。
しかし、私はどうもこの仕事スタイルを、変える事ができません。
結局、コンサルの契約は、成果物の他に経営者との相性の部分も大きく、こうした仕事への取り組み姿勢や価値観が合う経営者としか、契約できません。
今回のエピソードでは、仕事が増え報酬が2倍以上になり、私としては、ちょっと嬉しかったのが本音です。
古くからある当たり前の基本ですが、「実直に実践することでよいこともあります。」というお話しでした。