中央区議会における医療的ケア児への保育の提供に関する議論の現況。
*****平成27年(2015年)6月23日 中央区議会第二回定例会 本会議 一般質問******
〇 八番(小坂和輝議員)
http://www.kugikai.city.chuo.lg.jp/kaigiroku.cgi/h27/teireikai201502-3.html#a03
無所属会派子どもを守る会の小坂和輝です。みずからの意思を明確に伝えることができない、か弱い存在である子供たちを守ることは、全ての区民を守ることに通じると信じ、会派の名前にしております。
中央区の直面する喫緊の課題について、子育て支援分野から三題、まちづくりの分野から二題、最後に行財政改革の分野から一題、合計三つの分野から六つのテーマで御質問をさせていただきます。
第一のテーマ、医療的ケアの必要な子供にも、全て保育や教育の機会を提供することが区の責務であることについてです。質問に当たり、言葉の定義をさせていただきますが、医療的ケアが必要な子供とは、気管切開や胃ろうがあることで、たんの吸引や経管栄養等の医療的ケアが必要な子供をいい、この質問では、医療ケア児と略させていただきます。
また、この件は、六月五日開催の福祉保健委員会で取り上げたテーマであります。同委員会では、三名の区民の皆様から、医療的ケアが必要な子供であるが、現在、保育園に入れていないという真摯な声をいただいたことを匿名にて御報告いたしました。私は、それぞれについて、その子の疾患名や経緯をお伺いし、かつ医療ケア児本人、二人に直接会いもいたしました。そこで、小児科医師として感じましたことは、現状は、親御さんとの御家庭での療養看護がなされ、中央区の保育関連サービスを受けられていない状況ですが、何らかの形で保育関連サービスを受けることができるのではないだろうかということでした。
そこで、今回御質問させていただくわけですが、区は、もちろん児童福祉法上、親御さんの就労などの要件に該当した場合は保育について応諾義務があります。すると、医療的ケアの必要な子供にも全て保育や教育の機会を提供することが区の責務でございます。そのことを大前提に、いかに個々の具体的な医療ケア児の事例に対処していくかが問題であります。
そこで、一つ目の質問、区立保育園及び幼稚園、小学校、福祉センター幼児室において、医療ケア児を受け入れた事例はありますでしょうか。受け入れる事例各人ごとに対応は異なるとしても、共通して、①医療的ケアを行う看護師の配備や、②担当保育士・教員が医療的ケアを行えるような研修、③専門的機関との連携等を整えた上で受け入れることが求められると考えますが、医療ケア児の受け入れに際しての体制整備における課題をどのように認識しておられるでしょうか。
次に、二つ目の質問、保育園通園にかえて居宅訪問型保育事業を利用することも考えられますが、区民が利用することは、現時点で可能でしょうか。同事業を提供する事業者が限られている現状、区内においても、同事業の実施に向けた手だては考えていますでしょうか。
最後に、三つ目の質問、保育サービスなどを受けられていない状況で、医療ケア児の親だけが療養看護をその御家庭で続けていくことは不可能に近いことだと私は考えます。療養看護をされている親御さんが病気になられるであろうし、毎日続く療養看護から慢性的な疲労がたまります。そこで、病気などにより医療ケア児の療養看護ができない場合や慢性的な疲労から休息をとっていただくために、その親にかわり医療ケア児を緊急に預かる一時預かり事業、いわゆるレスパイトを整備する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
〇区長
初めに、保育園等での医療的ケアが必要な子供の受け入れについてであります。
これまで受け入れた事例は、保育園でのたんの吸引が一名、福祉センター幼児室での経管栄養が一名となっております。医療的ケアが必要な子供につきましては、障害の重複の有無やその程度、時には命にかかわる状況も想定されることなど、個々の状態に応じた健康管理に特別な配慮が求められております。そのため、保育士や教員に個々の子供の状態に応じた研修が必要となるだけでなく、専門性を有する看護師の確保や、状況によっては施設の改修も行わなければならないなど、大きな課題があると認識しております。
次に、居宅訪問型保育事業につきましては、今年度から始まった事業であり、医療的ケアに対応できる事業者が本区にいないのが現状であります。今後は、必要に応じ、他自治体で実施している事業者に対して、本区での事業の実施を働きかけてまいります。また、医療的ケアの必要な子供を抱える保護者の介護負担等を軽減する取り組みは必要であると認識しており、今後、訪問看護ステーションと連携し、重症心身障害児を対象とする在宅レスパイト事業の実施に向けて検討してまいります。
******平成28年(2016年)9月21日 第三回定例会 本会議一般質問 (議事録が、まだ(H28.12.26現在)のため要旨のみ)******
http://www.kugikai.city.chuo.lg.jp/dayori/files/227kugikai.pdf
<質問原稿>
引き続き、「ソーシャル・インクルージョン」に関連して、障害者施策について三つのテーマを質問します。
まず、第2のテーマ、医療的ケア児の全家族を対象の実態調査から見えてきた課題と、医療的ケア児への保育の場の提供についてです。
医療的ケア児のご家庭での看護の状態は、親御さんの慢性的な睡眠不足や疲労の蓄積など厳しいものがあり、親御さんの社会参加を難しくしています。
昨年6月の第2回定例会一般質問において、私もその必要性をご指摘させていただいた「レスパイトケア」を本年度から新設されたことは、たいへん意義ある施策と考えるところですが、まだまだ、多くの課題があります。
本年3月の予算特別委員会において、医療的ケア児の全家族を対象に聞き取りによる実態調査の実施が約束され、実際に今夏実施されました。
医療的ケア児の実数把握でさえ、厚労省は難しいとしている中で、全員への聞き取りによる実態調査を、中央区は何人に実施し、その結果、どのような課題が見えてきたのかお知らせ下さい。
本年6月3日公布の改正児童福祉法により、「地方公共団体は、医療的ケア児が、その心身の状況に応じた適切な保健、医療、福祉等の支援を受けられるよう、これらの支援を行う機関との連絡調整を行うための体制の整備に関し、必要な措置を講ずるように努めなければならないものとする」との規定が同日施行され、ニーズの多様化にきめ細かい対応が求められることになるため、ご質問させていただきました。
解決すべき課題のひとつは、医療的ケア児に対する保育の実施であると、実際に私も医療的ケア児の親御さんからお話をお伺いして認識しています。
医療的ケア児に保育を実現する方法としては、①専門の「障害児保育所」を設置する方法と②通常保育で特別な配慮を実施して行う方法がありますが、今回改正の児童福祉法で、③医療的ケア児のご家庭に保育士等が出向く「居宅訪問型児童発達支援」(同法第6条の2の2第5項関係)が可能になるとしています。感染のリスクなどがあり、集団での保育が難しい医療的ケア児でも、「居宅訪問型児童発達支援」であれば、より安全に保育・療育の提供が可能になると考えます。
医療的ケア児に対する保育の提供に対する中央区のお考えをお伺い致します。
<区議会便り 上記原稿部分の抜粋>
医療的ケア児の全家族が対象の実態調査から見えてきた課題と医療的ケア児への保育の場の提供を問う
〇小坂議員 実態調査の実施人数と課題は。
〇区長 65歳未満の24人に実施。日中一時支援やデイサービスなどの要望が高く、自立支援協議会で連携強化を図り、必要な支援を検討。
〇小坂議員 「居宅訪問型児童発達支援」について、本区の考えは。
〇区長 現在、対象の障害児はいない。今後、ニーズを見極めながら検討。