育成塾事務局の佐野です。
先週の日曜日、クレイジーケンバンド(以下、CKB)というバンドのライブに、小学五年の息子と二人で行ってきました。場所は、東京・中野サンプラザ。会場周辺では青森県産フェアが開催されていて、津軽三味線による白熱のステージが繰り広げられている中をすり抜けて(汗)の入場でした。
CKBは1997年に結成され、ボーカルの横山剣さんを筆頭に12名のメンバーで構成されており、横浜を拠点にして全国規模で活動しています。ドラマの主題歌となった「タイガー&ドラゴン」や西友のテレビCMなどで、おそらく一度くらいは曲を耳にされた方もいらっしゃるでしょう。ロックだけでなく、ヒップホップやブラックミュージック、ソウルなど様々なジャンルを取り込み、いわゆる何でもアリなんですが、それが幅広い年代のファン層を獲得している要因でもあります。
詳しくは→ http://www.crazykenband.com/
ここでは彼らの紹介よりも、この公演を通じてプロフェッショナルというものがいかなるものかという”気づき”について、お伝えしようと思います。
公演は、静かに始まり徐々に盛り上がって大興奮のうちに終了。2回のアンコールを含めて、終わったのが3時間後。正直かなりの疲労感がありましたが、それ以上の満足感もありました。生まれて初めてプロのアーティストのライブに参加した息子は「次はいつ来ようか、来月はどう?」というほど感動的だったみたいです。さて、これほどまでなぜ親子で満足できたのか、を考えてみました。理由はいろいろありますが、印象に残った良さとして大きく3つあると思っています。
1.ファンへの”おもてなし”
会場には3歳くらいの女の子から80歳代と思われるおじいさんまでいました。小学生も数多く来場するのがこのバンドの特徴です(きわどい歌詞の歌もあり、正直微妙なのですが(苦笑))。昭和歌謡を髣髴させるメロディーラインや、子どもが気軽に口ずさめる曲(最近もNHKの「みんなのうた」で流れていました)、来場した幅広い年代層がそれぞれ楽しめるセットリストになっているのです。そして、曲間にファンと会話のやり取りをしたり、曲中に握手やプレゼント交換をするなどふれあい(?!)の時間も用意されています。よく有名アーティストの公演で見かけるファンの乱入を防ぐ最前列の鉄柵やガードマンもありません。自分たちはバンドメンバーにもてなされている、という感覚になったのが印象的でした。
2.一切の手抜きなし
あたりまえのことかもしれませんが、全て演者による生演奏で、しかも自分の知る限りで1度のミス(歌詞、演奏とも)もありませんでした。安心して聴いていられるというのは、ライブを楽しむ上での基本原則だと思います。また、ボーカルの横山さんは54歳ですが、縦横無尽に飛び跳ね周っても、息を切らすことも無く、約30曲を最後まで歌い切りました(自分にはできません!)。その体力とともに、それができる体調に仕上げていることも、プロとしての自覚の高さを見た瞬間でもあります。
3.飽きさせない演出の工夫と努力
CKBのライブは長丁場で有名です。子ども達もいる中での3時間です。そのためには飽きさせない工夫が必要です。舞台にイギリスの名車・オースチンヒーレーを登場させ、その運転席から登場し最後はそこでお別れするという意気な演出。曲に合わせて車のヘッドライトやウィンカーを点滅させるなどの趣向が目を引きました。また、年に1回はニューアルバムを出し、そこから何曲か演奏することで、ライブに新鮮味を与え、リピーターを喜ばせています。もちろんオールドファンや今回初めて訪れたファンにも聞き慣れた曲も挟むなど、新旧のバランスをとって上手にとっていました。歌本を持ち込んで、ファンに聴きたい曲を自由に選ばせ演奏する(事前に練習していないのに、完璧に演奏!)コーナーもあり、相当考え込まれ準備された演出だったと思います。
と、振り返ってみると彼らの取り組みは、まさに育成塾で学んでいる「三意」そのものでした。
1.ファンへの”おもてなし”→「誠意」
2.一切の手抜きなし→「熱意」
3.飽きさせない演出の工夫と努力→「創意」
人気商売、つまりリピートによって仕事を継続して獲得するための基本は、やはり「三意」なんですね。
CKBは結成17年。その間バンドメンバーも一人として変わることなく続いているというのも、移り変わりの激しい芸能界において奇跡的なことです。横山さんの経営者(実際レコード会社の社長でもある)としての才覚も素晴らしいものがあるのではないかと思っています。
ますます次のライブが楽しみになってきました。