みなさん、こんにちは。19期の西山です。今回はややハードなテーマですが、パンデミックで見えてきた新たな人権リスクについて書いてみたいと思います。
緊急事態宣言が解除され、“コロナ後”に向けて企業はどう動くべきか、何に注意するべきかの議論が続けられています。変化に対応して積極的にビジネスチャンスを見出す必要がある一方で、これまでなかった(もしくは評価されてこなかった)新たなリスクが登場しており、企業として守りを固める必要もあります。
そんな中、国連開発計画(UNDP)がシンプルかつ誰でも利用可能な「人権デューディリジェンスと新型コロナウイルス:企業向け自社評価簡易チェックリスト」(Human Rights Due Diligence and COVID-19: Rapid Self-Assessment for Business)を作成しました。
https://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/library/HRDD-COVID19-BHR.html
人権は企業のサステナビリティ要素の一つとして、環境とともに重要視されています。ESG投資でもS(社会)のパートを構成する主要ファクターで、ESG投資家やNGOなどの監視が強まっています。その大きな流れにあって、今回のパンデミックで新たにケアしなければならない人権項目が増えました。
チェックリストは下記の6つのテーマに具体的な項目がぶら下がっています。
・職場における健康と安全
・労働者の権利
・環境及びコミュニティへの影響
・プライバシーの保護
・偏見と差別の防止
・会社方針&マネジメントにおける検討事項
従業員の健康管理は会社の安全配慮義務の観点からも重要です。また、一時的に業績が悪化したからといって内定を取り消したり従業員を解雇したりすると法的、社会的リスクが高まります。不幸にも従業員に感染者が出てしまった場合は、その方のプライバシーを守ることも会社の責任です。同チェックリストではこれらのリスクを包括的に概観することができます。
コロナの第2波や新たなウイルスによるパンデミックは今後も起きる可能性があります。緊急事態宣言解除を機に、人権リスクだけでなく、BCPの観点などからも広くパンデミック対応を総括しておくことは、企業の事業継続性の確保において大事なことだと思います。