みなさん、こんにちは。
19期生の森です。
突然ですが皆さんは日頃スポーツしてますか?
内閣府の調査では日本人の約60%は週1回以上の運動の機会がないそうです。
私は、なんとかランニングだけは細々と20代のころから続けています。
なぜ、このような話から始めたかと言えば、今日紹介したい本「マイノリティ・デザイン」(澤田智浩氏・著)に関係します。
著者の澤田氏は現在、「世界ゆるスポーツ協会」の代表理事をされています。もちろん「ゆるスポーツ」の考案者でいらっしゃいます。
結構あちこちのメディアにも露出があるので、ご存知の方も多いかと思いますが、そうでない方にはコチラを見ていただくのが一番。
「ゆるスポーツ」とは、ご覧のとおり障害者も運動音痴な人も誰もが楽しめるスポーツのことです。
澤田氏は本業は広告代理店のクリエイターで、自分の子が視覚障害者であったことが契機で、福祉の世界へ関わっていきます。そうした中で障害者ができないことや、苦手なことというのは、実は社会に原因があるのではないかと思うに至り、だったら社会のルールや見方、前提を変えていこう、そして誰もが生きやすい世の中にしよう、そんな思いで様々な活動をしていらっしゃいます。
障害者の有無に関わらず、運動が苦手な人は比較的スポーツする機会が少ないと思うのですが、それはルールが運動神経の高い人の目線で作られているからであり、それを変えたら誰でも楽しめるんじゃないか、という発想から「ゆるスポーツ」は生み出されました。
これ、すごい発想ですよね。
澤田さんは、「誰かの弱みや苦手に焦点をあてることが、社会を変える切り口になる」というようなことをおっしゃっています。
個人の弱みや苦手は多様で、なかなか焦点のあたらないところですが、でも実は個人的な課題解決が潜在的な社会の課題の解決やニーズにマッチするという例は多いんですね。
本書で紹介されていますが、片手しか使えない人のニーズでそれまでのマッチから100円ライターに、寝たきりの人でも飲みやすいように折れ曲がるストローが生まれ、視力矯正の目的だった眼鏡がファッションアイテムにもなり、といった事例などなど。
個人の苦手や障害により感じている不便、理不尽さというのは、社会が気付いていないか、それぐらいは仕方がない、と考えていて見過ごされているのだと思います。
実は掘り起こしてみれば、マイノリティの課題というのはマイノリティだけのものではなく、社会をよりよくする課題である、というようなことは、まだまだたくさん埋もれているのだと思います。
大企業はどうしてもマジョリティに向けてのサービスやプロダクトの開発にならざるを得ないですね。でもそれは競争が激しく、常に新しい技術などによって古いものは陳腐化する。
ファッションやエンタメなどの流行りものは一時消費されたらなかなか残っていくことはない。
マイノリティの課題(ニーズ)は多様で尽きない。そしてその課題解決は、必要性の高さゆえに、社会にインフラ的に残っていく可能性が高い。
中小企業はニッチな分野を目指すべきと言われます。特にこれから創業するときには、こうしたマイノリティを意識した事業が有望だし、トレンドになっていくのではないかと思います。
本書は、キャリアデザインとしても秀逸です。ブログでは全然触れていませんが、「なんのための仕事か」「誰のための自分か」といったことを見つめ直すヒントを与えてくれます。
著者の本業コピーライターとして発想力や周囲の巻き込み方などもとても興味深く、巧みな文章も読みごたえがあり、かなりおすすめできる本ですので、未読の方は是非。