●1、企画:本庁舎の建替えの時期、10〜20年後か。
本庁舎の改築や移転整備には、費用が250億円〜350億円(区の財政規模の1/4〜1/3)と見積もられ(表1)、コロナ後の緊縮財政下、その時期をいつにするかは最大の論点の一つです。
現段階では、本庁舎の地下にあった京橋図書館が、「本の森ちゅうおう」として移転整備され、空いたスペースには、福祉保健部の相談機能の移転と保管庫ができます。この地下の改修に当たっては、キッズスペースやお子様をお預かりするスペースを設けるなどして、お子様連れでも来庁しやすい環境整備に期待します。デジタル化推進のため、この機に情報システム課を新富分庁舎から本庁舎にもどすべきです。
昨年2月実施の「オフィス環境調査」(表2)によると職員一人当たりの保管文書量が積み上げると約7mであり、職員が狭いスペースでの作業によって作業効率が低下していることが指摘。一方、同図書館移転部分で新たなスペースが生まれることや、デジタル化の進捗により文書保管スペースが減ることで、スペースの問題が一時的にではあるが解消されます。『公共施設個別施設計画』の資料(表3)からは、現行のままで本庁舎を維持した場合に、今後必要となる大きな費用は、今から24年先の2046年における18億円とのことです。従って、本庁舎整備は、直近ではないが10〜20年先に必要となることを念頭に進める必要がありそうです。今後出される、『公共施設等総合管理方針』改訂における本庁舎建替え時期の分析にも注目です。
本庁舎整備:https://www.city.chuo.lg.jp/kusei/kobetsukeikaku/sonota/hontyousyaseibi.html
【表1】
https://www.city.chuo.lg.jp/kusei/kobetsukeikaku/sonota/hontyousyaseibi.files/1shiryo_4kai.pdf
【表2】
【表3】
●2、教育:コロナ禍のストレスから、子ども達を守る。不登校に起立性調節障害の鑑別を。
国立成育医療センターを中心とした「コロナ×こども本部」研究グループにより、子ども達へ6度に渡り実施されたアンケート調査結果からは、「子ども達の4割でスクリーンタイムが増加」し、「ストレス反応を抱える児が7割」、「中等度以上のうつ症状が、小学校高学年で15%、中学生の24%、高校生の30%に見られた」といいます。また、報道にもあるように、児童生徒の自殺者数も一昨年8月が64人と前年同月の2倍になるなど増加が明らかです。コロナ禍は、子ども達の心に深刻な影響を及ぼしています。
区の調査でも、「学校に通うことが楽しい」と答える割合が大きく低下したり、不登校の児童・生徒も昨年度小学生が51名で例年の約2倍、中学生が73名と例年より約10名増加しています(表4)。
適応教室「わくわく21」では、タブレット端末等を用い、家から出られない子も含め不登校の児童・生徒に学びの場を提供下さっています。日本小児心身医学会が推奨する「QTA30」のようなストレス評価を導入し、子どもの心身の健康度を簡便に評価し、ストレスを抱える子をスクールカウンセラーや医師に早期につなげる必要性を考えます。さらに、不登校には、コロナ禍、休校のために家でじっとしてすごすことで、自律神経機能が脆弱化し、「起立性調節障害」という疾患を発症している場合もあります。この場合も早期に医師と繋がることが重要です。
【表4】
●3、教育: 昨年4月から学校で一人一台タブレット。一斉休校下でも学び継続可能に!
GIGAスクール構想として、昨年4月から児童・生徒に一人一台タブレットが行き渡りました。学校は防災拠点でもあり通信環境の整備(通信速度を100ギガ・bpsへ)が更になされることを期待します。『同時双方向型授業配信』を出席扱いとすることは文科省も認めており、感染拡大時に登校自粛の子や病気で入院中の子(病気の長期欠席19人)とICTで学校とつないで授業を行い、すべての子ども達に、教育機会の提供ができることに期待をしています。先生方の負担軽減のためにPTA内で「学校ICT推進委員会」などを立ち上げ、ご父兄の中でICTができるかたが学校にアドバイザーとして入って行きやすくするなどして、ICT支援員(25名配置)だけではなく、ボランティアの力を積極的に活用していけないだろうか。
タブレットで本を読むことと、紙の本を読むことでは、認知の仕方が異なることが指摘されており(『デジタルで読む脳×紙の本で読む脳』)、デジタル媒体と紙媒体の両者をうまく子ども達が使い分けられるように(“バイリテラシー”)大人は見守る必要があります。
●4、教育:東京2020大会、『一校一国運動』から国際交流をレガシーへ
東京2020大会は無事成し遂げられました。今までも幼稚園・小中学校で、『一校一国運動』がなされてきましたが、これからもレガシーとして、国際交流が続けられていきます。私も、積極的に国際交流の機会を探し、つなげて行きたいと考えています。現在、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、シリア、エルサルバドルなどつてがありそうです。お声がけ下さい。上述のGIGAスクール構想で、世界中と容易く繋がることができるようになりましたので、オンラインを積極的に活用して交流をして参りましょう。
●5、教育:「本の森ちゅうおう」本年12月オープン。契機に『生涯教育推進計画』策定を
中央図書館の位置づけであった京橋図書館が、八丁堀に「本の森ちゅうおう」として移転整備され、いよいよ本年12月にオープンします。区民らで構成する「図書館協議会」を設置し、図書館運営に区民の声を反映しやすくする仕組みも導入できればよいと考えます。
この機に、『生涯教育推進計画』を新規策定し、生涯教育の方向性を示し、「本の森ちゅうおう」の運営方針にも生かすべきであると考えます。学びこそ、大きな生きる喜びの一つではないでしょうか。
また、京橋図書館の地域資料・郷土資料も生涯教育の重要な素材です。たとえ、「指定管理者制度」(株式会社図書館流通センター)を導入したとしても、地域資料・郷土資料は区が責任を持って管理・保管する約束です。郷土資料はすべてデジタル化できているとのことですが、目録をきちんと整備し管理することを求めます。地域資料室では、中央区の関連情報が掲載された新聞記事を手作業で切り抜きし保管しています。これもまた、重要な財産ですが、区は保管を中止するとしています。きちんと管理・保管するとともに、これからも作業を継続すべきです。
●6、区民参画:『男女共同参画行動計画2023』の策定準備
『男女共同参画行動計画』の令和4年度の改訂に向け議論がされています。各種審議会の委員構成を均等にし、多様な意見が施策に反映されるようにすることや、改正育児・介護休業法で「産後パパ育休制度」や「育児休業分割」など本年10月から施行されることにあわせ、ワーク・ライフ・バランスを達成できる環境整備をさらに後押しできる計画となることを望みます。区職員は、育休100%取得を目指しませんか。
●7、子育て・福祉:なんでも相談できる総合窓口を身近な地域に開設
『保健医療福祉計画』の基本理念は、「みんなが支えあい、自分らしく暮らせるまち・中央区」。身近な地域で相談を包括的に受け止める拠点づくりを進めるとしています。2018年4月の社会福祉法改正にいち早く呼応した取組みです。「8050問題」、老々介護、ヤングケアラー、認知症(3115人介護認定)、自殺(24人)予防、児童虐待(315件)、障がいのある方の就労支援や「親亡き後の支援」など難しい福祉の課題へのアプローチが迅速適切になされることを望みます。特にコロナ禍、自殺が増えており、あらゆる手段を講じることが急がれます。基本的なこととして、民生・児童委員のなり手のいない地域が特に月島・晴海等で存在しています。早急に人材が発掘されるように願っています。
●8、子育て・福祉:令和6年保健所等複合施設内に総合的な子育て支援ネットワーク整備
郷土天文館が「本の森ちゅうおう」へ移転することでできた空きスペースを利用することで、子ども家庭支援センターの相談機能が保健所等複合施設に移動し、再編整備が行われます。同センターを中心に、一人の子どもを支えるネットワークが強化されます。「成育基本法」にも謳われる「子育て世代包括支援センター」として機能することに期待を致します。「副籍制度」を用いた授業参加も同ネットワークで支援いただきたいと考えます。施設内の区立明石保育園では、医療的ケア児を受け入れが可能な整備をします。
●9、デジタル化:中央区ホームページの全面リニューアル、来年2月。
ネット上の中央区役所ともいうべき、区のホームページが全面リニューアルされます。使いやすいものとなるように区にご意見・ご要望を届けて下さい。子育て世帯バージョン、ご高齢者バージョン、一般区民バージョンなど画面表示を各ニーズに合わせ切り替られるようにするのもよいかもしれません。
●10、教育:不登校・在宅学習の子ども達ひとりひとりの充実した時間。いじめ対応。
不登校含め長期欠席者小中200人(表4)。『教育振興基本計画』では、「不登校未然防止に向けた一人一人のアセスメントの推進」が取組として挙げられています。どうか、不登校・在宅学習の子ども達によりそったアセスメントをし、一人一人がたとえ学校に行けていなくとも、充実した時間が送られているのかどうか、丁寧な分析と対応に期待します。在宅学習支援にICTも積極活用を。いじめ小中150件(表5)。チームでの取り組みによる早期発見・早期対応を。不登校やいじめに関するご相談を一緒に考えて参ります。
【表5】
●11、まちづくり:『総合交通計画2022』3月に策定。パブリックコメントを1/11までに。
重要な計画である『総合交通計画2022』の策定作業中です。区内のありとあらゆる交通に関する計画で、地下鉄新線構想、BRT、自転車、コミュニティバス、舟運、歩行空間など記載されています。ご意見を。
パブリックコメント:https://www.city.chuo.lg.jp/kusei/paburikku/R3Pub.html
●12、まちづくり:アフターコロナのまちづくり、“過度な”密を避けるべく方針転換を
コロナ禍、オフィルビルの需要の減少、人口の流出・減少などを前提に、国交省は、2020年10月に『国土の長期展望』中間とりまとめを出し、「基本的な考え方」に、「過度な「密」を避ける」ことが織り込まれました。本区も「集積の綻び」との見解。町目ごとの人口密度、一人当たりの公園面積、児童一人当たりの校庭面積など評価の上で過度な密を避けていく方針転換が求められています。特に、月島第三小では、一人当たりの校庭面積が狭い。目の前の晴海二丁目の都有地を同校の校庭として活用できるよう都と交渉すべき。月島第一小の校庭もまた狭く、増築をする余地はないため、教室数の大幅な不足を招いてしまう月島三丁目南地区(723戸)及び同北地区(1384戸)の大規模再開発は論外で、規模の大幅な縮小が必須。経済合理性の追求をするだけでなく、大人の責任を果たすべき。
・月島地区:月島三丁目南地区及び同北地区では、計画が進んだ場合、大規模再開発工事が同時期に月島三丁目に集中。狭い路地に工事車両が行き交うことになるため、工事に伴う交通量・騒音・振動・粉じん・排気ガスなどの影響を「事前評価」し、その影響を最小限に抑えるべく調整が必要。その調整結果がまだ示されていません。わたし児童遊園(子どもの遊び場、ラジオ体操会場、隅田川への通り抜け通路、お盆の祭礼の場)の代替地の件もまだ示されません。月島三丁目南地区では、自らが知らされずに進められた再開発計画には参加できないとして、自分の土地や建物を、施行区域からはずしてもらう旨の施行区域の変更を住民側が求めています。知恵を絞り、誰ひとりとして悔いのないまちづくりを行いましょう。
・晴海地区:「HARUMI FLAG」の2024年の入居開始に向け、晴海西小・中学校や晴海出張所等複合施設を整備開始。「晴海コミュニティ構想検討会議」に「HARUMI FLAG」の住民となるかたにも公募で委員としての参加を 募っては。さらには、つくばエクスプレス延伸の地下鉄新線構想を契機に、「研究学園都市」つくば市や中央区と同様に人口増加をしている流山市と、都市間連携協定を結ぶことが、機運醸成に繋がると考えます。学童など子どもの居場所機能の拡充に向けた「ほっとプラザはるみ」のリニューアル、晴海客船ターミナル存続、都立晴海ふ頭公園の早期開放、水素エネルギー・タウンの安全性・効率性なども重要。晴海東小学校の開設は未定ですが、その用地は取得済みです。整備までは、晴海四丁目認定こども園の園児らも使える芝生の園庭などでの開放をお願いしたいところです。
・築地地区:築地市場跡地開発において、都は、「国際会議場」を整備する方針。海からのファザードをぜひ、シドニーのオペラハウスのようなシンボリックなものとし、景観面でも整備を。「築地場外市場等の交通基盤に関する検討会」を秘密会とする区の姿勢には甚だ疑問。業者に「一括売却」しないのは当然、2017年6月の都知事提言「築地は守る、豊洲を活かす」の実現に向け、広く区民の意見を集約し、築地市場跡地がどうあるべきか、都に引き続き提案を。ヘリポートが新設されるとのことであるが(図1)、平時にまで運行されては、騒音により超高層に住まわれている方々はじめ区民の生活の平穏が脅かされることとなります。災害時のみの使用である確約を都に強く求めるべき。
https://www.city.chuo.lg.jp/kankyo/keikaku/tsukiji_kangaekata.files/tsukiji_kangaekata.pdf
【図1】
- 2021年からの引き続きの課題:
①『子ども発達支援センターゆりのき』発行の『育ちのサポートカルテ』活用(サポートカルテ所持者153人)による発達障害等支援の横の連携強化、
②昨年9月医療的ケア児支援法施行。『医療的ケア児等支援連携部会』及び「医療的ケア児就学コーディネーター」を中心に医療的ケア児(18歳未満28人)の保育・就学支援、
③「(タワー)マンション型地域包括ケアシステム」構築及びオートロック問題解消、
④生徒会等でネット利用の学校ルールを子ども達自らで策定を、
⑤特別支援学級の日本橋地域及び晴海五丁目新設小中学校(2024年開設)での設置、
⑥がんや難病の方の就労支援する「両立支援コーディネーター」の配置を、
⑦がん治療後に免疫力低下した子へのワクチン再接種費助成開始の周知拡大、
⑧病児・病後児保育のネット予約システムの導入、
⑨「成育基本法」活用、
⑩児童相談所の開設準備、
⑪災害時要配慮者お一人お一人の『個別避難計画』策定、
⑫まちづくりにおけるコーポラティブ方式の共同建替えの導入、
以上
あとがき:子ども達への健康についての学びの場の提供に向け、大学の研究者や専門家の方々とゆるく繋がりながら「子どもカフェ」という情報発信を月に一回程度ZOOM上で作っています(無料)。ブログ等でお知らせしていますので、お気軽にご参加下さい。ポスト・コロナのまちづくりの方向性については、ルイス・マンフォード『都市の文化』(1938年)に手掛かりがないかと探求中です。年末年始、石牟礼道子さんの『苦海浄土』(1969年)に感銘を受けています。子どもの声の代弁者のひとりとして、本年も、言うべきことを言う覚悟で臨む所存です。ご指導ご鞭撻のほど、どうかよろしくお願い申し上げます。