「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

国から自治体への「指示権」、その行使は、必要最低限でお願いします。

2024-05-15 09:22:47 | 地方分権改革

 指示権が、議論されています。

 必要最低限の指示でお願いしたいところです。


******朝日新聞2024.5.15*******

 

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地方公共団体に、国や都道府県が関与できる場合とは。地方自治法第245条の2

2018-06-08 08:48:27 | 地方分権改革
 ある意味、大事な条文と感じたため。


地方自治法

(関与の法定主義)


第二百四十五条の二 普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはない。
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中野区議会で区長任期「三期以内」多選自粛規定(かつて区長自らが提案)を削除する条例改正案可決???

2014-03-27 11:12:37 | 地方分権改革
 区長の多選が許されるかという問題と、区長自身が議会に提案した条例を区長の都合で撤回することが許されるかという問題が、複雑に絡み合っている。


 社会環境の変化で、かつて提案した条例を、時代に合わせ改正改善していくことは、当然の動きだとしても、今回のような区長自身の提案した、多選自粛規定削除が許されるというためには、合理的な説明が必要です。

 3月25日議決後、田中区長は取材に「これまでの区政運営や(多選の規制について)考えが変わったことについて区民に説明していきたい」と語ったとありますが、まさに区民への説明が必要だと思います。

 民主主義が試されている事案だと思います。


**********************************
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20140326/CK2014032602000114.html

【東京】


区長の多選自粛規定削除 中野区民が抗議活動


2014年3月26日


 中野区議会で区長の任期を「三期以内」とする区自治基本条例の多選自粛規定を削除する条例改正案が可決された二十五日、区内では区民らが抗議活動を展開した。改正は二〇〇五年に条例を制定した田中大輔区長(62)の四選出馬表明に伴うもので、六月に行われる選挙戦で有権者の判断が問われる。


 「自治基本条例に沿った区政運営が基本」「区長選に出たいがゆえに変えることが許されて良いのか」。区議会本会議前の二十五日午前、JR中野駅前と区役所前で、改正に反対する地元区民でつくる「『多選自粛条項』を守らせる市民連絡会」のメンバーらがマイクを握って声を上げ、チラシを配った。


 連絡会は二十三日からインターネットと街頭で署名を実施。全国の約千百人が賛意を示した。代表の絵画教室経営松井奈穂さん(59)は「区民が一言も発せられないまま区長の都合で改正が決まるのは許せない」と憤った。署名した主婦(55)は「居座りたいから規定を変えるのはあまりにも独善的」、男性会社員(38)も「自分で制定したのに良くない」と批判した。


 議決後、田中区長は取材に「これまでの区政運営や(多選の規制について)考えが変わったことについて区民に説明していきたい」と語った。 (杉戸祐子)
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中野区長自身で提案の多選自粛規定削除 区議会総務委で可決、3/25本会議で成立か?

2014-03-19 23:00:00 | 地方分権改革
 区長自身が提案した条例を、区長自身が削除。

 他の区長が作った条例ならまだしも。

 区議会も区長に追随するか。


*******************************************************************
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20140319/CK2014031902000136.html
【東京】


中野区長の多選自粛規定削除 区議会委で可決


2014年3月19日

 区長の任期を三期以内とする区自治基本条例の多選自粛規定がある中野区の区議会総務委員会は十八日、規定を削除した区自治基本条例の改正案を自民、公明などによる賛成多数で可決した。これにより、改正案は二十五日の区議会本会議で成立する見通しになった。


 多選自粛規定を盛り込んだ条例は、六月の区長選に四選出馬を表明している田中大輔区長(62)が一期目に自ら提案した。改正案では、多選について「連続して三期を超えて在任しないよう努める」などと定めた規定を削除する。


 この日の総務委員会では、採決前の討論で共産の区議が「区長が四期目の立候補を表明したため、つじつまを合わせるだけのもの。区政運営が独断で行われていることから起きる弊害ではないか」と反対した。民主の区議も「権力が長期集中すると、腐敗が進む」と多選自粛規定を削除するべきではないと主張した。 (杉戸祐子)
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真の意味での「地方分権改革」とは? 片山善博慶應義塾大学大学院教授

2013-03-07 17:12:45 | 地方分権改革
 まちづくりのMLより情報をいただきました。

 以下、片山善博慶應義塾大学大学院教授インタビュー記事は、地方分権改革の真の意味での実現に向け、たいへん参考になる内容だと思います。

 地方分権は、政治の大事な方向性です。

 ただ、どのようなものを目指すべきなのか、国民ひとりひとりがきちんと理解せねば、正しい政策の実現に向かいません。

 私は、「地方分権改革」を行う上での大切な理念は、「格差を生むことなく、地方の自主性にまかす手法の確立」だと思います。





******nippon.com ホームページより*****
http://www.nippon.com/ja/in-depth/a01802/
誰のための地方分権なのか


竹中 治堅 (聞き手)
政治・外交
[2013.02.20]

20年におよぶ地方分権改革。かつて国会が唱えた「国民が等しくゆとりと豊かさを実感できる社会」は近づいたのか。前鳥取県知事で、先の民主党政権で総務大臣を務めた片山善博慶應義塾大学教授に、nippon.com編集委員の竹中治堅・政策研究大学院大学教授が聞いた。




片山 善博KATAYAMA Yoshihiro慶應義塾大学大学院教授。専門は地方自治、地方財政、地方税。
1951年岡山県生まれ。1974年に東京大学法学部卒業後、自治省に入省。大臣秘書官、国際交流企画官、府県税課長などを歴任し、1998年に退官。1999年鳥取県知事選に出馬して初当選。2007年の任期満了まで8年間にわたり地方からの改革を推進し、県民から高く支持された。その後、鳥取大学地域学部客員教授、政府の行政刷新会議議員などを経て、2010年9月より民主党・菅政権下で総務大臣に就任。2011年9月に大臣退任後、現職。




改革のミッションを整理せよ

竹中 今年は、1993年に国会が地方分権の推進を決議してから20年という節目の年にあたります。この間に政府や有識者による議論が重ねられ、国の機関委任事務の廃止や市町村合併、三位一体改革、国と地方の協議に関する法整備などが進みました。一連の改革をどう評価されますか。

片山 評価はさまざまだと思いますが、一番の問題は「地方分権」というミッションそのものが明確になっていないことです。関わる人の立場によって、地方分権に対して描くイメージが必ずしも一致していない。

例えば、地方にある国の出先機関をなくすと言ったときに、これは国の仕事を地方に下ろし、権限が移譲されるわけだから分権化につながると考える人たちがいる。その一方で、これを行政整理の一環だと位置付ける人たちもいるわけです。つまり分権の視点からではなく、出先機関の廃止によって国をスリム化でき、経費節減になるという考え方ですね。小泉政権下で行われた「三位一体改革」も、実は全くの呉越同舟でした。地方分権についても同様で、ミッションの整理が必要だと思います

竹中 確かに、定義がそもそも曖昧でミッションが共有されていませんね。片山先生ご自身は、「地方分権」がどのような方向へ進むべきとお考えですか。

片山 ミッションと申し上げましたが、そうした本質的な問題に対して、私は常にシンプルに考えるようにしています。それは「誰のために」「何のために」やるのかということです。地方分権の場合はどうか。それは紛れもなく住民のためだと私は思います。誰もが自分たちが暮らす、あるいは仕事をする地域の環境ができる限りカンファタブルであってほしい。それを実現するのが地方自治です。その際に自分たちの地域のことは自分たちで決められるほうがいい。本質的なポイントはそこにあると思います。



国法にからめとられた地方行政

竹中 自分たちで決めるべき、というのは具体的にどういう分野になりますか。

片山 もちろん1から10まで地域で決めるというわけではありません。教育で言えば、6-3制の問題や教員の資質といった大枠の話は国が決めるべきです。しかし、学習カリキュラムや学級編成などは地方によって多少の可変性があっていい。

市町村道の改修についても、国土交通省に事実上お伺いを立てなければ実施ができません。こんなことは国の在り方には直接関係がない。地方に任せるべきではないでしょうか。

竹中 現行の仕組みを変えるには、どのような手続きが必要になりますか。

片山 国法で決められているものは、すべて国会を通して法律を改正していくほかありません。例えば、私が総務大臣を務める以前は、自治体が地方債を発行する際にすべて国の同意が必要でした。政府資金のみならず、民間の金融機関からお金を借りるときでさえ1件ごとに、総務省と財務省にお伺いを立てなければならなかった。

そこで、私が総務大臣になったとき、民間金融機関から借りるものは枠管理にし、自治体ごとに一定の上限額内で自由にやりくりできる仕組みに変えたのです。その際も地方財政法の改正が必要でした。仕組みを変えるごとに、そうした改正を一つひとつ丹念にやっていくしかないんです。



改革派知事のしたたかなる戦い

竹中 鳥取県知事を務められた8年間には、地方からさまざまな改革を実現してこられました。国が権限を持っているために、県としてご苦労されたことが多々あったと思いますが。

片山 そうですね。道路で言えば、当時最も急がれた課題が、中国横断自動車道の姫路鳥取線の全線開通でした。そこで国交省へ陳情に行くと、お金が足りないから今年度は事業の一部しかできないと言う。ところが同時期に、農水省からは農道の予算があるから使えと売り込みが来る。蛇口が違うとはいえ、同じ国費で鳥取県が必要としている道路を建設するのだから、その選択は県に任せてほしいと思いましたが、その時は実現しませんでした。そこで総務大臣になってから、国の「ひも付き補助金」に代わり、地方自治体にとって自由度の高い「一括交付金化」を導入したんです

竹中 一括交付金化は、自民党が廃止にしようとしていますね。国の権限が弱まることを懸念してのことでしょうか。

片山 出どころはおそらく霞が関だと思います。一括交付金は内閣府が各都道府県に配っていましたが、その予算は国交省や農水省などが持っていた補助金を供出させていたんです。その結果、国交省の場合は自分たちで配分できる道路の補助金が減り、財務省では主計官の査定権が減る、ということが起きた。そうした官僚たちの声が反映されていると思います。

政治家も地元の陳情に対して国に口利きして実現してやる、という昔ながらのやり方をしたがっているのでしょう。しかし「新生自民党」を標榜するなら、そんな旧来のビジネスモデルは払しょくすべきです。「この道路はわしが作ってやった」などと言っているようでは、いつまでも政治主導は実現しません。

竹中 米子空港の出入国管理と検疫体制の拡充にもご尽力されたと聞きました。

片山 当時、米子空港と韓国のインチョン空港を結ぶ国際定期便が始まろうとしていたのですが、CIQ(税関・出入国・検疫)の人員不足で体制が整わないと言うんです。CIQというのは国の権限なんですが、公務員の定数管理計画があるから増員は無理だと。そこで「国にできないなら、われわれ県にやらせてくれ」と要請しました。人の検疫であれば県立病院の医者がいます。動物・植物の検疫でも県に関連のある研究所があるし、出入国管理は県警ができます。それでも動かないので、「構造改革特区でやってもらえるよう、小泉首相(当時)に頼みに行く」と言ったんです。すると一気に話が動きました。権限を奪われるとなると、みな真剣になるんですね。結果的にはCIQ機関に数百人規模で人員が増えました。

竹中 2000年の鳥取県西部地震の際は、県の予算で住宅再建補助をなさっていますね。

片山 はい。被災した方々が県内に住宅を再建する際の手助けとして、県から300万円の助成金を出しました。しかし、国からは猛反発があったんです。財務省も自治省も国交省も一斉に反対した。というのは、阪神淡路大震災のときにも被災者の二重ローンが問題になったのですが、国は「税金というのは公的なお金であって、個人の資産形成に投入するのは憲法違反になる」という理由で支援しなかったんです。もし鳥取県が助成をしたら、その説明がウソになってしまうと。

しかし、中央の役人に「憲法の規定というのは、第何条ですか?」と問いただすと、一瞬黙って「…それは理念だ」と言うんです(笑)。せっかく神戸が納得してくれているのに、蒸し返さないでほしいという気持ちもわかりますが、住む家もないまま困っている県民がいる以上、そちらを優先させることとし、「激しく円満に」別れました。その際、特別交付税や補助金を減らすといった嫌がらせを受けないよう、「万一そんなことがあれば、出るところに出ざるを得ない」とくぎを刺しておいたんです。すると、その年度の特別交付税が大幅に増えていました。弱者にとっての最大の手段は情報公開ですから



果たして分権改革は進んだのか

竹中 この20年に、自民党と民主党がそれぞれに分権改革を政策に掲げてきましたが、どちらの施策がより改革を推し進めたと思われますか。

片山 どちらとも言いにくいと思います。一つは意識の問題です。自・公政権時代は、建前だけでも「分権しなければ」という意識と、それに対する党内のコンセンサスがあった。しかし、現実的には国会議員や官僚たちの裁量権を減らすことになるので、極めてリラクタント(渋々とした態度)でしたね。つまり「遅々として進めてきた」わけです。

一方、民主党政権は「官僚主導から政治主導へ」を標榜し、地域主権改革を大胆に進めることをマニフェストに謳っていました。その志は良い。しかし、民主党の特性とも言えますが、党内の意識共有が全くできていなかった。政府各部門に入り込んだ人たちは、途端に後ろ向きになり、改革の足を引っ張りましたね。

会議の場では、地域主権改革担当大臣である私が、彼らを説得しなければならなかった。「あなた方のマニフェストに書いてあるのに、なぜ私がこんなことを言う必要があるのか?」と感じたことが度々ありました。地域主権を改革の一丁目一番地と位置付けていたのとは裏腹に、本気で取り組んでいた民主党議員は極少数で、ほとんどの人は上の空でしたね。

もう一つは、「地方自治」の捉え方です。地方自治には「団体自治」と「住民自治」という2つの側面があります。「団体自治」とは国に対して地方自治体の独立性を強めるということで、「住民自治」というのはその地方自治体の中で住民の意思を反映しやすくするということです。この両輪があいまって初めて本来の地方自治が実現するのですが、民主・自民ともに団体自治の強化にしか関心がなかった

「権限移譲」と言っても、それは官僚の権限を首長に渡す、あるいは国法を定める国会の権限を地方議会に移す、ということであり、そこに住民は登場しないわけです。知事と議会ばかりが強くなり、住民は蚊帳の外のまま。これでは「知事たちの、知事たちによる、知事たちのための分権改革」です。地方自治とは住民自治でもあるのだから、国の関与が減ったのなら、本来は住民の関与を増やすべきでした。例えば議会の在り方を変えるとか、議会を補完するために住民による直接的政治参画の機会を拡充する、といった考え方が必要だったのです。これを総務大臣として法案をまとめた矢先に東日本大震災が起こり、実現しなかったのが心残りです。



住民参加は地方自治の原点

竹中 地方の自立を促すには、税源移譲を中心とする地方税財政制度の改革が不可欠だと思います。国はどの程度まで税源を移譲すべきとお考えですか。

片山 国税を減らして地方税を増やすほうが、地方にとっては当然良い。しかし、全国一律の税率を前提に、地方の行政需要の水準に見合った地方税率にすると、東京都はむしろジャブジャブになってしまう。ですから、財源節約論の観点から言えば、東京都が自前でなんとか行政運営ができる程度の割合にし、財源が不足する県には国が財源を調整・補填するというやり方が合理的だと思います。

問題は、交付税制度や地方税制度があっても、なおかつお金が足りないときに、ツケをどこに持っていくか。今はそれが国からの支援や地方債になっているのですが、これは不健全です。本来のラスト・リゾートは住民であるべきです。何か大きなプロジェクトを起こす際に、「住民の皆さん、これを実現するために税金を増やしてもいいですか?」という問いかけがあっていいはずです。

現在、国と地方の財政構造は税を固定しており、地方交付税や国庫補助金は可変要素、つまり陳情に行けば結果的に増える要素になっています。だからラスト・リゾートが国や地方債になるのです。それを逆転させ、地方交付税や国庫補助金を固定し、ある程度標準的な行政制度ができる状態を確保し、それを上回る場合は住民に問う。そうした自治体と住民との双方向のやりとりが地方自治の中に組み込まれれば、北海道夕張市のような自治体破たんは起きにくいはずです。ラスト・リゾートの転換を図るべきです

竹中 自治体ごとに税制が異なると、地域間の競争が予想されますね。努力する自治体と問題意識のない自治体とでは、経済格差も生まれるでしょう。これを懸念する声も出てくるのではないでしょうか。

片山 ある程度の競争はあって良いと思います。義務教育や障がい者福祉など、一定の部分については国が行政の標準仕様を作り、財源保障に責任を持つことが必要だと思います。いわゆるナショナル・ミニマム(※1)です。一定の財政ルールがあり、それを上回る部分については地方が住民の同意を得て自由にやりなさいというのが良いのではないでしょうか。

以前、イギリスの自治体について調べてわかったことですが、市町村規模の自治体でも自前の収入の割合はさほど多くないんです。日本の過疎地のレベルに近いところも多い。けれども、彼らは財源を「カウンシル・タックス(※2)」の税率で調整していて、地方自治の運営に活力があるんです。

例えば、学校の校舎を立て替えるとき、「ではカウンシル・タックスの税率が上がりますが、よろしいですか?」という議論を議会でやる。国からも予算がつくのですが、金額がきちんとルール化されており、陳情に行かなくても補助金の額が予見できるようになっています。それでも賄えない部分をカウンシル・タックスの課税標準額で割り返せば税率が算定できるので、それをもとに議会で増税しても良いかを議論する。少なくとも財政破たんが起きることはない。これが、ラスト・リゾートが住民すなわち納税者に向かうということの意味です。

これによって何よりも議会に活気が出てきます。議会というのは、もともと税を論じる場です。本来は、歳出を増やせば税が増えるという理解のもとに議会があるはずなのに、日本では税が事実上固定しているため、議論が歳出だけに偏り、誰も税のことを論じない。こうした日本の地方議会というのは、国際標準から見れば特異な例でしょう

現在は、税率以外の非常に細かな特例までも、国がすべて税法で決めています。逆に言えば、すべて国が決めてくれるから首長も議会も納税者と向き合う必要がない。税について考えなくていいから、地方議員たちはみな、歳出の拡充にばかり目を向けています。しかし、住民が自分で税の仕組みや税率を決めることができるようにすることが、地方自治の原点だと思います

竹中 今日は貴重なお話をありがとうございました。

撮影=山田 愼二



(※1)^ 政府が国民に対して保障する最低限の生活水準

(※2)^ イングランド、スコットランドおよびウェールズにおける地方税。住民が居住する行政区画(カウンシル・エリア) の自治体に対して支払う税金で、納付者の生活に身近な行政サービスに使われる。
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これからの分権のあり方で重要!「大都市地域における特別区の設置に関する法律」特別区が都以外にも

2013-02-13 11:09:53 | 地方分権改革
 今後、区市町村のあり方について考えるうえで、大事になってくる法律故、見ておきます。

 ただ、まだ、未施行の部分が多くあります。

 第三条では、地方自治法第281条の規定に関わらず、大都市に特別区を置くことが可能という文言が置かれています(その部分は、未施行ゆえ、下記に法律では未記載。)


地方自治法
(特別区)
第二百八十一条  都の区は、これを特別区という。
2  特別区は、法律又はこれに基づく政令により都が処理することとされているものを除き、地域における事務並びにその他の事務で法律又はこれに基づく政令により市が処理することとされるもの及び法律又はこれに基づく政令により特別区が処理することとされるものを処理する。


*****法律*****
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%91%e5%93%73%8e%73&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=H24HO080&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1

大都市地域における特別区の設置に関する法律
(平成二十四年九月五日法律第八十号)



第一条から第三条  未施行

(特別区設置協議会の設置)
第四条  特別区の設置を申請しようとする関係市町村及び関係道府県は、地方自治法第二百五十二条の二第一項 の規定により、特別区の設置に関する協定書(以下「特別区設置協定書」という。)の作成その他特別区の設置に関する協議を行う協議会(以下「特別区設置協議会」という。)を置くものとする。
2  特別区設置協議会の会長及び委員は、地方自治法第二百五十二条の三第二項 の規定にかかわらず、規約の定めるところにより、関係市町村若しくは関係道府県の議会の議員若しくは長その他の職員又は学識経験を有する者の中から、これを選任する。

(特別区設置協定書の作成)
第五条  特別区設置協定書は、次に掲げる事項について、作成するものとする。
一  特別区の設置の日
二  特別区の名称及び区域
三  特別区の設置に伴う財産処分に関する事項
四  特別区の議会の議員の定数
五  特別区とこれを包括する道府県の事務の分担に関する事項
六  特別区とこれを包括する道府県の税源の配分及び財政の調整に関する事項
七  関係市町村及び関係道府県の職員の移管に関する事項
八  前各号に掲げるもののほか、特別区の設置に関し必要な事項
2  関係市町村の長及び関係道府県の知事は、特別区設置協議会が特別区設置協定書に前項第五号及び第六号に掲げる事項のうち政府が法制上の措置その他の措置を講ずる必要があるものを記載しようとするときは、共同して、あらかじめ総務大臣に協議しなければならない。
3  前項の規定による協議の申出があったときは、総務大臣並びに関係市町村の長及び関係道府県の知事は、誠実に協議を行うとともに、速やかに当該協議が調うよう努めなければならない。
4  特別区設置協議会は、特別区設置協定書を作成しようとするときは、あらかじめ、その内容について総務大臣に報告しなければならない。
5  総務大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、遅滞なく、当該特別区設置協定書の内容について検討し、特別区設置協議会並びに関係市町村の長及び関係道府県の知事に意見を述べるものとする。
6  特別区設置協議会は、特別区設置協定書を作成したときは、これを全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事に送付しなければならない。

(特別区設置協定書についての議会の承認)
第六条  関係市町村の長及び関係道府県の知事は、前条第六項の規定により特別区設置協定書の送付を受けたときは、同条第五項の意見を添えて、当該特別区設置協定書を速やかにそれぞれの議会に付議して、その承認を求めなければならない。
2  関係市町村の長及び関係道府県の知事は、前項の規定による議会の審議の結果を、速やかに、特別区設置協議会並びに他の関係市町村の長及び関係道府県の知事に通知しなければならない。
3  特別区設置協議会は、前項の規定により全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事から当該関係市町村及び関係道府県の議会が特別区設置協定書を承認した旨の通知を受けたときは、直ちに、全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事から同項の規定による通知を受けた日(次条第一項において「基準日」という。)を関係市町村の選挙管理委員会及び総務大臣に通知するとともに、当該特別区設置協定書を公表しなければならない。

第七条から第十四条  未施行

   附 則 抄


(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

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『大都市制度についての専門小委員会中間報告』(H24.12.20 地方制度調査会専門小委員会)

2012-12-28 17:23:05 | 地方分権改革
 基礎自治体の大きさをどうするか、その事務の負担をどの程度にするか、自治体間の調整はどうするか、そこで暮らす住民にも大きな影響を及ぼす話です。

 ただ、抽象論になりがちで、わかりづらいところもあります。
 個々に事務の内容が変わるわけであり、一概に言えない点もあります。
 うまく配分しないと、「二重行政」の無駄を生むことにもつながります。

 『大都市制度についての専門小委員会中間報告』(H24.12.20 地方制度調査会専門小委員会)が出されましたので、見ておきます。
 

 当然ではありますが、方向性として、

*基礎自治体は小さいほうがよい

*基礎自治体間格差はでないようにしなければならない

*住民自治が強まるようにする

*二重行政の無駄がでないようにする

*自治体間の調整ができるようにする

*国、都道府県、区市町村の力関係は、同等である

*事務権限を委譲すると、それに見合った財源も委譲する

*住民目線で、事務権限移譲を行う

 がきちんとなされ、結論を導く必要があります。

 ある程度、政治主導も必要かもしれません。



**********総務省ホームページより*****
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/singi/chihou_seido/02gyosei01_03000128.html

第30次地方制度調査会第26回専門小委員会


日時

平成24年12月20日(木)

場所

全国都市会館 第1会議室(3階)

議事次第

1.開会
2.議題
(1)大都市のあり方について
 ・大都市制度についての専門小委員会中間報告(案)について
(2)その他
3.閉会

配付資料


・【資料】大都市制度についての専門小委員会中間報告(案)
・【資料】大都市制度についての専門小委員会中間報告(案)(見え消し版)


(下線は、小坂による)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000193237.pdf

大都市制度についての専門小委員会中間報告

平成24年12月20日
地方制度調査会専門小委員会


大都市制度についての専門小委員会中間報告

まえがき

当専門小委員会は、平成24年1月17日の第3回総会以降、諮問事項の一つである社会経済、地域社会などの変容に対応した大都市制度のあり方について、関係団体からの意見聴取を含め、第6回から第26回まで計21回の会議を開き、審議を行った。

人口減少社会に入り、社会経済や地域社会の状況は大きく変容している。人々の暮らしを支える対人サービスの重要性は益々高まっており、その主要な供給主体である基礎自治体のあり方そのものが問われている。また、都市構造や土地利用のあり方についても、基礎自治体が果たすべき役割が問われている。当専門小委員会は、基礎自治体のうち、まず大都市等をめぐる課題について、地方自治制度の改革によって対応すべき点を検証し、具体的な方策について調査審議を進め、ここに中間的な報告を行うものである。

言うまでもなく、大都市はひとり大都市のみで存立できるものではない。他の基礎自治体と相互依存することで成り立っている。また、大都市等のあり方の見直しは、基礎自治体そのものや広域自治体のあり方にも大きく影響するものである。

当専門小委員会としては、この中間報告に対する各方面の意見を踏まえ、残された諮問事項である基礎自治体のあり方と併せて最終的な答申に向けて調査審議を続けていく所存である。



第1 大都市等をめぐる現状と課題
(我が国における大都市等の位置付け)
少子高齢化が進行し、我が国が人口減少社会となったことは否定できない事実である。このことを前提にして、これからの我が国のあり方を真剣に考えていくことが必要である。人口減少下にあっても、経済を持続可能なものとし、国民が全国で安心して快適な暮らしを営んでいけるような国づくりが必要となっている。

このためには、国民の暮らしを支え、経済をけん引していくのにふさわしい核となる都市やその圏域を戦略的に形成していくことが必要である。

人口減少社会に入った我が国において、三大都市圏の人口の比重は再び高まっていく見込みである。

三大都市圏や地方の中枢都市を核とする圏域は、経済の成熟化、グローバル化の進展など、構造的な転換期を迎える中で、引き続き我が国の経済をけん引する役割を果たすことが必要である。


(大都市圏の抱える課題)
大都市圏、とりわけ三大都市圏は、これまで地方圏に比べて高齢化の進行が緩やかであったが、団塊の世代を中心に今後急速に高齢化が進行していく。これまで地方圏がその高齢化の進行に応じて徐々に対応してきた行政課題について、大都市圏、とりわけ三大都市圏においては今後極めて短期間のうちに対策を講じることが必要である。また、高齢者医療、介護や生活保護などの行政需要が急増することへの対応や、独居老人や老老介護の問題など、家族やコミュニティの機能の低下への対応も必要になる。一方で、人口減少に歯止めを掛けるためには、出生率を回復することが必要となる。大都市圏には若い世代が比較的多いことを踏まえると、大都市圏は少子化対策においても果たすべき役割が大きい。

大都市圏においては、人を支えるコミュニティの機能が低下し、人と人とのつながりが希薄化している。人々の暮らしを支える対人サービスの重要性が高まる中で、住民の視点から公共サービスを考えていくためにも、住民自治を拡充していくことが重要である

また、高度経済成長期に整備した社会資本が一斉に更新時期にきており、これまでと同様の社会資本を維持し続けるのかどうかなど、社会資本整備のあり方の見直しも問われている。東日本大震災を教訓として、人口・産業が集中している大都市圏においては、大規模災害時における住民の避難のあり方、生活機能や経済機能の維持等への対策を講じていくことも必要である。

さらに、三大都市圏のように通勤、通学、経済活動等の範囲が、行政区域をはるかに超えている大都市圏においては、大都市圏域を前提とした行政サービスの提供やその調整などが必要である。


(地方の中枢都市圏の抱える課題)
地方の中枢都市を核とする圏域は、三大都市圏に先行して、すでに高齢化や人口減少といった課題に直面してきた。地域住民が快適で安心して暮らせる都市環境を確保するとともに、三大都市圏から人の流れを作るためにも、地域を支える拠点の構築が課題となる。

このためには、地方の中枢都市を核に、都市機能、生活機能を確保するとともに、都市構造の集約化と都市機能のネットワーク化を図っていくことが必要になる。


(地方自治制度の改革による対応)
大都市等に関する地方自治制度としては、昭和31年に特別市制度に代えて指定都市制度が創設された後、指定都市に準ずる規模の都市に規模・能力に応じた事務移譲を進めるため、平成6年、11年にそれぞれ中核市制度、特例市制度が創設された。その後、中核市については人口要件以外の要件が撤廃され、指定都市については合併団体に対する運用上の人口要件が一時緩和された。現在、指定都市、中核市、特例市に指定されている市の数は、それぞれ20、41、40に増加している。

その結果、指定都市、中核市、特例市に指定されている都市も多様になり、各制度において一律に決められる事項と各都市のそれぞれの状況に対応しなければならない事項とが生じている。

また、都区制度は、昭和18年以降東京のみに適用されており、累次の改革において特別区への事務移譲等が進められてきた。

先に述べた三大都市圏や地方の中枢都市圏の抱える課題に対しては、規制等に係る個別法の見直しや、重点的な社会資本整備など様々な対策を国として戦略的に実施することが必要である。これと並んで、大都市等に関する地方自治制度のあり方を議論することが必要な時期が到来している。

このような中で、新たな大都市制度や、現行の指定都市、中核市、特例市、特別区に係る制度の見直しについて、各方面から様々な提案が行われている。

この際、大都市等における効率的・効果的な行政体制の整備や住民の意思がより適切に行政に反映される仕組みづくりについて、地方自治制度の改革によって対応すべき点を検証し、その解決方策を示すことが必要である。

また、このことは、明治以来の区域を継承している都道府県についての議論、ひいては広域自治体のあり方の議論にもつながっていくものとなる。



第2 現行制度の見直し
1.指定都市制度
(1)指定都市制度の現状
指定都市は、地方自治法制定時に制度上存在したが実際には適用されなかった特別市に代わる制度として、昭和31年に創設された。以来、現在に至るまで、50年以上にわたり制度の基本的な枠組みは変更されていない。

(効率的・効果的な行政体制の整備)
この間、指定都市と都道府県との実際の行政運営の中で、いわゆる「二重行政」の問題が顕在化している。大都市における効率的・効果的な行政体制の整備のためには、この「二重行政」の解消を図ることが必要である。

もとより「二重行政」は、必ずしも指定都市と都道府県の間に固有の課題ではないが、指定都市の規模能力が高く、都道府県庁所在地であることも多いこと等から、特に指定都市と都道府県の間で深刻化してきたものと考えられる。

「二重行政」を解消するためには、指定都市の存する区域においてはできる限り同種の事務を処理する主体を一元化するとともに、事務処理に際しての指定都市と都道府県との間の調整のあり方を検討することが必要である。


(住民意思の的確な反映)
指定都市においては、市役所の組織が大規模化し、そのカバーするサービスも幅広くなるため、個々の住民との距離は遠くなる傾向にある。このため、住民に身近な行政サービスを適切に提供することや、住民の意思を行政運営に的確に反映させることが課題となっている。

指定都市においては、住民に身近な行政サービスを住民により近い組織において提供することや、住民がより積極的に行政に参画しやすい仕組みを検討することが必要である。少なくとも、指定都市のうち特に人口規模が大きい都市については、住民に身近な行政区の役割を強化し、明確にすることについて検討することが必要である。


(2)具体的な方策
①「二重行政」の解消を図るための見直し
(事務移譲及び税財源の配分)
指定都市と都道府県との「二重行政」の解消を図るためには、まず、法定事務を中心に、都道府県が指定都市の存する区域において処理している事務全般について検討し、指定都市が処理できるものについては、できるだけ指定都市に移譲することによって、同種の事務を処理する主体を極力一元化することが必要である。

都道府県から指定都市に移譲する事務としては、都市計画と農地等の土地利用の分野や、福祉、医療分野、教育等の対人サービスの分野を中心として検討すべきであるその際、少なくとも、県費負担教職員の給与負担や、都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に関する都市計画決定など、既に地方分権改革推進委員会第1次勧告によって都道府県から指定都市等へ移譲対象とされたにもかかわらず移譲されていない事務は移譲することを基本として検討を進めるべきである。

事務の移譲により指定都市に新たに生じる財政負担については、適切な財政措置を講じる必要があり、県費負担教職員の給与負担等まとまった財政負担が生じる場合には、税源の配分(税源移譲や税交付金など)も含めて財政措置のあり方を検討すべきである。


(指定都市と都道府県の協議会)
これまで言われてきた「二重行政」を解消するためには、このような事務の移譲及び税財源の配分に加え、指定都市と都道府県が公式に政策を調整する場を設置することが必要である。このため、任意事務を中心に指定都市と都道府県が同種の事務を処理する場合等に適切に連絡調整を行う協議会を設置し、協議を行うことを制度化し、公の施設の適正配置や効率的・効果的な事務処理を図ることを検討すべきである。

協議会においては、例えば、都道府県による指定都市の区域内における公の施設の設置や指定都市と都道府県が処理している同種の事務のうち指定都市又は都道府県が協議を求めた事項等について協議の対象とすることを検討すべきである。また、指定都市と都道府県が処理している同種の事務のうち協議会で定めたものについてお互いに処理状況を報告することもこれに併せて検討すべきである。

協議会の構成員としては、指定都市と都道府県の執行機関と議会が共に参画することが協議の実効性を高める上で重要である。例えば、会長は市長又は知事とし、委員は、市長又は知事と各議長を充てるほか、その他の議員又は職員から選任することを検討すべきである。

協議会において、協議が調わない事項が生じた場合には、現行制度上、自治紛争処理委員による調停を利用することが可能である。しかしながら、調停は全ての当事者が受諾することが必要であるため、それでも解決が見込まれない場合を想定した何らかの新しい裁定等の仕組みを設けることを検討すべきである。


②「都市内分権」により住民自治を強化するための見直し
指定都市、とりわけ人口が非常に多い指定都市において、住民に身近な行政サービスについて住民により近い単位で提供する「都市内分権」により住民自治を強化するため、区の役割を拡充することを検討すべきである。

区の役割を拡充する方法としては、まず、条例で、市の事務の一部を区が専ら所管する事務と定めることを検討すべきである。また、区長が市長から独立した人事や予算等の権限、例えば、区の職員の任命権、歳入歳出予算のうち専ら区に関わるものに係る市長への提案権、市長が管理する財産のうち専ら区に関わるものの管理権などを持つこととすることを検討すべきである。

このように、区長に独自の権限を持たせる場合には、現在は一般の職員のうちから命ずることとされている区長について、例えば副市長並みに、市長が議会の同意を得て選任する任期4年の特別職とし、任期中の解職や再任も可能とすることを検討すべきである。また、区長を公選とすべきかどうかについても引き続き検討する。さらに、区単位の行政運営を強化する方法として、区地域協議会や地域自治区等の仕組みをこれまで以上に活用することも検討すべきである。

なお、現在、区には区の事務所の長(区長)、区の選挙管理委員会、区会計管理者を置くこととされているが、これに加え、現行の教育委員会制度を前提とする場合には、小中学校の設置管理等をできる限り区で処理できるようにする観点から、条例で、区に教育委員会や区単位の市教育委員会の事務局を置くことを可能にすることを検討すべきである。区の教育委員会等は、小中学校の設置管理など、必ずしも市で一体的に処理する必要がない事務のうち条例で定めるものを処理することとすることを検討すべきである。

以上のような新たな区の位置付けを踏まえ、区を単位とする住民自治の機能を強化すべきである。区単位の議会の活動を推進するため、市議会内に区選出市議会議員を構成員とし、一又は複数の区を単位とする常任委員会を置き、区長の権限に関する事務の調査や区に係る議案、請願等の審査を行うこととすることを検討すべきである。



2.中核市・特例市制度
(1)中核市・特例市制度の現状
中核市と特例市は、市町村への権限移譲を規模能力に応じて段階的に進めるため、それぞれ平成6年と平成11年に設けられた制度である。これまで、住民に身近な権限を適切に行使するとともに、地域の中心的な都市として地域を支える役割を果たしてきたものと評価できる。

その後、平成23年8月に公布された義務付け・枠付けの見直し等に関する第2次一括法(地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律)等により、まちづくりや環境規制の分野において一般市への事務の移譲が進展した。これを踏まえて、特例市に対して更なる事務の移譲を進めることが必要である。


(2)具体的な方策
①両制度の統合
人口20万以上であれば保健所を設置することにより中核市となるという形で、中核市・特例市の両制度を統合することにより、一層の事務の移譲を可能とすることを検討すべきである。その際には、現在の特例市については、少なくとも引き続きこれまで処理してきた事務を処理し続けることとすることを前提として検討すべきである。


②都道府県からの事務移譲
今後、都道府県から中核市・特例市に移譲すべき事務としては、例えば児童相談所の事務などが考えられるが、中核市・特例市が多様である現状を踏まえると、一定の事務の移譲は法令で行うが、その他については条例による事務処理特例制度を活用することについて検討すべきである。

条例による事務処理特例制度は、本来都道府県から市町村に事務の移譲を行う際に、両者間で適切に協議を行い、事務処理に必要な財源を適切に措置することにより、各市町村の規模・能力や地域の実情に応じた事務の移譲を行うことを企図した制度である。

しかしながら、移譲事務の内容については都道府県の意向が強く反映されているのではないか、また、事務移譲に伴う財源措置が不十分なのではないかとの懸念も存在する。このような懸念を払拭するため、市町村の事情を十分踏まえて移譲が行われるようにするための方策について、引き続き検討する。


③住民自治の拡充
中核市・特例市においても住民自治の拡充は重要な視点であり、地域自治区等の仕組みを地域の実情に応じて活用することについて検討すべきである。

また、中核市・特例市の市議会議員の選挙区は、指定都市では区の区域をもって選挙区とされているのに対して、特に条例で選挙区を設けない限り市域全体とされている。より地域に密着し、住民との結び付きの深い市議会議員を選出する観点から、選挙区を設けるべきかどうかについて、引き続き検討する。その際には、選挙区の設定方法をどのように考えるかといった視点が必要である。


④中核市・特例市をはじめとする地方の中枢都市の役割の強化
中核市・特例市のうち、地方の拠点である都市については、周辺市町村と適切な役割分担を行い、圏域全体の連携を進めるため、定住自立圏の考え方が有効である。このような都市をはじめとする地方の中枢的な都市の担うべき役割とそれに伴う財政措置について検討すべきである。

また、定住自立圏の中心市と周辺市町村との間における都市機能の分担をはじめ、自治体間での柔軟な連携を可能とする仕組みについて、制度化する方法を基礎自治体についての議論と併せて検討する。


3.都区制度
(1)都区制度の現状
特別区は、昭和39年の福祉事務所等の事務移譲や課税権の法定化、昭和49年の保健所等の事務移譲、区長公選制の復活や都からの配属職員制度の廃止、平成10年の一般廃棄物の収集等の事務移譲や都区財政調整制度の見直しなど、累次の都区制度改革により、平成10年の地方自治法改正後は、「基礎的な地方公共団体」として、都が一体的に処理することが必要な事務を除き、一般的に市町村が処理する事務を処理している。

都区制度は概ね円滑に運営されているが、平成10年以降も、特別区への更なる事務移譲について、都区間で議論が行われている状況である。


(2)具体的な方策
①都から特別区への事務移譲
今後、都から特別区への更なる事務移譲について検討する際には、特別区の区域の再編と関連付ける議論もあるが、特別区の高い財政力や一部の特別区の間での共同処理の可能性等を踏まえると、一般的に人口規模のみを捉えて基準にする必要はないものと考えられる。

都から特別区に移譲すべき事務としては、例えば児童相談所の事務などが考えられるが、専門職を適切に確保する等の観点から小規模な区の間では連携するといった工夫を講じつつ、移譲を検討すべきである。

また、特別区の規模が多様であることから、一定の事務の移譲は法令で行うが、その他についてはそれぞれの事務に必要な規模・能力を踏まえて移譲を進めることとし、その際には、都とそれぞれの特別区の協議により、条例による事務処理特例制度を活用する方向で検討すべきである。


②特別区の区域の見直し
一方、今後の高齢化の進展や公共施設の更新需要の増加など、社会経済情勢の変化を踏まえると、特別区の区域の見直しについても検討することが必要である。


③都区協議会
都区財政調整制度等に関する都区協議会における調整について、仮に協議が調わない事項が生じた場合に備え、現行の自治紛争処理委員による調停に加え、指定都市と都道府県の場合と同様に何らかの新しい裁定等の仕組みを設けることの必要性について引き続き検討する。

④住民自治の拡充
特別区の中には人口が相当多い区もあることから、地域自治区等の仕組みを地域の実情に応じて活用し、住民自治の拡充を図ることについて検討すべきである。

また、特別区の区議会議員についても、中核市・特例市の市議会議員と同様の課題があるため、より地域に密着した区議会議員を選出する観点から、選挙区を設けるべきかどうか、引き続き検討する。その際には、選挙区の設定方法をどのように考えるかといった視点が必要である。



第3 新たな大都市制度
1.特別区の他地域への適用
(1)大都市地域特別区設置法の制定
現行の特別区制度は、一般制度ではあるものの、制度創設時には東京都以外の地域に適用することは想定外であった。仮に東京都以外の地域に特別区制度を適用する場合には、人口の集中度合いや経済圏の実情など、社会経済情勢が現在の東京都の特別区に近い地域、例えば大阪市の存する区域に適用することが考えられる。

そのような中、本年8月に、議員立法により「大都市地域における特別区の設置に関する法律」(以下「大都市地域特別区設置法」という。)が制定され、大阪市など、東京都以外の人口200万以上の区域に特別区を設置する場合の手続が確定した。

そこで、大都市地域特別区設置法において総務大臣との協議事項とされている事務分担、税源配分及び財政調整を中心に、同法に基づき特別区を設置する際に留意すべき点を明らかにしておくことが必要である。


(2)具体的な留意点
①総括的な留意点
大都市地域特別区設置法に基づく特別区の設置に当たっては、各地域の判断に委ねられる部分が多いが、いわゆる「二重行政」の排除や行政の効率化といった住民の期待に応じたものとするよう留意すべきである。

また、長年存在してきた指定都市を特別区に分割することにより、分割される事務の処理に係る費用や、特別区間や道府県と特別区の間の調整に係る費用が増大するといった懸念には的確に対応するよう留意すべきである。

さらに、道府県における特別区の設置によって、国や他の地方自治体の財政に影響が生じないよう特に留意すべきである。


②事務分担
事務分担については、指定都市で一体的に処理してきた事務のうち、行政の一体性及び統一性の確保の観点から基礎自治体の事務でありながら都が処理することとされているものについては、道府県の事務とすることを基本とし、専門職員の確保、保険財政の安定等の観点からさらに道府県において処理すべきものがあるかという点にも留意すべきである。

また、特別区において処理すべき事務については、仮に、道府県の特別区が中核市並みの事務を処理することとした場合、現在都の特別区が処理していない事務も処理することとなり、円滑に事務処理を行うことができるかどうかについて特に留意すべきである。

なお、特別区を設置しようとする指定都市の区で現に処理している事務を出発点として、これにどの程度の事務を加えれば特別区を設置したことが意義あるものと考えることができるのかという観点にも留意すべきである。東京都の特別区においては、長期間にわたり段階的に所掌事務を増加してきたことにも留意すべきである。


③税源配分及び財政調整
税源配分及び財政調整については、道府県と特別区が分担する事務の規模に応じて、税財源が適切に配分されることが必要である。その際、税源の偏在がある中で特別区において適切に行政サービスを提供できるよう、税源の配分と道府県と特別区の間の財政調整の仕組みを適切に組み合わせるとともに、特別区間で偏在度の大きい税を道府県と特別区の間の財政調整の財源とすることが基本である。

税源の配分に当たっては、目的税とその使途との関係にも留意すべきである。また、現在指定都市が処理している任意事務についても、道府県と特別区との間の事務分担に応じた財源上の配慮が必要である。

指定都市を特別区に分割した場合、現行制度と同様に、地方交付税の算定については、特別区を一つの市とみなすことが必要である。さらに、道府県と特別区の事務の分担や税源の配分が一般の道府県と市町村と異なることから、現行の都区合算制度と同様の仕組みによることが基本となることに留意すべきである。

特別区において処理すべき事務が多いほど、また、特別区の規模が小さいほど、分割される事務の処理に要する費用が増加するとともに、特別区の間で行うべき財政調整の規模が大きくなることに留意すべきである。

特別区が処理すべき事務や特別区の規模によっては、現行の都区財政調整制度における調整3税以外の何らかの財源を調整財源として活用することが必要となる場合があることに留意すべきである。


④財産処分及び職員の移管
特別区の設置に伴う財産処分及び職員の移管に当たっては、事務の分担に応じることを基本に検討すべきである。その際、市町村合併について、合併関係市町村の職員が合併市町村の職員としての身分を保有するよう措置するとともに、合併市町村が職員の身分取扱いに関して職員のすべてに通じて公正に処理しなければならないとされていることとの均衡にも留意すべきである。

なお、東京都と特別区の間では、都職員がその身分を有したまま特別区に配属される制度が昭和49年まで存在したが、これは当時の特別区が都の内部団体的性格を持っていたことの表れであることに留意すべきである。


⑤道府県に置かれる特別区の性格
道府県に置かれる特別区は、道府県と特別区の事務分担や税源配分、財政調整等のあり方によっては、平成10年の地方自治法改正で「基礎的な地方公共団体」と位置付けられた都の特別区とは性格が異なってしまう可能性もあることに留意すべきである。


2.特別市(仮称)
(1)特別市(仮称)を検討する意義
特別市(仮称)は、全ての都道府県、市町村の事務を処理することから、その区域内においてはいわゆる「二重行政」が完全に解消され、今後の大都市地域における高齢化や社会資本の老朽化に備えた効率的・効果的な行政体制の整備に資する点で大きな意義を有する。

また、大規模な都市が日本全体の経済発展を支えるため、一元的な行政権限を獲得し、政策選択の自由度が高まるという点にも意義がある。


(2)特別市(仮称)について更に検討すべき課題
一方で、特別市(仮称)については、以下のように更に検討すべき課題が存在する。

一層制の大都市制度である特別市(仮称)について、法人格を有し、公選の長、議会を備えた区を設置して実質的に二層制とすることが必要とまでは言い切れないが、現行の指定都市の区と同様のものを設置することでは不十分であり、少なくとも、過去の特別市制度に公選の区長が存在していたように、何らかの住民代表機能を持つ区が必要である。

また、特別市(仮称)は全ての都道府県、市町村の事務を処理するため、例えば警察事務についても特別市の区域とそれ以外の区域に分割することとなるが、その場合、組織犯罪等の広域犯罪への対応に懸念がある。

さらに、特別市(仮称)は全ての道府県税、市町村税を賦課徴収することとなるため、周辺自治体に対する都道府県の行政サービスの提供に影響するという懸念もある。

なお、現在の全ての指定都市を特別市(仮称)制度の対象とする場合、現在47の広域自治体が最大67に増加する可能性がある。大都市地域特別区設置法の対象区域と同様に人口200万以上とするなど、一定以上の人口の指定都市に対象を限定する必要がある。


(3)当面の対応
まずは、都道府県から指定都市への事務と税財源の移譲を可能な限り進め、実質的に特別市(仮称)に近づけることを目指すこととし、特別市(仮称)という新たな大都市のカテゴリーを創設する場合の様々な課題については、引き続き検討を進めていく。



3.大都市圏域の調整
三大都市圏においては、社会経済的に一体性のある圏域(例えば通勤・通学10%圏)の広がりは、市町村のみならず都道府県の行政区域も超えているが、地方ブロックほどの広がりとはなっていない。

例えば交通体系の整備や防災対策といった大都市圏域における共通した行政課題に関する連絡調整や、そのような行政課題に関する大都市圏域全体の計画策定を行うための協議会等の枠組みを設けるべきかどうかについて引き続き検討する。

その際、どのような行政課題についての調整を行うべきか、九都県市首脳会議や関西広域連合といった既存の任意の枠組みが果たしている役割との関係をどうするかといった点についてさらに検討する。

仮に新たな枠組みを設ける場合には、大都市圏域計画の実効性を担保するための尊重義務を構成団体に課すことや、国との調整を図るために、必要に応じて、国の関係行政機関に対して、職員の出席及び説明並びに必要な資料の提出を求めることができるようにすることなどについても検討する必要がある。
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国と地方公共団体の役割分担を法律は、如何に規定しているか。憲法92-95条、地方自治法1条の2

2012-09-29 23:00:00 | 地方分権改革
 法律は、国と地方の役割をどのように規定しているのか。

 地方自治法第1の2において、

地方公共団体:住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。

国:
○国際社会における国家としての存立にかかわる事務、

○全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務

○全国的な規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施

その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担う。

○住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、
地方公共団体との間で適切に役割を分担するとともに、
地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて、
地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。




****憲法*****
第八章 地方自治


第九十二条  地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

第九十三条  地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
○2  地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

第九十四条  地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

第九十五条  一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。




*****地方自治法*****
 第一編 総則

第一条  この法律は、地方自治の本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。

第一条の二  地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
○2  国は、前項の規定の趣旨を達成するため、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担するとともに、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。
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市町村の境界をめぐり争いがある場合の解決法 最高裁S61.5.29

2012-09-27 23:00:00 | 地方分権改革
 市町村の境界をめぐり争いがある場合の解決法を、以下、最高裁(S61.5.29)が判事しています。

 たかが、市町村の境界と思われますが、重要な地域を含むことができるかどうか、面積がひろがるかどうかは、税収や交付金算定に大きく影響をあたえるため、市町村にとっては、重大事項で、争いが解決せず、長期間にわたっている場合もあります。

 最高裁の判事では、


1)まず、江戸時代における関係町村の当該係争地域に対する支配・管理・利用等の状況を調べ、そのおおよその区分線を知り得る場合には、これを基準として境界を確定すべきものと解するのが相当である。

2)そして、右の区分線を知り得ない場合には、当該係争地域の歴史的沿革に加え、明治以降における関係町村の行政権行使の実状、国又は都道府県の行政機関の管轄、住民の社会・経済生活上の便益、地勢上の特性等の自然的条件、地積などを考慮の上、最も衡平妥当な線を見いだしてこれを境界と定めるのが相当である。






******以下、最高裁判決 全文*******
最高裁ホームページ

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121104883968.pdf

  主   文

 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。

       理   由

 上告代理人岡部行男、同吉永順作、同復代理人志村桂資の上告理由について
 明治一一年七月二二日太政官布告第一七号郡区町村編制法は、一条において「地方ヲ画シテ府県ノ下郡区町村トス」と規定し、町村を行政区画の一つとして位置付けたが、個々具体的な町村につきこれを新たに創設するということはせずに、二条において「郡町村ノ区域名称ハ総テ旧ニ依ル」と規定し、江戸時代から存続した町村の区域名称を承継した。そして、郡区町村編制法に続く明治二一年法律第一号町村制は三条本文で「凡町村ハ従来ノ区域ヲ存シテ之ヲ変更セス」と規定し、さらに明治四四年法律第六九号町村制は一条で「町村ハ従来ノ区域ニ依ル」と規定し、現行の地方自治法も五条一項で「普通地方公共団体の区域は、従来の区域による。」と規定し、それぞれ、町村の区域については従来のそれを引き継ぐこととしている。几たがつて、今日における町村の区域は、結局のところ、江戸時代のそれによるということになる。なお、以上の各法令は、一定の場合に町村を廃置分合し又は町村の境界を変更若しくは確定する手続を定めており、これらの措置がとられた場合には、それに伴い定まつた区域によることはいうまでもない。そうすると、町村の境界を確定するに当たつては、当該境界につきこれを変更又は確定する右の法定の措置が既にとられていない限り、まず、江戸時代における関係町村の当該係争地域に対する支配・管理・利用等の状況を調べ、そのおおよその区分線を知り得る場合には、これを基準として境界を確定すべきものと解するのが相当である。そして、右の区分線を知り得ない場合には、当該係争地域の歴史的沿革に加え、明治以降における関係町村の行政権行使の実状、国又は都道府県の行政機関の管轄、住民の社会・経済生活上の便益、地勢上の特性等の自然的条件、地積などを考慮の上、最も衡平妥当な線を見いだしてこれを境界と定めるのが相当である。
 これを本件についてみるに、原審の確定した事実関係は、おおむね次のとおりである。
1 上告人と被上告人とは、筑波山頂付近において境界を接している。上告人は茨城県真壁郡内にあり、被上告人は同県筑波郡内にあり、上告人と被上告人との筑波山頂付近における境界(以下「本件境界」という。)は、真壁郡と筑波郡との境界でもある。そして、真壁郡及び筑波郡の区域名称は、江戸時代のそれを承継したものであり、明治以降において、両都の筑波山頂付近における境界、したがつて本件境界につき、これを変更又は確定すべき前記の法定の措置はとられていない。
2 筑波山の山頂は西峰の男体山、東峰の女体山の二峰に分かれているところ、補助参加人の前身の筑波山神社は、古来これら二峰を二柱の神として祀り、男体山頂に男神の本社、女体山頂に女神の本社を置き、筑波山頂付近に多数の摂社及び末社を配していたが、江戸時代においては、その別当寺である知足院(後に護持院と改号)の管理下にあつた。そして、知足院(護持院)が江戸時代にその寺領として領知権を有していた境内地は、筑波郡に属し、かつ、筑波山の南側山腹から北側山腹にまたがつていた。右境内地は、筑波山の北側山腹において、原判決末尾添付図面の(イ)点の三方境、(ロ)点のお迎石、(ハ)点の石重ねに及んでいたが、(イ)点の三方境は、筑波郡、真壁郡及び新治郡の接点をなし、筑波郡と真壁郡との境界の東端、したがつて本件境界の東端に当たる。そして、(イ)点と(ロ)点及び(ロ)点と(ハ)点の各間にぼ境界を示すような物は存しない。また、右図面の(ニ)、(ホ)、(ヘ)及び(ト)の各点にはいずれも巨大な自然石が存し、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)及び(ト)の各点の脇には男体山に向う尾根道が通じているが、右の尾根道は右の境内地の中か、少なくともその縁辺に位置する。右図面の(ホ)点が上告人と被上告人との境界上にあること及び同点より両側の境界については、両者の間に争いがない。
 原審の以上の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。そうすると、筑波山のうち原判決末尾添付図面の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)及び(ト)の各点を順次直線で連結した線より山上の地域は、江戸時代においておおむね筑波郡に属する知足院(護持院)の境内地としてその支配管理下にあり、それが明治以降も筑波郡の区域として承継されたものというべきであり、そして、明治以降本件境界を変更又は確定すべき前記の法定の措置はとられていないのであるから、原審の確定した右事実関係の下においては、本件境界は右図面の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(ト)及び(チ)点の各点を順次直線で連結した線であることを確定するとした原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、ひつきょう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、いずれも採用することができない。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 谷口正孝 裁判官 角田禮次郎 裁判官 高島益郎 裁判官 大内恒夫)
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メモ:アーンスタインによる民度

2012-06-27 16:17:42 | 地方分権改革
アーンスタインによる民度。


1 - 情報操作による世論誘導

2 - 不満をそらす操作

3 - 一方的な情報提供

4 - 形式的な意見聴取

5 - 形式的な参加機会の増加

6 - 官民による共同作業

7 - 部分的な権限委譲

8 - 市民による自主管理
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地方分権改革

2008-08-24 11:47:48 | 地方分権改革

 今の行政・区政の一番のキーワードは、『地方分権改革』だと思います。もう一つのキーワードは、『住民参加』。
 そして、この二つは、切っても切れない中で、地方分権改革の先には、住民参加があります。
 地方六団体の地方分権改革推進本部のホームページ(http://www.bunken.nga.gr.jp/)にも、「地方分権改革は、だれもが住み慣れた地域で、生き生きと暮らし続けていける社会を目指しています」と掲げています。(地方六団体とは、全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会。)

 地方分権改革の動向で大事な資料は、地方分権改革推進委員会による第1次勧告(平成20年5月28日)。

****第1次勧告****



平成20年5月28日 「第1次勧告 ~生活者の視点に立つ「地方政府」の
確立~」

  ○ 本文 [PDF:140KB]
    (別紙1) 基礎自治体への権限移譲を行うべき事務 [PDF:480KB]
    (別紙2) 措置対象の国庫補助金等一覧 [PDF:28KB]
    (別紙3) 国の出先機関の見直しについて(事務・権限仕分けの考え方) [PDF:19KB]
  ○ 要約 [PDF:38KB]
  ○ 概要 [PDF:39KB]
     (参考資料) [PDF:2,073KB]
     【分割ダウンロード】
      ( 1/ 6) [PDF:412KB] ( 2/ 6) [PDF:554KB] ( 3/ 6) [PDF:539KB]
      ( 4/ 6) [PDF:516KB] ( 5/ 6) [PDF:445KB] ( 6/ 6) [PDF:263KB]

     【関連リンク】
      政府が「地方分権改革推進要綱(第1次)」を決定 (平成20年6月20日) [PDF:29KB]
    → 丹羽委員長コメント ~政府の「地方分権改革推進要綱(第1次)」
       の決定に当たって~ [PDF:12KB]
      「第1次勧告」を福田総理に手交(首相官邸ホームページ)

*****第1次勧告資料終わり*****



 現在、中央区では、「特区のあり方検討委員会」の動向を踏まえながら、分権改革に取り組んでいるところです。

 ただし、なかなか、分権改革が、上手く進んでいない状況があり、過去の分権改革の問題点が区のホームページでも載せられています。

 都が事務を行うより、区が事務を行った方が、より効率的できめ細かな住民サービスが行えるはずです。
 現在、検討対象事務リストで、法令に基づく事務336件、任意共管事務108件 合計444件の事務が、検討リストに上がっています。
 本年度中には、「基本的方向」が、「検討委員会」から「特区協議会」に示される予定。平成21年4月からは、具体化に向けた検討へと入っていきます。
 
 私も、地方分権の視点からの施策の分析を行って行きたいと思っています。

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