皆さん、こんにちは。20期事務局の宇野毅です。今日のテーマは、最近の味覚表現から感じることです。人の味覚には、「甘味」、「うま味」、「塩味」、「酸味」、「苦味」の5種類があり、「五味」と呼ばれています。これらは、舌にある「味蕾(みらい)」というセンサーで感じるものです。「辛味」や「渋味」も味という文字を使いますが、「味蕾」ではなく痛覚が捉えるため、「五味」には含まれていません。
ちなみに、「甘味」は、お米などに含まれるエネルギー源(炭水化物)、「うま味」は、肉や魚などに含まれるアミノ酸(たんぱく質)、「塩味」は、塩などに含まれるミネラルの存在を教える役割があります。したがって、この3つの味は、生きていくために必要な要素として、子供の時からみな大好きです。しかし、「酸味」は、腐っているものの存在、「苦み」は、毒物の存在を教える役割のため、子供の頃は受け入れられない味となっています。その「酸味」や「苦味」の味覚は、成長する過程の食生活の中で何度も経験を重ね、「安全な食べ物である」と認識することで発達していきます。そして、大人になるにつれ、「五味」という味覚を備えていくのです。
さて、最近のTVなどで味覚についての表現をみると、単純化・稚拙化しているように感じます。前述したように味覚には5種類がありますが、おいしさを表現する言葉として「甘味」のみが際立って使われています。つまり、「おいしい」の最大の誉め言葉が「甘い!」となっていることが多いです。例えば「このイチゴは甘いですね!」という表現は昔から使っていましたが、最近は「このステーキ肉は甘いですね!」「今日のお鍋の白菜は甘いね!」との表現をよく耳にします。昔は、肉のおいしさを甘いと表現することはありませんでした。「甘いこと=おいしいもの」という表現のあらわれです。余談ですが、痛覚で感じるものでは、極端な辛さ=「激辛」が、「甘味」に対比する言葉として際立って使われています。
では、なぜ、「甘い!=おいしい」という表現になったのでしょうか。その原因のひとつに、近年の「わかりやすさ=よいこと」という風潮があるように感じます。「酸味」や「苦み」なども含めた味覚バランスからおいしさを表現するのではなく、簡単でわかりやすい「甘い!」という万人に好まれる言葉が使われるのでしょう。
ただし、このような表現が浸透するに従い、実際、日本人の味覚バランスが崩れてきているということで、「食育が重要」と訴える専門家もいるようです。
今回は味覚表現を取りあげましたが、「わかりやすさ=よいこと」という風潮は、現代のデジタル技術の進歩とともに日々進んでいるように思います。簡単さや楽さとともに、わかりやすさが「善」で、難しいことやわかりにくいことに価値や意味を見出しにくい時代になってきています。しかし、本当に伝えたい価値があるときには、わかりやすさのみを求めて言葉を単純化するのではなく、適切な表現ができるように意識して言葉を選び、使っていきたいと感じます。
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