ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

Bridges To Buenos Aires ( DVD+2CD) / The Rolling Stones

2019年11月17日 | DVD

 

Bridges To Buenos Aires ( DVD+2CD) / The Rolling Stones (2019)

ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の蔵出し映像+音源シリーズ。今回は1998年の「Bridges To Babylon」ツアーの南米はアルゼンチン公演。アルゼンチンでは2回ほど前座にボブ・ディラン(Bob Dylan)が出演し、この作品にもディランとの共演が1曲(曲はもちろん「Like A Rolling Stone」)収められている。次から次という感じで発売されるストーンズのアーカイヴ作品集。ここまで頻繁だと正直ありがたみは薄く、当初は寺田正典氏の長文ライナーノーツ目当てで日本盤を購入していたが、値段やパッケージの不揃いなどで、とうに日本盤で揃えるのは諦め、輸入盤を購入。上のジャケ写と違って思い切り”15歳以上”の年齢制限マークが印刷されてしまっているのは残念…。全くジャケット・アートを何だと思っているんだ(シールでいいじゃないの)。にしても80年代頃の飢餓感が嘘のような話だ。当時はオフィシャル・リリースは僅か。ネットが無いから情報も少なく、なけなしの小遣いの中から高いお金でブートVHSを購入し、赤く色飛びしたような滲んだ映像をかぶりつくようにして見ていたものだった。

それはさておき、3月に発売されたばかりのドイツ公演「Bridges To Bremen」は予想通り聴く頻度も観る頻度も少なく、ファン失格というところだが果たしてこれはどうか。アルゼンチンといえばその観衆の熱さが有名。絶対定員以上入れてるだろっていうフィールドで波打つ観衆がライヴ中延々と歌い続ける光景は他のアーティストの映像でも確認できる。現地での”追っかけ”やなんかも凄いらしい。CDではあまり歓声は大きくミックスされていないし分かり辛いが、アーティストにとったらスタジアムの眺めは壮観だろう。全体の演奏としてはなかなか。CDではBステージへ行く部分は端折られているので、いきなりBステージでの演奏が始まって面喰う。しかもミックは「When The Whip Comes Down」のところ「Respectable」を歌いだしてしまい…(確かに間違い易い・笑)。最近はメンバー(特にキース)もイントロのリフやメロディーを簡略化(省力化?)しているのでこんな間違いも起きやすい。もうこういうのが楽しみにさえなってきている(笑)。

ミックの”曲名先に言っちゃう”クセは相変わらずだし、ディランとの共演は映像なしでもあっても正直辛いが(あの歌い方と合わせるのは不可能…)、十分に楽しめた。「Brown Sugar」の最初のイントロ・リフはやっぱりこのクラシック・ライヴ・スタイル(”チャッチャ”でなく”チャラッチャ”)なのがイイね。 

amazonで購入(¥2,491)

  • CD  (2019/11/8)
  • Disc : 3
  • Format: CD, Import
  • Label : Eagle Rock Entertainment
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享楽亭 @愛知県知多郡武豊町

2019年11月17日 | 愛知県(三河・老舗)

愛知県武豊町へ遠出を決めた目的は、近代建築の観察はもちろんだが、この店の訪問のためでもあった。洋食の「享楽亭」。創業は大正元年(1913)で現在3代目だとか。東海地方にのみ残る絶滅危惧メニュー「ミヤビヤ(ミヤベヤ、メアベヤ)」を提供する数少ない店のひとつ。この5月に名古屋の「勝利亭」が廃業してしまったので、昔からメニューに載っている店は、もうここと岐阜市の「あじろ亭」、三重県津市の「中津軒」の3軒だけになってしまった。どちらも創業100年越えの店だ(※古くない店では、知っている限り瑞浪市の「満月」と岐阜市の「マカロニ亭」がある)。「享楽亭」は市街地を外れた名鉄線路沿いに店があった。勇んで開店時間に到着したのになぜか”準備中”の看板のまま。車に乗ったまま待つも状況は変わらず…。その間にも何台かの車が来ては看板を見て引き返す。「すわ(臨時休業?)…」と思い始めた頃、店内から女性が出てきて「今日は出前の予約があるので店を開けるのが12時頃になります。」とのこと。予定は狂ったけれど、とりあえず店が開くことだけは分かったのでひと安心。近代建築探しを続行した。

時間になって店に戻っても、まだ店は開いていなかった。駐車場で引き続き待つ。後客も何台か入って来た。すると知らないうちにもう何人かの客が店の中に入っていった様子。開店したことは教えてくれないようだ(苦笑)。あわてて店内へ。店自体は古くなく、住宅の一部を改造してあるような建物。テーブル席と奥に小上がりがある。店内には「ルービトブカ」「ルービンオニユ」と逆に書かれたとても古いバーカウンター(キャビネット)が鎮座している。カッコイイ。厨房の中には白髪の主人、給仕は女将さんとさっきの女性(娘さん?)が担当。老齢の女将さんに「タンシチュー」と「チキンミヤベヤ」を注文した。「ミヤベヤ」はちょっと時間がかかるとのこと。「構いません。」と伝える。メニューには注文したもの以外にも「海老の玉子巻き」「イタリアンビフ」など、読んだだけではどんな料理か分からないワクワクするような品もある(現在は写真入りメニューもあり)。でも全部頼むわけにもいかない…。

30分以上の時間がかかって「タンシチュー」と「チキンミヤビヤ」が運ばれた。まずは平皿に盛られた「タンシチュー」から。カドのないデミグラスソースで煮込まれたタンはとても軟らかく仕上がっている。旨い。シチューの口当たりも滑らかで、いかにもクラシックな日本式洋食といった感じでご飯に合いそう(老舗らしくライスは別)。同じ皿の上にはサラダ(千切りキャベツ、ポテトサラダ、トマト等)も添えられているが、ちゃんとトマトが湯剥きされていたりと丁寧な仕事がされている。「チキンミヤビヤ」はケチャップ寄りのソースでチキンと大振りに切られた玉ねぎが煮込まれていて、真ん中に玉子が落とされている。上面に焦げが見当たらなかったのでオーブンで焼かれているかどうかは分からず。玉ねぎの火入れは浅くシャクシャクとした食感も残していた。玉子は黄身が全部流れ出ないくらいの硬さ。これで「中津軒」以外では「ミヤビヤ(ミヤベヤ)」を食べる機会があったが、火の入り方は別として、どちらも味は複雑なものではなく、見たまま、想像したままの味。

食べ終わってお茶をいただいていると女将さんが「遠くからいらしたの?」と話し掛けてくれた。岐阜方面から来たことを告げると「「あじろ亭」って知ってみえる?」と。「ハイ、何度も食事に寄っています。」と答えると、「あそこ、うちの親戚なのよ。」との事(なーにーっ!!・驚)。「お姉さん(現在の主人)がまだ元気でやってみえるでね。」「うちの初代があちらと姉弟で、あちらがお姉さん。」と衝撃の事実が明らかに(※”姉弟”のくだりは、こう聞いたような気がしたが不正確かも)。実は食事中に卓上にあったガラス瓶に入ったソースをスプーンに垂らして舐めてみたのだが、その味が「あじろ亭のソースみたいだナ。」と思っていたばかり(同様の作り方かどうかは未確認)。いやぁ、びっくりした。創業100年を超え、貴重なメニューが残る、かくも貴重な洋食屋同士が親戚筋だったとは。「遠くからありがとうね。」という女将さんの優しい言葉を背に店を後にした。近くだったら絶対全メニュー制覇したい店なのに、易々と行けないのが悔しい。(勘定は¥2,100)

「あじろ亭」(岐阜)の記事はこちら

「勝利亭」(名古屋)の記事はこちら

 その他「ミヤビヤ」の店の記事はこちら

 

 


 

↓ JR武豊線の「石川B鉄橋」(明治24年・1891・建造)。イギリス人技師ボナールによって設計されたボナール型と呼ばれる物で、明治初期の煉瓦・切石造りの橋梁は全国的にも珍しいものなのだとか。

 

↓ 武豊町から半田市に向かっている道中でちょっと気になった隅切り屋根の建物「旧:杉江歯科醫院」(建築詳細不明)。うっすらと木製看板が残っていた。母屋の屋根頂部には立物(たちもの)と呼ばれる飾りも。

 

↓ 帰り道に半田市の亀崎に立ち寄る。亀崎にある創業安政2年(1855)という歴史ある料亭「望州楼」(江戸期建造)。傾斜地に建っているので料理を運ぶケーブルがあるのだとか。

 

↓ 「望州楼」の向かいにあるべんがら塗りの「旧・成田家住宅」(明治11年・・建造)。元々は「望州楼」の旧店舗で、明治になって住居兼店舗として建て直しされたのだとか。平成20年間で使用されたとのこと。

 

↓ 「望州楼」の前の通りで見付けた豆タイルを多用した商店(建築詳細不明)。何に使われているかは分からないが、とてもしゃれた店舗だ。

 

↓ 「JR亀崎駅」(明治19年・1886・建造)。日本最古の現役駅舎との話もある(※諸説あり)。

↓ 「盛田金しゃち酒蔵」(建築詳細不明)。蔵は1800年代の建造だとか。ここの売店も日曜は休み。酒造の売店ってほとんどが日曜休みばかりで買えない。残念。

 

 


 

 

洋食 享楽亭

愛知県知多郡武豊町字池田1-114-3

 

( 武豊町 たけとよちょう きょうらくてい 洋食店 洋食 ミヤビヤ ミヤベヤ メアベヤ 老舗 100年食堂 ハヤシライス オムライス 近代建築 閉店 廃業 近代化産業遺産 )

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