皆さんお疲れさまです、稼プロ21期生の吉岡です。
前回のブログでは、私の診断士としての現在地は補助金申請の援助と事務局の仕事であると結論付けました。今回は、そのうちの一つ、補助金申請の援助について考えていきたいと思います。
(稼プロへの入塾は、補助金に偏重している仕事の現状を変革するのが目的です。ここで述べるのはあくまで現在地を確認するためのものです。)
今年の5月、埼玉県の中小企業診断士協会の会長が「補助金申請だけの依頼なら断るべきだ」という趣旨のメールを協会員に送付したことが、日本経済新聞に記事として取り上げられました。この記事に関しては、私の周辺でも少なからず反応があり、私自身にとってもこの仕事について考えるいいきっかけになりました。
中小企業診断士、「コロナ特需」に自戒
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFB078M20X00C21A5000000/
(日本経済新聞「点照」2021年5月12日)
レターには、「診断士の使命は経営者と一緒に経営力向上について考え支援することであり、補助金申請だけの依頼(代行業)を請け負うべきではない」という主張がなされていました。背景には、新型コロナウイルスによる景気後退で苦しむ中小企業向けに補助金が数多く公募され、その申請の支援者として診断士が重宝がられているという現状があります。
補助金はすぐれた事業計画に交付されるという形をとっているため、事業計画策定の指南役として診断士が活躍するのはごく自然な流れです。しかし、ただ単に高額な成功報酬目当てに仕事を請け負う診断士が増えており、この記事の中ではそれに対して警鐘を鳴らしています。
私は、この記事が出るまで、補助金の申請支援についてそれほど深く考えたことはなく、診断士の仕事の一つという程度の認識でした。
たしかに、記事にある主張はもっともなことだと思います。しかしながら、診断士歴の浅い私にとって、補助金申請の支援は貴重な生活の糧です。是非を問うまでもなく、仮に申請の代行業に甘んじたとしても補助金申請支援から遠ざかるわけにはいきません。
補助金支援の現状と私自身の立ち位置、相反する両者の間で私はどのようにふるまえばいいのでしょうか?
そもそも、補助金の交付は中小企業政策における重要な施策の一つであり、本来、診断士にとって補助金を得られるよう事業者の手助けをすることは大切な仕事だと考えています。問題は、診断士として仕事を請け負う上で、中小企業の支援を目的にするのか、それとも成功報酬の獲得だけを目指すのかということではないでしょうか。要は、診断士の心構えひとつだと私は思うのです。
仮に事業者の要求が事業計画の採択だけであったとしても、仕事を断るという選択肢よりも、こちらの想いが事業者に伝わる伝わらないに関わらず、事業を支援するつもりで計画を策定するという選択肢を私は選びたいと思います。
追記)
補助金のあり方を考える上で、とても興味深い記事と文書(下記)を見つけました。これらについても、今後じっくりと考察していきたいと思います。
ものづくり補助金、身内から効果に疑問
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66089820R11C20A1EE8000/
(日本経済新聞「底流」2020年11月13日)
経済産業省におけるEBPMの取組み
https://www.rieti.go.jp/jp/events/18121401/pdf/4-3_miura.pdf
(経産省広報課「経済産業省におけるEBPMの取組み」)