稼プロ!17期の松原です。
今回が3回目の投稿となります。よろしくお願いいたします。
先日、社内講習会で“バリデーション”についての話を聞く機会がありました。“バリデーション”とは何のことかと思われる方もいるでしょう。私もこの講習会を受講するまで“バリデーション”のことはよく知りませんでした。今回の講習で学んだ”バリデーション”について簡単に紹介します。
バリデーションとは、認知症の高齢者とコミュニケーションを行うための方法の一つです。アメリカのソーシャルワーカー、ナオミ・ファイルが、高齢者が尊厳を回復し、引きこもりに陥らないように援助する方法として構築しました。具体的には、「基本的な態度」と「14のテクニック」を使って認知症の高齢者とコミュニケーションを行います。バリデーションの効果としては、「ケアするほうもされるほうも双方のストレスが軽減する」、「認知症の人の行動に理由があることが理解できフラストレーションが減る」、「徘徊や感情的、暴力的になることが減る」といったものが知られています。バリデーションは、認知症の高齢者だけでなく、ケアワーカーや高齢者の介護をする家族にとっても役立つ方法として、世界で高く評価されています。認知症の高齢者とのコミュニケーションにおいて、バリデーションの「基本的な態度」や「14のテクニック」を知っているかいないかで介護される側と介護する側双方の負担に大きな違いがあると思いました。
バリデーションの「基本的な態度」とは、①共感する、②傾聴する、③ごまかしたりうそをついたりしない、④受容する、⑤認知症の人のペースに合わせることなどです。これは、認知症の高齢者に対し尊敬と共感をもって関わることを基本とします。また、「14のテクニック」とは、①センタリング(患者に同意できるよう自身の気持ちの安定と集中を行う)、②オープンクエスチョン(聞かれた質問をする)、③リフレージング(患者の会話の内容を繰り返して確認していく)、④アイコンタクト(患者の気持ちに共感するように視線を合わせる)、⑤タッチング(患者に対峙して、優しく触れ合う)、⑥極端な表現を使う、⑦反対のことを想像させる、⑧レミニング(思い出話をして、患者に記憶を回想させる)、⑨曖昧な表現を使う(意味のわからない言葉の代わりに使う)、⑩好きな感覚を理解する(好きな視覚、触覚、臭覚など見つけ連想させる)、⑪はっきりとした低い優しい声、⑫音楽を使う、⑬ミラーリング(患者の動作や心の動きに合わせる)、⑭満たされていない人間的欲求と行動を結びつけることなどです。これらのテクニックを使用するには、認知症の高齢者を共感をもって受け入れる能力が求められます。
認知症は、テレビや新聞、雑誌などで取り上げられる機会も増え、認知症という病気を知らない人はさすがに少なくなってきました。だた、認知症に対する漠然とした不安はあるもののまだまだ認知症を他人事ととらえている人も少なくないように思います。現在、高齢化社会が急速に進むなかで認知症になる人も急速に増えています。厚労省によると2012年時点で全国には約462万人の認知症の高齢者がいると推計されており、2025年には700万人を超えるといわれています。また、65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患すると予測されています。今や認知症はいつ誰がなってもおかしくない病気だと実感されている方も多いのではないかと思います。
今回、この講習でバリデーションを知ったことで認知症の高齢者に対する見方が大きく変わったように思います。なぜなら理解不能に感じられる認知症の高齢者の行動にも理由と意味があり、その理由と意味を理解し共感を示すことが大切であるということがわかったからです。認知症についてあまり関心のない方もいると思いますが、関心のあるなしにかかわらずバリデーションの「基本的な態度」や「14のテクニック」を知っておくことは必要であると思いました。それを知っておくことで認知症に直面した時に、認知症高齢者の病気の進行を少しでも遅らせる対応や介護者のストレスを軽減する対応を慌てることなくできるのではないかと思うからです。また、同時に自分自身が認知症に罹患しないようにするには今からどうしたらよいかということも考えさせられました。私にとって今回の講習会は、認知症について考える良い機会になったと思います。
以上