事務局の大井秀人です。つい最近勤務先で、ここ数年のバズワードのデザインシンキングを学ぶ機会がありました。いまさら感もありますが、概要と気づきをご紹介したいと思います。
ご存知の方も多いと思いますが、デザインシンキングとは、イノベーション創出に向けたアプローチの1つです。デザイナーやクリエイティブの思考・行動様式を、方法論にして、ビジネスに適用したもので、世界的デザインファームTim Brown 氏が方法論として発表したものだそうです。イノベーションが生まれやすい思考様式・行動様式を組織に取り込める、多様な人々との協業を可能とする、チームビルディングと合意形成のプロセスを確立できる、など多くのメリットが謳われています。そのプロセスは、
- ユーザに共感する
- 問いを問い直す
- 発想する、想像する
- 新しい体験を形作る
- 実験して改善する
というステップで構成されており、ユーザ指向、本質指向、アジャイルとった要素が含まれています。 また、このプロセスを実施するための各種のメソッドも用意されています。研修では10個ほどのメソッドが紹介され、一部をワークショップで経験しました。
私は元々エンジニアだったせいか、実はプロセスやメソッド自体に目新しさをそれほど感じませんでした。例えば、研究開発でのアイデア出し、生産現場での小集団活動などで部分的に同じようなことを実施したことがあります。実は、みなさんも普段気づかずにやっていることも多いのではと感じます。私見ですが、典型的な日本人にとって、デザインシンキングを取り入れるためのペインポイントは、マインドセットと体系化の2つと思いました。
1つ目のペインポイントはマインドセットです。デザインシンキングのコアエッセンスは、
- 人間中心主義
- 多様性を生かすこと
- 早く失敗して再挑戦
3つだそうです。これらは、日本企業の行動パターン(同質意識や同調圧力、失敗を恐れる)と異なるので、いかにマインドセットを切替えられるかがカギです。明るく・楽しく・柔らかくといった感じでしょうか。
2つめの体系化ですが、デザインシンキングは、部分的に使ってもよいのですが、目的を明確にして体系的にやりとげたほうが良い手法のようです。1つ1つ手法の目的・用途や関係性を理解し、合目的性を意識するとより高い効果を発揮します。全体感が肝です。このあたりボトムアップが得意な日本人とって、ハードルかなと思いました。また、日本的組織は、完璧を求めすぎて構え過ぎてしまうので、やり方を完璧にしようとします。なので、肩の力を抜くことも重要。そもそもデザインなので頭を柔らかく、明るくすることが必要です。
デザインシンキングとは、本質を見極めながら改善をつづけて良いものにするプロセスと思いました。業務改善・事業計画策定など、ビジネスにも有効です。マインドセットのパラダイムシフトを頭の片隅において、自然体で実践したいものです。明るく、楽しく、柔らかく!