On Air / The Rolling Stones (2017)
遅ればせながら今頃になって発売されたローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の60年代BBC音源。ビートルズ(The Beatles)がBBC音源を出して、社会現象に近い状況になったのはもう20年以上前のこと。その頃にだって、いやそれよりも前からストーンズのBBC音源は有名だったし、数多くのブートレグ(海賊盤)となって世に出続けていた。音もCD時代になると良い物が出回り、もう正規盤が出ても必要ないかな、くらいのレベルに達していたと思う。近年アーカイヴ活動が盛んになっているストーンズ(オフィシャル)側が、60年代のオリジナル・アルバムのモノ音源に続いてやっと手を掛けたという感じなのでどうなるのか不安だったが、あっさりとその内容は公表された。この期に及んで1枚ものと2枚もの(デラックス盤)を分けて出す必要がさっぱり分からないが、ジャケットを見てまず違和感。そう、60年代音源なのに「ローリング・ストーンズ・レコーズ」のトレード・マーク、かの有名なあのベロマークが付いているのだ。
故にファンの中では、これはハーフ・オフィシャルと称される正式に認められた発売じゃないんじゃないかという声も出たほど。それくらい70年代の象徴であるあのベロマークと60年代音源の同居には違和感がある(こんな子細なことに突っ込んでいるのは一部のファンだけだろうが・苦笑)。メーカー側もそう思われると予感したのかベロマークの横にはわざわざ「Official」と(笑)。あと、ひょっとして脱退したビル・ワイマン(Bill Wyman)は「Rarities 1971–2003」(写真下)や「Ladies And Gentlemen」の時のようにまた”イケズ”して消されるんじゃないかと思ったが、さすがにジャケットにはしっかりと登場。良かった良かった(笑)。
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それはさておきこの音源、聞き慣れたブート音源(TSPやVGP)と比べるともちろん音は素晴らしく良いのだが低音を強調していて、かつて流行った通称「ドンシャリ」(高音と低音を強調するリマスタリング)とまではいかないが、やや不自然な音像。正確に言うと「デミックス」(同一トラックから音を分離する作業)という技術を施しているらしいのだが、それ必要あるかな?。異なるラジオ番組から選曲された収録曲が、収録された場所や日時を無視してランダムに収録されているのも…。音の感触や質に違いがあるのでそれもいちいち気になってしまう。個人的にはどんなコンピでも基本的には時系列に聴きたいタイプなので、これも難点。当時の数多のバンドと比べて突出した色のある、生き生きとしたミック(Mick Jagger)のヴォーカルや、やっぱり上手だったんだなァと再認識出来るタイトで疾走するバンド・サウンドなど、魅力的な音源だけに素直に聴かせてくれればいいのに、と恨み節。とりあえず音源は曲順を日付順に直してプレーヤーに取り込み、あと何年かすると『Complete On Air:A BBC Recordings(5CD)』が出るはずなので(←妄想です・笑)、それまで待ちましょうか。
amazonにて購入(¥2,012)
- CD (2017/12/1)
- Disc : 2
- Format: CD, Import
- Label : Ume