読者のみなさん、こんにちは。稼プロ!17期生の渡邉大輔です。
第2回講義では鴨志田塾長および大石さんよりビジネス小論文の書き方を教わりました。「書く」スキルの向上を目的に、夏真盛りの今、約20年ぶりに読書感想文に挑戦したいと思います。
五島宏明先生の『三代目が会社をつぶす!?』を選びました。理由は、今年の5月に東京都中小企業診断士協会中央支部の「フレッシュ診断士研究会」で五島先生の講演を聞き、衝撃を受けたからです。詳しくは以下をお読みください。
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五島宏明『三代目が会社をつぶす!?』を読んで感じる「熱意、誠意、創意」
本書は、著者五島宏明先生の会社経営及びコンサルタントとしての人生の体験が書かれている。著者は、子供服の会社を営む家系に生まれ、三代目として30歳の時に家業を承継するが、15年後に倒産に追い込まれてしまう。その後、アルバイトや風俗店のドライバーの仕事で生計を立てながら中小企業診断士の資格を取得し、現在は知的資産経営・事業再生・事業承継等のコンサルタントとして活躍している。
本書の前半部分では著者が子供服の会社を経営していた頃の失敗談が書かれている。先代のやり方を「非効率」として否定してしまったによる社内分裂や「もうダメだ」と分かっていながら会社をたたむ勇気が持てず傷口を広げていく様子が生々しく書かれている。後半部分では、コンサルタントとして再生していく様子とそこから得られた会社経営に対する気づきが書かれている。老舗から学ぶ事業承継の極意や知的資産経営、風俗店から学んだ会社の強みを守る仕組みづくり、などである。
本書を読み、著者が倒産のどん底からコンサルタントして見事に再生する事ができたのは素晴らしい「熱意、誠意、創意」があったからではないかと感じた。
1.熱意
著者は、自身の倒産経験から「自分と同じ思いはさせたくない」「みんなの笑顔が見たい」という思いでコンサルタントして活動を続けている。倒産後は風俗店のドライバーの仕事をしながら必死の思いで中小企業診断士や認定事業再生士の資格を取得し、知的資産経営を学んでいる。自身の苦しかった経験をバネに凄まじい「熱意」を持って仕事に取り組んでいる事が本を読むだけでも伝わってくる。
2.誠意
本書には、コンサルタントとして著者が手掛けた企業再生の具体的事例が5社書かれているが、豆腐店の事例が印象的であった。著者の提案に対し社長が猛反対をした際、「やってもいないのにできないと言っている方が再生などできるはずがない。とっととつぶせばいいじゃないですか!」と厳しく突き放したという。その結果、社長の奥様・ご子息からやってみようとの声が上がり実行に移されている。自分の立場で想像してみたとき、自身の顧客である社長に対してこの様に厳しい態度が取れるだろうか。顧客に対して真の「誠意」を持って接しているからこそこの様な対応ができるのだと思う。
3.創意
著者がコンサルタントして活動を始める際、先輩診断士からは「会社を倒産させた奴に誰がコンサルを頼むか」という意見もありながら、自身の経験を基に知的資産経営や企業再生の手法を確立している。自身の経験に基づいているからこそ説得力があり効果的な手法になっているのではないかと想像できる。「創意」を持って取り組めばどの様な経験であっても自分の糧としてプラスの方向に転換できることの好事例である。
本書を通じ、コンサルタントとして最も重要な事は「人となり」であると改めて感じた。著者は、「自分と同じ思いはさせない」という熱い思いを持ち、顧客の事を真摯に考え、自分自身にも厳しく成長を追求しているからこそ顧客がついてくるのだと思う。私も著者のようにいかなる場合も「熱意」、「誠意」、「創意」を持って物事に取り組む事で人間として成長していきたいと感じた。