2014年も半分が過ぎました。いよいよ、後半戦。
楽しみな夏休みも、もうすぐ。
クリニックの所在する月島の夏は、西仲通り商店街での草市(今年は12日(土)と13日(日))から始まるように毎年感じています。
私も、起業家仲間と、ばんばんボールとヨーヨー釣り、今年もやることを、楽しみにしています。
夏休みまでの学校生活の基本、早寝・早起き・朝ごはんをきちんとして、頑張ってください。
そして、夏休み、日頃できない自然体験も存分に。本もいっぱい読んでください。ラジオ体操も参加しよう!
毎日、元気に登校できるよう、そして、健康で楽しい夏休みとなるよう、当院も全力でサポートさせていただきます。
7月のお知らせです。
【小坂こども元気クリニック・病児保育室】
診 療:月~土 午前8:30受付開始 受付終了18:30(土曜は午前診療のみ)
日曜日・祝日 急病対応あり(午前中)
予防接種、健診(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1歳、1歳半、3歳、5歳、入園児健診など)
:毎日、適宜、対応可能です。診療時間の場合は、健康隔離室でお待ちいただき、病気のお子様から風邪をもらわないように対応致します。
予防接種・健診特別枠として、11:30~、15:00~も設けています。
病児保育:月~土/ 時間8:30-17:30 (17:30以降の病児お預かりは、ご相談下さい。)
東京都中央区月島3-30-3 ベルウッドビル2~4F
電話 03-5547-1191
fax 03-5547-1166
<当院が紹介されているサイト>
中央区ドクターズさん:
http://www.chuo-doctors.com/hospitalDetail/596
http://www.chuo-doctors.com/movieDetail/596
ドクターズファイルさん:
http://doctorsfile.jp/h/28824/df/1/
**********************************
<小坂クリニック平成26年7月のお知らせ>
<小児予防医療関連>
New【1】夏休みのご旅行の準備として、持参薬・旅のくすり、大丈夫ですか?
国内旅行/海外旅行、思いでいっぱいのご旅行、楽しんできてください。
持参薬、旅のくすりを、忘れずに!!
楽しいご旅行となるよう、乗り物酔いのご相談等も、お受けいたします。
ご旅行中の病気などについて、注意点を簡単なパンフも作成致しました。
お渡しいたしますので、診察の際、ご希望のかたはお声掛けください。
旅行中、万が一なにかございましたら、旅先からお電話下さい。
海外からでも、構いません。
小坂クリニック
国内:03-5547-1191
海外:81-3-5547-1191
New【2】夏風邪、予防。
夏風邪予防でも、手洗い、うがい、マスクは、基本。
それだけでなく、夏風邪は、長引くそれなりの理由があります。
〇炎天下の夏バテ、熱帯夜の寝不足+食欲不振→免疫力低下
〇クーラーかけ過ぎ→寒暖の差→自律神経失調→免疫力低下
〇クーラーかけ過ぎ→鼻粘膜など乾燥→ウイルスの侵入ゆるす
〇プールで、目の粘膜からうつる。
以上からすると、
適度な冷房、水分摂取こまめに、お腹にやさしい食事を、プール後のシャワー&目の洗浄は、夏風邪予防に大切です。
【3】予防接種のご相談、お気軽に。夏休み中に、済んでない予防接種も終わらせて。
最近、予防接種が増えたこともあって、子どもに不慣れな医療機関における予防接種事故が増えています。
安全安心の予防接種を行うことが、私達小児科専門医の責務と考えています。
また、私達小児科専門医は、子ども達を注射嫌いにさせないよう、最大限の努力をいたしております。
痛くない注射、泣かない注射を、実施できますように。
お気軽にご相談ください。
場合によっては、注射の針を刺すときの痛みをなくすシール(貼付用局所麻酔剤)(無料)を、事前にお渡しすることも可能です。
注射の30-60分前に接種部位に貼ることで、その部位の痛みをなくします。
お注射のご相談をお受けする具体例:
〇注射が嫌いで嫌いで、クリニックに受診することができない。結果、予防接種をしなければならないのにできていないものがたまっている。
〇注射を少しでも痛くないようにできないか。
〇アレルギー反応が心配で、予防接種ができていない。
〇仕事で、なかなか予防接種の時間が作れない。
などなど、なんでも。
【4】水ぼうそう
新年度から、中央区助成券をお持ちのかたは、水ぼうそう予防接種の自己負担を無料とさせていただきます。
(もしかして、秋口に水ぼうそうワクチンが不足気味になるかもしれませんので、ご希望のかたはお早めにご相談下さい。)
【5】大人の風しん、赤ちゃんの麻しん
〇おとなの三日ばしか(風しん)
お父さん、お母さん、風しんの予防接種(助成により自己負担無料)は大丈夫ですか?
風しんに罹る成人が依然多いことに対応するため、中央区では、妊婦やその同居家族(お父さんだけでなく、祖父母も含め)にも予防接種の費用を助成することとなりました。
当院でも、妊婦やその同居家族(お父さんだけでなく、祖父母も含め)の皆様に接種可能です。
〇赤ちゃんのはしか(麻しん)
はしか(麻しん)の予防接種(麻しん風しん混合MRワクチン)、お済ですか?
一部地域で、はしかの流行が見られます。
一歳になったら、お誕生日に接種をするなどのように、早めの接種をお願いします。
保育園で0歳児入園のかたには、麻しんの早期接種のご相談もお受けします。
<小児医療関連>
New【6】7月の日曜は、すべて急病対応致します。
急病対応可能な休日:7/6(日)、7/13(日)、7/20(日)、7/21(祝)、7/27(日)
New【7】7月の土曜日の開始時間が変則的となります。
7/5(土)、7/19(土)開始を10時からとさせていただきます。
7/12(土)、7/26(土)は、通常通り9時から。
New【8】夏風邪のシーズンです。
夏は、夏風邪が流行ります。
とくに、夏風邪は、手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱が、御三家。
おとなもかかる可能性があります。
おとなの夏風邪も、診察対応致しますので、お気軽にご相談ください。
【9】風邪治療のスタンダードとして、ポータブル鼻吸引器(医療用)の無料貸し出しを行っています。
なかなか、お鼻がかめない乳幼児のお風邪で、吸引により、だいぶ楽になられていて、ご好評いただいております。
【10】当院でも、禁煙外来治療が可能です。
親御さんが、禁煙できず、または、禁煙途上でお悩みの場合、お気軽にご相談ください。
【11】食中毒が出る時期です。
生ものの食事、調理には、十分に気を付けてください。手洗いも大事です。
<病児保育関連>
【12】当院の病児保育について
お子さんの急な発熱、ご病気で保育園・幼稚園・小学校に登園・登校できない場合、当院の病児保育でお預かりいたします。
病児保育時間の延長について:
原則平日17時30分までのお預かりの病児保育ですが、子どもや子育てには、例外がつきものです。万が一、17時30分を過ぎることがわかっている場合、ご相談ください。
土曜日の病児保育について:
土曜日の病児保育もまた、ご相談ください。
病児お迎えサービスについて:
保育園での急な発病の場合、親御さんに代わって当院スタッフが、保育園に出向き、そのまま当院で病児保育へ移行することも可能です。
<学校生活>
【13】食物アレルギー アナフィラキシーに備えたエピペンを学校に常備できていますか?ご旅行中も、大丈夫?
食物アレルギーのお子様が、給食を食べて、万が一アナフィラキシー・ショックを起こした緊急事態に、治療薬としてエピペン接種が必要です。
学校に常備し、担任・養護・副校長・校長先生の指導の下、対処できる体制になっていますでしょうか?
【14】ネット上の誹謗中傷被害から、お子さんを守って下さい。
ネット上の掲示板で、お子様方の誹謗中傷が書かれた場合、その掲示板を運営するプロバイダーに削除を申し出ることが可能です。
指摘を受けたプロバイダーは、削除することが法律で定められています。
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/46c187ebbac775189f5beb5e76a27ba3
まだまだ、インターネットは、新しい技術であり、その功罪をこれからも考えて行きたいと思います。
<子育て支援関連>
【15】クリニック隣り、みんなの子育てひろば“あすなろの木”のお知らせ
みんなの子育てひろば“あすなろの木”では、
テコンドー教室を毎週日曜日に開催しております。
2部制で親子の部では、日頃、子育てで忙しいお母さんでも
仕事でお子さんと接する機会の少ないお父さんでも
お子さんと一緒にテコンドーを習いながら、
お互いのコミュニケーションを取ることができます。
また、小学生の部では、低学年から高学年のお子さんが
一緒に頑張って汗を流しております。
もちろん、年に2度の階級別の進級試験があります。
御興味のある方は、ご連絡ください。
講師:石田峰男(岡澤道場総括)
毎週日曜日 / 親子クラス AM9:30-10:30 / 小学生クラス AM10:30-11:30
連絡先 / あすなろの木事務局 03-5547-1191
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
木の部屋、空間でイベント開催しませんか?
あすなろの木では、大人1人300円、
こども無料で何時間でも遊べます。
もちろん1組から御利用できますが、
お友達のイベント(お誕生会・歓送迎会・お食事会)など
グループでの御利用も頂けます。
お母さんは、仲間同士、デリバリーでピザを頼んで、ビールやワインで乾杯!
お子さんは、お菓子を食べながらジュースで乾杯!
ティ―パーティとしても御利用頂けます。(土曜日・日曜日でも利用可能)
御利用お待ちしてしております。
利用:完全予約制
利用料:おとな300円 こども無料
連絡先:03-5547-1191 あすなろ事務局
※ お陰様で御利用頂く方が沢山おられます。
御利用希望の方はお早めに予約されることをお勧めいたします。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
『あすなろ倶楽部』無料体験会開催中!!
あすなろ倶楽部では、少人数制で、お子さんの発達に合った
いろいろな遊び、絵本紹介、しつけ方法などお話します。
また、参加されているお母さん同士の交流の
きっかけなどで御利用を頂いております。
只今、無料体験実施中!
お子さんと一緒に、勉強、遊びながら素敵なお友達をつくりましょう♡
講師:NPO法人あそび子育て研究協会 理事長 増田おさみ
毎週木曜日(月3回)費用:月5,000円
時間:�0~3才クラス 2:00 -3:00 �3歳以上クラス 3:00 – 4:00
場所:みんなの子育てひろば『あすなろの木』(こども元気クリニック隣り)
連絡先:080-6905-6498(増田)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以上です。
入園の後、特に保育園児の場合、2-3ヶ月は、風邪ばかりひく期間があります。
実際に、4月~6月は、そのような入園したばかりのお子さんが多く来院されました。
新しくご入園されたお子さんもなれたところでしょうか。
特に、今は、高熱、せき、おなかにくる風邪がの3つが、それぞれ、はやっているように感じます。
梅雨の時期は、喘息発作も起こることも多いです。
暑くなってくると、夏風邪(手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱)も、流行るようになります。
お大事に。
医療法人小坂成育会
こども元気クリニック・病児保育室
小坂和輝
*こども元気クリニック・病児保育室は、「いつでも(24時間・365日)・どこでも(学校・地域の子ども達と関わられる皆様・NPOと連携して)・あらゆる手段を用いて(医学・心理分野にとどまることなく、法律・行政分野などの多角的視点を持って)」子どもの健やかな成長を守る小児科でありたいと思っています。
以上です。
人災である福島第一原発事故。
企業のトップの責任は、大きい。
同じぐらいに、国の責任も大きいと考えます。
議決の要旨 全文:https://docs.google.com/file/d/0B6V4ZwGwBEaxUFlzWXBRc1IwVVk/view?sle=true
*************東京新聞*********************************************
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014073102000253.html
「東電元3幹部 起訴相当」福島原発事故 検審議決 検察、再捜査へ
2014年7月31日 夕刊
東京電力福島第一原発事故は東電が津波対策を怠ったために起きたとして、福島県民ら約五千七百人が歴代の幹部六人の捜査のやり直しを求めている問題で、東京第五検察審査会は三十一日、六人を不起訴とした東京地検の処分に対し、勝俣恒久元会長(74)ら三人を業務上過失致死傷罪で「起訴相当」と議決したと公表した。議決は二十三日付。検察が再捜査するが、仮に再び不起訴としても、別のメンバーによる検審が再び起訴相当と議決すれば強制起訴される。
福島第一の事故をめぐり、市民で構成する検審が関係者を起訴すべきだと判断したのは初めて。今も約十三万人が避難生活を送る未曽有の事故で、刑事責任を問われる可能性が出てきた。
ほかに起訴相当となったのは、武藤栄元副社長(64)と武黒一郎元副社長(68)。小森明生元常務(61)は不起訴不当、別の元副社長ら二人は不起訴相当とした。
捜査の最大の焦点は、東電が二〇〇八年に十五メートル超の津波を試算しながら対策を取らなかったことが過失に当たるかどうかだった。東京地検は「最も過酷な条件での試算で、数値通りの津波の襲来を予測することは困難だった」として過失を認めなかった。
これに対し検審は「地震や津波が具体的にいつどこで発生するかは予見できない。想定外の事態が起こりうることを前提とした対策を検討しておくべきだ」と指摘。試算を受けた東電の対応を「時間稼ぎ」と断じた上で「容易に無視できないと認識しつつ、何とか採用を回避したいとのもくろみがあった」と批判した。
勝俣元会長は事情聴取で「重要な点は知らなかった」と供述したが、検審は「信用できない」と一蹴。「想定を大きく超える津波が来る可能性について報告を受けたと考えられる。東電の最高責任者として各部署に適切な対応策をとらせることができた」とした。
事故をめぐっては、福島県民らでつくる福島原発告訴団が一二年六月、「東電が津波対策を怠り事故を引き起こした」として東電や原子力安全委員会の幹部ら三十三人を業務上過失致死傷などの容疑で告訴・告発した。東京地検は昨年九月、告訴団と別の市民らが告発した菅直人元首相らを合わせ、四十二人全員を不起訴処分にした。
告訴団は不起訴を不服とし翌十月、対象を東電幹部六人に絞り検察審査会に審査を申し立てていた。
菅元首相ら当時の政権幹部三人を不起訴とした東京地検の処分については、別の検審が今年四月に不起訴相当と議決している。
<検察審査会> 選挙権のある国民からくじで選ばれた11人の審査員で構成。審査は非公開。検察官による容疑者の不起訴処分について、11人中6人が納得できなければ「不起訴不当」、8人以上が納得できなければ「起訴相当」と議決する。従来は議決に拘束力がなかったが、2009年5月施行の改正法では、起訴相当と議決された事件を検察官が起訴しなかった場合、自動的に再審査。再び起訴相当と議決すると、裁判所が選んだ検察官役の指定弁護士が容疑者を強制的に起訴し、公判を担当する。再審査時は必ず審査補助員の弁護士が立ち会い、検察官の意見を聴く。
経済民主主義を守ってこそ、日本経済の復活があると思っています。
その要の法律が、独占禁止法です。
独禁法は、一枚のシェーマで表現すると、以下の表5のようであると、学んでみて、感じます。
その体系・全体像が、シンプルに表現されています。
『経済法』尚学社 鈴木満、鈴木深雪 18頁
自分が知らない間に、誰かが自分の名を名乗って裁判がなされてしまうことは、ありえないと安心できます。
たとえ、自分の家族が、訴状を受け取っていたとしても、民事訴訟法106条1項の趣旨(訴状送達は補充送達として有効)に反してでもです。。
再審事由(338条1項3号)の存否は、訴状送達の有効・無効にかかわらず、当事者に対する手続保障の有無の観点から判断される。
最高裁の理由の主要な部分。
「受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等と受送達者との
間に,その訴訟に関して事実上の利害関係の対立があるため,同居者等から受送達
者に対して訴訟関係書類が速やかに交付されることを期待することができない場合
において,実際にもその交付がされなかったときは,受送達者は,その訴訟手続に
関与する機会を与えられたことにならないというべきである。そうすると,上記の
場合において,当該同居者等から受送達者に対して訴訟関係書類が実際に交付され
ず,そのため,受送達者が訴訟が提起されていることを知らないまま判決がされた
ときには,当事者の代理人として訴訟行為をした者が代理権を欠いた場合と別異に
扱う理由はないから,民訴法338条1項3号の再審事由があると解するのが相当
である。」
**********最高裁ホームページ*********************
最高裁決定 平成19年3月20日
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070323154018.pdf
主文
原決定を破棄する。
本件を東京高等裁判所に差し戻す。
理由
抗告代理人伊藤諭,同田中栄樹の抗告理由について
1 本件は,抗告人が,相手方の抗告人に対する請求を認容した確定判決につ き,民訴法338条1項3号の再審事由があるとして申し立てた再審事件である。
2 記録によれば,本件の経過は次のとおりである。
(1) 相手方は,平成15年12月5日,横浜地方裁判所川崎支部に,抗告人及 びAを被告とする貸金請求訴訟(以下「前訴」という。)を提起した。
相手方は,前訴において,1B1及びB2は,平成9年10月31日及び同年11 月7日,Aに対し,いずれも抗告人を連帯保証人として,各500万円を貸し付け た,2相手方は,Bらから,BらがAに対して有する上記貸金債権の譲渡を受けた などと主張して,抗告人及びAに対し,上記貸金合計1000万円及びこれに対す る約定遅延損害金の連帯支払を求めた。
(2) Aは,抗告人の義父であり,抗告人と同居していたところ,平成15年1 2月26日,自らを受送達者とする前訴の訴状及び第1回口頭弁論期日(平成16 年1月28日午後1時10分)の呼出状等の交付を受けるとともに,抗告人を受送 達者とする前訴の訴状及び第1回口頭弁論期日の呼出状等(以下「本件訴状等」と いう。)についても,抗告人の同居者として,その交付を受けた。
(3) 抗告人及びAは,前訴の第1回口頭弁論期日に欠席し,答弁書その他の準 備書面も提出しなかったため,口頭弁論は終結され,第2回口頭弁論期日(平成1
-1-
6年2月4日午後1時10分)において,抗告人及びAが相手方の主張する請求原 因事実を自白したものとみなして相手方の請求を認容する旨の判決(以下「前訴判 決」という。)が言い渡された。
(4) 抗告人及びAに対する前訴判決の判決書に代わる調書の送達事務を担当し た横浜地方裁判所川崎支部の裁判所書記官は,抗告人及びAの住所における送達が 受送達者不在によりできなかったため,平成16年2月26日,抗告人及びAの住 所あてに書留郵便に付する送達を実施した。上記送達書類は,いずれも,受送達者 不在のため配達できず,郵便局に保管され,留置期間の経過により同支部に返還さ れた。
(5) 抗告人及びAのいずれも前訴判決に対して控訴をせず,前訴判決は平成1 6年3月12日に確定した。
(6) 抗告人は,平成18年3月10日,本件再審の訴えを提起した。 3 抗告人は,前訴判決の再審事由について,次のとおり主張している。 前訴の請求原因は,抗告人がAの債務を連帯保証したというものであるが,抗告
人は,自らの意思で連帯保証人になったことはなく,Aが抗告人に無断で抗告人の 印章を持ち出して金銭消費貸借契約書の連帯保証人欄に抗告人の印章を押印したも のである。Aは,平成18年2月28日に至るまで,かかる事情を抗告人に一切話 していなかったのであって,前訴に関し,抗告人とAは利害が対立していたという べきである。したがって,Aが抗告人あての本件訴状等の交付を受けたとしても, これが遅滞なく抗告人に交付されることを期待できる状況にはなく,現に,Aは交 付を受けた本件訴状等を抗告人に交付しなかった。以上によれば,前訴において, 抗告人に対する本件訴状等の送達は補充送達(民訴法106条1項)としての効力
-2-
を生じていないというべきであり,本件訴状等の有効な送達がないため,抗告人に 訴訟に関与する機会が与えられないまま前訴判決がされたのであるから,前訴判決 には民訴法338条1項3号の再審事由がある(最高裁平成3年(オ)第589号 同4年9月10日第一小法廷判決・民集46巻6号553頁参照)。
4 原審は,前訴において,抗告人の同居者であるAが抗告人あての本件訴状等 の交付を受けたのであるから,抗告人に対する本件訴状等の送達は補充送達として 有効であり,前訴判決に民訴法338条1項3号の再審事由がある旨の抗告人の主 張は理由がないとして,抗告人の再審請求を棄却すべきものとした。
5 原審の判断のうち,抗告人に対する本件訴状等の送達は補充送達として有効 であるとした点は是認することができるが,前訴判決に民訴法338条1項3号の 再審事由がある旨の抗告人の主張は理由がないとした点は是認することができな い。その理由は,次のとおりである。
(1) 民訴法106条1項は,就業場所以外の送達をすべき場所において受送達 者に出会わないときは,「使用人その他の従業者又は同居者であって,書類の受領 について相当のわきまえのあるもの」(以下「同居者等」という。)に書類を交付 すれば,受送達者に対する送達の効力が生ずるものとしており,その後,書類が同 居者等から受送達者に交付されたか否か,同居者等が上記交付の事実を受送達者に 告知したか否かは,送達の効力に影響を及ぼすものではない(最高裁昭和42年 (オ)第1017号同45年5月22日第二小法廷判決・裁判集民事99号201 頁参照)。
したがって,受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等が,その訴訟
において受送達者の相手方当事者又はこれと同視し得る者に当たる場合は別として
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(民法108条参照),その訴訟に関して受送達者との間に事実上の利害関係の対
立があるにすぎない場合には,当該同居者等に対して上記書類を交付することによ
って,受送達者に対する送達の効力が生ずるというべきである。
そうすると,仮に,抗告人の主張するような事実関係があったとしても,本件訴 状等は抗告人に対して有効に送達されたものということができる。
以上と同旨の原審の判断は是認することができる。
(2) しかし,本件訴状等の送達が補充送達として有効であるからといって,直 ちに民訴法338条1項3号の再審事由の存在が否定されることにはならない。同 事由の存否は,当事者に保障されるべき手続関与の機会が与えられていたか否かの 観点から改めて判断されなければならない。
すなわち,受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等と受送達者との
間に,その訴訟に関して事実上の利害関係の対立があるため,同居者等から受送達
者に対して訴訟関係書類が速やかに交付されることを期待することができない場合
において,実際にもその交付がされなかったときは,受送達者は,その訴訟手続に
関与する機会を与えられたことにならないというべきである。そうすると,上記の
場合において,当該同居者等から受送達者に対して訴訟関係書類が実際に交付され
ず,そのため,受送達者が訴訟が提起されていることを知らないまま判決がされた
ときには,当事者の代理人として訴訟行為をした者が代理権を欠いた場合と別異に
扱う理由はないから,民訴法338条1項3号の再審事由があると解するのが相当
である。
抗告人の主張によれば,前訴において抗告人に対して連帯保証債務の履行が請求 されることになったのは,抗告人の同居者として抗告人あての本件訴状等の交付を
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受けたAが,Aを主債務者とする債務について,抗告人の氏名及び印章を冒用して Bらとの間で連帯保証契約を締結したためであったというのであるから,抗告人の 主張するとおりの事実関係が認められるのであれば,前訴に関し,抗告人とその同 居者であるAとの間には事実上の利害関係の対立があり,Aが抗告人あての訴訟関 係書類を抗告人に交付することを期待することができない場合であったというべき である。したがって,実際に本件訴状等がAから抗告人に交付されず,そのために 抗告人が前訴が提起されていることを知らないまま前訴判決がされたのであれば, 前訴判決には民訴法338条1項3号の再審事由が認められるというべきである。
抗告人の前記3の主張は,抗告人に前訴の手続に関与する機会が与えられないま ま前訴判決がされたことに民訴法338条1項3号の再審事由があるというもので あるから,抗告人に対する本件訴状等の補充送達が有効であることのみを理由に, 抗告人の主張するその余の事実関係について審理することなく,抗告人の主張には 理由がないとして本件再審請求を排斥した原審の判断には,裁判に影響を及ぼすこ とが明らかな法令の違反がある。論旨は,以上の趣旨をいうものとして理由があ り,原決定は破棄を免れない。そして,上記事由の有無等について更に審理を尽く させるため,本件を原審に差し戻すこととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官 堀籠幸男 裁判官 上田豊三 裁判官 藤田宙靖 裁判官
那須弘平 裁判官 田原睦夫)
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(演習10 2014.7.16)
1 資本金15億円の建設業者であるA社は、平成20年4月1日以降、同業のB(資本金10億円)、C(同8億円)、D社(同1億円)とともに、甲市が指名競争入札により発注する建設工事について、受注予定者を決定し受注予定者以外の者受注予定者が受注できるように協力する行為(以下「入札談合」という)を行ってきた。
しかし、A社は、入札談合に対する社会的非難の増大に対処するため、首脳の指示により、平成23年10月15日以降、入札談合から離脱するとともに、平成24年1月4日、公正取引委員会に課徴金減免制度を利用して入札談合に関する情報を提供した。
公正取引委員会は、平成24年3月31日、A社の情報提供に基づいて立ち入り検査を行った。B社は、1)CD社と話し合って入札談合をとりやめるとともに、2)課徴金減免制度を利用して入札談合に関する情報を公正取引委員会に提供した。
なお、平成20年4月1日から平成24年3月31日までの4年間における、4社の甲市からの建設工事受注(契約)額は、それぞれ、以下のとおりである。
平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度
A社 20億円 15億円 22億円 18億円
B社 10億円 15億円 12億円 16億円
C社 5億円 7億円 8億円 5億円
D社 2億円 1億円 2億円 1億円
ただし、A社の平成23年度分のうち8億円は平成23年10月15日以降の入札分である。
ABCD4社のそれぞれの課徴金額を、契約基準に基づき、算定の根拠と総額を示しなさい。
回答:
1) 入札談合の実際の実行期間:平成20年4月1日~平成24年3月31日
算定期間は3年間さかのぼる(7条の2第1項) 平成21年4月1日から平成24年3月31日
2) B社 15+12+16=43億円
課徴金 43億円の10%(建設業 7条の2第1項)=4.3億円
調査開始後の申請者 課徴金減免 30%(7条の2第12項)
4.3億円×(1-0.3)=3.01億円
3) C社 7+8+5=20億円
課徴金 20×10%(建設業 7条の2第1項)=2億円
申請なし 減免なし
4) D社 1+2+1=4億円
課徴金 4×4%(建設業、中小企業 7条の2第5項3号)=0.16億円
申請なし 減免なし
5) A社 15億円+22億円+18億円=55億円
課徴金 55億円の10%(建設業 7条の2第1項)5.5億円
最初の申請者 減免によりゼロ(7条の2第10項)
2 大規模小売業者のE社は、約100社の納入業者から商品を継続的に仕入れている。
E社は、新規店が行うオープニングセールに際し、納入業者に対し、平成23年5月1日から平成24年4月30日までの間、以下のことを要請していた。
ア 顧客誘導係として従業員を派遣すること。
イ 通常の仕入れ価格から一律30%相当額を仕入れ金額から差し引くこと。
これら要請を受けた納入業者は、E社との今後の取引の継続を行う立場上、これら要請を受け入れることを余儀なくされていた。
なお、平成23年5月1日から平成24年4月30日までの間のE社と納入業差との取引額は100億円に上る。
E社の課徴金額について、算定の根拠と総額を示しなさい。
回答:
不公正な取引方法
ア 顧客誘導係として従業員を派遣すること。 →2条9項5号ロ該当
イ 通常の仕入れ価格から一律30%相当額を仕入れ金額から差し引くこと。 →2条9項5号ハ該当
優越的地位の濫用 1%(20条の6)
100億円の1%→1億円
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(演習9 2014.7.9)
1 コンピューターのソフトウェア(以下「ソフト」という)は、かつてソフト開発業者が開発したものを一般消費者が選んで購入していたが、現在では、コンピューターメーカーが、ソフト開発業者からソフトを購入し、あらかじめ、コンピューターに搭載する「同梱」という形態が一般的になっている。
ソフト販売会社A社は、コンピュターメーカーに対し、A社製の表計算ソフトを購入する場合は、A社製のワープロソフトを合わせて購入するよう要請した。
A社製の表計算ソフトは、他に競争品はなく、コンピューターメーカーにとっては必需品で、これを同梱しないわけにはいかなかった。
コンピューターメーカーは、それまではB社製ワープロソフトを購入し同梱ししていたが、A社の上記要請を踏まえ、B社製ワープロソフトに代えてA社製のワープロソフトを購入することにした。
その結果、B社製ワープロソフトの売上高は急減した。
回答:
○A社の行為が抱き合わせ販売(2条9項6号に基づく一般指定10項)にあたるかを問われている。
○抱き合わせ販売とは、相手方に対し、不当に商品の供給に併せて他の商品を自己から購入するように強制することをいう。
○本件では、A社は、相手方コンピューターメーカーに対し、自己の計算ソフト(強い製品)の供給に合わせて、A社のワープロソフト(弱い製品)を購入するように要請しており、要請を受けたコンピューターメーカーは、A社製表計算ソフトが必需品で、買うほかに選択の余地がなかった。
行為の外形は、抱き合わせ販売に該当する。
○抱き合わせにより、コンピューターメーカーの顧客の商品選択の自由が減少し、結果、B社製のワープロソフトが排除され、売上が急減することになっており、公正な競争を阻害されている。
○一般指定10項に該当し、19条違反である。
*シェアが大きいと、私的独占(2条5項)の問題にも該当する。一定の取引分野:ワープロソフト。
参考:マイクロソフト事件、一太郎問題
2 エレベーターは、ビルを建設する際、エレベターメーカー(以下「メーカー」という)によって設置される。エレベーターの定期的な保守点検業務や故障した場合の修理業務は、メーカーの系列会社(以下「系列会社」という)に任せる建物所有者が多い。
しかし、独立系の保守業者(以下「非系列会社」という)の従業員は、元メーカーや系列会社の従業員であった者が多く、技術力は系列会社の従業員と遜色ないこと、また、代金が系列会社よりも安いことから、非系列会社と取引する建物所有者も少なくない。
非系列会社Cは、自分が保守管理するエレベーターが故障したため、このエレベーターを設置したDメーカーに修理に必要な部品を注文した。しかし、Dメーカーは、「その部品は、在庫がなく、3カ月後にならないと納入できない」と回答した。
この旨をCから聞いた建物所有者Eは、「エレベーターが3ヶ月も動かないのでは困る」として、Cとの保守管理契約を解除するとともに、直接、Dメーカーに対して部品を供給してくれるよう要請した。これに対しDメーカーは、「部品をすぐ供給して欲しかったら当社の系列会社に保守点検業務も任せてもらいたい」と回答した。
Eは、これを断り、このビルを建設したゼネコンをつうじてDメーカーに部品を供給してくれるよう依頼した。Dメーカーは、これに対応してすぐEに部品を供給した。
回答:
1 取引妨害
○D社の行為が、秘系列会社に対する行為が、競争妨害(一般指定14項)が問題である。
○自己や自己が役員となっている会社と競争関係にある事業者とその取引の相手方との取引について、取引を不当に妨害することをいう。
○本件では、系列会社がD社が株主なら要件に該当し、秘系列会社と、相手方建物所有者との取引の不履行を誘引している。
○部品の供給を不当に遅らせ、系列会社と非系列会社の競争を減殺し、公正競争を阻害している。
○一般指定14項に該当し、19条違反である。
2 抱き合わせ販売
○一般指定10項が問題である。
○本件では、Dメーカーは、建物所有者に、エレベーター部品の供給にあわせて、Dメーカーの系列会社の保守点検業務について自己の指定することを強制しており、外形は、抱き合わせに該当する。
○建物所有者の取引選択の自由を奪い、非系列会社を排除されており、公正競争を減殺している。
○一般指定10項に該当し、19条違反である。
3 大規模小売業者Fは、新規に出店した店舗のオープニングセールに際し、商品陳列等の作業をさせるため、納入業者に対し、従業員等の派遣を要請した。
また、Fは、オープニングセールで値引き販売し、納入業者に責任がないのに、その値引き分を納入業者に負担させている。
さらに、Fは、オープニングセール協賛金として、納入取引額に一定率を乗じた額を提供させている。
なお、要請を受けた納入業者は、今後の取引の継続を考慮し、Fの要請に応じている。
回答:
○2条9項5号優越的地位の濫用が問題である。
○優越的地位の濫用
1 取引上の地位が相手方に優越している
2 正常な商慣習に照らして不当に
3 ロ 継続取引先に経済上の利益を提供させる
ハ 相手方に代金減額
本件では、
1 大規模講義業者Fが
2 正常な商慣習に照らして不当に
3 ロ 商品陳列などの作業をさせるため、従業員の派遣
ロ 納入取引額に一定率を乗じた額を提供させている
ハ 納入業者に責任がないのに、その値引き分を納入業者に負担させている
○納入業者にとって、正常な商慣習に照らして、不当であって、今後の取引の継続のため余儀なくされており、自主的判断を妨げられており、公正競争阻害性がある。
○2条9項5号に該当し、19条違反
以上
********今後、回答書きます。*******************
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1 資本金15億円の建設業者であるA社は、平成20年4月1日以降、同業のB(資本金10億円)、C(同8億円)、D社(同1億円)とともに、甲市が指名競争入札により発注する建設工事について、受注予定者を決定し受注予定者以外の者受注予定者が受注できるように協力する行為(以下「入札談合」という)を行ってきた。
しかし、A社は、入札談合に対する社会的非難の増大に対処するため、首脳の指示により、平成23年10月15日以降、入札談合から離脱するとともに、平成24年1月4日、公正取引委員会に課徴金減免制度を利用して入札談合に関する情報を提供した。
公正取引委員会は、平成24年3月31日、A社の情報提供に基づいて立ち入り検査を行った。B社は、�CD社と話し合って入札談合をとりやめるとともに、�課徴金減免制度を利用して入札談合に関する情報を公正取引委員会に提供した。
なお、平成20年4月1日から平成24年3月31日までの4年間における、4社の甲市からの建設工事受注(契約)額は、それぞれ、以下のとおりである。
平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度
A社 20億円 15億円 22億円 18億円
B社 10億円 15億円 12億円 16億円
C社 5億円 7億円 8億円 5億円
D社 2億円 1億円 2億円 1億円
ただし、A社の平成23年度分のうち8億円は平成23年10月15日以降の入札分である。
ABCD4社のそれぞれの課徴金額を、契約基準に基づき、算定の根拠と総額を示しなさい。
2 大規模小売業者のE社は、約100社の納入業者から商品を継続的に仕入れている。
E社は、新規店が行うオープニングセールに際し、納入業者に対し、平成23年5月1日から平成24年4月30日までの間、以下のことを要請していた。
ア 顧客誘導係として従業員を派遣すること。
イ 通常の仕入れ価格から一律30%相当額を仕入れ金額から差し引くこと。
これら要請を受けた納入業者は、E社との今後の取引の継続を行う立場上、これら要請を受け入れることを余儀なくされていた。
なお、平成23年5月1日から平成24年4月30日までの間のE社と納入業差との取引額は100億円に上る。
E社の課徴金額について、算定の根拠と総額を示しなさい。
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(演習8 2014.6.25/7.2)
1 A社は、自社製品の流通経路を調査し、取引卸売業者に対して、廉売を行う小売店のA社製品を販売しないよう要請した。
回答:
〇A社の行為が、不当な単独の取引拒絶(2条9項6号に基づく一般指定2項)を問う問題である。
〇契約自由の原則があるから、原則合法である。
〇しかし、公正競争阻害性がある場合(�違法行為の実効確保手段となる場合または�有力事業者の競争者排除手段となる場合)は違法となる。
〇本件では、A社は、廉売したことを理由に取引拒絶しており、価格競争を減殺し、違法な行為実行確保手段として用いられている。
〇不公正な取引方法に拒絶し、19条違反である。
2 B製品のメーカーらは、B製品卸売協同組合の組合員に対し、同組合の員外者よりもB製品の卸売価格を15%安くし、かつ、割戻金を15%増額して支払うという優遇策を講ずることにより同協同組合の育成を図ろうとした。
回答:
〇B製品メーカーの行為が、差別対価(2条9項2号(課徴金対象)、または、2条9項6号に基づく一般指定3項)と差別取扱い(2条9項6号に基づく一般指定4項)に該当するかを問う問題である。
〇差別対価で、員外社のほうが、割高になる。員外者を競争上不利にしている。→一般指定3項は該当。
さらに、他の事業者の事業活動の困難性あり→2条9項2号に該当することとなる。 →19条違反
〇差別取扱い アウトサイダーを排除する →19条違反
参考事例:北海道新聞社対北海タイムス事件 東京高判昭和29.12.23
3 Cスーパーは、1リットルパックの牛乳(以下「パック牛乳」という)を、他スーパーと同様、1本あたり160円で仕入れ、これを180-200円で販売していた。
隣接するDスーパーがパック牛乳を1本あたり150円で販売し始めたため、Cスーパーも対抗して同様に1本あたり150円で販売し始めた。
ところが、Dスーパーは、バック牛乳を1本目100円、2本目150円で販売し始めた。これを見、Cスーパーも、1本目100円、2本目150円で販売した。
この影響を受けて、CDスーパーの周辺の牛乳専売店の牛乳の販売量は大幅に減少した。
回答:
〇不当廉売(一般指定6項、または、2条9項3号)を問う問題である。
〇不当廉売 2条9項3号
1正当な理由(品質低下、流行おくれ、新製品を出したなどして需給対応など)ない
2原価を割る
3継続して販売
4他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれ
この除いた場合が、一般指定6項である。
本件では、
1正当な理由(品質低下、流行おくれ、新製品を出したなどして需給対応など)→ない
2原価を割る→ 仕入れ価格を割っており、コストを著しく下回る対価である。
3継続して販売 → D⇒C⇒D⇒Cと継続している
4他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれ→ 他の事業者の売り上げが大幅に下がっている。 2条9項3号に該当し、19条違反。
〇Cは、追随しただけであるが、正当な理由に、他のものに対抗してということは抗弁にならない。
参考:小売における廉売の考え方
4 F製品のメーカーであるE社はシェア40%でトップメーカーである。
F製品のメーカーはE社の他に4社存在し、それぞれのシェアは25%、20%、10%、5%である。
F製品の流通経路は、メーカー→卸売業者→小売業者→消費者であり、従来、卸売業者・小売業者はどのメーカーの製品も取り扱う併売店であった。
E者は、主だった卸売業者に対し、F製品の売上高に占める自社製品の販売シェアに応じて割戻金を支払うことにした。
その結果、主要卸売業者のF製品の売上高に占めるE社のシェアは大幅に増加し、2位以下のメーカーのF製品の売上高は大幅に減っている。
回答:
〇排他条件付き取引(一般指定11項)、私的独占(2条5項)に当たるか問われている。
〇排他条件付き取引
1有力な(シェア10%以上の)事業者が
2競争品の取扱い制限を行い
3競争者が代替的な流通経路を容易に見つけられない場合 自由競争減殺した場合、一般指定11項に該当する。
本件では、
1有力な(シェア10%以上の)事業者 ⇒有力な事業者で、シェア40%
2競争品の取扱い制限を行い ⇒専売リベートで、卸売業者が
3競争者が代替的な流通経路を容易に見つけられない場合 ⇒主要な卸がE社以外に扱わなくなると、流通経路を容易に見つけられなくなる。
自由競争減殺し、一般指定11項に該当する。
〇私的独占 単独で、E社の40%がさらに上がり、2位以下の売り上げが下がり、その意思で競争条件を左右しうる。
2条5項に該当し、3条違反
5 G製品のメーカーであるH者は、都道府県単位に卸売会社を設け、各卸売会社とのG製品販売契約書において、「指定した地域外への販売をしてはならない」旨を規定している。
このような規定を設ける理由は、都道府県別のG製品販売量を正確に把握したいためである。
回答:
〇拘束条件付き取引(一般指定12項)が問われている
1 有力な事業者
2 地域外顧客への販売を制限し
3 当該商品の価格が維持
本件では、問題文に詳細に書かれていないが、
1 有力な事業者 ⇒シェアが40%、2位以内の業者であり
2 地域外顧客への販売を制限し⇒ 地域制限し
3 当該商品の価格が維持 ⇒価格の維持した場合ならば、
一般指定12項に該当し、19条違反
以上
********今後、回答書きます。*******************
1 コンピューターのソフトウェア(以下「ソフト」という)は、かつてソフト開発業者が開発したものを一般消費者が選んで購入していたが、現在では、コンピューターメーカーが、ソフト開発業者からソフトを購入し、あらかじめ、コンピューターに搭載する「同梱」という形態が一般的になっている。
ソフト販売会社A社は、コンピュターメーカーに対し、A社製の表計算ソフトを購入する場合は、A社製のワープロソフトを合わせて購入するよう要請した。
A社製の表計算ソフトは、他に競争品はなく、コンピューターメーカーにとっては必需品で、これを同梱しないわけにはいかなかった。
コンピューターメーカーは、それまではB社製ワープロソフトを購入し同梱ししていたが、A社の上記要請を踏まえ、B社製ワープロソフトに代えてA社製のワープロソフトを購入することにした。
その結果、B社製ワープロソフトの売上高は急減した。
2 エレベーターは、ビルを建設する際、エレベターメーカー(以下「メーカー」という)によって設置される。エレベーターの定期的な保守点検業務や故障した場合の修理業務は、メーカーの系列会社(以下「系列会社」という)に任せる建物所有者が多い。
しかし、独立系の保守業者(以下「非系列会社」という)の従業員は、元メーカーや系列会社の従業員であった者が多く、技術力は系列会社の従業員と遜色ないこと、また、代金が系列会社よりも安いことから、非系列会社と取引する建物所有者も少なくない。
非系列会社Cは、自分が保守管理するエレベーターが故障したため、このエレベーターを設置したDメーカーに修理に必要な部品を注文した。しかし、Dメーカーは、「その部品は、在庫がなく、3カ月後にならないと納入できない」と回答した。
この旨をCから聞いた建物所有者Eは、「エレベーターが3ヶ月も動かないのでは困る」として、Cとの保守管理契約を解除するとともに、直接、Dメーカーに対して部品を供給してくれるよう要請した。これに対しDメーカーは、「部品をすぐ供給して欲しかったら当社の系列会社に保守点検業務も任せてもらいたい」と回答した。
Eは、これを断り、このビルを建設したゼネコンをつうじてDメーカーに部品を供給してくれるよう依頼した。Dメーカーは、これに対応してすぐEに部品を供給した。
3 大規模小売業者Fは、新規に出店した店舗のオープニングセールに際し、商品陳列等の作業をさせるため、納入業者に対し、従業員等の派遣を要請した。
また、Fは、オープニングセールで値引き販売し、納入業者に責任がないのに、その値引き分を納入業者に負担させている。
さらに、Fは、オープニングセール協賛金として、納入取引額に一定率を乗じた額を提供させている。
なお、要請を受けた納入業者は、今後の取引の継続を考慮し、Fの要請に応じている。
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1 資本金15億円の建設業者であるA社は、平成20年4月1日以降、同業のB(資本金10億円)、C(同8億円)、D社(同1億円)とともに、甲市が指名競争入札により発注する建設工事について、受注予定者を決定し受注予定者以外の者受注予定者が受注できるように協力する行為(以下「入札談合」という)を行ってきた。
しかし、A社は、入札談合に対する社会的非難の増大に対処するため、首脳の指示により、平成23年10月15日以降、入札談合から離脱するとともに、平成24年1月4日、公正取引委員会に課徴金減免制度を利用して入札談合に関する情報を提供した。
公正取引委員会は、平成24年3月31日、A社の情報提供に基づいて立ち入り検査を行った。B社は、�CD社と話し合って入札談合をとりやめるとともに、�課徴金減免制度を利用して入札談合に関する情報を公正取引委員会に提供した。
なお、平成20年4月1日から平成24年3月31日までの4年間における、4社の甲市からの建設工事受注(契約)額は、それぞれ、以下のとおりである。
平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度
A社 20億円 15億円 22億円 18億円
B社 10億円 15億円 12億円 16億円
C社 5億円 7億円 8億円 5億円
D社 2億円 1億円 2億円 1億円
ただし、A社の平成23年度分のうち8億円は平成23年10月15日以降の入札分である。
ABCD4社のそれぞれの課徴金額を、契約基準に基づき、算定の根拠と総額を示しなさい。
2 大規模小売業者のE社は、約100社の納入業者から商品を継続的に仕入れている。
E社は、新規店が行うオープニングセールに際し、納入業者に対し、平成23年5月1日から平成24年4月30日までの間、以下のことを要請していた。
ア 顧客誘導係として従業員を派遣すること。
イ 通常の仕入れ価格から一律30%相当額を仕入れ金額から差し引くこと。
これら要請を受けた納入業者は、E社との今後の取引の継続を行う立場上、これら要請を受け入れることを余儀なくされていた。
なお、平成23年5月1日から平成24年4月30日までの間のE社と納入業差との取引額は100億円に上る。
E社の課徴金額について、算定の根拠と総額を示しなさい。
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(演習7 2014.6.25)
1 A社は、甲製品をデパートを通じて一般消費者に販売しており、デパートとの取引に当たり、「甲製品についてはA社が定めたメーカー希望小売価格で販売する」旨の条件を提示し、この条件を受託したデパートとのみ取引をすることとしている。
回答:
〇A社の行為は、再販売価格の拘束(2条9項4号イ)に当たるか問われている。
〇�価格維持の合意がなされている。(下のスライド)
A社が、甲製品について、小売価格を約束したデパートでのみ取引することにしている。
〇A社の行為は、正当な理由なく甲製品の価格競争を減少消滅させる行為である(公正競争阻害性)。
〇不公正な取引方法に該当し、独禁法19条に違反する。
2 B社は、自ら開発したゲームソフト(以下「B社製品」)を卸売業者・小売業者を通じて一般消費者に販売している。B社は、B社製品にメーカー希望小売価格よりも安い価格で販売させることのないよう、小売業者への指導を徹底することを要請するとともに、価格調査員を使ってB社製品の小売価格を調べている。
この調査の結果、家電量販店Cが値引きして販売していることがわかり、そこで、B社は、取引先卸売業者に対し、C家電量販店に対しB社製品の出荷を停止するよう指示した。
回答:
〇B社の行為は、再販売価格の拘束(2条9項4号ロ)に当たるか問われている。
〇再販売価格の拘束のIIのタイプに該当する。(上のスライド)(人為的手段を用いて価格を維持)
値引き業者への出荷停止をしている。
〇B社製品の価格競争を減少させる(公正競争阻害性)。
〇不公正な取引方法に該当し、独禁法19条に違反する。
3 D社は、ライセンシーとの特許ライセンス契約において、「当該特許製品についてはD社が定めた価格よりも安く販売しない」という条件を付した。
回答:
〇製造方法のライセンシー:役務。 同じ製品でないと、再販売ではない。
〇拘束条件付き取引(一般指定12項)にあたるか
〇価格維持であって、公正競争阻害性あり。
〇不公正な取引方法に該当し、独禁法19条に違反する。
参考:小林コーセー事件
******今後、回答書きます。**********************
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1 A社は、自社製品の流通経路を調査し、取引卸売業者に対して、廉売を行う小売店のA社製品を販売しないよう要請した。
2 B製品のメーカーらは、B製品卸売協同組合の組合員に対し、同組合の員外者よりもB製品の卸売価格を15%安くし、かつ、割戻金を15%増額して支払うという優遇策を講ずることにより同協同組合の育成を図ろうとした。
3 Cスーパーは、1リットルパックの牛乳(以下「パック牛乳」という)を、他スーパーと同様、1本あたり160円で仕入れ、これを180-200円で販売していた。
隣接するDスーパーがパック牛乳を1本あたり150円で販売し始めたため、Cスーパーも対抗して同様に1本あたり150円で販売し始めた。
ところが、Dスーパーは、バック牛乳を1本目100円、2本目150円で販売し始めた。これを見、Cスーパーも、1本目100円、2本目150円で販売した。
この影響を受けて、CDスーパーの周辺の牛乳専売店の牛乳の販売量は大幅に減少した。
4 F製品のメーカーであるF社はシェア40%でトップメーカーである。F製品のメーカーはE社の他に4社存在し、それぞれのシェアは25%、20%、10%、5%である。
F製品の流通経路は、メーカー→卸売業者→小売業者→消費者であり、従来、卸売業者・小売業者はどのメーカーの製品も取り扱う併売店であった。
E者は、主だった卸売業者に対し、F製品の売上高に占める自社製品の販売シェアに応じて割戻金を支払うことにした。
その結果、主要卸売業者のF製品の売上高に占めるE者のシェアは大幅に増加し、2位以下のメーカーのF製品の売上高は大幅に減っている。
5 G製品のメーカーであるH者は、都道府県単位に卸売会社を設け、各卸売会社とのG製品販売契約書において、「指定した地域外への販売をしてはならない」旨を規定している。このような規定を設ける理由は、都道府県別のG製品販売量を正確に把握したいためである。
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1 コンピューターのソフトウェア(以下「ソフト」という)は、かつてソフト開発業者が開発したものを一般消費者が選んで購入していたが、現在では、コンピューターメーカーが、ソフト開発業者からソフトを購入し、あらかじめ、コンピューターに搭載する「同梱」という形態が一般的になっている。
ソフト販売会社A社は、コンピュターメーカーに対し、A社製の表計算ソフトを購入する場合は、A社製のワープロソフトを合わせて購入するよう要請した。
A社製の表計算ソフトは、他に競争品はなく、コンピューターメーカーにとっては必需品で、これを同梱しないわけにはいかなかった。
コンピューターメーカーは、それまではB社製ワープロソフトを購入し同梱ししていたが、A社の上記要請を踏まえ、B社製ワープロソフトに代えてA社製のワープロソフトを購入することにした。
その結果、B社製ワープロソフトの売上高は急減した。
2 エレベーターは、ビルを建設する際、エレベターメーカー(以下「メーカー」という)によって設置される。エレベーターの定期的な保守点検業務や故障した場合の修理業務は、メーカーの系列会社(以下「系列会社」という)に任せる建物所有者が多い。
しかし、独立系の保守業者(以下「非系列会社」という)の従業員は、元メーカーや系列会社の従業員であった者が多く、技術力は系列会社の従業員と遜色ないこと、また、代金が系列会社よりも安いことから、非系列会社と取引する建物所有者も少なくない。
非系列会社Cは、自分が保守管理するエレベーターが故障したため、このエレベーターを設置したDメーカーに修理に必要な部品を注文した。しかし、Dメーカーは、「その部品は、在庫がなく、3カ月後にならないと納入できない」と回答した。
この旨をCから聞いた建物所有者Eは、「エレベーターが3ヶ月も動かないのでは困る」として、Cとの保守管理契約を解除するとともに、直接、Dメーカーに対して部品を供給してくれるよう要請した。これに対しDメーカーは、「部品をすぐ供給して欲しかったら当社の系列会社に保守点検業務も任せてもらいたい」と回答した。
Eは、これを断り、このビルを建設したゼネコンをつうじてDメーカーに部品を供給してくれるよう依頼した。Dメーカーは、これに対応してすぐEに部品を供給した。
3 大規模小売業者Fは、新規に出店した店舗のオープニングセールに際し、商品陳列等の作業をさせるため、納入業者に対し、従業員等の派遣を要請した。
また、Fは、オープニングセールで値引き販売し、納入業者に責任がないのに、その値引き分を納入業者に負担させている。
さらに、Fは、オープニングセール協賛金として、納入取引額に一定率を乗じた額を提供させている。
なお、要請を受けた納入業者は、今後の取引の継続を考慮し、Fの要請に応じている。
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1 資本金15億円の建設業者であるA社は、平成20年4月1日以降、同業のB(資本金10億円)、C(同8億円)、D社(同1億円)とともに、甲市が指名競争入札により発注する建設工事について、受注予定者を決定し受注予定者以外の者受注予定者が受注できるように協力する行為(以下「入札談合」という)を行ってきた。
しかし、A社は、入札談合に対する社会的非難の増大に対処するため、首脳の指示により、平成23年10月15日以降、入札談合から離脱するとともに、平成24年1月4日、公正取引委員会に課徴金減免制度を利用して入札談合に関する情報を提供した。
公正取引委員会は、平成24年3月31日、A社の情報提供に基づいて立ち入り検査を行った。B社は、�CD社と話し合って入札談合をとりやめるとともに、�課徴金減免制度を利用して入札談合に関する情報を公正取引委員会に提供した。
なお、平成20年4月1日から平成24年3月31日までの4年間における、4社の甲市からの建設工事受注(契約)額は、それぞれ、以下のとおりである。
平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度
A社 20億円 15億円 22億円 18億円
B社 10億円 15億円 12億円 16億円
C社 5億円 7億円 8億円 5億円
D社 2億円 1億円 2億円 1億円
ただし、A社の平成23年度分のうち8億円は平成23年10月15日以降の入札分である。
ABCD4社のそれぞれの課徴金額を、契約基準に基づき、算定の根拠と総額を示しなさい。
2 大規模小売業者のE社は、約100社の納入業者から商品を継続的に仕入れている。
E社は、新規店が行うオープニングセールに際し、納入業者に対し、平成23年5月1日から平成24年4月30日までの間、以下のことを要請していた。
ア 顧客誘導係として従業員を派遣すること。
イ 通常の仕入れ価格から一律30%相当額を仕入れ金額から差し引くこと。
これら要請を受けた納入業者は、E社との今後の取引の継続を行う立場上、これら要請を受け入れることを余儀なくされていた。
なお、平成23年5月1日から平成24年4月30日までの間のE社と納入業差との取引額は100億円に上る。
E社の課徴金額について、算定の根拠と総額を示しなさい。
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(演習6 2014.6.18)
1 エアーソフトガンのメーカーの団体であるAは、銃刀法の定め(一定の威力を超える製品の製造販売を禁止)よりも厳しい自主基準を作成している。
AのアウトサイダーであるB社がこの自主基準に違反する製品を製造販売しているとの情報をえたため、Aは、エアーソフトガンの卸売業者・小売業者に対して「自主基準に違反したB社の製品は取り扱わないように」と通知した。
B社は、自社製品は法律に従って製造したもので安全性に何ら問題なく、Aの「通知」によって自社製品の安全性に対する誹謗中傷を受けたとして裁判所に損害賠償請求訴訟を提起した。
なと、団体内部にも自主基準を守らない会員がいたが、Aはこられに対しては特に措置をとった形跡はない。
回答:
〇事業者団体が、8条5項の不公正な取引方法(間接購入ボイコット、2条9項6号に基づく一般指定1項2号)をさせようとしている。8条5号違反。
〇事業者団体が、会員の競争者であるアウトサイダーを規制し、排除型私的独占(8条1号)をしようとした。8条1号違反。
〇「正当な理由がないのに」(一般指定1号)=「公共の利益に反して」
自主基準は、正当な理由がある。
自主基準(インサイダーが守る基準)を適用するのは、まず、事業者団体内部のものするのがなされるべきところ、自主基準の名を借りてアウトサイダーを排除している。
参考:日本遊戯銃組合事件
2 東北地方のA港で木材輸入業を営む5社は、輸入した木材を一時的に保管しておく倉庫(「保税倉庫」という)を共同で所有し、保税倉庫はインサイダーのみ利用することを申し合わせた。このため、ある木材業者が木材を輸入しようとして保税倉庫の利用を申し合わせた。このため、ある木材業者が木材を輸入しようとして保税倉庫の利用を申し出たが断られた。
東北地方にはA港以外にも港はあるが遠方なためこの保税倉庫を利用できないと、事実上、木材の輸入事業を営むことができない。
回答:
〇5社が行為主体、共同行為。
共同して役務(保税倉庫の利用)の供給を制限(キャパシティーがないなど正当な理由なく)、2条9項1号イに該当するから、19条違反だが、以下3条違反で論ずる。
一定の取引分野:ユーザーの立場からみて、東北地方。
新規参入者に対する排除型私的独占(2条5項)、3条前段違反。
役務の提供(2条6項)を制限(不当な取引制限)、3条後段違反。
参考:パチンコの知的財産権に関する事件
3 A地区の生コン業者10社は、A生コン協同組合に加盟している。
A生コン協同組合は、B生コン卸売協同組合の組合員に対してのみ生コンを販売することを申し合わせた。
なお、A地区には、A生コン協同組合のアウトサイダーが2社存在し、その合計シェアは40%である。
協同組合からの供給拒絶(2条9項1号)。
8条1号該当性。
しかし、アウトサイダー2社のシェアは40%。
A生コン協同組合で、価格を自由にコントロールする状況は、生まれにくいと考えられ、実質的な競争制限は生じないと考えられる。
22条の協同組合の適用除外。
もし、2条9項1号該当するなら、適用除外にならず、19条違反。
******今後、回答書きます。**********************
1 A社は、甲製品をデパートを通じて一般消費者に販売しており、デパートとの取引に当たり、「甲製品についてはA社が定めたメーカー希望小売価格で販売する」旨の条件を提示し、この条件を受託したデパートとのみ取引をすることとしている。
2 B社は、自ら開発したゲームソフト(以下「B社製品」)を卸売業者・小売業者を通じて一般消費者に販売している。B社は、B社製品にメーカー希望小売価格よりも安い価格で販売させることのないよう、小売業者への指導を徹底することを要請するとともに、価格調査員を使ってB社製品の小売価格を調べている。
この調査の結果、家電量販店Cが値引きして販売していることがわかり、そこで、B社は、取引先卸売業者に対し、C家電量販店に対しB社製品の出荷を停止するよう指示した。
3 D社は、ライセンシーとの特許ライセンス契約において、「当該特許製品についてはD社が定めた価格よりも安く販売しない」という条件を付した。
*****************************
1 A社は、自社製品の流通経路を調査し、取引卸売業者に対して、廉売を行う小売店のA社製品を販売しないよう要請した。
2 B製品のメーカーらは、B製品卸売協同組合の組合員に対し、同組合の員外者よりもB製品の卸売価格を15%安くし、かつ、割戻金を15%増額して支払うという優遇策を講ずることにより同協同組合の育成を図ろうとした。
3 Cスーパーは、1リットルパックの牛乳(以下「パック牛乳」という)を、他スーパーと同様、1本あたり160円で仕入れ、これを180-200円で販売していた。
隣接するDスーパーがパック牛乳を1本あたり150円で販売し始めたため、Cスーパーも対抗して同様に1本あたり150円で販売し始めた。
ところが、Dスーパーは、バック牛乳を1本目100円、2本目150円で販売し始めた。これを見、Cスーパーも、1本目100円、2本目150円で販売した。
この影響を受けて、CDスーパーの周辺の牛乳専売店の牛乳の販売量は大幅に減少した。
4 F製品のメーカーであるF社はシェア40%でトップメーカーである。F製品のメーカーはE社の他に4社存在し、それぞれのシェアは25%、20%、10%、5%である。
F製品の流通経路は、メーカー→卸売業者→小売業者→消費者であり、従来、卸売業者・小売業者はどのメーカーの製品も取り扱う併売店であった。
E者は、主だった卸売業者に対し、F製品の売上高に占める自社製品の販売シェアに応じて割戻金を支払うことにした。
その結果、主要卸売業者のF製品の売上高に占めるE者のシェアは大幅に増加し、2位以下のメーカーのF製品の売上高は大幅に減っている。
5 G製品のメーカーであるH者は、都道府県単位に卸売会社を設け、各卸売会社とのG製品販売契約書において、「指定した地域外への販売をしてはならない」旨を規定している。このような規定を設ける理由は、都道府県別のG製品販売量を正確に把握したいためである。
***************************
1 コンピューターのソフトウェア(以下「ソフト」という)は、かつてソフト開発業者が開発したものを一般消費者が選んで購入していたが、現在では、コンピューターメーカーが、ソフト開発業者からソフトを購入し、あらかじめ、コンピューターに搭載する「同梱」という形態が一般的になっている。
ソフト販売会社A社は、コンピュターメーカーに対し、A社製の表計算ソフトを購入する場合は、A社製のワープロソフトを合わせて購入するよう要請した。
A社製の表計算ソフトは、他に競争品はなく、コンピューターメーカーにとっては必需品で、これを同梱しないわけにはいかなかった。
コンピューターメーカーは、それまではB社製ワープロソフトを購入し同梱ししていたが、A社の上記要請を踏まえ、B社製ワープロソフトに代えてA社製のワープロソフトを購入することにした。
その結果、B社製ワープロソフトの売上高は急減した。
2 エレベーターは、ビルを建設する際、エレベターメーカー(以下「メーカー」という)によって設置される。エレベーターの定期的な保守点検業務や故障した場合の修理業務は、メーカーの系列会社(以下「系列会社」という)に任せる建物所有者が多い。
しかし、独立系の保守業者(以下「非系列会社」という)の従業員は、元メーカーや系列会社の従業員であった者が多く、技術力は系列会社の従業員と遜色ないこと、また、代金が系列会社よりも安いことから、非系列会社と取引する建物所有者も少なくない。
非系列会社Cは、自分が保守管理するエレベーターが故障したため、このエレベーターを設置したDメーカーに修理に必要な部品を注文した。しかし、Dメーカーは、「その部品は、在庫がなく、3カ月後にならないと納入できない」と回答した。
この旨をCから聞いた建物所有者Eは、「エレベーターが3ヶ月も動かないのでは困る」として、Cとの保守管理契約を解除するとともに、直接、Dメーカーに対して部品を供給してくれるよう要請した。これに対しDメーカーは、「部品をすぐ供給して欲しかったら当社の系列会社に保守点検業務も任せてもらいたい」と回答した。
Eは、これを断り、このビルを建設したゼネコンをつうじてDメーカーに部品を供給してくれるよう依頼した。Dメーカーは、これに対応してすぐEに部品を供給した。
3 大規模小売業者Fは、新規に出店した店舗のオープニングセールに際し、商品陳列等の作業をさせるため、納入業者に対し、従業員等の派遣を要請した。
また、Fは、オープニングセールで値引き販売し、納入業者に責任がないのに、その値引き分を納入業者に負担させている。
さらに、Fは、オープニングセール協賛金として、納入取引額に一定率を乗じた額を提供させている。
なお、要請を受けた納入業者は、今後の取引の継続を考慮し、Fの要請に応じている。
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1 資本金15億円の建設業者であるA社は、平成20年4月1日以降、同業のB(資本金10億円)、C(同8億円)、D社(同1億円)とともに、甲市が指名競争入札により発注する建設工事について、受注予定者を決定し受注予定者以外の者受注予定者が受注できるように協力する行為(以下「入札談合」という)を行ってきた。
しかし、A社は、入札談合に対する社会的非難の増大に対処するため、首脳の指示により、平成23年10月15日以降、入札談合から離脱するとともに、平成24年1月4日、公正取引委員会に課徴金減免制度を利用して入札談合に関する情報を提供した。
公正取引委員会は、平成24年3月31日、A社の情報提供に基づいて立ち入り検査を行った。B社は、①CD社と話し合って入札談合をとりやめるとともに、②課徴金減免制度を利用して入札談合に関する情報を公正取引委員会に提供した。
なお、平成20年4月1日から平成24年3月31日までの4年間における、4社の甲市からの建設工事受注(契約)額は、それぞれ、以下のとおりである。
平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度
A社 20億円 15億円 22億円 18億円
B社 10億円 15億円 12億円 16億円
C社 5億円 7億円 8億円 5億円
D社 2億円 1億円 2億円 1億円
ただし、A社の平成23年度分のうち8億円は平成23年10月15日以降の入札分である。
ABCD4社のそれぞれの課徴金額を、契約基準に基づき、算定の根拠と総額を示しなさい。
2 大規模小売業者のE社は、約100社の納入業者から商品を継続的に仕入れている。
E社は、新規店が行うオープニングセールに際し、納入業者に対し、平成23年5月1日から平成24年4月30日までの間、以下のことを要請していた。
ア 顧客誘導係として従業員を派遣すること。
イ 通常の仕入れ価格から一律30%相当額を仕入れ金額から差し引くこと。
これら要請を受けた納入業者は、E社との今後の取引の継続を行う立場上、これら要請を受け入れることを余儀なくされていた。
なお、平成23年5月1日から平成24年4月30日までの間のE社と納入業差との取引額は100億円に上る。
E社の課徴金額について、算定の根拠と総額を示しなさい。
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1 エアーソフトガンのメーカーの団体であるAは、銃刀法の定め(一定の威力を超える製品の製造販売を禁止)よりも厳しい自主基準を作成している。
AのアウトサイダーであるB社がこの自主基準に違反する製品を製造販売しているとの情報をえたため、Aは、エアーソフトガンの卸売業者・小売業者に対して「自主基準に違反したB社の製品は取り扱わないように」と通知した。
B社は、自社製品は法律に従って製造したもので安全性に何ら問題なく、Aの「通知」によって自社製品の安全性に対する誹謗中傷を受けたとして裁判所に損害賠償請求訴訟を提起した。
なと、団体内部にも自主基準を守らない会員がいたが、Aはこられに対しては特に措置をとった形跡はない。
参考:日本遊戯銃組合事件
2 東北地方のA港で木材輸入業を営む5社は、輸入した木材を一時的に保管しておく倉庫(「保税倉庫」という)を共同で所有し、保税倉庫はインサイダーのみ利用することを申し合わせた。このため、ある木材業者が木材を輸入しようとして保税倉庫の利用を申し合わせた。このため、ある木材業者が木材を輸入しようとして保税倉庫の利用を申し出たが断られた。
東北地方にはA港以外にも港はあるが遠方なためこの保税倉庫を利用できないと、事実上、木材の輸入事業を営むことができない。
参考:パチンコの知的財産権に関する事件
3 A地区の生コン業者10社は、A生コン協同組合に加盟している。
A生コン協同組合は、B生コン卸売協同組合の組合員に対してのみ生コンを販売することを申し合わせた。
なお、A地区には、A生コン協同組合のアウトサイダーが2社存在し、その合計シェアは40%である。
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1 A社は、甲製品をデパートを通じて一般消費者に販売しており、デパートとの取引に当たり、「甲製品についてはA社が定めたメーカー希望小売価格で販売する」旨の条件を提示し、この条件を受託したデパートとのみ取引をすることとしている。
2 B社は、自ら開発したゲームソフト(以下「B社製品」)を卸売業者・小売業者を通じて一般消費者に販売している。B社は、B社製品にメーカー希望小売価格よりも安い価格で販売させることのないよう、小売業者への指導を徹底することを要請するとともに、価格調査員を使ってB社製品の小売価格を調べている。
この調査の結果、家電量販店Cが値引きして販売していることがわかり、そこで、B社は、取引先卸売業者に対し、C家電量販店に対しB社製品の出荷を停止するよう指示した。
3 D社は、ライセンシーとの特許ライセンス契約において、「当該特許製品についてはD社が定めた価格よりも安く販売しない」という条件を付した。
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1 A社は、自社製品の流通経路を調査し、取引卸売業者に対して、廉売を行う小売店のA社製品を販売しないよう要請した。
2 B製品のメーカーらは、B製品卸売協同組合の組合員に対し、同組合の員外者よりもB製品の卸売価格を15%安くし、かつ、割戻金を15%増額して支払うという優遇策を講ずることにより同協同組合の育成を図ろうとした。
3 Cスーパーは、1リットルパックの牛乳(以下「パック牛乳」という)を、他スーパーと同様、1本あたり160円で仕入れ、これを180-200円で販売していた。
隣接するDスーパーがパック牛乳を1本あたり150円で販売し始めたため、Cスーパーも対抗して同様に1本あたり150円で販売し始めた。
ところが、Dスーパーは、バック牛乳を1本目100円、2本目150円で販売し始めた。これを見、Cスーパーも、1本目100円、2本目150円で販売した。
この影響を受けて、CDスーパーの周辺の牛乳専売店の牛乳の販売量は大幅に減少した。
4 F製品のメーカーであるF社はシェア40%でトップメーカーである。F製品のメーカーはE社の他に4社存在し、それぞれのシェアは25%、20%、10%、5%である。
F製品の流通経路は、メーカー→卸売業者→小売業者→消費者であり、従来、卸売業者・小売業者はどのメーカーの製品も取り扱う併売店であった。
E者は、主だった卸売業者に対し、F製品の売上高に占める自社製品の販売シェアに応じて割戻金を支払うことにした。
その結果、主要卸売業者のF製品の売上高に占めるE者のシェアは大幅に増加し、2位以下のメーカーのF製品の売上高は大幅に減っている。
5 G製品のメーカーであるH者は、都道府県単位に卸売会社を設け、各卸売会社とのG製品販売契約書において、「指定した地域外への販売をしてはならない」旨を規定している。このような規定を設ける理由は、都道府県別のG製品販売量を正確に把握したいためである。
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1 コンピューターのソフトウェア(以下「ソフト」という)は、かつてソフト開発業者が開発したものを一般消費者が選んで購入していたが、現在では、コンピューターメーカーが、ソフト開発業者からソフトを購入し、あらかじめ、コンピューターに搭載する「同梱」という形態が一般的になっている。
ソフト販売会社A社は、コンピュターメーカーに対し、A社製の表計算ソフトを購入する場合は、A社製のワープロソフトを合わせて購入するよう要請した。
A社製の表計算ソフトは、他に競争品はなく、コンピューターメーカーにとっては必需品で、これを同梱しないわけにはいかなかった。
コンピューターメーカーは、それまではB社製ワープロソフトを購入し同梱ししていたが、A社の上記要請を踏まえ、B社製ワープロソフトに代えてA社製のワープロソフトを購入することにした。
その結果、B社製ワープロソフトの売上高は急減した。
2 エレベーターは、ビルを建設する際、エレベターメーカー(以下「メーカー」という)によって設置される。エレベーターの定期的な保守点検業務や故障した場合の修理業務は、メーカーの系列会社(以下「系列会社」という)に任せる建物所有者が多い。
しかし、独立系の保守業者(以下「非系列会社」という)の従業員は、元メーカーや系列会社の従業員であった者が多く、技術力は系列会社の従業員と遜色ないこと、また、代金が系列会社よりも安いことから、非系列会社と取引する建物所有者も少なくない。
非系列会社Cは、自分が保守管理するエレベーターが故障したため、このエレベーターを設置したDメーカーに修理に必要な部品を注文した。しかし、Dメーカーは、「その部品は、在庫がなく、3カ月後にならないと納入できない」と回答した。
この旨をCから聞いた建物所有者Eは、「エレベーターが3ヶ月も動かないのでは困る」として、Cとの保守管理契約を解除するとともに、直接、Dメーカーに対して部品を供給してくれるよう要請した。これに対しDメーカーは、「部品をすぐ供給して欲しかったら当社の系列会社に保守点検業務も任せてもらいたい」と回答した。
Eは、これを断り、このビルを建設したゼネコンをつうじてDメーカーに部品を供給してくれるよう依頼した。Dメーカーは、これに対応してすぐEに部品を供給した。
3 大規模小売業者Fは、新規に出店した店舗のオープニングセールに際し、商品陳列等の作業をさせるため、納入業者に対し、従業員等の派遣を要請した。
また、Fは、オープニングセールで値引き販売し、納入業者に責任がないのに、その値引き分を納入業者に負担させている。
さらに、Fは、オープニングセール協賛金として、納入取引額に一定率を乗じた額を提供させている。
なお、要請を受けた納入業者は、今後の取引の継続を考慮し、Fの要請に応じている。
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1 資本金15億円の建設業者であるA社は、平成20年4月1日以降、同業のB(資本金10億円)、C(同8億円)、D社(同1億円)とともに、甲市が指名競争入札により発注する建設工事について、受注予定者を決定し受注予定者以外の者受注予定者が受注できるように協力する行為(以下「入札談合」という)を行ってきた。
しかし、A社は、入札談合に対する社会的非難の増大に対処するため、首脳の指示により、平成23年10月15日以降、入札談合から離脱するとともに、平成24年1月4日、公正取引委員会に課徴金減免制度を利用して入札談合に関する情報を提供した。
公正取引委員会は、平成24年3月31日、A社の情報提供に基づいて立ち入り検査を行った。B社は、①CD社と話し合って入札談合をとりやめるとともに、②課徴金減免制度を利用して入札談合に関する情報を公正取引委員会に提供した。
なお、平成20年4月1日から平成24年3月31日までの4年間における、4社の甲市からの建設工事受注(契約)額は、それぞれ、以下のとおりである。
平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度
A社 20億円 15億円 22億円 18億円
B社 10億円 15億円 12億円 16億円
C社 5億円 7億円 8億円 5億円
D社 2億円 1億円 2億円 1億円
ただし、A社の平成23年度分のうち8億円は平成23年10月15日以降の入札分である。
ABCD4社のそれぞれの課徴金額を、契約基準に基づき、算定の根拠と総額を示しなさい。
2 大規模小売業者のE社は、約100社の納入業者から商品を継続的に仕入れている。
E社は、新規店が行うオープニングセールに際し、納入業者に対し、平成23年5月1日から平成24年4月30日までの間、以下のことを要請していた。
ア 顧客誘導係として従業員を派遣すること。
イ 通常の仕入れ価格から一律30%相当額を仕入れ金額から差し引くこと。
これら要請を受けた納入業者は、E社との今後の取引の継続を行う立場上、これら要請を受け入れることを余儀なくされていた。
なお、平成23年5月1日から平成24年4月30日までの間のE社と納入業差との取引額は100億円に上る。
E社の課徴金額について、算定の根拠と総額を示しなさい。
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(演習5 2014.6.11)
1 「公正な競争を阻害する」と「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」との異動
「公正な競争を阻害する」おそれ 2条9項6号に基づく一般指定と、2項9項1号ないし5号
「公正な競争を阻害する」(公正競争訴外性)の3タイプのひとつ
①自由競争を減殺するおそれ → 競争の実質的制限にいたる手段となる行為。
他の二つのタイプ(②能率競争阻害するおそれ、③自主的判断を妨げるおそれ)は、競争を制限していない。
「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」は、競争がなくなる場合のもので、2条5項、2条6項、8条1号、4章など
2条9項は、おそれの段階で規制できる。
2 「不当に」と「正当な理由がないのに」との異同
○「不当に」 原則合法、例外違法
例、廉売は、原則合法。
○「正当な理由がないのに」 原則違法、例外合法
2条9項では、1号共同ボイコットと4号再販売価格の拘束の二つが、原則違法。なお、2条3号は、「正当な理由がないのに」と文言があるが、原則違法ではない。
3 「共同ボイコット(取引拒絶)」と「単独ボイコット」の異同
○「共同ボイコット(取引拒絶)」 競争者と共同 2条9項1号(共同供給拒絶) これ以外、一般指定 1号(共同購入拒絶)
○「単独ボイコット」 誰と取引するかは、原則自由
4 甲工事をするには特定の機械乙を必要とする。乙はA社が一手に販売している。
丙地区には、乙を使用して甲工事を行う業者が15社存在する。
乙を持っていない業者(アウトサイダー)が乙以外の機械を使って甲工事を行うことも可能であるが、効率が悪く従って採算も悪い。
このためアウトサイダーBは、まずA社に乙を売ってくれるよう求めたが、「15社以外には売らない方針である」と断られた。
そこで、このBは、15社に対し「乙を売るか貸してほしい」と要請したが、15社のいずれもが「A社からの要請を受けて、15社以外に乙を売ったり貸したりしないと15社で申し合わせたので、応じられない」と断った。
回答:
A社 乙機械購入 申込拒否 (原則、契約自由) 単独ボイコット :一般指定2項
15社 乙機械貸すのを拒否の申し合わせ 共同ボイコット:2条9項1号イ
→19条違反
一定の取引分野
①乙機械を用いる甲工事
②甲工事
施主からみて、甲工事である。乙機械のありなしでコストに差がありすぎると、「乙機械を用いる甲工事」が一定の取引分野とも考え得る。
→3条違反
以上
(2014.6.11)
①高熱の風邪、②お腹の風邪、③咳の風邪の3つのお風邪がそれぞれ、今、流行っています。
①高熱の風邪の子の中に、アデノウイルス感染症、溶連菌感染症、ヘルパンギーナに罹患の子もおられます。
中央区保健所から、ヘルパンギーナが増えているとの連絡も入りました。
結構、たくさんのお子さんが、風邪、熱にかかられているようです。
③しつこい咳の風邪の子も、多くなっているように感じます。
体調崩されておられませんか?
今週もまたまた、当院病児保育室は、ほぼ満室状態が続いているところです。
おとなも、こどもの風邪をもらいます。
こどもから夏風邪がうつること、多々、あります。
そのような場合、お子さんとご一緒に、親御さんも診察いたしますので、お気軽にお声掛けください。
なおったお子さんには、日曜日に、登園許可証も記載します。
月曜日朝一番から登園できますように、ご利用ください。
合わせて、平日なかなか時間が作れない場合でも、休日も、予防接種も実施いたしますので、ご利用ください。
夏の旅行の持参薬についても、ご相談下さい。
こども元気クリニック・病児保育室
中央区月島3-30-3
電話 03-5547-1191
小坂和輝
(演習3 2014.5.21/5.28)
1 国内でX商品のすべてを製造販売するABCの3社は、共同で出資し、甲社を設立し、今後は、X商品を直接取引先小売店に販売することはやめて、すべて甲社を通じて販売することとしたが、独禁法に違反するか。
回答:独禁法10条に違反するかが問われている。
10条では、他の会社をもって、一定の取引分野を実質的に制限する場合。
甲社からすべて販売で、甲が価格をコントロールできる。
独禁法に違反し、認められない。
2 X鉄道会社は、Yバス会社の株式の過半を取得するとともに、役員を派遣し、その一人は社長に就任した。この地域には、これら2社の鉄道とバス路線しかなく、競合する業者はいない。
独禁法上違法であるとすれば、どのような排除措置を講ずるべきか。
回答:10条と13条に違反するかが問われている。
一定の取引分野とは、当該地域の旅客運送である。
二以上の事業者が競争することがなくなり、X鉄道会社は、取引条件を支配することとなる。
排除措置は、XがYの経営を支配できなくなるまで持ち株を放出させる(目安は、11条の5%を超える部分)、役員の辞任。
参考:広島電鉄事件
3 2において、X鉄道会社が、「自らYバス会社の株式を取得するのはまずい。自社の社長に株を取得してもらおう」と考えて実行しようとした場合は、独禁法上違法にあたるか。
回答:14条違反。
4 東宝・スバル事件は、東宝が、有楽町にあるスバル座と銀座近くにあるオリオン座の2館を賃借しようとして発生したものである。高裁は、本件の「一定の取引分野」をどのように確定したのか。
回答: 映画しか娯楽のない時代において、一定の取引分野とは、洋画の封切館。全体の3/4を東宝が占めることとなった。
顧客が、どう選ぶかで、市場を決める。
5 日本の自動車メーカーすべてが出資して設立した研究機関において、新しいディーゼルエンジンを開発しようとの計画について、独禁法上どのように評価すべきか。
回答:自社開発をしない=技術の競争をやめようという相互拘束
一定の取引分野:ディーゼルエンジン
公共の利益あり:技術競争をやめようという申し合わせが、形式的に自由競争経済秩序に反するが、当該行為によって守られる利益、技術を集め集中的に開発し、燃費のよいディーゼルエンジンが開発されるという利益が、「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進するという独禁法の究極の目的に実質的に反しないと認められる例外的な場合に当たる。
独禁法の違法性が阻却される。
以上
(2014.5.21、2014.5.28)
(演習4 2014.6.4)
1 北海道地区で生乳の集荷シェアで約80%を占めるA社は、競合するBC社が北海道地区に牛乳工場を建設しようとしていることを知り、友好関係にあったD農業協同組合連合会と協議し、同連合会は、A社に生乳を出荷する単位農協の組合ににみ乳牛導入資金を融資し、BC社に生乳を出荷する単位農協の組合員には融資しないことを決めて実行した。
単位農協の組合員は、農協から乳牛導入資金の融資が受けられなくなると、酪農経営の継続が難しくなるとして、BC社への生乳出荷をあきらめた。
回答: 排除型私的独占
事業者 A
他の事業者 D農業協同組合連合会(22条但し書き、不公正な取引方法ゆえ適用)と通謀し
○拘束的取引条件付き取引(一般指定12項) A社に生乳を出荷するとして取引
○差別的取引(一般指定4項) A社に生乳 融資する、BC社に生乳 融資しない
バターチーズの原料集まらない → 新規参入を阻止
一定の取引分野: 生乳を集める
参考:雪印乳業事件
2-1 缶詰の間の製造販売業者であるA社(関連会社を含めるとシャアは74%)は、北海道地区で缶詰の缶の製造販売業を営むB社の株式の29%を所有するとともに、A社の役員等をB社の役員に就任させていた。
B社は、北海道地区から本州への事業展開を企図し、東京周辺に工場を設立することを計画した。
B社の当該計画を知ったA社は、株主権を行使するなどして、B社が東京周辺に工場を設立するのを阻止しようとした。
回答:支配型私的独占事件
2条5項
事業者 A社
株式の取得、役員兼任などにより、競争事業者B社の意思決定を支配→競争事業者の自由な意思決定を困難にして自己の意思に従わせる
B社の本州への進出を阻止し、競争者を排除し、その意思で、市場の価格等の条件を左右できる状態を生む。
参考:東洋製缶対北海製缶事件
2-2 また、A社は、自社で缶詰の缶を製造することを計画していた缶詰製造業者に対し、この計画を実行した場合には、A社しか製造できない特殊缶の供給を停止する旨を通告し、この計画を中止させた。
特殊缶は、需要が増加しており、A社以外から調達することは困難であった。
回答:排除型私的独占事件
事業社 A社 単独
手段として不公正な取引(単独供給ボイコット、一般指定2)を用いて、自社製缶をあきらめさせた。競争者を排除し、その意思で、市場の価格等の条件を左右できる状態を生む。
参考:東洋製缶事件
3 音楽有線放送業界には、市場占拠率(シェア)は68%を有するA社と、シェア32%のB社が存在する。
A社は、B社の顧客に限って聴取料を大幅に値引く作戦を実行した。
その結果は、A社のシェアは72%に増加し、B社の受信件数は、月26万件から21万件に減少した。
回答:排除型私的独占 2条5項
事業者 A社 単独
差別対価(一般指定3項)
不当にB社の顧客を奪った。
B社を市場から排除しようとした。
一定の取引分野 有線放送事業
競争業者いなくなり、A社が自由に価格等の条件を操作できるようになる。
(2014.6.4)
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量刑は、とても難しいと思います。
法律の初学者としては、その難しいということ以上には、今のところ、何も言えません。
学んでも、結論が出せない部分かもしれません。
この判決においても、裁判長裁判官である白木勇裁判官は、補足意見において悩みを見せておられる。
***********最高裁ホームページより*************************
裁判官白木勇の補足意見は,次のとおりである。
1 量刑は裁判体の健全な裁量によって決せられるものであるが,裁判体の直感
によって決めればよいのではなく,客観的な合理性を有するものでなければならな
い。このことは,裁判員裁判であろうとなかろうと変わるところはない。裁判員裁
判を担当する裁判官としては,量刑に関する判例や文献等を参考にしながら,量刑
評議の在り方について日頃から研究し,考えを深めておく必要があろう。評議に臨
んでは,個別の事案に即して判断に必要な事項を裁判員にていねいに説明し,その
理解を得て量刑評議を進めていく必要がある。
2 量刑の先例やその集積である量刑の傾向は,それ自体としては拘束力を持つ
ものではないし,社会情勢や国民意識の変化などに伴って徐々に変わり得るもので
ある。しかし,処罰の公平性は裁判員裁判を含む刑事裁判全般における基本的な要
請であり,同種事犯の量刑の傾向を考慮に入れて量刑を判断することの重要性は,
裁判員裁判においても何ら異なるものではない。そうでなければ,量刑評議は合理
的な指針もないまま直感による意見の交換となってしまうであろう。
こうして,量刑判断の客観的な合理性を確保するため,裁判官としては,評議に
おいて,当該事案の法定刑をベースにした上,参考となるおおまかな量刑の傾向を
紹介し,裁判体全員の共通の認識とした上で評議を進めるべきであり,併せて,裁
判員に対し,同種事案においてどのような要素を考慮して量刑判断が行われてきた
か,あるいは,そうした量刑の傾向がなぜ,どのような意味で出発点となるべきな
のかといった事情を適切に説明する必要がある。このようにして,量刑の傾向の意
義や内容を十分理解してもらって初めて裁判員と裁判官との実質的な意見交換を実
現することが可能になると考えられる。そうした過程を経て,裁判体が量刑の傾向
と異なった判断をし,そうした裁判例が蓄積されて量刑の傾向が変わっていくので
あれば,それこそ国民の感覚を反映した量刑判断であり,裁判員裁判の健全な運用
というべきであろう。私は,かつて,覚せい剤取締法違反等被告事件に関する判決
(最一小判平成24年2月13日刑集66巻4号482頁いわゆるチョコレート缶
事件判決)の補足意見において,「裁判員裁判においては,ある程度の幅を持った
認定,量刑が許容されるべき(である)」と述べたが,それは以上のような適切な
評議が行われたことを前提としているのである。
3 本件では,裁判官と裁判員との量刑評議が必ずしも在るべき姿に沿った形で
進められていないのではないかという疑問があり,それが本件第1審の量刑判断に
つながったのではないかと考えられる。裁判官としては,重要な事柄は十分に説明
し,裁判員の正しい理解を得た上で評議を進めるべきであり,そうすることが裁判
員と裁判官との実質的な協働につながると思われる。評議を適切に運営することは
裁判官の重要な職責であり,裁判員裁判を担当する裁判官は,その点を改めて考え
てみる必要があることを指摘しておきたい。
****白木裁判官が参照としていた「チョコレート缶事件判決」の同氏の補足意見の抜粋*****
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120213161911.pdf
裁判官白木勇の補足意見は,次のとおりである。
1 これまで,刑事控訴審の審査の実務は,控訴審が事後審であることを意識し
ながらも,記録に基づき,事実認定について,あるいは量刑についても,まず自ら
の心証を形成し,それと第1審判決の認定,量刑を比較し,そこに差異があれば自
らの心証に従って第1審判決の認定,量刑を変更する場合が多かったように思われ
る。これは本来の事後審査とはかなり異なったものであるが,控訴審に対して第1
審判決の見直しを求める当事者の意向にも合致するところがあって,定着してきた
といえよう。
この手法は,控訴審が自ら形成した心証を重視するものであり,いきおいピン・
ポイントの事実認定,量刑審査を優先する方向になりやすい。もっとも,このよう
な手法を採りつつ,自らの心証とは異なる第1審判決の認定,量刑であっても,あ
る程度の差異は許容範囲内のものとして是認する柔軟な運用もなかったわけではな
いが,それが大勢であったとはいい難いように思われる。原審は,その判文に鑑み
ると,上記のような手法に従って本件の審査を行ったようにも解される。
2 しかし,裁判員制度の施行後は,そのような判断手法は改める必要がある。
例えば,裁判員の加わった裁判体が行う量刑について,許容範囲の幅を認めない判
断を求めることはそもそも無理を強いることになるであろう。事実認定についても
同様であり,裁判員の様々な視点や感覚を反映させた判断となることが予定されて
いる。そこで,裁判員裁判においては,ある程度の幅を持った認定,量刑が許容さ
れるべきことになるのであり,そのことの了解なしには裁判員制度は成り立たない
のではなかろうか。裁判員制度の下では,控訴審は,裁判員の加わった第1審の判
断をできる限り尊重すべきであるといわれるのは,このような理由からでもあると
思われる。
本判決が,控訴審の事後審性を重視し,控訴審の事実誤認の審査については,第
1審判決が行った証拠の信用性評価や証拠の総合判断が論理則,経験則等に照らし
て不合理といえるかという観点から行うべきものであるとしているところは誠にそ
のとおりであるが,私は,第1審の判断が,論理則,経験則等に照らして不合理な
ものでない限り,許容範囲内のものと考える姿勢を持つことが重要であることを指
摘しておきたい。
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*********朝日新聞***************************
http://www.asahi.com/articles/ASG7S5JLMG7SUTIL036.html
求刑1.5倍判決、最高裁が破棄 裁判員裁判の結論変更
西山貴章
2014年7月24日17時35分
求刑の1・5倍にあたる懲役刑が言い渡された裁判員裁判の判断が妥当かどうかが争われた事件の上告審判決で、最高裁第一小法廷(白木勇裁判長)は24日、「裁判員裁判といえども、他の裁判との公平性を保たなければならない」との初判断を示した。一、二審判決を破棄して、量刑を減らした。
この事件では、1歳の娘に暴行を加えて死なせたとして、両親が傷害致死罪で起訴された。一審は懲役10年の求刑に対して2人に同15年を言い渡し、二審も支持。最高裁はこれを破棄して、夫を同10年、妻を同8年にそれぞれ減刑した。
最高裁が、裁判員裁判の結論を自ら変更したのは初めて。5人の裁判官全員一致の意見。(西山貴章)
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***********最高裁ホームページより 判決文全文********************
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140724161429.pdf
平成25年(あ)第689号 傷害致死被告事件
平成26年7月24日 第一小法廷判決
主 文
原判決及び第1審判決を破棄する。
被告人Aを懲役10年に,被告人Bを懲役8年に処する。
被告人両名に対し,第1審における未決勾留日数中各400日を,
それぞれその刑に算入する。
理 由
被告人Aの弁護人高山巌,被告人Bの弁護人木原万樹子,同間光洋の各上告趣意
は,いずれも憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤
認,量刑不当の主張であり,被告人A本人の上告趣意は,事実誤認の主張であっ
て,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。
しかしながら,所論に鑑み,職権をもって調査すると,原判決及び第1審判決
は,刑訴法411条2号により破棄を免れない。その理由は,以下のとおりであ
る。
第1 事案の概要等
1 第1審判決の認定した犯罪事実の要旨
被告人両名は,かねて両名の間に生まれた三女にそれぞれ継続的に暴行を加え,
かつ,これを相互に認識しつつも制止することなく容認することなどにより共謀を
遂げた上,平成22年1月27日午前0時頃,大阪府内の当時の被告人両名の自宅
において,被告人Aが,三女(当時1歳8か月)に対し,その顔面を含む頭部分を
平手で1回強打して頭部分を床に打ち付けさせるなどの暴行を加え,その結果,急
- 2 -
性硬膜下血腫などの傷害を負わせ,同年3月7日午後8時59分頃,同府内の病院
において,三女を急性硬膜下血腫に基づく脳腫脹により死亡させた。
2 第1審判決の量刑理由の要旨
第1審判決は,検察官の各懲役10年の求刑に対し,各懲役15年の刑を言い渡
したが,その量刑理由の要旨は以下のとおりである。
量刑事情については,(1)犯罪行為自体に係る情状(犯情)に関し,①親による
児童虐待の傷害致死の行為責任は重大,②態様は甚だ危険で悪質,③結果は重大,
④経緯には身勝手な動機による不保護を伴う常習的な児童虐待が存在,⑤被告人両
名の責任に差異なしと評価され,(2)一般情状に関し,①堕落的な生活態度,②罪
に向き合わない態度,③犯行以前の暴行に関し責任の一端を被害者の姉である次女
(当時3歳)になすり付ける態度が指摘される。
各懲役15年の量刑とした理由としては,(1)検察官の求刑は,①犯行の背後事
情として長期間にわたる不保護が存在することなどの本件児童虐待の悪質性,②責
任を次女になすり付けるような被告人両名の態度の問題性を十分に評価したものと
は考えられず,(2)同種事犯の量刑傾向といっても,裁判所の量刑検索システム
は,登録数が限られている上,量刑を決めるに当たって考慮した要素を全て把握す
ることも困難であるから,各判断の妥当性を検証できないばかりでなく,本件事案
との比較を正確に行うことも難しいと考えられ,そうであるなら,児童虐待を防止
するための近時の法改正からもうかがえる児童の生命等尊重の要求の高まりを含む
社会情勢に鑑み,本件のような行為責任が重大な児童虐待事犯に対しては,今まで
以上に厳しい罰を科すことがそうした法改正や社会情勢に適合すると考えられるこ
とから,被告人両名に対しては傷害致死罪に定められた法定刑の上限に近い主文の
- 3 -
刑が相当であると判断した。
3 原判決の量刑不当の控訴趣意に対する判示の要旨
原判決は,被告人両名の量刑不当の主張を排斥したが,その理由の要旨は以下の
とおりである。
第1審判決の犯情及び一般情状に関する評価が誤っているとまではいえず,第1
審判決が各懲役15年の量刑をするに際し,(1)検察官の各懲役10年の求刑は,
①本件児童虐待の悪質性及び②責任の一端を被害者の姉になすり付けるような被告
人両名の態度の問題性を十分に評価したものとは考えられない旨説示した点が誤っ
ているというべき根拠は見当たらず,(2)同種事犯の量刑傾向について説示した点
は,量刑検索システムによる検索結果は,これまでの裁判結果を集積したもので,
あくまで量刑判断をするに当たって参考となるものにすぎず,法律上も事実上も何
らそれを拘束するものではないから,第1審の量刑判断が控訴趣意で主張された検
索条件により表示された同種事犯の刑の分布よりも突出して重いものになっている
ことなどによって直ちに不当であるということはできない。第1審判決の各懲役1
5年の量刑も,懲役3年以上20年以下という傷害致死罪の法定刑の広い幅の中に
本件を位置付けるに当たって,なお選択の余地のある範囲内に収まっているという
べきものであって,重過ぎて不当であるとはいえない。
第2 当裁判所の判断
1 第1審判決の犯情及び一般情状に関する評価について,これらが誤っている
とまではいえないとした原判断は正当である。しかしながら,これを前提として
も,被告人両名を各懲役15年とした第1審判決の量刑及びこれを維持した原判断
は,是認できない。その理由は,以下のとおりである。
- 4 -
2 我が国の刑法は,一つの構成要件の中に種々の犯罪類型が含まれることを前
提に幅広い法定刑を定めている。その上で,裁判においては,行為責任の原則を基
礎としつつ,当該犯罪行為にふさわしいと考えられる刑が言い渡されることとなる
が,裁判例が集積されることによって,犯罪類型ごとに一定の量刑傾向が示される
こととなる。そうした先例の集積それ自体は直ちに法規範性を帯びるものではない
が,量刑を決定するに当たって,その目安とされるという意義をもっている。量刑
が裁判の判断として是認されるためには,量刑要素が客観的に適切に評価され,結
果が公平性を損なわないものであることが求められるが,これまでの量刑傾向を視
野に入れて判断がされることは,当該量刑判断のプロセスが適切なものであったこ
とを担保する重要な要素になると考えられるからである。
この点は,裁判員裁判においても等しく妥当するところである。裁判員制度は,
刑事裁判に国民の視点を入れるために導入された。したがって,量刑に関しても,
裁判員裁判導入前の先例の集積結果に相応の変容を与えることがあり得ることは当
然に想定されていたということができる。その意味では,裁判員裁判において,そ
れが導入される前の量刑傾向を厳密に調査・分析することは求められていないし,
ましてや,これに従うことまで求められているわけではない。しかし,裁判員裁判
といえども,他の裁判の結果との公平性が保持された適正なものでなければならな
いことはいうまでもなく,評議に当たっては,これまでのおおまかな量刑の傾向を
裁判体の共通認識とした上で,これを出発点として当該事案にふさわしい評議を深
めていくことが求められているというべきである。
3 こうした観点に立って,本件第1審判決をみると,「同種事犯のほか死亡結
果について故意が認められる事案等の量刑傾向を参照しつつ,この種事犯における
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あるべき量刑等について議論するなどして評議を尽くした」と判示されており,こ
の表現だけを捉えると,おおまかな量刑の傾向を出発点とした上で評議を進めると
いう上記要請に沿って量刑が決定されたようにも理解されないわけではない。
しかし,第1審判決は,引き続いて,検察官の求刑については,本件犯行の背後
事情である本件幼児虐待の悪質性と被告人両名の態度の問題性を十分に評価してい
ないとし,量刑検索システムで表示される量刑の傾向については,同システムの登
録数が十分でなくその判断の妥当性も検証できないとした上で,本件のような行為
責任が重大と考えられる児童虐待事犯に対しては,今まで以上に厳しい罰を科すこ
とが法改正や社会情勢に適合するなどと説示して,検察官の求刑を大幅に超過し,
法定刑の上限に近い宣告刑を導いている。これによれば,第1審判決は,これまで
の傾向に必ずしも同調せず,そこから踏み出した重い量刑が相当であると考えてい
ることは明らかである。もとより,前記のとおり,これまでの傾向を変容させる意
図を持って量刑を行うことも,裁判員裁判の役割として直ちに否定されるものでは
ない。しかし,そうした量刑判断が公平性の観点からも是認できるものであるため
には,従来の量刑の傾向を前提とすべきではない事情の存在について,裁判体の判
断が具体的,説得的に判示されるべきである。
4 これを本件についてみると,指摘された社会情勢等の事情を本件の量刑に強
く反映させ,これまでの量刑の傾向から踏み出し,公益の代表者である検察官の懲
役10年という求刑を大幅に超える懲役15年という量刑をすることについて,具
体的,説得的な根拠が示されているとはいい難い。その結果,本件第1審は,甚だ
しく不当な量刑判断に至ったものというほかない。同時に,法定刑の中において選
択の余地のある範囲内に収まっているというのみで合理的な理由なく第1審判決の
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量刑を是認した原判決は,甚だしく不当であって,これを破棄しなければ著しく正
義に反すると認められる。
よって,刑訴法411条2号により原判決及び第1審判決を破棄し,同法413
条ただし書により各被告事件について更に判決することとし,第1審判決の認定し
た罪となるべき事実に法令を適用すると,被告人両名の各行為は,いずれも刑法6
0条,205条に該当するので,各所定刑期の範囲内で,被告人Aについては,原
判決が是認する第1審判決の量刑事情の評価に基づき検討を行って懲役10年に処
し,さらに,被告人Bについては,実行行為に及んでいないことを踏まえ,犯罪行
為にふさわしい刑を科すという観点から懲役8年に処することとする。そして,同
法21条を適用して第1審における未決勾留日数中各400日をそれぞれその刑に
算入し,第1審における訴訟費用は,刑訴法181条1項ただし書を適用して被告
人両名に負担させないこととし,被告人Aに関する原審及び当審における訴訟費用
は,同項ただし書を適用して同被告人に負担させないこととし,裁判官全員一致の
意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官白木勇の補足意見がある。
裁判官白木勇の補足意見は,次のとおりである。
1 量刑は裁判体の健全な裁量によって決せられるものであるが,裁判体の直感
によって決めればよいのではなく,客観的な合理性を有するものでなければならな
い。このことは,裁判員裁判であろうとなかろうと変わるところはない。裁判員裁
判を担当する裁判官としては,量刑に関する判例や文献等を参考にしながら,量刑
評議の在り方について日頃から研究し,考えを深めておく必要があろう。評議に臨
んでは,個別の事案に即して判断に必要な事項を裁判員にていねいに説明し,その
理解を得て量刑評議を進めていく必要がある。
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2 量刑の先例やその集積である量刑の傾向は,それ自体としては拘束力を持つ
ものではないし,社会情勢や国民意識の変化などに伴って徐々に変わり得るもので
ある。しかし,処罰の公平性は裁判員裁判を含む刑事裁判全般における基本的な要
請であり,同種事犯の量刑の傾向を考慮に入れて量刑を判断することの重要性は,
裁判員裁判においても何ら異なるものではない。そうでなければ,量刑評議は合理
的な指針もないまま直感による意見の交換となってしまうであろう。
こうして,量刑判断の客観的な合理性を確保するため,裁判官としては,評議に
おいて,当該事案の法定刑をベースにした上,参考となるおおまかな量刑の傾向を
紹介し,裁判体全員の共通の認識とした上で評議を進めるべきであり,併せて,裁
判員に対し,同種事案においてどのような要素を考慮して量刑判断が行われてきた
か,あるいは,そうした量刑の傾向がなぜ,どのような意味で出発点となるべきな
のかといった事情を適切に説明する必要がある。このようにして,量刑の傾向の意
義や内容を十分理解してもらって初めて裁判員と裁判官との実質的な意見交換を実
現することが可能になると考えられる。そうした過程を経て,裁判体が量刑の傾向
と異なった判断をし,そうした裁判例が蓄積されて量刑の傾向が変わっていくので
あれば,それこそ国民の感覚を反映した量刑判断であり,裁判員裁判の健全な運用
というべきであろう。私は,かつて,覚せい剤取締法違反等被告事件に関する判決
(最一小判平成24年2月13日刑集66巻4号482頁いわゆるチョコレート缶
事件判決)の補足意見において,「裁判員裁判においては,ある程度の幅を持った
認定,量刑が許容されるべき(である)」と述べたが,それは以上のような適切な
評議が行われたことを前提としているのである。
3 本件では,裁判官と裁判員との量刑評議が必ずしも在るべき姿に沿った形で
- 8 -
進められていないのではないかという疑問があり,それが本件第1審の量刑判断に
つながったのではないかと考えられる。裁判官としては,重要な事柄は十分に説明
し,裁判員の正しい理解を得た上で評議を進めるべきであり,そうすることが裁判
員と裁判官との実質的な協働につながると思われる。評議を適切に運営することは
裁判官の重要な職責であり,裁判員裁判を担当する裁判官は,その点を改めて考え
てみる必要があることを指摘しておきたい。
検察官藤本治彦 公判出席
(裁判長裁判官 白木 勇 裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志 裁判官
横田尤孝 裁判官 山浦善樹)
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http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=84336&hanreiKbn=02
事件番号
平成25(あ)689
事件名
傷害致死被告事件
裁判年月日
平成26年07月24日
法廷名
最高裁判所第一小法廷
裁判種別
判決
結果
破棄自判
判例集等巻・号・頁
原審裁判所名
大阪高等裁判所
原審事件番号
平成24(う)777
原審裁判年月日
平成25年04月11日
判示事項
裁判要旨
傷害致死の事案につき懲役10年の求刑を超えて懲役15年に処した第1審判決及びこれを是認した原判決が量刑不当として破棄された事例