13期生の西村です。
コロナ禍の生活で断捨離をする人もたくさんいたと思いますが、私もご多分に漏れず断捨離を行いました。
その中で荷物から「ガラケー(携帯電話)」の部品が出てきました。
私は過去にガラケーの部品を作る会社に勤務しており、その時の部品が未だに取ってあったのです。
懐かしさと共に過酷な仕事だったなーと思い返しながら過去を思い出しておりました。
2000年初頭のガラケー市場は、多くの電機メーカー(P、N、F、M、So、SA、SH、・・・どの会社かわかりますかね?)が参入しており3か月に一度は新規モデルが出るような今から考えると異常なスピードで動く業界でした。
これらのメーカーに部品を納める仕事をしていたので、夜討ち朝駆けで試作品を作り、量産が始まったら次のモデルを検討する、といった流れで仕事をしていたと記憶しております。
今やほぼ見ることがなくなったガラケーですが、今や数社がニッチな需要向けに作っている程度かと思います。
当時はスマホの出現でガラケーが衰退したと単純に考えていましたが、最近読んだ本に興味深い内容が書いてありました。
ニュータイプの時代(山口周 著,、ダイヤモンド社)という本の中で著者の山口氏はガラケーの衰退理由を「マーケティングの定石に従って開発を行ったため」と述べております。
当時のガラケーを思い返すと、どれも同じようなほとんど見分けのつかないようなものでありました。
折り畳み型で開くと画面がある面と、反対の面には上下左右に動かすカーソルボタン、その真ん中に確定ボタンがあり、四隅にはメール/メニュー/発信/着信ボタン、その下に10キーがある。
確かに思い返せばどの会社も同じような形や色で、見分けがつかないような商品だったな、と感じます。
(私は仕事柄どの会社のガラケーか瞬時に見分けがつきましたが。)
なぜこのような似通った商品になったのかという理由を著者は、消費者調査から得られた結果をデザイナーやエンジニアにフィードバックしたところ、どの企業からも似通った「正解」が提案されることになったからだと述べています。
マーケティングの知識やスキルを使って活用することは正しいことではあります。
しかし経営というのは本質的に差別化を追求する営みであり、いくら論理的に正しい回答でも他社と違いがなければ導き出した「正解」には価値がない、というのです。
なるほど、その同質化した商品の市場にiphoneという独自の世界観を持った画期的な商品が登場したためガラケーが急速に駆逐されたのか、と納得しました。
この「経営とは差別化を追求する営み」という部分は非常に考えさせられる言葉だと思います。
よく「どんなニッチな分野でもトップになれ」と言われたりしますが、結局のところ「差別化」が重要ということだと思います。
知らず知らずのうちに陥る同質化の罠にいかに陥らないようにするか、断捨離と読書を通じて考えさせられました。
そして「当時は深夜まで働きそのあと朝方まで飲み、翌日は普通に出社してまた働く」って生活を平日の大半で行っていたがそれもまた「差別化された働き方」だったか、、、いや違うな、と思い返す断捨離でした。