私も、日本経済新聞を読む一人であるが、時々、そこまで経済成長・経済発展を追及するのかと、日本経済新聞らしさに、逆に、驚かされることがある。
本日の、日本経済新聞の夕刊『あすへの話題』は、伊藤忠商事会長丹羽宇一郎氏の「メタボとたばこ」と題した随筆が載っていた。
****以下、転載****
メタボリック(内臓脂肪)症候群対策の特定健診・特定保健指導が四月から始まる。肥満は豊かな社会の共通な悩みで、脂肪燃焼のサプリメント、低カロリー食品から運動器具まで様々なダイエット法が生み出されている。付け加えるわけではないが、私の知る限り最も効果のあるメタボ対策は「空腹の喜び」を体感することだ。人間はお腹がすくことに本能的恐怖があるが、常時満腹という方が動物としてはむしろ異常なのだ。一度、壮快な空腹感を味わうと、知的満足感がわく。過食を避ける癖がつき、自然にダイエットが進むはずだ。
メタボと並び不健康なのは喫煙だ。禁煙はニコチン中毒の克服だけにダイエット以上に難しい。だが、かつてヘビースモーカーだった私自身が禁煙に成功した方法がある。「好きなたばこでとんでもない苦しい思いをする」ことだ。ニューヨーク駐在時代、徹夜したある日、たばこを吸いまくった。翌朝“副作用”で塗炭の苦しみを味わい、「二度とたばこは吸うまい」と決意した。それ以来、一切たばこは手にしていない。危険なのでお勧めはしないが、あの苦しみを思い出すだけで、たばこを吸う気がまったくしなくなった。
メタボ解消と禁煙はすばらしいことだが、ひとつ問題がある。ダイエットや禁煙はモノの消費を減らし、少子高齢化や所得の伸び悩みで、低迷する日本の経済成長をさらに低下させかねないことだ。個人消費は国内総生産(GDP)の六割を占めるだけに深刻だ。たばこ税の落ち込みも国家財政に影響する。国民の健康と経済成長が矛盾するのは悩ましい。唯一の期待は健康な国民が増え、いい知恵が生み出され、研究開発や起業が活発化することだ。
****以上、全文掲載****
丹羽氏が、メタボ対策に「空腹の喜び」を体感することがよい、禁煙には「好きなたばこでとんでもない苦しい思いをすること」といっている二点は非常に良い提案である。
ただ、ダイエット、禁煙を「消費を落とすこと」につなげることや、たばこ税の落ちこみを心配することは、いかがなものか。。。日本経済新聞らしい論調がここにある。(ちなみに中央区の2008年度予算ベースで、一般会計歳入614億2404万円における特別区たばこ税は28億2327万9千円で4.6%を占めている。)
人の健康を犠牲にしてまで、経済発展を考えていいのだろうか。それに、私は、人が健康になることで、もっと違った意味で産業が発展すると思っている。少子高齢化の高福祉にかけるサービスが、産業に繋がると思っている。たばこに使われなくなったお金は、きっと他の消費に使われることになるはず。
“経済発展第一”“どんなことでも最後は経済に結びつける”という日本経済新聞にときどき見え隠れする発想に出会うと、ときどき苦笑する。私のいとこも務めているので、あまり悪くは書けないが。。。
本日の、日本経済新聞の夕刊『あすへの話題』は、伊藤忠商事会長丹羽宇一郎氏の「メタボとたばこ」と題した随筆が載っていた。
****以下、転載****
メタボリック(内臓脂肪)症候群対策の特定健診・特定保健指導が四月から始まる。肥満は豊かな社会の共通な悩みで、脂肪燃焼のサプリメント、低カロリー食品から運動器具まで様々なダイエット法が生み出されている。付け加えるわけではないが、私の知る限り最も効果のあるメタボ対策は「空腹の喜び」を体感することだ。人間はお腹がすくことに本能的恐怖があるが、常時満腹という方が動物としてはむしろ異常なのだ。一度、壮快な空腹感を味わうと、知的満足感がわく。過食を避ける癖がつき、自然にダイエットが進むはずだ。
メタボと並び不健康なのは喫煙だ。禁煙はニコチン中毒の克服だけにダイエット以上に難しい。だが、かつてヘビースモーカーだった私自身が禁煙に成功した方法がある。「好きなたばこでとんでもない苦しい思いをする」ことだ。ニューヨーク駐在時代、徹夜したある日、たばこを吸いまくった。翌朝“副作用”で塗炭の苦しみを味わい、「二度とたばこは吸うまい」と決意した。それ以来、一切たばこは手にしていない。危険なのでお勧めはしないが、あの苦しみを思い出すだけで、たばこを吸う気がまったくしなくなった。
メタボ解消と禁煙はすばらしいことだが、ひとつ問題がある。ダイエットや禁煙はモノの消費を減らし、少子高齢化や所得の伸び悩みで、低迷する日本の経済成長をさらに低下させかねないことだ。個人消費は国内総生産(GDP)の六割を占めるだけに深刻だ。たばこ税の落ち込みも国家財政に影響する。国民の健康と経済成長が矛盾するのは悩ましい。唯一の期待は健康な国民が増え、いい知恵が生み出され、研究開発や起業が活発化することだ。
****以上、全文掲載****
丹羽氏が、メタボ対策に「空腹の喜び」を体感することがよい、禁煙には「好きなたばこでとんでもない苦しい思いをすること」といっている二点は非常に良い提案である。
ただ、ダイエット、禁煙を「消費を落とすこと」につなげることや、たばこ税の落ちこみを心配することは、いかがなものか。。。日本経済新聞らしい論調がここにある。(ちなみに中央区の2008年度予算ベースで、一般会計歳入614億2404万円における特別区たばこ税は28億2327万9千円で4.6%を占めている。)
人の健康を犠牲にしてまで、経済発展を考えていいのだろうか。それに、私は、人が健康になることで、もっと違った意味で産業が発展すると思っている。少子高齢化の高福祉にかけるサービスが、産業に繋がると思っている。たばこに使われなくなったお金は、きっと他の消費に使われることになるはず。
“経済発展第一”“どんなことでも最後は経済に結びつける”という日本経済新聞にときどき見え隠れする発想に出会うと、ときどき苦笑する。私のいとこも務めているので、あまり悪くは書けないが。。。