質問事項:
あたらしい中央の小坂和輝です。ウイズ・コロナ、アフター・コロナの時代を見据え、区が直面する喫緊の課題について先の決算特別委員会に引き続き質問します。明快なる御答弁をお願いします。再質問は留保します。
1、新型コロナウイルス対策の充実
新型コロナウイルス感染症(以下、コロナという。)の第三波が来ている。その病態や疫学が明らかになってきており、ワクチンの実用化がない中で、50歳代まで重症化が少なく、致死率は50代0.7%、60代3.5%、70代10.9%、80代以上23.0%であり、ご高齢のかたに対し、いかに感染させないかが重要な鍵の一つとなっている。ちょうど、インフルエンザの流行期と重なり二つの流行、すなわちツインデミックが懸念されるところである。
まず、①現在、保健所の対応はできているか、多忙化があるならその課題はなにか。
コロナ感染者の1割程度の自宅療養のかたのフォローに、保健所が労力をさかれていることがひとつの課題ではないかと推察するが、②-1ハーシスを活用し、かかりつけ医とネットワークを組みながら自宅療養のかたをフォローする仕組みの構築の取り組み状況はいかがか。
コロナにり患し一旦病院に入院された場合、その病院での面会自体が困難であったり、モニター越しでしか面会ができないなど、厳しい面会制限のもとで看取りがなされてしまう。②-2在宅療養中のかたがコロナに罹患され、家族に看取られながら在宅死を望む場合において、その在宅療養の支援体制は構築できているか。
コロナ禍、地震や風水害が現実におこる可能性がある。避難所では、密を避け、今までの一人当たり約2平方メートルから倍近くの4平方メートルの間隔を感染対策としては必要になり、また、十分な換気のもと避難所運営がなされる。③それら感染症対策の着実な実施に向け、「感染症対策チーム」が避難所を回る体制が整えられているところであるが、発災後何日後までを目標に、それらチームは全防災拠点を回り切る考えであるか。近隣の開業医らと連携することも有効だと考えるが、連携する考えであるか。
④区民はもとより災害時要援護者に対しては、ホテル避難も必要になると考えるが、受け入れに向け今後協定を結んでいく予定であるか。
東京2020大会に向けて、「コロナ調整会議」の検討から、選手村内の参加選手に対するPCR検査体制や感染者発生時の診療体制の構築に向けた計画が明らかになってきた。では、選手村に来られる選手関係者、運営スタッフ・ボランティアのそれら体制の構築はどうなっているか。多くの観客も訪れ、区内ホテルにも多数滞在されることが予想される。⑤コロナが疑われる発熱患者などの診療体制は、できているか。⑥多量のPCRが必要であるが、だ液によるPCRであれば、鼻咽頭や鼻腔に比べて医師による検体採取が不要であり、本人がだ液を容器にいれるだけで簡易かつ安全な検体採取が多量に可能である。だ液によるPCRを区の「PCR検査センター」でも取り入れるとともに、即日結果を出す体制を構築すべきと考えるがいかがか。
また、⑦現在、佃の休日応急診療所が「PCR検査センター」となり、京橋と日本橋の二箇所のみで診療に当たっている。ツインデミックや冬場の様々な疾患の患者が増えることを考えると、また、東京2020大会の来訪者の急患対応などを視野にいれると、「PCR検査センター」を移設し、佃の休日応急診療所の再開を考えるべきではないか。
2、コロナ禍の言論の制限について
コロナ禍、GO TOキャンペーンが実施され、経済活動と感染対策との両立が図られようとしている。感染を制御しつつ会合、会食、スポーツ観戦・芸術鑑賞など可能であり、緩和されてきている。
ところが、11月6日開催の「築地地区まちづくり協議会」においては、10月23日付の開催通知で「原則、構成員の方のみの出席とする」という強い文言を用い参加の制限をする内容となっていた。適切な距離とマスク着用をすることで、傍聴者の感染制御ができるため、制限は必要最小限にとどめるべきである。
区が主催する会議の参加の機会の制限は、どのガイドラインに則ったものであるか。保健所に相談して、制限のレベルが適正であることの確認や検証は行われているのか。
3、小学校6年生の修学旅行を全校実現すべきことについて
小学校6年生は、小学校生活の集大成であるにもかかわらず、運動会、修学旅行としての移動教室が中止されてきた。
思い出づくりが大切であり、私も、子ども達本人に意見を聞くとほぼ全員が、移動教室に行きたいと述べている。
中央区も参照している都のガイドラインが9月に改定され、修学旅行も行くことが出来る旨記載が変更された。
2月は受験シーズンでもあり、それらを避けた3月ごろに移動教室を実施するべきと考える。先日の「子ども子育て・高齢者対策特別委員会」では、「今から宿泊施設を探すことが現場に負担になる」ということであった。では、調整役を区に配置し、場合によっては、PTAや地域の協力も得ながら、ヴィラ本栖、柏学園、伊豆高原荘、宇佐美学園など区外の区施設を優先利用して宿泊先を確保するなど全庁を挙げた支援はできないか。区立全16小学校の実施に向けた再検討を求める。
4、関係者連絡会議の設置
東京2020大会や災害時も含めた区内のコロナ対応のありかたの検討や、実際に、安心安全な自宅療養・在宅療養体制の構築や移動教室などでのコロナ対応を進めるに当たっては、医療福祉関係者との緊密な情報交換が必要である。6月の一般質問で「専門家会議」の設置の必要性を問うたが、あらためて問う。医師、歯科医師、薬剤師、訪問看護師、ケアマネージャー、ヘルパーなど医療福祉関係者でコロナ対応に向けた「関係者連絡会議」の設置の必要性を考えるが、いかがか。
ウイズ・コロナ、アフター・コロナの行政課題は、経済支援、それに伴う行政の財政の逼迫と、感染症蔓延対策や働き方の改革に合わせたまちづくりの転換である。
5、財源不足化の行財政運営
まず、財政の逼迫に備え、区は、来年度「予算編成方針」を、7月28日付で例年より約3週間早く出し、「厳しい財政見通しの下、施策全般にわたり優先度・重要度などの観点から再検証し取捨選択を行う」との姿勢を打ち出している。
財源がない中、捨てざるを得ない施策がでることは、コロナ禍、やむを得ない。①-1どのような施策を切り捨て、何を残していくのか、優先度・重要度の判断基準をお示し願う。
①-2児童相談所など新たな施設整備が求められる施策もある一方、まずは、施設、橋梁、道路の長寿命化を最優先にすべきと考えるが、具体的な施策の取捨選択の状況は、いかがか。
②-1『個別施設計画』が策定中とのことであるが、施設の長寿命化にむけては、費用を的確に見積もったライフサイクルコストの算出が肝である。その際、修繕積立金などの管理費や次の建て替えまでのトータルコストがきちんと算入されているのか。城東小学校など超高層大規模建築物の中に区の施設が取り込まれている例があり、管理費が多額になるため確認を求める。
②-2『情報化基本方針 改訂版』の策定中であるが、ICT技術活用やAI導入によるさらなる業務の改善・効率化や各種行政手続きや申請の更なるオンライン化・ペーパーレス化に期待している。AI導入においては、まずは、保育園選定の作業に導入し、作業時間短縮化・効率化を行うべきであると考えるが、検討状況はいかがか。
6、過度な密度を避ける方向への転換
コロナ禍、オフィルビルの需要の減少、人口の流出・減少などを前提に、国交省は、10月に『国土の長期展望』中間とりまとめを出し、「基本的な考え方」に、「過度な「密」を避ける」ことが織り込まれている。先の決算特別委員会の答弁において、本区のまちづくりにおいて、「集積の綻び」なる見解が出されたところでもある。
①-1人口密度、一人当たりの公園面積、児童一人当たりの校庭面積などから、過度な「密」が本区で起きており、「過度な「密」を避ける」考え方を本区のまちづくりにおいても取り入れるべきと考えるがいかがか。①-2そもそも、町目ごとの人口密度や、学校ごとの児童生徒一人当たりの校庭面積を評価しているか。
①-3特に、月島第三小学校では、一人当たりの校庭面積が狭い。隣接する月島運動場の活用は、週に2回の午前中に限定されている。保育園児らの利用と重なることもある。ちょうど、目の前の晴海二丁目に都有地の空き地がある。BRTターミナルを縮小させて一部を取得し、同校の校庭として活用できるよう都と交渉すべきと考えるが、いかがか。
②密を生じる超高層大規模な開発においては、日影・風害対策だけでなく、温室効果ガス発生抑制もまた重要である。現在、温室効果ガスの発生量は、環境アセスメントの項目には入れられていないが、いれるべきことを都に要求すべきと考えるがいかがか。2050年にCO2排出実質ゼロに向けた「ゼロエミッション東京戦略」を掲げる都は、その要求を受け入れると考える。
③大型開発の進行や区内のマンションの老朽化問題が進行中である。昨年策定された「中央区住宅マスタープラン」にも課題として、管理不全を予防し、マンションの管理体制を整えるための指導等を強化していく必要性が謳われている。
神戸市は、修繕積立金の収納率など営繕情報を任意で提出を受け、それらを公開している。このことが、当該マンションの市場価格に好影響を与えることになり、マンション管理のインセンティブにつながっている。
中央区も営繕情報の任意の提出及び公開制度を導入してはどうか。
次に、各地区のまちづくりの課題を問う。
7、築地地区
築地地区では、先に述べた「築地地区まちづくり協議会」において、学識経験者もいれた検討組織「築地場外市場等の交通基盤に関する検討会」を立ち上げ、環状二号線と市場跡地とを信号なしで直接行き来するアクセスなどを検討するとあったが、さらに重要なことは、23ヘクタールにどのような施設を建築するかである。①まちの施設としてどのようなものをいれていくべきと区は考えているか。また、②区の考え方を打ち出す前に、築地地区だけではなく、区民全体の考え方を集約する機会をあらためてつくるべきではないか。
そもそも、財源不足の都においては、本年5月5日発出の副知事依命通達にあるように、未着工の事業である築地市場跡地の再開発手続きは、「集中的・重点的な取組に注力するために休止する事業」として明記されている。③東京都が再開発手続きを急ぐことはこの副知事依命通達に矛盾しているが、その理由は何と、説明を受けたか。
また、一括売却されることは、「豊洲を活かし、築地を守る」としていた都の責任放棄であるし、購入した企業側に開発の主導権がうつり、まちづくりへの関与がたいへん難しくなることが自明である。④区は、「一括売却すべきではない」という考えで理解してよいか。
月島三丁目南地区、北地区では、それぞれ723戸、1384戸の大規模再開発が2022年から同時期に工事が行われることになる。狭い路地に工事車両が行き交うことになり、その両者を合わせた規模は、都の環境アセスメントが必要な規模を優に超えている。①工事に伴う影響を「事前評価」し、その影響を最小限に抑えるようにすべきではないか。
月島西仲通り地区では、地権者が約2割転出(決算特別委員会資料222)、また、竣工直近にも関わらず、ある不動産サイトによると、503戸中の303件が重複含め売りに或いは賃貸に出ているという状況である。②再開発の最も重要な目標が「住民が住み働き続けられること」であるが、そのことができているのか、再開発を経験された方々の思いは実際はどうかを含め『事後評価』を行うべきではないか。努力義務であっても国交省も事後評価実施を求めている。それら評価は、これから再開発を経験される方々への貴重な資料ともなるはずである。
- 9、晴海地区、区割り日本橋・京橋・月島地域から晴海地域の新設
晴海地区では、まず、①選手村跡地開発を契機に、まちづくりの区割りを、日本橋・京橋・月島地域の3地域から晴海地域を新設し4地域とすべきときだと考えるが、いかがか。ちょうど、2020東京大会のひとつのレガシーとして誕生させるのは意義深いと考える。
「住民が、その居住地の周辺の良好な都市環境や自然環境の形成等に積極的に関与することは重要な意義がある」こととして(神戸地裁尼崎支部令1.12.17)、本区も「まちづくりに参加する権利」を認め、基本計画においても「協議型まちづくり」を行うということでその権利を実際に保障している。
「晴海コミュニティ構想検討会議」を新たに立ち上げ、まさに、新たなまちづくりをはじめようとする今こそ、②「HARUMI FLAG」の住民となるかたにも公募でお声がけをして、同会議への委員としての参加を募ってはいかがか。また、③同会議を公開することで、これから住民になる方々や晴海に現在お住いの方々の理解や参加の機会を広げることに資するお考えはあるか。
次に、生涯教育について。
生涯教育の拠点ともいうべき図書館が整備中である。
生涯教育が充実することで、誰もが、学ぶ喜びを一生続けられることになる。
働き続けられることとともに、学び続けられることは、生きがいにつながり、健康寿命の延伸にも好影響を与える。
①区として、「生涯教育推進計画」を今こそ策定し、生涯教育の方向性を示し、新設「本の森ちゅうおう」の運営方針へいかすべきと考えるが、いかがか。
京橋図書館の地域資料も生涯教育の重要な素材である。
②コロナ禍閉架中の地域資料室を、予約制によってでも再開すべきではないか。
③指定管理者制度を導入したとしても、地域資料は区が責任を持って管理・保管する約束である。管理に当たっては、まずは、目録が大事である。目録は整備されているのか。
④地域資料室では、中央区の関連情報が掲載された新聞記事を手作業で切り抜きし保管している。これもまた、重要な財産であり、きちんと管理・保管するとともに、これからも継続すべきと考えるがいかがか。
⑤障がいのあるかたの生涯教育の視点も大切であるが、区長部局から、図書館での生涯教育の充実に向けて、特に考えていることは何か。
⑥デジタル・デバイド解消も生涯教育として大切であるが、区の取り組み状況は。
次に、2020東京大会について、コロナ禍、区内児童・生徒も参加するはずであった入村式が中止とのことである。ならば、オンラインで開催できないだろうか。関心のあるかた、世界中のかたが、視聴や参加が可能になる。児童・生徒参加によるオンライン入村式を開催し国際交流を深めることを、組織委員会へ働きかけてみてはどうか。
最後に、11月16日の発射成功以来、民間宇宙開発の始まりとしてレジリエンス号に注目が集まっている。本区の郷土天文館は、子ども達が楽しめる企画から、専門的な知識まで、幅広く宇宙に関する情報を与えて下さっており、つくば市にあるJAXAとの連携企画充実など期待する。国立がんセンター、聖路加国際病院などがん治療はじめ最先端の医療が本区内で行われている。日本橋中心に創薬企業もある。兜町中心に金融、KK線緑化や晴海の水素ステーションなど環境まちづくり、そして、言うまでもなく、築地魚河岸の食、銀座・日本橋を中心とした商業、歌舞伎の伝統文化、本区にはそれら含め数限りない卓越した“実践”がある。
本区の魅力をアピールしながら、「研究学園都市」つくば市と、つくばエクスブレス延伸の地下鉄新線構想を契機に、都市間連携協定を結んではいかがか。連携により、本区の教育から商業・産業など活性化に寄与するはずである。少しずつ、交流を深めるお考えは、いかがか。
以上