読者の皆様、こんにちは。
22期生の柴山宗馬です。
最近、各国法規制に関する情報を集めて考え込むような仕事が多くなっています。
情報源は条文そのものだったり、教本だったり、法律事務所やリーガルテックベンダーのオウンドメディアだったりと様々ですが、情報の取り扱いには非常に気を遣っています。
というのも、発信者によって法規制の解釈や運用に食い違いや偏りがあり、ときには端的に示し過ぎて事実誤認を招く構成になっているものが体感で5~6割見受けられます。
これは発信者の種類にかかわらずです。
そのため、時間がないなかで効率的に調べようとすると、結果として非常に危険な仮説が立ってしまうことがあります。
この現象は法律の専門家でない方なら、知識や能力の優劣にかかわらず起きてしまうようです。
優秀な方の場合、忙しい中で調べるからこそ嵌る「効率の罠」とでも言えるでしょうか。
勤務先ではそこに警鐘を鳴らすのも私の役割ですが、独立診断士が一人で仕事をする場合はセルフチェックする必要がありますね。
ということで、法規制の話ではなくメディア情報リテラシーの文脈で、私がこの仕事に取り組む際に仕入れた考え方をご紹介します。
「だいじかな」チェック と呼ばれるこのキークエスチョンは、法政大学の坂本旬教授(キャリアデザイン学部・図書館司書課程)が米国のメディアリテラシー教育で使われているツールを日本人向けに翻訳・アレンジしたものです。
だ:この情報は誰が発信したか?
⇒ 私の場合:発信者はどういう存在? 発信者が利用している情報源はどこ?
い:いつ発信されたのか?
⇒ 私の場合:いつ時点の情報か? その後に変化は起きているか?
じ:情報は事実か解釈か?参照はあるか?
⇒ 私の場合:偏った面を強調していないか? 別の側面が抜け落ちていないか?
不安や油断を煽るものになっていないか?
か:自分とどのように関係するか?
⇒ 私の場合:自分がこの情報を仕入れる目的と用途は? 他の人の場合は?
な:情報発信の目的は何か?
⇒ 私の場合:商売? プロパガンダ? それとも自己満足?
誰のために発信され、誰が得する情報か? それは発信者自身か?
詳細は下記リンク先のJIMA(インターネットメディア協会)の記事をはじめ、各方面で紹介されています。
[特別寄稿] メディアリテラシーとは何か——その概念・事例・課題 2020年1月7日
https://jima.media/dif-of-media-literacy/
言われてみれば当たり前と思うかもしれませんが、私が他の方の「これ調べました」に危険を感じたときは、情報源を辿ると「だいじかな」チェックに2~3か所引っかかることが多いです。
さらに言えば、自分が疎いの分野の場合、調査目的の達成+「だいじかな」チェックをすべてを満たす情報源は、公的機関や業界団体のものを含めてもほとんどありません。
そのため、私は複数の情報源を照らし合わせ、組み合わせ、最終的に「だいじかな」チェックを通るようにしています。結果として、調査結果の質も高まってきています(素人の範囲内ですが...)
読者の皆様も、一人で畑違いの分野を調べる際、不安になったり余裕がないときは「だいじかな」チェックを使ってみることをお勧めします。