必要な再開発はやってよいとは思っています。まちは、生まれ変わっていくものだから。
その再開発に、時々、区道の廃道がからんできます。
区民の貴重な財産である区道を廃道するお話につきましては、すぐには私は肯定できません。
本日6/28、所属いたします中央区議会環境建設委員会の場で、考え悩みながら、区道を廃止する区の条例改正に反対の立場で意見を述べました。
医学が専門の自分にとって、都市計画は勉強すべき分野であり、今後とも、専門家のご意見を伺いながら方向性を見出していきたいと考えています。
以下の委員会で述べました拙文に対しましても、ご意見等なんなりといただけましたら幸いです。
**********区道を廃道すべきではない意見***********
「子どもを守る会」の議案第51号『特別区道の路線の廃止及び変更』に反対する理由を述べます。
本議案は、「八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業」施行区域内の区道3本を廃止するというものである。
本件事業においては、地下にバスターミナルを設け、東京駅周辺の交通結節点としての機能充実に貢献する公益性の高い事業と言える。しかしながら、区道を残したままでも同バスターミナルは建設可能であり、ターミナル建設と区道存続は両立しうるのであって、区道廃止はすべきではない。
以下、理由を述べる。
一、廃道に当たって必要不可欠な民主的な手続きが踏まれたとはいえないため
道路法第10条は、道路の機能が失われて、一般交通の用に供する必要がなくなった場合に廃道を認めているが、現に共用されている道路の廃道は原則認めていない。
原則認められない廃道を認めるためには、地域の廃道の是非の意見を都市計画原案に反映させる上での厳格な民主的手続きが必要と考えられる。
この度の廃道にあたり、①「60年以上高額な法人住民税を納税してきたが区から廃道について何の説明もなかったのは遺憾」との声が沿道の事業者から実際に届けられており、直接影響を受ける当該区道の沿道の区民や事業者の意見聴取がなされてはいない。②直近で、当地区のまちづくり協議会を開催しての廃道に特化した説明もなされなかった。また、③廃道に伴う区道の売却による区への収入額とその用途について区民への説明はいまだになされていない。
従って、廃道に当たって必要な手続きが踏まれたとはいえず、道路法の趣旨から廃道を認めることは妥当ではない。
一、廃道は、当該地区の交通のネットワークの機能、特に防災面での安全性を大きく損なうため
この度の廃道の結果、本件事業の施行区域内の区道で区画された4つの街区が、ひとつの巨大な街区へ統合されることとなる。
統合された街区は、長辺約200mに、いままで3か所あった車両動線が、まったくなくなることとなり、八重洲二丁目、京橋一丁目・二丁目における交通ネットワークに支障を来たす。特に、区立城東小学校のある街区であり、目の前には、東京駅もある。災害時や緊急事態において、緊急車両が通れる動線が3本も減ってしまうことは、街の安全性を大きく損なうこととなり決して容認できるものではない。
一、区道を存続させたままでも、「立体道路制度」を用いることで、公益性が達成可能なため
区民の貴重な財産を売却してしまうことは、一端売却してしまうと取り戻すことが非常に難しいため、現在の区民だけではなく将来の区民に対しても責任ある決断であるべきであって、区道を廃道する場合には、廃道を用いる以外に取り得る方法が他にないような非常に限定的な場合に限るべきである。
今回は、地上に区道を温存しておきながら、地下にバスターミナルを、区道の上空にオフィス棟など施設整備を、「立体道路制度」を用いて行うことは可能であった。
そうすることで、区民の大切な財産である区道を未来に継承しつつ、再開発も両立できる。同時に、上下の空間の賃借料を区は収入として得ることで区民福祉への貢献もまた、持続可能な形で行うことができたはずである。
しかしながら、この度の廃道は、このような「立体道路制度」など取り得る代替案を十分に検討されることなくすすめられた。
廃道は、あらゆる選択肢を考慮した最終手段として用いるべきものである。今回は「立体道路制度」を用いて区道を存続させるべきであり、廃道は容認できない。
以上の理由により、「子どもを守る会」は、議案第51号特別区道の路線の廃止及び変更についてに反対します。
以上