「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

【月島再開発問題】第19号 路地文化やコミュニティを守る月島の再生はできます。

2017-09-29 18:40:58 | 月島三丁目南地区第一種市街地再開発問題
 住民の合意形成の不十分なまま、この地域の再開発が進められようとしています。今一度立ち止まり、準備組合の理事様を含め住民同士が十分話し合いを持ったうえで、諸問題を解決し、超高層にこだわることなく月島再生の手法を選んでいくべきではないでしょうか。

 今回ご紹介させていただいている資料は、その月島再生が可能であることを示すものです。

 【資料1】は、古くから地元におられる方はご存知の『月島百年史』です。「月島の未来をつくる」という論説が書かれています。先人の皆様は、低層で路地を活かした再生を考えておられました。今こそ、それを実現するときと考えます。セットバックせずとも、建て替えが可能なことも記載されています。

 【資料2】『月島再発見学』は、地元で有名な志村秀明教授による実際に長屋を再生したその手法が詳しく解説されています。

 *ご希望のかたには、あすなろの木(中央区月島3-30-4飯島ビル1F、03-5547-1191)でコピーを差し上げます。

 合わせて、守るべき路地文化につきましては、インターネットで『佃・月島路地文化の保存と継承』https://www.facebook.com/rojibunka/も御覧下さい。


 五輪後に50階建て750戸の超高層を選択することは、リスクが大き過ぎると考えます。また、この再開発は、住み慣れた土地・建物を手放すことと同等なお話しで、皆様が失う財産も大きいです。風害・日影被害、急激な人口増に伴う保育所・学校・高齢者施設などの不足や過密など地域にかける負担もまた大きいです。

 現在、この地域の再開発に関する都市計画の変更について、中央区が意見書を募集しています。http://www.city.chuo.lg.jp/kankyo/keikaku/kokoku/tukisima_san_minami.html〆切10月11日までに、是非とも、皆様の率直なご意見・お考えを区にお届け下さい。

 下記にその意見書のフォーマット(案)を添付致します。意見書提出の際にお役立て下さい。「反対」の文言を「賛成」にすること等で、賛否どちらの意見でも利用できる書式です。

 地元有志で、この月島のあり方を、自由に話し合いを持っています。多くの皆様のご参加をお待ち申し上げます。

       記

第12回「愛する月島を守る会」 勉強会

日時:平成29年10月2日(月)19時~
*原則、月曜日に勉強会開催を予定しています。
場所:あすなろの木(月島三丁目30-4飯島ビル1F)
テーマ:月島の再生のあり方を、話し合います。

以上


****再開発計画 原案に反対の意見書をご提出される場合のフォーマット案*****

「月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業」に係る都市計画原案について反対の意見書

〒104-8404
東京都中央区築地1-1-1
中央区役所5階

都市整備部
地域整備課 御中


             住所:

             氏名:            印


 私は、この再開発事業に係る都市計画原案「月島三丁目地区地区計画の変更」について反対の意見書を提出致します。

 ご検討を、よろしくお願い申し上げます。

意見の内容:














 従いまして、原案に反対です。

 私は、月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業に係る「月島三丁目地区地区計画の変更」を行わないことを求めます。

以上

*****************************
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解散権に対する規定が、現行憲法では、不備である以上は(憲法7条3号、69条参照)、国民ができることは、不当な解散権を行使した与党を選ばないこと。

2017-09-27 08:43:54 | シチズンシップ教育
 今回もまた、不当な解散権が行使され、衆院選選挙費用として無駄な税金と労力が使われることとなります。

 しかし、現行憲法において、このような理由なき解散を防ぐ手立てがありません。

 解散権に対する規定が、現行憲法では、不備である以上は、国民ができることは、不当な解散権を行使した与党を選ばないこと。

 憲法の不備を正すには時間を要するため記事にある憲法学者木村草太氏の提案が、現実的かもしれません。
 記事抜粋;木村さんは、解散をする場合には内閣が衆院で解散の理由を説明し、それについての国会審議を行う、と法律で定める方法を提唱する。「不当な解散でないかどうかを議員が吟味でき、その議論が有権者の判断材料にもなる。内閣が持つ権限とは、公共の利益を実現するために主権者から負託されたものであり、与党のために使っていいものではない。解散権もその一つだ」




********朝日新聞**************
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13153006.html

(2017衆院選 再考・解散権:下)解散権どう制限、議論じわり

2017年9月27日05時00分



 ■政治改革モデルの英、事実上封印

 「首相の解散権」=キーワード=の問題を考えるとき、近年しばしば参照されるのが英国だ。以前は首相に解散権があったが、2011年に成立した法律で、その権限を事実上封印したからだ。

 英国政治に詳しい近藤康史・筑波大学教授(政治学)は、「首相1人の判断で自由に議会を解散させる日本は特殊な国になりつつある」と警鐘を鳴らす。

 近藤さんによれば、英国には元々、首相が解散権を行使することへの批判的な世論の素地があった。

 「与党が自身に有利な条件で解散を行うことは良くないという考えと、任期をフルに生かして政策実現を目指すべきだという考えの双方が強くあった」

 小選挙区制のもとで2大政党が争いあう政治へ――。1990年代に進められた日本の政治改革は英国を主なモデルにしていた、とも指摘する。

 だが、90年代は英国モデルの「分解」が始まった時代でもあった。「二大政党制が揺らいで多党制に向けた変質が進み、政権交代も80年代以降には2回しか起きていない。日本の政治改革は、消滅しつつあるモデルを追い求めていた」

 こうすれば劇的に良くなるという一大改革を目指す発想には注意する方がいい、と近藤さんは言う。

 「英国が解散権を封印したのは、多党化が進んで連立政権の時代に変わったことへの対処だった。浮上した課題に応じて細かな修正プログラムを一つ一つ当て続けていくような改革こそ求められているのでは」


 ■「国会で理由説明・審議」提案も

 憲法学界では近年、内閣の解散権をめぐる議論が再び活性化し、解散権行使に制限をかけるべきだとの議論も増えてきている――。

 今年3月に開かれた衆院憲法審査会。参考人として出席した憲法学者の木村草太・首都大学東京教授は意見陳述でそう述べた。

 憲法制定当初には、解散権はどのような条件で行使されうるかという根本的な問いを巡って激論が交わされていた。そんな歴史を紹介しつつ木村さんは、「党利党略での解散」を抑制する工夫が必要だと説いた。

 憲法上、内閣が解散権を行使できるケースとは何か。憲法学者の永山茂樹・東海大学教授は今月、ネットのインタビュー(BuzzFeed NEWS、21日)で次の2例を挙げた。

 (1)内閣が提案した重要法案を衆院が否決した場合と、(2)前の選挙では問われていなかった重要問題が浮上した場合である。他方、多数派を維持するために解散をするという判断は認められていない、とした。

 内閣の解散権行使にどう制限をかけるか。具体的な提案も現れ始めている。

 最大野党の民進党は、憲法改正を通じて解散権に制約をかける方針を打ち出した。責任ある政党の間で任期満了まで解散しないことに合意すればいい、と示唆したのは政治学者の野中尚人・学習院大学教授だった(本紙昨年5月13日)。

 主権者である国民の「代表」と規定される国会議員と内閣との関係に着目したのは木村さんだ。内閣が国会で解散理由をきちんと説明する手続きがなかったことが、解散権を制限する慣行が形成されてこなかった一因だと指摘する。

 実際、安倍晋三首相は25日、解散理由を記者会見で説明した。他方、国会では「冒頭」で解散を行い、議員たちに説明したり国会での審議に臨んだりする手続きはしない考えだ。

 木村さんは、解散をする場合には内閣が衆院で解散の理由を説明し、それについての国会審議を行う、と法律で定める方法を提唱する。

 「不当な解散でないかどうかを議員が吟味でき、その議論が有権者の判断材料にもなる。内閣が持つ権限とは、公共の利益を実現するために主権者から負託されたものであり、与党のために使っていいものではない。解散権もその一つだ」

 (編集委員・塩倉裕)


 ◆キーワード

 <「内閣(首相)の解散権」と憲法> 憲法7条は天皇の国事行為を定めており、それには「衆議院を解散すること」が含まれている。同条には「天皇は、内閣の助言と承認により」国事行為を行うとの記述もあり、これを根拠に内閣(ひいては首相1人)には解散権がある、とする解釈が実務的に定着してきた。このほか憲法69条は、衆議院で内閣不信任決議案が可決されたときなどの選択肢として、衆院の解散を記している。

*********憲法*******

第七条  天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一  憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

二  国会を召集すること。

三  衆議院を解散すること。

四  国会議員の総選挙の施行を公示すること。

五  国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

六  大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。

七  栄典を授与すること。

八  批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。

九  外国の大使及び公使を接受すること。

十  儀式を行ふこと。

第六十九条  内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
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公文書は、「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」

2017-09-25 18:25:21 | シチズンシップ教育
 公文書管理は、区政でも大事なことと考えています。

 本日、朝日新聞社説でも掲載されていました。

 ご参考までに。

**********************************
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13149965.html

(社説)公文書管理 法の原点に立ち返れ

2017年9月25日05時00分



 公の文書をどう管理し、国民に対する説明責任を果たすか。近づく衆院選でも、しっかり議論すべきテーマである。

 政府が先ごろ管理方法の見直し策を示した。だが森友・加計学園問題やPKO日報の隠蔽(いんぺい)で明らかになった、ずさんな取り扱いを改めさせることに、どこまでつながるだろうか。

 内閣官房の検討チームが打ち出した柱の一つは、政策立案や事業の実施に「影響を及ぼす打ち合わせ」については、相手が行政機関か民間かを問わず、文書を作成するというものだ。

 当然の話だ。作らなくても問題にならない現状がおかしい。だが、打ち合わせた相手の発言を記録する際は、できるだけその相手に内容を確認するとした点には疑問がある。政府の狙いが透けて見えるからだ。

 加計学園の獣医学部新設をめぐり、文科省には、内閣府から「(開学時期は)総理のご意向だ」と伝えられたとする文書などが残っていた。検討チームの方針にそのまま従えば、こうした発言は確認を拒まれ、当たり障りのない「きれいな記録」しか作られなくなるだろう。

 相手の確認を必要とする理由は「正確性の確保」だという。だが求められる正確性とは、省庁間の意見の違いや政治家の指示など、意思決定過程をありのまま残すことだ。加計問題の教訓をとり違え、悪用し、真相を隠す方向に働きかねないルールを設けるべきではない。

 これとは別に、有識者でつくる内閣府の公文書管理委員会も文書管理に関するガイドラインの改訂にとり組んでいる。

 森友問題で財務省が、国有地の売却記録を「保存期間1年未満」に分類し廃棄したと説明したことなどを受け、役所に勝手をさせず、保存範囲を広げる方向で議論は進んでいる。

 それでも、長期保存の要件とされる「重要」「異例」などを判断するのは官僚だ。自分らに都合よく解釈して廃棄してしまうおそれは消えない。また、時間が経ち、政策が動き出したところで重要性が認識されても、それまでの記録は処分済みという事態も考えられる。

 多くの文書が電子化され、紙に比べてコストがかからないことを踏まえ、長期保存を原則とする。重要か否かの判断を役所任せにせず、第三者の専門家や国民の意見を聞く――。そんな方策も考えてはどうか。

 何より大事なのは公務員の自覚だ。公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と定める法の趣旨を、いま一度かみしめるべきだ。
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2017年9月24日午後8時過ぎ、月島三丁目内での消防車複数台出動の件。無事、大火なし。

2017-09-24 21:31:08 | 防災・減災

 2017年9月24日午後8時過ぎ、けたたましく消防車がクリニックの近くを何台も通過。

 嫌な予感がして、クリニック非常階段から、周辺を見ても煙は見えず。

 クリニックからは、一区画離れたところに消防車が6-7台止まっていたため、消防団の服に着替え、急きょ現場へ。

 低層マンションの一室で、警報が作動。

 幸い、水を出すまでもなく、ぼや程度でおさまったとのことでした。

 写真は、解散後の現場の様子。

 

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小坂クリニック(中央区月島三丁目30-3 ℡03-5547-1191)9/23(祝、土)、9/24(日)の連休は、午前中、急病対応致します。

2017-09-22 23:00:00 | 日程、行事のお知らせ

いよいよ、運動会が始まる学校もあるのではないでしょうか。
9/23、9/24の週末は、天気が気になるところです。

ヘルパンギーナや手足口病などの夏の風邪は、だいぶん落ち着きを見せているようです。
ぜいぜい、咳の風邪の子や、おなかの風邪の子が散見されます。

以下、連休の急病対応のお知らせと時間変更のお知らせをさせていただきます。

〇9/23(祝、土)、9/24(日)は、午前中、急病対応致しますので、お早めにご受診下さい。

〇9月25日(月)午前 通常通り/ 午後 休診

〇9月26日(火)午前 通常通り/ 午後 5:45~6:30

*10月は、決算特別委員会出席のため、診療時間が大幅に変更になります。
あらためて、お知らせをさせていただきます。

ご迷惑をおかけいたしますが、どうかよろしくお願い申し上げます。

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月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業に関する予算執行の差止めの住民監査請求 中央区監査事務局に私が提出した陳述書面H29.9.21

2017-09-21 23:00:00 | 月島三丁目南地区第一種市街地再開発問題

 陳 述 書

 

平成29年9月21日

 

中央区監査委員 御中         


医療法人小坂成育会こども元気クリニック 理事長

中央区議会議員

氏  名      小 坂 和 輝          

 私は、本事業の施行区域内(月島三丁目30-3)でビルを3フロアー賃借し、病児保育併設の小児科クリニックを経営すると共に、隣のビル(月島三丁目30-4)1階フロアーの子育て支援広場「あすなろの木」を支援するものです。「月島三丁目地区地区計画」区域内の権利者でもあります。中央区議会議員の負託も受けています。

 本事業は、諸問題が解決されることなく、都市計画手続きを中央区が進める状況にあり、今回の住民監査請求により、差止めをすることを求めます。

 以下、理由を述べます。

 

1、予算執行を差止めすべき最大の理由:住民の合意形成が不十分なまま進められていることについて

 第一種市街地再開発事業の施行区域の同意率が9割に満たない状態で、中央区ではいままで都市計画の手続きを進めることはなかった。

 この地域でも、権利者103名中82名が「同意書」(資料8左側ページ)を提出しているところであったが(同意率79.6%)、本事業について疑問を抱き、同意書を撤回(資料8右側ページ)するかたが4名出てきている(同意率75.7%に低下)。

 すなわち、今回の月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業においては、施行区域内の権利者の同意率は現段階で75であり(平成29年9月12日開催の環境建設委員会でも確認、資料1(①頁)の権利者の状況に加筆)、住民の合意形成が不十分なまま、平成29年9月20日に原案説明会を開催し(資料17)、同月21日から原案の公告縦覧を開始するなど中央区は、都市計画の手続きを始めている。
 75分で都市計画の手続きを開始することは、再開発事業における9割以上の同意率で開始するという今までの中央区のまちづくり行政における慣例に反している

 本事業に潜む諸問題を解決し、住民の合意形成を得るまでは、本事業の都市計画の手続きを進めるべきではないと考え、この差止めの住民監査請求をするに至った。

 加えて、昨日開催の原案説明会を、中央区は、都市計画法16条2項に根拠をおき、権利者のみを対象に開催した。都市計画法16条1項及び国土交通省による「都市計画運用指針」において、広く住民に開かれた説明会・公聴会を開催すべきことが示されているにもかかわらず、中央区の姿勢自体が、計画の早期の段階から、住民の合意形成を広く得ようとする姿勢にはない(資料13、⑮頁)。


2、そもそも、本事業が、都市再開発法3条の4つの要件(資料14、⑯頁)に該当せず、違法なことについて

(1)特に、三号要件について(資料14、⑰頁)

 この地域(三丁目27番、28番、29番、30番)は、都市再開発法3条の4つの要件、特に三号要件「土地の利用状況が著しく不健全」、少なくとも「著しく」に合致していない。

 三号要件の条文解釈については、『逐条解説 都市再開発法解説』(資料14、⑰頁)によると、三号では、①当該区域内に十分な公共施設としての広場や道路がないことや、②当該区域内の土地の利用が細分化されており各戸ばらばらに建て替えられない状況などの場合を例示として、「土地の利用状況が著しく不健全」としていると解される。

①資料5(⑦頁)に施行区域の地図を見てわかる通り、広場や道路については、A敷地では、施行区域全体を、都道(清澄通り)を含め道路が四方を取り囲み、かつ、敷地内に4本の路地が通っており、歩行空間は、十分ある。当該区域に隣接する2715号には、2,282㎡の公開空地があり、清澄通りを挟んで月島第一小学校もあり広場も十分にある地域である。よって、公共施設がないとは解されない。

②土地の利用が細分化されていることについても、地区内では既に、敷地面積が50㎡を超える建物が、107ある建物中、3734.5%)存在し、建物面積が50㎡を超える建物(⑥頁左、建物番号21214262728373839434551718586878990100103105)は、2119.6%)存在する。細分化した土地の状況においても、現行「月島三丁目地区地区計画」の制度の中で、当該区域内で個別建て替えがなされ、現在、「建築基準法第2条第9号の2」に規定する耐火建築物の割合は、約4に達し(⑥頁右)、建物の耐用年数が2/3以下の建物は、建築面積で85%、敷地面積で84%であり(⑥頁右、ロ)、逆に言えば、耐用年数を超え、喫緊の更新の必要な建物は、建築面積で15%、敷地面積で16%に過ぎない。個別建て替えが著しく難しい状況は生まれておらず、土地の利用の細分化の点でも、3号要件に該当していない。

 そして、当該区域の建物内には、35の事業者が、多種多様な事業を展開し、街の賑わいを作り出しており、「土地の利用状況が著しく不健全」であると判断はなしえない。


(2)先行して都市計画決定すべき1号要件の「高度利用地区」について

「高度利用地区」が先行して都市計画決定されている地域であることが、1号要件である(資料14、右側、図5、⑯頁)。その「高度利用地区」の指定の要件も、「土地の利用状況が著しく不健全」であることが入っているが、上述の如く、この地域には該当しないため、「高度利用地区」指定の要件もまた、欠けることとなる。

3、本事業の手続きにおいて重大な瑕疵があることについて

(1)副区長がなした予算特別委員会における虚偽答弁

 平成29年3月16日に中央区作成した資料(資料1、①頁)と、昨日の都市計画原案説明会で配布された資料17の21ページ上段を見比べていただきたい。まったく同じ「計画概要」の図面である。

 私は、平成29年3月22日に予算特別委員会において、本事業に平成29年度に計上されている予算1億5千8百万円の内容を調査するために、都市計画の案の前段階のようなものでも構わないので、提出するように中央区に要求したが、吉田副区長は、「絵がまとまっていないから、示しようがない」と答弁をしているが、原案の説明会で使用できるほどの計画概要を既に持っていながら、「ない」と答弁することは、明らかに虚偽の答弁である。

 虚偽の答弁を用い資料の存在自体を否定し、資料1(①頁)のような本事業について説明する資料を議会に提出することなく、結果、議会に本事業の予算について白紙委任を強いたことは、議会への冒涜であるし、「中央区基本条例4条3項まちづくりに関する必要な情報を区民に提供する区の責務」(資料12、⑭頁)にも明らかに反している。

 今後、中央区がまちづくりの情報を適切に区民に提供して、開かれた場でまちづくりが議論されることを担保していくためにも、虚偽答弁を用いた重大な手続きの瑕疵を看過することは許されない。

 なお、私は、議員として本事業も含め平成29年度予算案に賛成をしながら、住民監査請求をする理由は、ここにある。

(2)持ち回り決議が「月島地区密集市街地総合防災協議会」規約違反であること

 本事業の予算において、国への補助金申請をするに当たり、本事業を「密集市街地総合防災計画」に位置づける必要があった。

 防災計画に変更を加えるという重要な決議を、持ち回り決議で済ますこと自体許されるわけではない。中央区は、平成28年度中の申請に間に合わせるために、平成29年4月3日に持ち回り決議をしたというが、果たして新年度に入ってからの決議が、旧年度の申請に遡ることが可能かはなはだ疑問である。国への補助金申請は、年度内でいつでも可能であり、また、申請後1ヶ月で処理される運用であることからすると、時間的な余裕は十分あり、持ち回り決議をしなければならない「やむを得ない」理由も存在しない。

 従って、明らかに規約4条2項、3項に反する。

 また、平成28年度末に国へ申請する本事業の計画があるなら、前述の同時期開催の予算特別委員会にも、本事業の計画を中央区議会へ提出できたはずであり、副区長の虚偽答弁を裏付ける証拠にもなる。

 本事業には、このように重大な手続きの違反であり、予算執行をなすべき事業ではない。


4、本事業は、まちづくりの民主的な手続きに反している

 借家人や住民の意見を反映してまちづくりを行うと準備組合は、前身の「協議会」で約束(資料6、⑧頁左)したが、それを果たすことなく、都市計画原案説明会を迎えている状況にある。一時期まで、周辺住民にも情報が出されていたが、理事長が交代してからは、まちづくりの情報が住民と共有されることはなく、借家人や住民は、当該地区のまちづくりの蚊帳の外におかれた

 権利者の一部のものだけで超高層の計画を作り、なんらの意見を反映させる機会を持つことなく、借家人や住民が、本計画を聞かされたのは、平成29年4月27日と同年5月7日の住民説明会の場であった。

 両日の住民説明会の「説明会開催報告書」(資料7、⑧頁右)では、住民説明会において、約束違反であることの意見や、本事業の中止を求める意見が出されたが、「参加者からの意見・要望等の内容」で記載から省かれている。住民の貴重な意見を恣意的に取捨選択し、中央区に伝える準備組合の姿勢が見られる。

 開かれた場での、まちづくりの議論がなされていないため、一度、本事業を差止め、住民の合意形成を得る時間をつくる必要がある。

 また、住民との約束を反故にしたり、都合の悪い情報は、出さないようにする準備組合の姿勢からは、今後、本事業に参加する住民との約束・契約を守れるか不安をぬぐい切れない。

5、地域コミュニティを守る月島の再生の検討について

 この地域の課題を解決するために、「このような超高層のマンション建設が必要か?」という疑問が、住民の抱く印象である。

 本事業により、風害が月島第一小学校まで拡大し(資料2、②頁)、広範な日影被害も生じ(資料3、3頁、④頁)、周辺住民の健康な生活を害することになる。

 今後、中央区の人口が減少することや(資料9、⑩頁)、月島地区に、類似の大規模再開発が、オリンピック選手村跡地含め13事業控えていることからすると(資料10、⑪頁、⑫頁)、高額な管理費や修繕積立金の負担なども慎重に考慮して、本事業の採算性の検討も必要である。昨日の原案説明における質疑応答でも、本事業に参加する住民の資産形成に関する質問に中央区からの有効な回答は得られなかった。本事業に参加する住民のかたが幸せになる保証はない。

 路地裏には、緑の風景や、コミュニケーションの場がある(資料16)。

 そして、現在、この地域には、失ってはならない、地域のコミュニティの力が存在している。その力は、例えば、認知症のかたの高齢者を見守ることに役立てられている。超高層では、見守ることができない。

 少なくとも、現行「月島三丁目地区地区計画」に従い、個別更新をする努力をされてきた方を施行区域から除くなど、規模を縮小して施行区域の設定を再検討することも必要である(資料15、⑱頁)。

 大切な地域コミュニティを守るためにも、一度立ち止まり、まちづくりの民主的な手続きの下、月島の再生を考える必要があり、本事業を監査し、請求通りの措置を行うことを求める。

以上

 

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【月島再開発問題】第18号:大変残念に終わった中央区主催の「月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業」に関する「原案」説明会H29.9.20

2017-09-20 23:00:00 | 月島三丁目南地区第一種市街地再開発問題

 9月20日中央区主催で開催されたこの地区の超高層再開発計画に関する原案説明会にご参加されたかたは、中央区の説明責任を果たす姿勢について、たいへん残念に感じられたのではないでしょうか。住民の皆様から、まだ、たくさんの質問が残っていたにも関わらず、会場が午後8時までという理由で(実際は午後10時まで使用が可能な場所です。)、途中で打ち切り、あとは、準備組合に聞いて下さいと説明をすることからも逃避してしまいました。
 大切な土地・家屋の資産が、超高層再開発によってどうなっていくのか、参加された住民のかたから、詳細な分析による資料を用いた質問がなされましたが、中央区はその質問にも十分な回答をなしたとは言えません。
 そもそも、土地や家屋を売る場合に、売るということが先に決まり、契約の撤回ができないときになってから、値段が決まるというようなことはありえません(民法555条参照)。

***********************
【民法】
第五百五十五条(売買)  売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
***********************

 しかし、地権者の皆様は、「都市計画の手続きに関する同意書」を出すことで、財産権を相手方に移転することを約束している一方、準備組合は、その詳細な事業計画の見積もりをもっているにも関わらず、皆様への提示は未だになされていません。来年2月に中央区長により都市計画決定がなされてしまうと、計画の内容や手続きに重大な違法がない限り後戻りができません。そのような状況で、初めて、代金が明らかにされるのです。嫌だといっても後の祭りです。再開発の仕組みは、行政代執行法に基づき強制的に追い出す力を持っています(都市再開発法第98条)。
 だからこそ、再開発は、普通の売買契約以上に、丁寧な説明が求められますが、今回の原案説明会も含め、それがなされていないところが、当地区の重大な問題点です。

 現在、同意書の撤回をされるかたが出て来られています。今一度、この計画について立ち止まって考えるべきではないでしょうか。中央区の今までの慣例では同意率は9割以上であり、7割5分という低いままで都市計画手続きを進めることはありえませんでした。何を急いでいるのか甚だ疑問です。

 なお、私が、原案説明会で質問したことは、そもそもこの超高層計画は、都市再開発法に反して違法であるということでした。現在、この再開発に関わる予算執行を差し止める「住民監査請求」がなされています(全文は、⇒http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/cda3b6b34f06be790ed1c3a51baba4cf)。9月21日には、私を含め3人の住民と弁護士が中央区監査委員に「陳述」を行いました。

***********************
住民監査請求提出時の記者会見
弁護士からの説明:https://youtu.be/VbzLBTcofn4  

記者からの質疑応答:https://youtu.be/isbUt_J6RlI
***********************

 地域の課題があるにしても、その課題を解決するために「なぜ、190m50階建ての超高層マンションが必要なのか?」と多くのかたが疑問に感じられます。その皆様が抱かれる感覚は、賑わいや豊かな地域コミュニティが既に息づく月島のこの地区の土地利用のあり方を、「著しく不健全」(都市再開発法第3条3号)とみなして超高層計画が進められていることにも起因していると私は考えます。この地区は、現行「月島三丁目地区地区計画」のもと、地権者の皆様がご努力されて共同建替えや個別建替えが行われて参りました。地権者の皆様のご努力を顧みれば、土地利用のありかたが「著しく不健全」とは到底言えないと考えます。皆様の思い入れのあるお住まいが、違法な計画で取り壊されるようなことがあっては決してなりません。

***********************
【都市再開発法】(第三条三号のみ抜粋)
第三条(第一種市街地再開発事業の施行区域)
三  当該区域内に十分な公共施設がないこと、当該区域内の土地の利用が細分されていること等により、当該区域内の土地の利用状況が著しく不健全であること。
***********************

 25日には、勉強会を開催致します。お気軽にご参加下さい。

        記

第11・12回「愛する月島を守る会」 勉強会

日時:平成29年9月25日/10月2日(月)19時~
場所:あすなろの木(月島三丁目30-4飯島ビル1F)
テーマ:月島の再生のあり方を、話し合います。

以上

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【月島再開発問題】第17号 明日、9月20日(水)18時半 中央区主催による『月島三丁目南地区再開発計画』の原案説明会開催。ぜひ、ご参加し、ご意見を中央区に届けて下さい!

2017-09-19 13:17:22 | 月島三丁目南地区第一種市街地再開発問題

 この再開発について本年5月に事業者による住民説明会が、突然実施されて以降、超高層再開発の是非についての問題意識が広がっています。中止を求める「請願」が賛同者160名、予算執行差止めの「住民監査請求」が賛同者82名にのぼり、現在、中止を求める「署名」が実施中です。
 また、地権者の間でも一度は提出した「同意書」を撤回されるかたが現れ、同意率は7割5分で、都市計画の手続きを進めるのに必要な9割にほど遠い状況です。

 「そもそも、そこまで巨大な超高層マンション建設が必要か?」と誰もがまず首を傾げられますように、高さ190m50階建て750戸の超高層分譲マンション建設の性格を持つ本事業には様々な問題点があります。このまま進めて行って本当によいのかどうか大いに疑問です。顔の見える月島の地域コミュニティーや下町月島の生活景が消滅してしまう危機感をさえ感じます。

 さて、この再開発に係る都市計画原案「月島三丁目地区地区計画の変更」を、住民や利害関係人に説明する都市計画法第16条1項(下記条文参照)に基づく説明会が、9月20日(水)に中央区主催で開催されます。

 中央区からの説明の後、質疑応答の時間が設けられます。この機会をご利用されて、本事業に対するご意見・ご要望や疑問点を、中央区にお届け下さい。

 対象者は、都市計画法上、権利者に限定されておらず、広く住民に開かれた会となっています。


             記

日時:平成29年9月20日(水)午後6時30分~
場所: 月島区民センター1階会議室(月島4丁目1-1)

意見書について:
 意見書の提出を中央区は受け付けています。〆切10月11日(水)(消印有効)までの期間内に、都市整備部地域整備課まで、郵送あるいはご持参下さい。
 「このような超高層の再開発を行うべきではない」というお考えのかたに、下記のようなフォーマット案をご準備致しました。
 中央区にご意見をお届けする際、ご活用下さい。
 意見書提出の詳細は、中央区ホームページへ⇒ http://www.city.chuo.lg.jp/kankyo/keikaku/kokoku/tsukishimasantyoume_minami170907.html
 意見書提出の資格について中央区の説明をそのまま抜粋いたします。⇒「月島三丁目地区地区計画区域内の土地の所有者及び都市計画法施行令第10条の4に規定する利害関係を有する方は、意見書を提出することができます。」

参照:都市計画法
(公聴会の開催等)
第16条  都道府県又は市町村は、次項の規定による場合を除くほか、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
(2項以下、略)




****再開発計画 原案に反対の意見書をご提出される場合のフォーマット案*****

「月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業」に係る都市計画原案について反対の意見書

〒104-8404
東京都中央区築地1-1-1
中央区役所5階

都市整備部
地域整備課 御中


             住所:

             氏名:            印


 私は、この再開発事業に係る都市計画原案「月島三丁目地区地区計画の変更」について反対の意見書を提出致します。

 ご検討を、よろしくお願い申し上げます。

意見の内容:














 従いまして、原案に反対です。

 私は、月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業に係る「月島三丁目地区地区計画の変更」を行わないことを求めます。

以上

*****************************

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次回の「愛する月島を守る会ー月島再開発問題と月島の再生を考えるー」の勉強会は、来週月曜日25日の夜に、あすなろの木(月島三丁目30-4)で、開催を致します。

2017-09-18 23:00:00 | 月島三丁目南地区第一種市街地再開発問題
 次回、第11回勉強会について

 次回の「愛する月島を守る会ー月島再開発問題と月島の再生を考えるー」の勉強会は、来週月曜日の夜に、いつもの会場で、開催を致します。

 ご関心のある方は、お気軽に足をお運びください。

     記

日時 9月25日(月)午後7時00分~午後9時00分

場所 みんなの子育てひろば あすなろの木
    東京都中央区月島3-30-4飯島ビル1階
    問い合わせ 03-5547-1191

以上
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月島三丁目南地区再開発に係る予算執行を差止める「住民監査請求」について中央区監査委員に、私たち住民の側から説明する陳述の機会(公開)9月21日開催

2017-09-17 23:00:00 | 月島三丁目南地区第一種市街地再開発問題

 8月29日に月島三丁目南地区に係る予算執行を差し止める「住民監査請求」について中央区監査委員に、私たち住民の側からその内容を説明する陳述の機会が設けられました。

 公開となっておりますので、ご関心のあられるかたは、傍聴に足をお運びください。



   記

日時 9月21日(木)午後3時30分~4時00分

場所 中央区役所 別館6階 A会議室

傍聴受付時間 同日 午後2時40分~午後3時00分
傍聴受付場所 中央区役所 別館4階 会議室
傍聴定員 10名


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日本橋の高速「地下化せず、壊しちまうのが一番いい」 地元重鎮が語る未来  細田安兵衛氏

2017-09-14 09:43:01 | 街づくり

 日本橋の高速 地下化の話は、中央区でも重要課題です。

 名橋「日本橋」保存会副会長 細田安兵衛氏が、貴重なコメントを届けて下さっています。

 地下化するにしろ、有効な手法を提案していく必要があります。

*******************
http://www.msn.com/ja-jp/money/news/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e6%a9%8b%e3%81%ae%e9%ab%98%e9%80%9f%e3%80%8c%e5%9c%b0%e4%b8%8b%e5%8c%96%e3%81%9b%e3%81%9a%e3%80%81%e5%a3%8a%e3%81%97%e3%81%a1%e3%81%be%e3%81%86%e3%81%ae%e3%81%8c%e4%b8%80%e7%95%aa%e3%81%84%e3%81%84%e3%80%8d-%e5%9c%b0%e5%85%83%e9%87%8d%e9%8e%ae%e3%81%8c%e8%aa%9e%e3%82%8b%e6%9c%aa%e6%9d%a5/ar-AArFNKu?ocid=sf#page=1 


日本橋の高速「地下化せず、壊しちまうのが一番いい」 地元重鎮が語る未来

細田安兵衛 氏

 1927年8月、東京・日本橋生まれ。50年慶大経卒業後、栄太楼総本舗に入社。71年社長、95年会長、2000年から相談役。全国和菓子協会名誉顧問、全国観光土産品連盟特別顧問などを務めるほか、日本橋の保存活動を目的とした名橋「日本橋」保存会の副会長に就いている。日本橋の再開発計画を検討する地元の各種協議会にも副会長などの立場で関わっている。

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いよいよ、中央区に子ども発達支援センター(児童福祉法43条1号)ができます(H30.4月)!その根拠条例を制定する大切な議会が、この9月第三回定例会です。

2017-09-13 23:00:00 | 子育て・子育ち

 いよいよ、中央区に子ども発達支援センター(福祉型児童発達支援センター:児童福祉法43条1号)ができます!H30年4月開設です。

 今までも、その内容の充実を質疑して参りました。以下には、昨年度の予算特別委員会の議論の一部を抜粋します。

 発達と言う字は、広い意味の「発達」です。すべての子ども達の健やかな発達を、叶えて参ります。
 言うまでもなく、医療的ケア児もご利用できるし、すでにあった福祉センターでの療育もご利用がなされてきました。
 非常勤の看護師も配置予定とのことです。

 子ども発達支援センターの根拠条例を制定する大切な議会が、この9月第三回定例会です。

 児童福祉法の根拠条文は以下。

***********児童福祉法******************

第六条の二の二  この法律で、障害児通所支援とは、児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス及び保育所等訪問支援をいい、障害児通所支援事業とは、障害児通所支援を行う事業をいう。

○2  この法律で、児童発達支援とは、障害児につき、児童発達支援センターその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。

○3  この法律で、医療型児童発達支援とは、上肢、下肢又は体幹の機能の障害(以下「肢体不自由」という。)のある児童につき、医療型児童発達支援センター又は独立行政法人国立病院機構若しくは国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターの設置する医療機関であつて厚生労働大臣が指定するもの(以下「指定発達支援医療機関」という。)に通わせ、児童発達支援及び治療を行うことをいう。

(4項以下略)

第四十三条    児童発達支援センターは、次の各号に掲げる区分に応じ、障害児を日々保護者の下から通わせて、当該各号に定める支援を提供することを目的とする施設とする。
一   福祉型児童発達支援センター 日常生活における基本的動作の指導、独立自活に必要な知識技能の付与又は集団生活への適応のための訓練

二   医療型児童発達支援センター 日常生活における基本的動作の指導、独立自活に必要な知識技能の付与又は集団生活への適応のための訓練及び治療



*****一年前の平成28年度予算特別委員会H28.3.16***************

http://www.kugikai.city.chuo.lg.jp/kaigiroku.cgi/h28/yosan20160316.html

〇小坂予算特別委員会委員
 4点目は、子ども発達支援センターの整備ということが話題に上ってまいりました。大変期待するところですけれども、発達という用語に関しては、狭い意味では医学的用語である発達障害というところからの発達なのか、子供が生まれ、成長して大人になるという全過程を通じた広義での発達を捉えての意味なのか、どちらを考えての子ども発達支援センターなのか、教えていただければと思います。あわせて、基幹相談支援センターとか子ども発達支援センターでは、相談について、土曜日とか日曜日の相談も受けることが可能なのかどうか、あわせて教えていただければと思います。


〇北澤福祉センター所長
 子ども発達支援センターに関してのお尋ねでございます。

 発達ということに関しての意味ということでございますけれども、本区におきましては、子ども発達支援センターを立ち上げるに当たりまして、昨日も申し上げましたが、中央区自立支援協議会の小部会として、子ども発達支援のあり方検討部会という部会を立ち上げまして、その中で子ども発達支援センターにどのような機能を持たせるかというところを検討しているところでございます。その中で、相談体制を整備するに当たっては、障害のあるなしにかかわらず、育ちに何らかの支援を必要とするお子さんに対して支援をしていく、発達に関して何らかの心配のあるお子さんに関して気軽に相談できる場所であることが必要ではないかというような話が出ておりますので、そういった形で、広い意味での発達というふうに捉えて考えております。

 また、土日の相談ということですけれども、今現在、子ども発達支援センターの今後の予定といたしましては、来年度設計をして、平成29年度に工事を行いまして、実際に開設という形になりますのは平成30年度を予定しております。それまでに具体的な体制の整備、相談の日にちですとか、そういった細かい部分はそれまでに検討していきたいというふうに考えてございますので、まだ具体的には決まっていないところでございます。

 以上でございます。

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月島再開発問題第16号:環境建設委員会ご報告 / 9月20日中央区主催原案説明会に是非ご出席を!

2017-09-12 23:00:00 | 月島三丁目南地区第一種市街地再開発問題

 最初に、『「月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業」を中止したうえで、地域コミュニティーを守る月島再生の検討を求める請願』(賛同者160名、同日現在)が9月12日開催の中央区議会環境建設委員会において多数決の結果、不採択となってしまいましたことを心からお詫び申し上げます。
 力不足を反省すると共に、ここに審議の経過をご報告させていただきます。
 請願審議を通じ明らかになった問題点は、今後、本事業の予算を執行させてはならないとして8月29日に提起した「差止めの住民監査請求」の議論や引き続きのまちづくり施策の議論の中で生かして参る所存です。9月21日には、住民監査請求の手続きの一環として中央区監査委員に陳述(傍聴、可)を行います。
 これからが始まりであって、皆様と一緒に、地域の課題を解決しつつ、コミュニティーを守る月島の再生を実現して参りたいと考えます。絶対に壊してはならない大切なコミュニティーがこの地区にあります。

【1】9月12日中央区議会環境建設委員会のご報告
(1)9割からは程遠い7割5分の本事業への同意率
 請願審議の中で、最大の論点が、本事業に対する合意形成が不十分であることでした。
本事業の「都市計画手続きに関する同意書」について、その同意書を撤回するための書面を中央区に提出したい旨の複数の地権者からのお申し出をいただいております。103名中82名の同意書を提出された地権者が当初おられましたが(同意率79.6%)、現段階で4名の方が同意書を撤回されたため78名、75.7%へと同意率が低下してきている状況です。中央区の慣例では、9割の同意率で再開発事業を進めてきたところ、このまま本事業の都市計画手続きを進めることは、今までの慣例を破る行為であり、まさに住民の合意形成のなきまま本事業を見切り発車させることとなります。
4分の1近くの地権者の方が同意をしていない状況で本当に事業を進めてよいのでしょうか。吉田副区長が委員会で述べた理由は、4分の3の多数者の同意という多数決原理でした。
 再開発事業は、基本的には侵されてはならない本人の土地・建物という大切な財産を、嫌が応でも取り上げるという絶対的な強制力を生み出す仕組みであり、本来多数決で決めてはならないものです。だからこそ、都市計画手続きの始まりの段階で、9割以上の高い同意率が求められるという慣例をいままで中央区も守り続けてきました。
 また、地権者と事業者との間に情報力や交渉力の著しい格差が、再開発の複雑な制度ゆえに存在しています。事業者から、十分な説明がなされて初めて自己決定が可能になり、なされた同意が意味をもつと考えます。考え直して同意を撤回される人が、現時点で出ていることからすると、過去によくわからずに同意がなされたかたも多いのではないか、同意の有効性自体が疑わしいのではないかと考えます。

(2)同日の請願審議で指摘された問題点①~⑨
同意率の低下以外にも、委員会で指摘された本事業の問題点は、細部に渡りますが、

①最も日影被害が生じるところへ保育園を計画しており変更すべき点、

②風洞実験においてすでに風害の悪化が認められており近隣にある月島第一小学校の学校生活等に懸念が生じる点、

③たとえ「参加組合員制度」で保留床処分ができたとしても(これ自体も難しいと思いますが)、その先には、修繕積立金問題などが生じ超高層マンションの資金運営に支障を来しうる点、

④国への「密集市街地総合防災事業補助金」申請を平成28年度内に間に合わせるべき事がらについて、本年度に入って持ち回り決議がなされたことが時間的に遡りが許されない点(合わせて言うなら、本事業について、国へ報告する本事業の計画案はある一方で、同時期開催中の中央区議会予算特別委員会に報告する計画案はないとすることの中央区の説明の矛盾)、

⑤8月24日開催「月島地区まちづくり協議会」配布資料3頁において、都市計画原案説明会に参加できる対象者が「権利者」と限定をし、住民を排除した記載をしており都市計画法第16条1項(下記条文参照)の趣旨に反している点、


⑥再開発が許される地区であるためには、「高度利用地区」について、まず先に地区計画変更される必要がある点、

⑦再開発を行うための都市再開発法3条の4つの要件が満たされていない点、特に、この地区には既に賑わいが形成されており「土地の利用状況が著しく不健全である」とは言えないため第3号要件に合致していない点、

⑧4/27・5/7開催の住民説明会について準備組合作成による中央区への報告書記載の事実が、説明会で実際に出された住民からの意見を誠実に反映していない点、

⑨超高層には、先日のNHKの報道でもあったように、直下型大地震による「長周期パルス」で大規模損傷を来すなど防災面の脆弱性につき解決すべき多くの問題がある点など、


本事業について、さらに審議を深めるべき問題が山積され請願の継続審議がなされるべきことが明白でした。


それらについて、中央区から回答がなされていないにも関わらず、吉田副区長は「すでに答弁済みである」として回答を拒否。その後、継続審査とすることなく採決がなされ、不採択に終わりました。

 他党議員から、本事業についての賛成・反対を含めた地区内の皆様の多数の生の声が匿名でご紹介されたことからも、それら声が多様である以上は、本事業の都市計画手続きを急ぐのではなく、請願の審議継続をしつつ、住民の合意形成を図って行くべきであったと考えます。



【2】中央区主催、住民説明会開催。ご参加を
 本事業の都市計画原案を、中央区が住民や利害関係人に説明する都市計画法16条1項に基づく説明会が、来週開催されます。
 中央区からの説明の後、質疑応答や意見を述べる時間が設けられます。ぜひ、この機会を利用して、本事業に対する疑問点、問題点を、中央区に届けて下さい。
 なお、対象者は、都市計画法上、権利者に限定されておらず、広く住民に開かれた会となっています。

     記

日時:平成29年9月20日(水)午後6時30分~

場所: 月島区民センター1階会議室(月島4丁目1-1)


参照条文:都市計画法
(公聴会の開催等)
第十六条  都道府県又は市町村は、次項の規定による場合を除くほか、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。                                  (以下、略)

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地域のプロが子ども達に授業!みんなの子育てひろば“あすなろの木”恒例行事、第13回『学びの宝箱』9月16日(土)開催!申込み〆切14日まで。

2017-09-08 23:00:00 | 教育

 当院も支援をしている子育て広場の毎年恒例の行事。

 第13回 学びの宝箱

 地域のプロフェッショナルが、小中学生や子ども達に授業や体験の場を提供します。

 参加申込みは、9月14日(木)までです!

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おたふく風邪について;抗ウイルス薬がなく、現在取り得る最も有効な感染予防法は、ワクチン接種です。おたふく合併症の難聴を防ぐためにも、お忘れなく。

2017-09-07 23:00:00 | 小児医療

 おたふく風邪について、詳しく書かれている国立感染症研究所の先生による文献です。

 インフルエンザのように抗ウイルス薬がなく、文献にもありますように、「集団生活に入る前にワクチンで予防して おくことが、現在取り得る最も有効な感染予防法」です。

 中央区は、ワクチンによる予防の重要性を認識し、一部接種費用の助成券を出すようにしています。
 中央区のご努力にも感謝しつつ、この予防接種も定期の予防接種に組み込まれるべきものであるという思いも込めて、当院では、その助成券のあるかたには、無料接種の対応を致しております。

 おたふく風邪の合併症のひとつ難聴も、ワクチンにより防いで行きたいと考えます。
 耳鼻科の先生の統計では、おたふく風邪にかかった子の1000人に一人は、難聴になると言われています。高い確率です。http://www.jibika.or.jp/members/jynews/info_otafuku.pdf
 また、先日の報道でもあったように、その難聴の程度も重度であるとのことです。http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/936210602f7fd79fe7b5142b601a8e34

 おとなのかたも、かかると重いし、難聴もやはり起こりうるので、予防接種をされたか疑わしい方は、接種されることをお勧めします。なお、過去にかかっていたり、予防接種されていたとしても、問題はありません。当院でも、ご相談下さい。

 なお、おたふく風邪は、一年を通じ見られ、季節差はないと言われています。
 現在、ものすごくおたふくが流行っている状況ではありません。https://www0.nih.go.jp/niid/idsc/idwr/IDWR2017/idwr2017-33.pdf


*******中央区のおたふく一部助成*************
http://www.city.chuo.lg.jp/kenko/hokenzyo/sessyu/suitouotahukuitibujosei.html

対象者
1回目:満1歳から小学校就学前年度の方
2回目:小学校就学前年度の方
上記年齢で接種時に中央区内に住所を有する方


助成額
4,000円(1回につき助成)
区内実施医療機関で接種した際の費用から4,000円差し引いた額を医療機関でお支払いください。接種費用は医療機関によって異なりますので、事前にご確認ください。


助成期限
小学校就学前年度の3月末まで


接種場所
中央区内の指定医療機関

助成方法
保護者の方が、「中央区おたふくかぜワクチン接種予診票兼助成金申請委任状」(以下、予診票といいます。)を医療機関に提出することで、接種費用の助成申請等が医師会に委任されます。区への直接の助成申請等のお手続きは不要です。
「予診票」、「お知らせ」、「実施医療機関名簿」を生後11カ月に達する月に郵送しますので、予診票の委任状欄に必ず日付・保護者氏名を記入し、捺印(※スタンプ式不可、朱肉を使用してください)のうえ、区内実施医療機関にご持参ください。



*******国立感染症研究所HP****************

http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/ra/mumps/392-encyclopedia/529-mumps.html

流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)

 流行性耳下腺炎(mumps)は2~3週間の潜伏期(平均18日前後)を経て発症し、片側あるいは両側の唾液腺の腫脹を特徴とするウイルス感染症 であり、通常1~2 週間で軽快する。最も多い合併症は髄膜炎であり、その他髄膜脳炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴、膵炎などを認める場合がある。

疫 学
 流行性耳下腺炎は、5世紀にヒポクラテスがThasus島で、耳の近くが両側あるいは片側のみ腫脹する病気が流行したのを記載したのが最初であり、耳周辺の痛みを伴うこと、睾丸が腫脹することも記載されている 1)。ムンプスという名前の由来は不明であるが、ひどい耳下腺炎を起こした患者がぼそぼそ話す(mumbling speech)ことによるのではないか、と報告されている 1)。
 その後、1886 年にHirsh がこの病気は世界中に広く存在することを報告し 2)、1934年にJohnsonとGoodpasture が、この疾患の原因微生物はフィルターを通過するウイルスであると報告した 1)。
 流行性耳下腺炎は我が国でも毎年地域的な流行がみられており、1989 年の流行までは3~4年周期で増減が見られていたが、同年のMMR ワクチンの導入により、1991年にはサーベイランスが始まって以来の低い流行状況となった。その後緩やかに患者報告数が増加し、1993年にMMRワク チンが中止されたこともあって、1994年以降再び3~4 年周期での患者増加が見られるようになっている。感染症法施行以降の1999年4月~2000年12月の感染症発生動向調査から見ると、全国約3,000 の定点医療機関から、毎週1,100~4,800人程度の報告があった。2000年末より、最近10年間の当該週に比べて定点当たり報告数がかなり多い状 態が続き、2001年の全国の定点からの患者報告総数は254,711人となり、過去10年間で最多であった。しかし、2002 年には182,635
人(暫定データ)となり、減少がみられた。
 報告患者の年齢は4歳以下の占める割合が45 ~47%であり、0歳は少なく、年齢とともに増加し、4歳が最も多い。続いて5歳、3歳の順に多く、3~6歳で約60%を占めている 2)。

病原体
 本疾患の原因であるムンプスウイルスはパラミクソウイルス科のウイルスで、表面にエンベロープをかぶったマイナスセンスの1本鎖RNA ウイルスである。大きさは100 ~600nm で、主に6つの構造タンパクを有している。エンベロープには2つの糖タンパク(hemagglutinin‐neuraminidase glycoprotein、およびfusion glycoprotein )を有し、この2 つのタンパクに対する抗体が感染から宿主を防御すると言われている。

臨床症状
 本症の臨床経過は、基本的には軽症と考えられている。2~3週間の潜伏期(平均18 日前後)を経て、唾液腺の腫脹・圧痛、嚥下痛、発熱を主症状として発症し、通常1 ~2週間で軽快する。
 唾液腺腫脹は両側、あるいは片側の耳下腺にみられることがほとんどであるが、顎下腺、舌下腺にも起こることがあり、通常48時間以内にピークを認める。 接触、あるいは飛沫感染で伝搬するが、その感染力はかなり強い。ただし、感染しても症状が現れない不顕性感染もかなりみられ、30~35%とされている。 鑑別を要するものとして、他のウイルス、コクサッキーウイルス、パラインフルエンザウイルスなどによる耳下腺炎、(特発性)反復性耳下腺炎などがある。反 復性耳下腺炎は耳下腺腫脹を何度も繰り返すもので、軽度の自発痛があるが発熱を伴わないことがほとんどで、1~2 週間で自然に軽快する。流行性耳下腺炎に何度も罹患するという訴えがある際には、この可能性も考えるべきである。
 合併症としての無菌性髄膜炎は軽症と考えられてはいるものの、症状の明らかな例の約10%に出現すると推定されており 4)、Bang らはムンプス患者の62%に髄液細胞数増多がみられ、そのうち28%に中枢神経症状を伴っていたと報告している 5)。思春期以降では、男性で約20~30%に睾丸炎 4)、女性では約7%に卵巣炎を合併するとされている。また、20,000 例に1例程度に難聴を合併すると言われており、頻度は少ないが、永続的な障害となるので重要な合併症のひとつである。その他、稀ではあるが膵炎も重篤な合併症の一つである。

病原診断
 ウイルスを分離することが本疾患の最も直接的な診断方法であり、唾液からは症状出現の7日前から出現後9日頃まで 1)、髄液中からは症状出現後5~7日くらいまで分離が可能であるが、少なくとも第5病日までに検体を採取することが望ましい。
 しかしながら、ウイルス分離には時間を要するため、一般的には血清学的診断が行われる。
 これには種々の方法があるが、EIA 法にて急性期にIgM 抗体を検出するか、ペア血清でIgG 抗体価の有意な上昇にて診断される。しかし、再感染時にもIgM 抗体が検出されることがあり、初感染と再感染の鑑別にはIgG 抗体のavidity の測定が有用と報告されている 6)。また最近では、RT‐PCR 法にてウイルス遺伝子を検出することが可能となり、これによりワクチン株と野生株との鑑別も可能である。

治療・予防
 流行性耳下腺炎およびその合併症の治療は基本的に対症療法であり、発熱などに対しては鎮痛解熱剤の投与を行い、髄膜炎合併例に対しては安静に努め、脱水などがみられる症例では輸液の適応となる。
 効果的に予防するにはワクチンが唯一の方法である。有効性については、接種後の罹患調査にて、接種者での罹患は1 ~3%程度であったとする報告がある。接種後の抗体価を測定した報告では、多少の違いがあるが、概ね90%前後が有効なレベルの抗体を獲得するとされてい る。
 ワクチンの副反応としては、接種後2週間前後に軽度の耳下腺腫脹と微熱がみられることが数%ある。重要なものとして無菌性髄膜炎があるが、約 1,000~2,000人に一人の頻度である。また、以前にはゼラチンアレルギーのある小児には注意が必要であったが、各ワクチンメーカーの努力により、 ムンプスワクチンからゼラチンは除かれるか、あるいは低アレルゲン性ゼラチンが用いられるようになり、ゼラチンアレルギー児に対しても安全に接種が行われ るようになってきた。
 患者と接触した場合の予防策として緊急にワクチン接種を行うのは、あまり有効ではない。患者との接触当日に緊急ワクチン接種を行っても、症状の軽快は認 められても発症を予防することは困難であると言われている。有効な抗ウイルス剤が開発されていない現状においては、集団生活に入る前にワクチンで予防して おくことが、現在取り得る最も有効な感染予防法である。



感染症法における取り扱い(2012年7月更新)

「流行性耳下腺炎」は定点報告対象(5類感染症)であり、指定届出機関(全国約3,000カ所の小児科定点医療機関)は週毎に保健所に届け出なければならない。

届出基準はこちら



学校保健安全法における取り扱い(2012年3月30日現在)

「流行性耳下腺炎」は第2種の感染症に定められており、耳下腺、顎下腺又は舌下線の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで出席停止とされている。ただし、病状により学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めたときは、この限りでない。
 また、以下の場合も出席停止期間となる。
・患者のある家に居住する者又はかかっている疑いがある者については、予防処置の施行その他の事情により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで。
・発生した地域から通学する者については、その発生状況により必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める期間
・流行地を旅行した者については、その状況により必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める期間




【文献】
1)Cherry J.D.Mumps virus.In:Textbook of pediatric infectious diseases (ed by Ralph D. Feigin, James D. Cherry, 1998; pp2075‐2083, W.B.Saunders Company, USA.
2)国立感染症研究所、厚生労働省健康局結核感染症課:流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)1993 ~2002年病原微生物検出情報(月報)IASR.24 :103‐104, 2003
3)Hirsch A.Handbook of Historical and Geographical Pathology. Translated by Charles Creighton.London,1886
4)Katz SL, Gershon AA, Hotez PJ:Mumps.Krugman's Infectious Diseases of Children,10th ed. 1998, pp280‐ 289 Mosby‐Year Book,Inc.
5)Bang HO, Bang J. Involvement of the central nervous system in mumps. Bull Hyg 19:503,1944
6)Gut JP, Lablache C, Behr S, Kirn A. Symptomatic mumps virus reinfections.J Med Virol. 45:17‐23,1995

(国立感染症研究所感染症情報センター 多屋馨子)

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