読者の皆様、こんにちは。
22期生の柴山宗馬です。
先月、勤務先の新卒メンバーと交流したなかで、就職活動を振り返る機会がありました。
私は最終的には現在の勤務先と中小企業投資育成株式会社の2択となり、躊躇逡巡の末、後者は選考辞退としました。
タイトルの通り、この中小企業投資育成株式会社という金融機関は、多くの中小企業診断士とはやや縁遠いのではと思う一方
目的と特徴を知っていれば支援先を成長させる選択肢の1つになると思っています。
とはいえ、診断士でも名前は知っているが関わったことがなく、他の金融機関との違いも知らないという方が多い印象です。
そこで今回は、就職活動の経験を踏まえ、同社について紹介できればと思います。
まずは、制度面から中小企業投資育成株式会社(通称SBIC:Small and Medium Business Investment & Consultation)を説明しましょう。
同社は、中小企業投資育成株式会社法に基づいて設置された日本のベンチャーキャピタルの草分け的存在であり、
現在は国の直接の関与はないものの、歴史的経緯から政策実施機関の1つに数えられます。
東京、名古屋、大阪それぞれに別法人として独立して経営されています。
同法より、目的は「中小企業の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展を図るため、中小企業に対する投資等の事業を行なうこと」とされています。
そのため、長期安定株主として安定配当を収入源にしつつ、継続的に中小企業を「育成」する活動を展開しています。
さて、ここまででざっくりと概要を理解した皆様はお察しかと思いますが、
中小企業投資育成株式会社は「既にある程度優良とみなした企業」を相手にする機関です。
私は東京、名古屋、大阪の3社全ての就活生向けワークショップに参加しましたが、
その場で見た事例企業は実務補習で見るような企業とは事業規模が段違いに大きく
同社から数千万単位で投資して施策を実行すれば数年で大企業入りも夢ではないという状況でした。
当然ながら、優良企業を発掘して投資するという方針も繰り返し強調された記憶があります。
4年前当時の私は「状態が悪い企業もなんとか助ける泥臭い存在」を診断士に投影していたため
仮に診断士として生きていくとしても、そこではうまく働いていくイメージができなかったことが選考辞退の理由です。
ここまでを踏まえると、中小企業の大多数は出資対象にはなりえないがゆえに
同社はなかなか読者の皆様とは縁遠いのではないかと推察しています。
しかし、問題はあるものの、伸びしろや余力を持ち合わせた上で成長を志向している企業にとっては
自己資金の調達源候補としてコンタクトを取る選択もできるかと思います。
繰り返しますが、中小企業投資育成株式会社は他の金融機関とはまったく目的と特徴が異なります。
それゆえに、場面は限られますが、支援先を成長させる1つの選択肢として知ってもらえたら幸いです。