「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

東京・国立マンション訴訟 20m超の部分撤去命令

2016-10-31 08:37:09 | 街づくり

 景観を守ることの難しさを教えて下さる一つの事案でした。


*****朝日新聞2002/12/16******

自動代替テキストはありません。

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検討中!中央区の憲法のような存在「新基本構想」に対して、11/1~パブリックコメントをお願いいたします。

2016-10-30 09:58:45 | 中央区 新基本構想

 「新基本構想」のパブリックコメントが、11/1から実施されます。
 今後20年間の「基本計画」を縛る憲法のような重要な役割を「新基本構想」は担っています。

 以下は、第3章の「現況と課題」の全文です。

 だいたいの方向性が、伝わればと思い、掲載します。


 どうか、区民の皆様の声を、中央区にお届け下さい。


 例えば、

 〇ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)の重要な“用語”が落ちている点

 〇「地域包括ケアシステム」を介護保険でいう高齢者だけではなく、医療的ケア児・者を含めた子ども・大人をも対象とする概念とすること

 など課題があると私は、考えます。


*********************************
http://www.city.chuo.lg.jp/kusei/keikaku/kihonnkousousinngikai/kihonnkousousinngikai/dai4kai20161011.files/no3chuukannomatome.pdf 

1 一人一人の生き方が大切にされた安心できるまちを目指して

(1) すべての人々が健康で安心して暮らせるまち

 生涯を安心して暮らしていくためには、一人一人が健康の大切さを自覚し、
心身の健康を保持していく必要があります。このため、単なる平均寿命の延
伸だけではなく、「健康寿命の延伸」を目指すとともに、病気や障害があっ
ても自分の価値観に基づいて、満足感が得られるように「主観的健康観の向
上」に向けて健康づくりに取り組んでいくことが大切です。

 本区では、30歳代、40歳代を中心とした子育て世帯が増加しています。こ
のため、妊娠・出産・育児に関わる母子の健康支援対策にきめ細かく取り組
むことにより、保護者の不安が軽減され、安心して子育てができる環境の充
実が求められています。

 また、全国的な傾向と同様、本区においても主要な死亡原因では、がん、
心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病が上位を占めています。このため、子
どもの頃から正しい生活習慣を身に付け、高齢になっても健康でいられるよ
う、生涯を通じた健康づくりが重要となっているとともに、食育の推進など
を通じて、栄養バランスの偏り、不規則な食生活の改善等、生活習慣病の予
防につながる取組が必要です。

 加えて、心の病気の予防法の普及・啓発や、身近な人の心の危機に気づく
ための環境づくりが求められています。

 また、本区は、銀座・日本橋・築地など、国内外から多くの観光客が訪れ
る日本を代表するにぎわいのまちであり、食文化の拠点でもあります。こう
した区の特性を踏まえて生活衛生の向上や感染症対策に取り組み、医療機関
との連携を強化し区民の健康被害の発生予防や拡大防止を図る必要があり
ます。

 さらに、区民の命と健康を守るためには、必要な医療を、誰もが、いつで
も、どこでも、適切に受けることができる体制が不可欠です。このため、か
かりつけの医師、歯科医師、薬剤師の普及・定着、在宅医療や緊急時の対応
など、医療機関相互の連携のもと、区民が必要とする医療サービスが切れ目
なく提供できる医療環境の整備に向けた一層の取組が求められています。


(2) 誰もがいきいきと笑顔で暮らせるまち
 本区では、子育て世帯が増加しており、乳幼児人口も平成30(2018)年に
は1万人を超えると推計されています。加えて、保育ニーズの高まりや子ど
も・子育て支援に関するニーズの多様化が見られます。このため、それぞれ
の家庭や子どもの状況に応じた支援策を受けられるように、保育や子育て環
境の整備をはじめとしたさまざまな課題に適時・適切に対応していくことが
求められています。
 
 また、人口の増加に伴い、障害者福祉サービスの受給対象者は増加傾向に
あります。このため、今まで以上に、障害特性を踏まえ、一人一人のニーズ
に応じたライフステージを通じた支援が可能となるよう基盤整備と支援体
制の充実に取り組む必要があります。

 さらに、本区の平成28(2016)年1月1日の高齢化率(65歳以上の人が人
口に占める割合)は16.2%で、国の率より10ポイント以上低いものの、高齢
者人口は年々増加し、これに伴い、要支援・要介護認定者数も増加していま
す。高齢者が住み慣れた地域において元気で心豊かな生活を継続できる社会
を実現するためには、早期に健康づくりに参加できる機会の提供や身近なと
ころで継続して健康づくりに取り組める環境を整備していく必要がありま
す。加えて、介護・医療・住まい・生活支援・介護予防を一体的に提供する
地域包括ケアシステム」の構築が急務となっています。

 一方で、従来、公的な福祉サービスは、児童福祉、障害者福祉、高齢者福
祉など分野ごとに発展し、質・量ともに充実が図られてきました。しかし、
地域に暮らす人々の生活課題が多様化・複雑化する中、分野をまたがる複合
的な課題や制度の谷間にある課題が生じてきており、従来の公的な福祉サー
ビスを充実・整備するだけでは対応しきれない状況も見られます。このため、
区は地域の総合的なコーディネーターとしての役割を担い、区民が受け手、
担い手となった住民相互の助け合いの推進や、福祉関係事業者・団体等と連
携した地域福祉の充実に取り組んでいく必要があります。


(3) 互いに尊重しあって心豊かに暮らせるまち
 
 すべての区民が心豊かに暮らせる地域社会を実現するためには、一人一人
が個人の尊厳を尊重し、年齢、性別、国籍、障害の有無などの多様性や、多
様な価値観を認め合う「共生社会」の実現に向けた積極的な取組が求められ
ています。

 また、子育て世代や高齢者、障害者などが、安全・安心かつ快適に暮らし
ていくためには、ユニバーサルデザインに基づくまちづくりが必要です。道
路や設備・施設のハード面のバリアフリー化と同時に、区民一人一人がさま
ざまな社会的障壁に苦しむ人々を思いやり、積極的な支援に自発的に取り組
む「心のバリアフリー」の視点も欠かせません。

 このような状況の中、平成28(2016)年4月に、「障害を理由とする差別
の解消の推進に関する法律(以下、「障害者差別解消法」という。)」が施行
され、今後、「共生社会」実現に向けた全国的な機運の一層の高まりが想定されます。
さらに、本区では、子育て世帯の増加が目覚ましく、共働き世帯も増えて
います。しかし、依然として性別による役割の固定化や偏重が家庭、地域、
職場等で見受けられるなど、区民の意識改革や労働環境整備がいまだ十分と
はいえない状況にあります。

 こうしたことから、男女が、家事、育児、家族の介護等すべての家庭生活
において責任を分かち合うとともに、仕事、地域活動等すべての社会活動に
おいて対等な立場で参画することが一層求められています。

 一方で、本区では、高齢者の増加に伴い、権利擁護を必要とする区民の増
加が予想されます。このため、認知症高齢者や判断能力が十分ではない方の
権利を守り、地域で安心して暮らしていけるよう、成年後見制度をはじめと
した権利擁護の仕組みの充実と利用促進の取組が求められています。

 また、人権や人命に関わる重大問題として、高齢者や障害者、子ども、配
偶者等への虐待や暴力があります。このため、地域全体の虐待防止に関する
意識を高め、早期発見・早期対応に努めるとともに、被害者一人一人に応じ
たきめ細かな支援が必要です。

 加えて、近年の社会経済環境の変化に伴い、本区では生活保護受給者が増
加しており、同時に稼働年齢層の方の割合が高くなる傾向があります。この
ため、従来の就労支援に加え、通常の支援では就労が困難な方に対しては多
面的で柔軟な支援が必要です。同時に、生活保護に至る前の生活困窮者につ
いても、個々の状況に応じた相談体制や支援策の充実が課題となっています。



2 快適で安全な生活を送るための都市環境が整備されたまちを目指
して

(1) 災害・犯罪に強くいつまでも住み続けられるまち
 我が国は、地理や気象などの自然的条件から、地震や台風、洪水、火山噴
火などの自然災害が発生しやすい国土であり、本区の防災対策は、その地域
特性から大地震はもとより、風水害や大規模事故等の災害に対処できる態勢
を確保することが重要です。

 とりわけ、今後30年以内にマグニチュード7程度の大地震の発生する確率
が70%と予測される首都直下地震への対応では、建物の耐震化推進等のほか、
在宅避難への備えや防災拠点の円滑な運営体制の整備など、減災に向けた取
組を強化・推進する必要があります。そのため、東日本大震災や熊本地震な
どの教訓を踏まえ、区民や事業所をはじめ地域との連携強化を推進し、「自
助」「共助」の一層の強化を図るとともに、「公助」と一体となった総合的
な防災力の向上に取り組み、「災害に強いまち中央区」を実現することが求められています。

 また、本区は事業所数約3万8千、従業者数約75万人が就業しており、東
京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に国内外から多くの来
街者が見込まれ、災害時には30万人を超える帰宅困難者が想定されています。
そのため、区民の安全確保を最優先することを主眼としつつ、観光客や輻そ
うする公共交通機関から生じる通過人口等にも配慮した帰宅困難者対策が
課題となっています。

 さらに、近年の異常な気象状況等により、全国各地で甚大な水害が発生し
ており、本区においても荒川水系の大規模氾濫による浸水等が想定されてい
ることから、水害等における防災・減災に向けた対策の強化も課題となって
います。

 近年全国的に、凶悪事件や子ども・高齢者を狙った犯罪の報道が目立つ中、
区内の刑法犯発生件数は、平成14年の5,381件をピークに13年連続で減少し、
平成27年は2,616件と5割を下回っています。しかしながら、インターネッ
ト等を悪用した新たな手法による犯罪、悪質商法など、消費生活を巡るトラ
ブルも発生しており、区民生活の安全を守るための防犯対策や消費者教育の
推進が必要です。

 また、区民がいつまでも安心して住み続けていくためには、高齢者人口の
増加を見据えた住宅・住環境の整備のほか、マンションの維持管理や地域の
コミュニティ形成など、ハード・ソフト両面からの取組が重要です。
 
 さらに、我が国を取り巻く国際情勢が変化する中、都心に位置する本区に
おいては、大規模テロなど、高まりつつある新たな脅威にも的確に対応する
ことが必要です。


(2) 水とみどりあふれる豊かな環境を未来へつなぐまち
 
 近年、世界人口の増加や新興国の経済活動による森林減少などにより地球
温暖化、廃棄物問題、生物多様性の保全など、世界規模での環境問題が深刻
化しています。これらの環境問題は地球上の生物にとっての生存基盤を揺る
がす深刻な課題であり、地球環境を保全し、清らかな水と空気を次の世代に
引き継ぐことは、私たちに課せられた大きな責務です。

 日本の文化・商業・情報の中心として活発な経済活動が行われている本区
は、環境に大きな負荷をかけています。そのため、省資源・省エネルギーな
どの低炭素社会の実現に向けた取組をはじめ、東京2020オリンピック・パラ
リンピック競技大会の選手村に予定される最先端技術の導入など、新たな試
みに積極的に挑戦し、環境負荷の少ない持続可能な社会をつくっていくこと
が必要です。

 公園・緑地は、人々の憩いや安らぎの場、子どもたちの遊びの場、スポー
ツ・レクリエーションの場であるとともに、ヒートアイランド現象の緩和、
災害時の避難場所などの防災機能も有するなど、健康で安全な生活を営む上
で重要な機能を持っています。また、本区は河川や運河の面積が区全体の約
18.3%を占めており、都内随一の水辺空間を誇っています。この豊かな水辺
環境をいかし、人々が安全・安心・快適に散策できる水と緑のネットワーク
の充実を図るとともに、にぎわいの創出や魅力を高めることが求められてい
ます。

 さらに、都心機能が集中し、緑が少ない本区では、区民・事業者と区との
緑のパートナーシップにより、緑の豊かさを実感できるよう緑化の促進を図
り、自然と調和した安らぎを感じることのできる都心居住環境の実現と、そ
れを未来に引き継ぐまちづくりが重要です。

(3) 魅力ある都市機能と地域の文化を世界に発信するまち
 江戸幕府の開府後、慶長9(1604)年に日本橋を起点とする五街道制が敷
かれ、これをきっかけに日本橋・京橋一帯は交通、通信、経済、文化、商業
の中心として発展を遂げました。このように、道路や公共交通などの都市基
盤は生活の充実や経済・社会活動の発展において、重要な役割を果たしてい
ます。

 都心に位置する本区は、23区の中でも特に道路整備が進んでいます。また、
これまでJRや地下鉄、都営バスおよびコミュニティバスの運行など、公共
交通の利便性の向上を図ってきました。一方、今後も臨海部を中心に人口の
増加が予測され、増加する交通需要への対応が課題となっており、BRTの
導入や臨海部の地下鉄新規路線整備などの検討が進んでいます。さらに、商
業・観光の観点からも、区内の回遊性を高める交通網の整備や誰もが利用し
やすいバリアフリーの対応も重要です。さまざまな先進技術を推進し、すべ
ての人が安全・安心かつ快適に利用できる強靭な都市機能の整備が求められ
ています。

 また、本区はその成り立ちや地域の営みを通じて育まれてきた個性豊かな
まちが数多く存在しています。それは単に伝統を守るだけではなく、各時代
における先進技術をまちづくりに取り入れながら昇華させた地域文化とし
て根づき、首都東京、ひいては日本を牽引してきた歴史があります。名橋日
本橋に象徴される江戸五街道の起点を有する「日本橋」、東京の表玄関であ
る「八重洲」、日本一のショッピングストリート「銀座」、日本のウォール街
「兜町」、食文化の拠点「築地」などがその例です。これらの地域ではまち
づくりビジョン等の策定や地元主体のデザイン協議会による景観協議が行
われ、まち全体で調和のとれた魅力的なまちづくりが進められています。一
方、人口増加や社会状況の変化により、将来の人口動向を見据えた公共施設
や医療施設、多様な商業施設の整備、観光客の急増に対する受入環境の充実
など、新たな課題が生じています。首都東京の中心に位置する本区は、人口
減少・超高齢社会を迎えた我が国の持続的な成長に資するまちづくりにとど
まらず、創意工夫により新たな課題を克服し世界をリードする都市として地
域文化を受け継ぎながら、区民一人一人が豊かに暮らせるまちづくりが求め
られています。


3 輝く個性とにぎわいが躍動を生み出すまちを目指して

(1) 多彩な産業が地域に活力を与え、多様な人が集いにぎわうまち

 本区は、江戸開府以来商いのまちとして、多くの来街者を呼び込む飲食・
小売業のほか繊維・衣類の卸売業、地場産業である印刷・製本業、広告・デ
ザイン、ファッション、情報サービス業などの創造的産業、経済機能の中枢
である金融・証券業など多彩な産業が高度に集積し、事業所数、従業員数の
いずれにおいても23区の中でトップクラスを誇ります。面積としては約10k
㎡と決して大きくはない区の中で旺盛な事業活動が日々展開されており、地
域経済の発展のみならず、日本を代表する商工業の中心地として、国全体の
経済を牽引する役割も担っています。

 一方、近年の東京への人口集中、外国人観光客の飛躍的な増加や情報通信
技術のさらなる進展、流通形態や消費者ニーズの多様化など、区の産業を取
り巻く環境も急激に変化しています。こうした中、地域に根付いた商店街や
地場産業の活性化を図りながら、区産業の核を成す中小企業の基盤強化、創
業の積極的支援、観光関連事業の展開など、各種施策を多面的に推進するこ
とで、地域経済のさらなる活性化や新たなにぎわいの呼び起こしを図ってい
く必要があります。
 
 また、働いている方への視点も大切です。本区では、従業員数100人未満
の中小事業所が全体の96%を占めています。こうした事業者については、労
働環境や福利厚生などの面では大企業と比べて厳しい状況にあることから、
雇用の確保、勤労者の生活の安定に向けた取組を進めるとともに、勤労者の
能力開発や余暇活動などへの支援も推進していく必要があります。


(2) 豊かな学びにあふれ健やかな体を育むまち

 グローバル化の進展や地球環境問題の顕在化など教育を取り巻く環境が
変化する中、学校教育においては、子どもたちが自己の未来を見据え、現実
に正対しながら自己の能力を最大限に発揮できる「生きる力」を育むことが
求められています。そのためには「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」
の知・徳・体のバランスのとれた教育の推進が重要であり、とりわけ、予想
を超える困難に直面しても子どもたちが主体性を発揮し、協働しながら将来
を創造できるよう、より質の高い教育を展開していかなければなりません。
良好な学習環境を確保していくことも重要な課題です。年間出生数が
2,000人に迫る状況や、晴海地区における東京2020オリンピック・パラリン
ピック競技大会後の急速な人口増を見据え、学校施設の計画的な増改築や新
たな整備が必要となります。

 家庭教育は、すべての教育の出発点であり、基本的な生活習慣、他人への
思いやり、社会的なルール、自己肯定感や自立心など、子どもの基礎的な資
質や能力を育成する上で非常に重要な役割を担っています。しかし現在、核
家族化やライフスタイルの変化等に伴い子どもを取り巻く家庭環境は大き
く変化しています。こうした中、子どもを育てる「親力」を高める支援とと
もに、保護者が子育てに不安を抱え、孤立することのないよう地域全体で家
庭教育を支援していくことが大切です。
 
 また、こうした社会環境の変化は、子どもの成長・発達に必要な他者や地
域との関係性の希薄化や経験、体験の不足ももたらしており、文化やレクリ
エーションなどのさまざまな地域活動を促進し、体験活動への参加機会を増
やすことも重要です。

 生涯学習については、自己実現や生きがいづくりに加え、一人一人が豊か
な人生を送るため、あらゆる機会にあらゆる場所で学習することができ、そ
の成果をボランティアなどの地域活動にいかすことができる環境づくりが
求められています。

 さらに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて
気運が高まっているスポーツにおいても、いきいきとした暮らしの基盤とな
る健やかな体を育むとともに、世代を超えたふれあいのきっかけになるもの
であることを踏まえ、誰もがスポーツに親しめる機会を積極的に創出してい
く必要があります。


(3) 人々のつながりが広がる文化の香りと平和に包まれたまち
 
 本区では、下町ならではの人情や連帯感により温かな地域コミュニティが
形成されてきました。また、歴史と伝統の積み重ねとさまざまな人々の活発
な交流が地域に根ざした文化を育み、時に時代の最先端を行く文化を生み出
してきました。

 近年の若い世代における共働き世帯の増加、就業形態や価値観の多様化な
どから、地域活動への関わり方や担い手不足など新たな課題も生じています
が、安全・安心で豊かな生活を営むためにも、まちの課題を自ら解決するこ
とができる地域の力は重要です。

 新たな人と人とのつながりが生み出す地域の力を、これからの本区の発展
を導く原動力にして、新しく住まわれた人も本区に愛着を持ち、育まれてき
た文化を大切にしつつ、多様な主体との協働により地域とともに歩む都心コ
ミュニティを構築していかなければなりません。

 また、これからの国際化の進展を踏まえ、言葉や習慣の違いを超えて人々
が互いに尊重し合いながら交流する開かれた地域社会を目指していくこと
も重要です。

 文化を享受し、安心して日々の生活を送る上で基礎となっているのは「平
和」です。戦争の惨禍を再び繰り返さないためにも、次の時代に戦争の悲惨
さや平和の尊さを語り継ぐことは大変重要なことです。これからも区のあら
ゆる施策を通して平和の理念を反映させていく必要があります。

以上

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交通ルールを守る子どもが、「ポケモンGO」して運転する大人にはねられ命を落とす世の中

2016-10-30 09:37:12 | 子育て・子育ち
 今後も、同様に、車を操作中のポケモンGOが原因する交通事故は、続くと思われます。

 区議会でも、「ポケモンGO」の功罪が議論されているところです。

 交通ルールを守る子どもが、「ポケモンGO」して運転する大人にはねられ命を落とす世の中。
 遊ぶ側のマナーで済ませるのではなく、「ポケモンGO」開発業者には、真摯にこの事件に向き合っていただきたい。

****************************************
http://digital.asahi.com/articles/ASJBX421HJBXOIPE00H.html

ポケGO「車で操作できぬように」 小4死亡、父が訴え

仲程雄平、大野晴香

2016年10月29日11時25分



 愛知県一宮市の市道交差点で26日夕、下校中の小学4年の則竹敬太君(9)がトラックにはねられ、死亡した事故。県警によると、運転手は「ポケモンGOを使いながら運転していた」と供述しているという。警察庁によると、ポケモンGOが原因とみられる交通事故の死者は7月の配信開始以降、全国で3人目。子どもが犠牲になったのは初めてという



 運転手は一宮市木曽川町外割田、会社員川合信右容疑者(36)。自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)の疑いで28日、送検された。県警によると、現場にブレーキ痕はなかったという

 「これ以上、犠牲を出さないように、車に乗ったら一切操作ができないような対策をとってほしい」。敬太君の父・崇智(たかとし)さん(46)は28日、無残に変形した敬太君の水筒を握りしめ、涙ながらに訴えた。「そうでないと、敬太が浮かばれない……」

 「行ってらっしゃい」。26日朝、出勤前に敬太君からかけられたこの言葉が、崇智さんが聞いた最後の声となった。午後4時10分ごろ。敬太君は自宅まであと約200メートルのところにある横断歩道を渡っていて、小学6年の兄(12)の目の前でトラックにはねられた。

 病院に駆けつけた家族は意識不明の敬太君の体をさすり、名前を呼び続けた。敬太君は家族がそろうのを待っていたかのように病院で息を引き取ったという。

 兄と競い合うのが好きで、双子のように兄弟仲がよかった。兄はつぶやいた。「一番乗りが好きだから、天国にも一番乗りしちゃった」

 敬太君は来月14日の誕生日を楽しみにしていたという。空手を習い、将来は父と同じ教師になりたいと話すこともあった。崇智さんは「9年11カ月で旅立ってしまった。敬太には夢も希望もあった。交通ルールを守った子どもが亡くなるなんて、どんな世の中なんですか」。無念さを言葉に込めて話した

 警察庁によると、7月22日のゲーム配信から10月26日までで、運転者がゲーム中に起こしたとみられる交通死亡事故は今回を含めて3件発生。徳島県1件、愛知県2件で、子どもが犠牲になったのは初めて。愛知県警によると、県内では交通事故が7件発生。死亡を含む人身事故は4件で、他にも物損事故があった。(仲程雄平、大野晴香)
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中央区立銀座中学校第32回発表会2016.10.29

2016-10-29 23:00:00 | 教育

 10/29(土)銀座中学校の第32回発表会を参観させていただきました。

 午前の合唱の部は、終わりのほうわずかに聴くことができました。

 すべての合唱が終わった後、審査の先生のコメントは、すばらしかったです。
 ここまで、歌い方の深い分析を聞いたことがありませんでした。
 このコメントを聞いた子ども達は、きっと、歌について深く理解し、次回の実りある合唱に具体的に取り組むことができると思います。
 そして、そのコメントが述べられているところから、子ども達のすべての合唱がすばらしかったことも伝わって来ました。

 午後の部は、すべてのプログラムを観させていただき、校長先生の最後の言葉にもありましたが、私もいくつも感動をさせていただきました。

 美しい日本語が大切されていて、そして、その美しい日本語を用いて、自分の心からの思いを伝えてくれた発表会だったと思います。

 展示では、3年生の皆さんが書いた大事にしている言葉に、いろいろ教えられるところがありました。
 1年生の皆さんが書いた関心のある職業についてのインタビュー記事にも、ぜひ、将来その職業になってほしいと思います。
 5組の切り絵や絵、いつも見入ってしまいます。

 中学生の実力にある意味驚かされました。
 銀座中学校の生徒の皆様、感動をありがとうございました。
 先生方、PTAの皆様、お疲れ様でございました。ありがとうございました。


 写真は、今年から始まった指揮者とピアノ伴奏者の優秀者の表彰の場面。

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築地市場再生しか道はない。東京2020世界中からの選手には、築地の食材でおもてなしを!

2016-10-28 16:11:16 | 築地重要

 築地市場移転問題は、東京都知事の裁量権で当不当を論じる段階から、そもそもそのような移転は、卸売市場法、土壌汚染対策法、都市計画法などの法律に合致しているとは言えない違法ではないかという問題へと、盛り土がないことの隠ぺいが明らかにされた2016年9月を境になったと、私は認識しています。

 本日、毎日新聞には、重要な記事が掲載されています。

 市場開設の都市計画決定の根拠としてある盛り土が、なくてよいという風な論調の論者もおられますが、水谷氏の論説は、豊洲移転が破たんしたことを科学的根拠・法的根拠をもとに述べられています。

 たいへん参考になる記事だと考えます。

 

********毎日新聞2016/10/28**************
http://mainichi.jp/articles/20161028/ddm/004/070/021000c 

論点

築地市場 豊洲移転問題



毎日新聞2016年10月28日 東京朝刊

 東京・築地市場(中央区)の豊洲(江東区)移転が小池百合子知事の判断で延期された。専門家の提言に反し、市場棟などの下は汚染対策の盛り土がないことも発覚。地下水から基準値超えの有害物質が検出されるなど、環境問題が再燃している。豊洲に引っ越しを始めていた業者も多い。混迷の度合いを深める移転問題--。当事者、専門家らに話を聞いた。【聞き手・前田剛夫】



汚染対策は破綻した 水谷和子・1級建築士



水谷和子氏
 2008年ごろから一建築士として、汚染された市場用地の購入に公金を支出することの不当性や、ずさんな環境調査などを指摘してきた。移転をめぐる東京都の対応は「移転ありき」という一度決めた方針を守ることに終始してきた。そのほころびが噴き出している。

 小池百合子知事が豊洲市場開場を延期した。理由の一つが来年1月に発表される9回目の地下水モニタリング調査の結果を待ちたいということだった。汚染土壌が除去されたことを確認するための調査で、14年秋から9回の予定で実施している。ガス工場だった土壌の汚染を取り除いた確証がないまま開場してしまうのはおかしい。延期理由はもっともだ。都は都民や築地の業者さんにも汚染はすべて除去すると約束していたのだ。

 豊洲市場はすでに完成しており、都は調査で環境基準値を超えるとは想定していなかったのではないか。ところが今年9月に公表された8回目の調査でヒ素とベンゼンが基準値を超えた。ベンゼン調査も汚染土の除去もずさんだったので、それ自体驚きではない。これまで基準超えのうわさは聞いたことがあるが、ふたを開けてみれば1~7回調査とも基準内に収まっていたことの方が不思議なのだ。

 また、都の独断で市場棟などの地下は盛り土されず空間になっていた。08年に市場用地から環境基準の4万3000倍というベンゼンが検出されている。地下深くにある高濃度に汚れた、こうしたタールだまりをすべて突き止め、除去することはできない。汚染の塊で地下水が汚れる。だから地下水位を管理したうえで4・5メートルの盛り土のバリアーをし、地上に上がってくるガスを希薄にし、コントロールする。それが専門家会議の提言だった。その根底が都の不手際で崩れ、豊洲市場の汚染対策は破綻した。あまりにも専門家会議の提言を甘くみている。

 さらに、地下の床面には地下水がたまっている。汚染地下水が入り込めば気化したガスが大気として地下に充満するので最悪の状態だ。一部砕石層がむき出しで大雨が降れば床面の水位も上がる。さらに地下は半密閉空間で外周の水位が上がれば中に水が入ってくる。まるで地下ダムだ。また、汚染が見つかったら地下にショベルカーを入れるらしいが、小型に限られ、汚染表土を1メートル剥ぐぐらいしかできない。地下空間をつくった言い訳にしか聞こえない。安全よりコスト削減と工期短縮を優先した結果、新市場の信頼はすっかりなくなってしまった。食を扱う商売の場として成り立たない。

 そもそも豊洲は都心からのアクセス道路など物流効率が悪く、お客さんが遠のくという声が築地の業者さんから聞かれる。また、空調費などの維持管理費の負担も大きいため、中小の仲卸さんなどはそのコストに耐えられず、撤退が相次ぐという指摘もある。このままでは、汚染土の管理を義務づけられた土壌汚染対策法の区域指定は解除できない。豊洲に移転をするなら、高濃度汚染地区というレッテルのまま農水省に開場の認可申請をすることになる。認可されたら都に続いて今度は国の責任が問われることになる。

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基準値超える有害物質

 小池知事は移転延期理由の一つに地下水モニタリング調査の未完了を挙げる。1~7回目の調査は環境基準をクリアしたが、9月公表の8回目(201カ所)に基準値の1.1~1.4倍のベンゼンが2カ所、同1.9倍のヒ素が1カ所で検出された。都は「飲用ではないうえ、健康に影響しない」としているが、盛り土のない地下空間の大気からも最大で国指針の7倍の水銀が検出され、今月15日に再開した専門家会議が原因と環境への影響を調べる。

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地下の盛り土こだわるな 長谷川猛・東京都環境公社非常勤理事




長谷川猛氏


 技術会議が始まった2008年8月ごろ、東京都は4・5メートルの盛り土にこだわっていた。それが秋ごろに方針が変わり、年末の第9回会議で都から「地下の作業空間を技術会議の独自提案としたらどうだろう」という意見があった。だが都から資料提示はなく、その案を拒否した。このため翌09年2月の報告書にはその記述はない。

 ところが、先月30日に都がまとめた自己検証報告書には、地下空間は「技術会議が独自に提案した事項」と書かれており驚いた。技術会議に責任を押しつけたのだろう。都中央卸売市場の土木と建築部門の意思疎通は悪かった。推測だが地下空間の設置は何らかの裁定が下り、土木部門が建築部門に押し切られたのだと思う。

 ただ、すでに完成済みの豊洲市場以外に行き場はない。「盛り土信仰」を捨てて開場に向けソフトランディングさせなければならない。土壌汚染対策法には、汚染土の直接摂取を防ぐ措置として、盛り土なら50センチ以上、アスファルトは3センチ以上、コンクリートなら10センチ以上の「ふた」をしなさいという規定がある。したがって、豊洲の盛り土4・5メートルに科学的な根拠があるわけでなく、通常の区画整理事業で定められた高さに合わせたにすぎない。

 豊洲ではかつてあったガス工場の地盤面から不透水層までの汚染土壌を除去し、地下水管理システムを設け、表層を舗装するという二重の安全対策をとっている。なぜ都は当時「地下空間を利用する場合は代替措置をとる」と正直に説明しなかったのか。技術会議でそう説明すれば了解が得られ、専門家会議でOKが出ただろう。

 市場棟などについては盛り土して地上に配管を設置するより、現状の地下配管の方が建築上理にかなっている。しかし問題もある。

 地下水が地下空間の床にたまりっ放しの状態はまずい。なぜ、既存の地下水管理システムを最優先で稼働させ、水位を下げておかなかったのか。管理がずさんだ。

 地下の床は一部砕石層がむきだしで、地下水がたまっている。水位が下がったら、床面を基礎用のコンクリートで固めればいい。環境上新たな問題も生じない。

 また、配管が通る地下空間はメンテナンス要員が入り、労働安全衛生上、換気設備が必要となる。その際、活性炭吸着装置を付設しておけば、地下空間の大気からベンゼンや水銀が検出されても吸着除去されるので万全である。

 2年間の地下水モニタリング調査が環境基準以下なら、きれいな土地として土壌汚染対策法上、管理が必要な区域の指定は解除される。ただ、市場用地の不透水層の下には、自然由来のヒ素と鉛が残っており、区域指定の解除は原則できないだろう。指定解除は工場跡地などなかなか買い手がつきにくい土地の流動化を図るために設けられたもので、安全性とは直接関係がない。

 またモニタリング調査で一部の井戸から基準値を上回るヒ素などが検出されたがその数値はわずかで、健康上の心配はない。汚染土壌の除去対策はうまくいっているので、地下水も水の交換が進めば汚染問題は解消するだろう。


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知事は開場の道筋示せ 伊藤裕康・築地市場協会長

伊藤裕康氏

 小池百合子知事の移転延期表明は、豊洲市場の開業を2カ月後に控えていただけに、ひどい独断だと思った。ところがその後、汚染対策としての盛り土がされていないことが分かり、市場の安全性という根本的な問いかけが再浮上した。盛り土の件で築地市場は東京都にだまされ続けてきたのだ。

 市場棟などの地下を盛り土なしの地下空間としたことで安心・安全が保てるのか。追加工事が必要なら、どの程度の期間がかかるのか。今月15日に有識者による専門家会議が再開したが、その冷静な検証を待つしかない。また、豊洲市場は安心なのかという懸念や風評が消費者に広がり始めている。そして、改めて露呈したのは都の無責任な体質だ。管理部門と実務部門が乖離(かいり)し、市場長や担当副知事が実務にあたる職員をグリップ(掌握)できていなかった。地下空間をめぐる自己検証報告書も不十分だ。知事にごもっともです、やりますと言いながら、だれが地下空間を決めたか分からない。都議会、委員会でも一貫して責任追及されないような答弁をし、知事に対する面従腹背と思われてもしょうがない。

 卸売・仲卸業などを問わず豊洲移転に向け、準備は大詰めだった。マグロなど生鮮品を貯蔵する大型冷蔵庫は120億円かけて2基整備され、建物ごと冷やすのに1カ月半ぐらいかかるため8月にスイッチを入れいまも冷却中だ。市場協会はコンピューターや通信機器などを結ぶ無線LANシステムを27億円で構築した。競り場を10・5度まで冷やすための空調設備は初期投資が22億円、海水ろ過装置も20億円かかり、すでに海水を流し始め、止められない。約500軒の仲卸は、営業権から機材やパソコンなどのリース・購入費として各自数千万円から億の台のコストをかけ、厨房(ちゅうぼう)機器の備え付けを終えた食堂も多い。延期に伴う業者への補償は一般会計から、独立予算の市場会計への繰り入れを含めて、都は真摯(しんし)に対応しなければならない。

 築地市場の移転は選挙のたび争点となり、政治に翻弄(ほんろう)されてきた。昭和30年代から大井ふ頭(東京都品川区)の埋め立て地への移転計画があったが、反対運動で実現せず、鈴木俊一知事の時代は巨費を投じて築地の再整備が進められた。船で建設資材を運び込むための構台を設営し、場内のビルを移動させたり、駐車場をつくったりするなど整備したが、商売をしながらの工事は頓挫した。そこで出てきたのが豊洲移転だが、民主党(現民進党)政権の誕生で移転計画が後退するなど一進一退を繰り返してきた。築地は貨車や船による運搬を考慮して設計されたが、物流の中心がトラックに代わり使い勝手が悪くなってしまった。建物や設備の老朽化も著しい。豊洲移転を見込み、設備の修理や新調をせずに既存のものをだましだまし使って、それも限界にきている。

 小池知事には専門家会議の検討を踏まえ、安全が確認されたら先頭に立って豊洲は安全だと宣言し、開場の道筋を示してほしい。店を広げても、みなさんに安心して魚や野菜などを買ってもらわなければ市場は成立しないのだ。




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 ■人物略歴

はせがわ・たけし

 1944年生まれ。東京都環境アセス担当部長、環境局総務部長、都環境科学研所長など歴任。専門は水・廃棄物処理。浄化工法などを議論した技術会議元委員。

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 ■人物略歴

いとう・ひろやす

 1934年生まれ。水産卸大手「中央魚類」代表取締役会長。築地市場卸売・仲卸業者らの代表の一人として豊洲移転を推進。2006年から全国水産卸協会長。

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 ■人物略歴

みずのや・かずこ

 1952年宮城県生まれ。見学会をきっかけに市場移転に疑問を持ち都の調査データの不明瞭さなどを追及。土地購入の不当性を訴える訴訟の原告団の一人。

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大川小訴訟判決 仙台地裁2016.10.26高宮健二裁判長

2016-10-27 23:00:01 | 防災・減災
 重要判決が、仙台地裁で出されました。

 大川小訴訟判決2016.10.26 高宮健二裁判長

 ご遺族の皆様は、その真相を知りたくてなされた裁判。

 判決では、まだまだ真相が明らかにされていないと、ご遺族のコメントが掲載されていました。

 判決文を読めていませんが、各紙で判決文の要旨が掲載されており、そこから事件の概要をまず、つかむことができます。

 その日は、学校のリーダシップをとる校長先生が、たまたまお休みの日で起きたこと、リーダーシップの不在が災いしたのかもしれません。
 市の広報車が、巨大な津波が来ることを知らせて回っていたが、ただ知らせるだけでなく、学校においては、その避難行動を確実に取らせることまでの徹底をできていたなら、もしかして子ども達が助かったのかもしれません。

 少なくとも、学校は、子ども達の安全を守るために課せられた高度な義務があることを、私たちは、この判決から学び、大災害が起きたとしても、決して同じ過ちを繰り返さぬようにせねばならないと強く感じます。

 


***********朝日新聞2016/10/28************************
【震災前に教員が津波被害を予見し、危機管理マニュアルを改めるべきだったか】

 地域に最高5・1メートルの津波が想定されるとする石巻市の防災計画でも、大川小は津波の避難対象地区外だった。津波発生時の具体的な避難場所などを明記するなど、学校の危機管理マニュアルの改訂をすべき注意義務が教員にあったとは言えない。震災前には、教員は津波で被災することを具体的に予見できなかった。

 【2011年3月11日午後2時46分の地震発生直後の状況】

 地震の揺れが収まった後も、余震が収束するなどして安全が確認されるまで下校を見合わせたのは、児童の安全確保のために必要な措置と認められる。

 【地震発生後の注意義務違反について】

 《午後3時10分ごろまで》

 石巻市の防災行政無線が大津波警報の発令を伝えており、校庭でも聞こえていた。だが地震の規模はこの時点ではラジオ放送でも明らかにされておらず、被害想定を超える津波が学校に到来し、児童の生命身体に具体的な危険が及ぶと教員が予見することは困難だった。裏山への避難は、土砂災害による抽象的な危険があったと言わざるを得ず、この段階で裏山に避難しなかった教員の判断が不相当だとは言えない。

 《午後3時半ごろまで》

 NHKラジオが午後3時半までに県内での津波被害を伝えており、ラジオを聞いていた教頭らは、津波が格段に大きな規模で、三陸沿岸に到達したことを認識していた。

 市の支所の広報車も、遅くとも午後3時半ごろまでには学校の前を広報しながら通り過ぎ、津波が沿岸の松林を抜け、学校の所在地付近に現実の危険が及んでいることを教員に伝えていた。この時点で教員は、児童が校庭にとどまっていた場合には、生命身体に具体的な危険があることを予見したと言える。速やかに、かつ可能な限り津波の被災を避けるべく、児童を高所に避難させる義務を負っていたと認められる。

 教員は支所の広報を聞き、予想される津波の高さが「10メートル以上」に変更されたことを知る以前から、裏山を含む具体的な避難場所を検討していたと認められ、校庭からの避難場所を検討する時間的な余裕がなかったとは言えない。そのような中、児童は教員の引率で避難を開始し、北上川右岸の「三角地帯」(標高約7メートル)を目指していたと推認できる。

 支所の広報の内容から、津波が川沿いの土地を進んでくることは、教員としては容易に想定できた。津波が三角地帯に達すれば次の逃げ場が全くなくなることからすると、6~10メートルの津波が具体的に予見される中で、三角地帯が避難場所として適していなかったことは明らかだ。

 【裏山への避難について】

 裏山の斜面では、過去に3年生などの児童が毎年3月にシイタケの原木を運ぶ作業を行っており、同じ3月に児童が登るのが困難だったとはいえない。現実に津波の到来が迫り、逃げ切れるかどうかで生死を分ける状況では、教頭が自らの判断で児童の安全を優先し、裏山への避難を決断するべきだった。

 津波が学校に迫っている事実を知った時点で速やかに避難を開始していれば、少なくとも7分以上の時間的余裕があった。原告の実験によると、校庭の中央から標高10メートル付近に至るまでに徒歩で2分1秒、小走りで59秒かかっている。避難開始時に70人あまりの児童が校庭にいたことから、現実の避難にはより時間がかかることも考えられるが、多少の混乱をいとわずに児童をせかし、早期の避難を最優先にすれば、津波にのまれるまでにわずかでも時間を稼ぐことは可能だった。

 【教員の結果回避義務違反について】

 教員は午後3時半までに、児童の生命や身体への具体的危険を予見していたのであり、自主的に避難できない児童らを可能な限り避難させる義務を負っていた。だが避難場所として適切ではない三角地帯に児童を引率し、児童は津波に巻き込まれたと認められる。

 教員としては、短時間に比較的容易に登ることが可能な裏山に向けて児童を避難させる義務を負っていたというべきだ。三角地帯を目指して移動した行為には、結果を回避すべき注意義務を怠った過失がある。

 被災児童の死亡に関して、石巻市は国家賠償法に基づく損害賠償責任を負い、教員の給与を負担する宮城県も、石巻市と連帯して損害賠償責任を負う。

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いじめ、不登校のご相談も、かかりつけの小児科医師へ

2016-10-27 23:00:00 | 教育

 いじめの防止や対処。

 教育現場での難しい問題です。

 担当する担任の先生をはじめ学校側の教育委員会や教育委員会の附属機関であるいじめ問題対策委員会(中央区いじめ問題対策委員会条例)との連携した対応に期待をするところですが、多くの小児科医師達も、子ども達のいじめ問題に対し、髙い関心を寄せています。

 いじめ、不登校などのことも、お気軽に、かかりつけの小児科医師に、ご相談下さい。
 ひとりで抱え込まないで下さい。

 ところで、同日10/27毎日新聞では、学校図書館を「安心できる場」にしてほしいと子ども達からの読書調査結果がでていました。
 不登校気味の子も、図書館なら本があって、安心して過ごせる、心のクールダウンの場であるとのことです。

*****文科省******
平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果(速報値)について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/10/1378692.htm 



平成27 年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(速報値)について
平成28 年10 月27 日(木)
文部科学省初等中等教育局児童生徒課

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/10/__icsFiles/afieldfile/2016/10/27/1378692_001.pdf 


********東京新聞 社説***********************
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016102702000137.html

いじめの防止 背景をもっと知りたい


2016年10月27日





 いじめ防止対策推進法の施行から三年余り。いじめられ、自殺に追い込まれる深刻なケースが後を絶たない。なぜ食い止められないのか。背景事情を共有して、もっと手厚い予防策を打てないか。


 二〇一一年に大津市の中学二年生が自殺した事件を契機に、議員立法で制定された法律だ。施行三年を迎え、国のいじめ防止対策協議会は運用上の課題を探り、多岐に及ぶ改善策を打ち出した。


 一義的には、やはり教育現場の危機意識の薄さと対処能力のもろさが問題だろう。


 学校はいじめを防ぐための基本方針を立て、対策組織を置くよう義務づけられた。だが、実態として機能しているとは言い難い。


 教員が一人で問題を抱え込んだり、学校全体での取り組みがおろそかになったりして重大な結果を招いたケースも目立つという。組織的に情報を共有すれば、複眼的に事態を捉えられ、多様な介入の仕方が可能となるに違いない。


 改善策では、教員の日常業務の中で「自殺予防、いじめへの対応を最優先の事項に位置付けるよう促す」と踏み込んだ。遅きに失した感は否めないが、うなずける。


 言うまでもなく、子どもの健やかな成長にとって学校環境の安全安心は大前提だ。教員の事務負担を軽くし、子どもと丁寧に向き合える時間を広げてほしい。いじめ対策専任教員の配置も望みたい。


 気がかりな点もある。


 法律の立て付けでは、いじめの早期発見、早期対応に主眼が置かれている。未然防止の手だてがいまひとつ物足りなく見える。


 もちろん、情操や道徳心、対人関係を紡ぐ力を培う教育や、親や地域住民への啓発は大切だ。しかし、ほとんどの子どもは、いじめは悪いことと知っている。にもかかわらず、いじめは絶えない。


 どんな子どもも、いじめる側にも、いじめられる側にも回りうる。そうした認識が、かえって個々の問題の動機や原因の究明を鈍らせている面はないだろうか。


 いじめた経験のある小中高生の各約七割が、いじめていた頃に自分も悩んだり、つらかったりしたことがあると答えている調査報告がある。さまざまな加害の背景事情に寄り添えなければ、いじめの根絶は難しいだろう。


 とりわけ自殺や不登校といった重大事態に追い込まれたケースでは、加害の実相を社会全体で共有したい。学校はもとより、家庭や周囲が感度を高め、対処する力を磨く手掛かりになるはずだ。

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東京2020までに、なさなければならないことのひとつ。受動喫煙防止。

2016-10-26 19:04:53 | 医療
 本日、たまたま目にした北海道新聞社説。

 東京2020までに、なさなければならないことのひとつ。受動喫煙防止。

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http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0088963.html

受動喫煙防止 取り組みの加速が必要

10/26 08:55


 他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙への厳格な対応は、もはや時代の要請と言えよう。

 政府は2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、受動喫煙防止対策を強化する方針だ。

 厚生労働省がまとめた案は、病院や学校の敷地内禁煙とバス、タクシーの全面禁煙を打ち出した。

 官公庁、社会福祉・運動施設は建物内禁煙、駅、空港、飲食店などは原則建物内禁煙としている。

 違反者が勧告や命令に従わない場合、施設管理者だけでなく、喫煙者にも罰則を科すことを盛り込んだ。法案化し、来年の通常国会に提出するという。

 受動喫煙が健康を損なう以上、法律の整備は必要だろう。

 同時に、健康被害を国民に広く知ってもらうことや、喫煙者自体を減らす政策のより積極的な展開も求められる。

 国立がん研究センターは8月、「受動喫煙を受ける人の肺がんになる危険性は、受けない人の1・3倍」との研究結果を発表した。循環器疾患、乳幼児突然死症候群などへの影響も指摘している。

 厚労省が同時期に発表した「たばこ白書」も、受動喫煙により国内で年間約1万5千人が死亡しているとの推計を示した。

 世界では既に49カ国で、公共の場を「屋内全面禁煙」とする法律がつくられている。

 日本も取り組みを加速させなければならない。

 飲食店などに一足飛びに広げるのは難しい面もあろうが、業者側との対話に努めてほしい。

 また、東京五輪・パラリンピックを控えて忘れてはならないのは、世界的なスポーツイベントで受動喫煙防止が大きな流れとなっていることだ。

 国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)は10年以降、「たばこのない五輪」を推進している。

 その結果、4年前のロンドン五輪と今年のリオデジャネイロ五輪では、レストランなども含めて屋内は全面禁煙が徹底された。

 政府が東京大会に向けて対策に力を入れるのは当然だ。

 長期的な喫煙者減少策にも取り組むべきである。

 学校や職場での禁煙教育強化や、たばこをやめたい人の禁煙外来受診を促す方策などが欠かせない。パッケージに書かれている健康被害をより具体的にすることも効果があろう。

 もちろん、喫煙者のマナー徹底は待ったなしだ。
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豊洲市場、耐震性 その計算方法に対し専門家が異議

2016-10-25 23:00:00 | 築地重要

 豊洲市場の耐震性にも異議が出されています。


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中央区 健康福祉祭り2016.10.23

2016-10-23 23:00:00 | 医療

 10/23日曜日、午前の急病対応を終え、中央区健康福祉祭り・消費者展に行きました。

 楽しみにしていたブースのひとつが、医療的ケア児や重症心身障がい児らの支援団体ブースです。

 そこで、加入されている方々の生活の様子の記事がボードで発表されています。

 ある医療的ケア児のかたの記載文のなかに、昨年度始まったレスパイトケアを利用し助かっていることや、この夏実施された医療的ケア児・者の全家族対象の実態調査のことが書かれていました。

 今後、どのように制度・支援の充実を図る政策を提案していくべきか、非常に勉強をさせていただきました。

 同祭りの運営は、ボランティアや区や社会福祉協議会の職員の皆様によってなされています。

 晴天にも恵まれ、大盛況の企画でした。

 皆様、たいへんお疲れ様でございました。
 すばらしい企画をありがとうございました。
 来年も期待を致しております。



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自民党憲法草案 「緊急事態条項」の危険性 弁護士升永英俊先生より

2016-10-21 10:07:15 | 日本国憲法

 弁護士升永英俊先生。

 私のたいへん尊敬申し上げる弁護士先生のお一人です。

 法科大学院時代に、ご本人は、腕を骨折されすぐに病院に行く必要があるにも関わらず、私たちの特別講義を優先されて講義をして下さいました。
 政治の根幹にある重大な問題「一人一票の選挙権の平等」にも第一人者として取り組まれておられます。

コメント (1)
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築地市場移転その奥にある政治の問題「民主主義と専門主義の相克」神里達博氏論説から 朝日新聞2016.10.21 

2016-10-21 08:34:43 | 築地重要
 心底から、同感の記事が、朝日新聞に掲載されていました。

 築地市場移転問題の核心をつき、そこにある政治の問題に切り込んでいます。

 築地移転問題に取り組み、自分が深く考えていることは、「政治が科学的真理をゆがめてはならない」ということでした。

 筆者は、「民主主義と専門主義の相克」ととらえた上で、そのための具体的な解決策も提案された記事です。

 自分の考えを一歩進めて下さいました。

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http://digital.asahi.com/articles/DA3S12617925.html

 最近、巨大プロジェクトの見直しに関するニュースが、紙面をにぎわせている。

 一つは、高速増殖炉「もんじゅ」。投じた予算は、今年度末までの累計で1兆円を超す。その内訳は建設費が6千億円弱、そして運転・維持費が約4500億円だ。もう一つは豊洲市場の問題である。今年春の段階で、施設整備も含めた全体の費用は、6千億円に迫る。

 言うまでもなく、施設の目的や責任の主体、また問題の大きさやタイプなど、あらゆる点で両者の性格は異なる。また今後両プロジェクトがどうなるかは基本的には未確定、それぞれ議論の最中である。しかし少なくとも、長い時間と関係者の膨大な労力によって完成、あるいは、ほぼ完成したプロジェクトが、無駄になるかもしれないという点では、よく似ている。施設本体の予算規模が似通っているのも共通点だろうか。

 結論がどうなるにせよ、今はこれらの混乱の根本的な原因について、私たちの社会が考え直すチャンスであるのは間違いない。当然、さまざまな見方があろうが、ここでは以下の角度から問うてみたい。それは、いずれのプロジェクトも、行政が専門家集団と分かちがたく結びついており、広範な利害関係者の合意を得る前に、ある意味で「見切り発車」されたことが、本質的な問題ではないか、という視点である。

 たとえばもし、問題が純粋に政治の問題であるならば、民主的に決めさえすれば、結果については「社会全体で責任を負う」ということで決着するかもしれない。しかし現代の政治問題は、単に皆で議論をして決めれば良い、というものはまれである。多くは、それぞれの「専門家の判断」の強い影響下で決定・推進されているからだ。

 ただし、ここで言う専門家とは、研究や調査を生業とする人々だけを指すのではない。研究者や学者のみならず、さまざまな種類の技術者やコンサルタント、さらには行政組織で働く技官なども含めた、プロジェクトを分担する専門的なスタッフ全体を「専門家」と呼ぶべきである。

     *

 ところで、専門家の判断と、民主的な議論の結論は必ずしも一致するものではない。両者は、判断の基準やプロセスが異なるからである。当然、簡単に優劣がつけられるものでもない。

 ここで問題となるのは、専門家の判断というものが、社会全体から見て、必ずしも中立的とは限らないという点だ。たとえば、ある組織に属する専門家は、その組織の利益が損なわれるような技術的決定を推奨しづらいだろう。それが、社会一般の利益と相反するケースもある。例えば安全性の確保などは、少なくとも短期的には、そういう傾向がある。

 これに対しては、個々の専門家の倫理の問題だという声もあるかもしれない。だが個人の資質に期待しすぎる「精神論」は危険だろう。適切な制度と人材があいまって、システムは健全に機能するものだ。

 そうだとすれば、専門的な場面に「専門知を備えた第三者」が分け入って、技術的なことも含めて精査する仕組みを導入すべきだろう。

 むろん、さまざまな安全規制や基準などは、元々は、そのような観点から整備されてきたとも言える。また、全ての技術的な決定において、外部の監査を導入するのは現実的ではない。基本的には専門家に委任しなければ、物事は動かないからだ。

     *

 だが一方で、従来の民主的な手続きだけでは見過ごされてしまうような、いわば「重要なディテール」が議論の俎上(そじょう)にのぼらなかったからこそ、「もんじゅ」も「豊洲市場」も、政治的・社会的な問題になったとも言えるのではないか。

 結局、問題の核心は、民主主義と専門主義の本質的な緊張にこそある。従って、そろそろ抜本的な改革を行うべき時期に来ているのかもしれない。とりわけ、今回の二つのプロジェクトのような、社会的な影響が大きい行政の決定に対しては、新しい仕組みが必要ではないか。

 以上のような状況に対して、欧米ではこれまで、「議会の力」を高める方法を模索してきた。当然ながら行政の行為を監視するのが議会の役割である。しかし、行政と専門家集団が結びついて運営されているプロジェクトを、市民の代表者である議員が読み解くことは、専門的な知識が壁になって容易ではない。もちろん、独自の調査で技術的な本質に切り込む議員もいるだろうが、制度的な支えを作ることは重要だろう。

 そこで生まれたのが、議会が独自に、高度の専門家から成る組織を擁するというアイデアだ。最初は1970年代の米国議会に設置され、後に欧州で広がった。国によって異なるが、例えば英国には、博士号をもった複数の専門家が議員を支援する、「議会科学技術局」という組織がある。その他にも、議会活動の実効性を高めるためのさまざまな工夫が試みられている。

 私たちの社会はいまだに、政治的判断と専門的判断は明確に切り離せるもの、と考えがちだ。しかしこれはもう、過去のものの見方かもしれない。巨額のコストやリスクを伴う大きなプロジェクトを行政が始めようとする時、専門性を高めた議会が冷静に評価をする。それは、一見すると遠回りに感じられるかもしれないが、長期的には十分に元が取れるはずだ。今、大切なのは、失敗から学び、後悔しないためのより良い制度を作ることである。私たちの社会の理性をもう一度、信頼したい。

     ◇

 神里達博かみさとたつひろ 1967年生まれ。千葉大学教授。本社客員論説委員。専門は科学史、科学技術社会論。著書に「文明探偵の冒険」など
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住民からの情報公開請求を自治体が「権利の乱用」を理由に拒否できるようにする条例改正案 江戸川区

2016-10-20 19:24:55 | シチズンシップ教育
 「権利の濫用」かどうかの区側の判断が公平公正であることを、第三者的に、情報公開審議会がチェックする体制なのだろうか?


********************************
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201610/CK2016101902000121.html

【社会】


請求乱用禁止・拒否可能・黒塗り有料 江戸川区、情報公開で異例の規定

2016年10月19日 朝刊




◆区議会委が可決


 住民からの情報公開請求を自治体が「権利の乱用」を理由に拒否できるようにする条例改正案を東京都江戸川区議会の総務委員会が十八日、賛成多数で可決した。二十七日の本会議で可決・成立する見通しで、区民からは「憲法で保障された知る権利が制限されかねない」と声が上がった。(大平樹)


 改正案は「何人も行政文書の開示を請求する権利を乱用してはならない」との規定を加え、乱用と認めた請求を拒否できると明示。無料だった閲覧を、不開示の部分を黒塗りした資料に限り、コストがかかるとして有料にすることも盛り込んだ。全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)事務局の内田隆さんは「乱用規定と公開拒否、閲覧有料化をセットにした改定は聞いたことがない」と話す。


 区総務課によると、大量の情報公開請求によって職員の負担が増えたことなどが改正の理由。二〇一二年度まで年間約二百件だったが、一三年度以降は四百~五百件に増え、うち約七割を特定の個人が占めた。


 江戸川区民オンブズマンの小林幹和さん(75)は「乱用と判断する基準がはっきりせず『うるさい住民』と思われれば請求を拒否される恐れがある」と話した。


 採決では六対二で可決。区議会最大会派の公明のほか、自民系の二会派と民進が賛成、共産と無所属系会派が反対した。

◆知る権利損なう一律制限


 「年度末に、年度限りで廃棄される文書すべての公開を求める例もあった」。江戸川区議会総務委員会で、答弁に立った前田裕爾総務課長は、情報公開の業務に当たる職員の苦労を訴えた。「開示決定を受けたのに閲覧に来ないケースもある」


 これに対し、共産の瀬端勇氏は「知る権利は基本的人権の一部で、規制は問題だ。全国最悪の条例になる」と異論を唱え、江戸川クラブの笹本ひさし氏も「現状の条例でも公開拒否は可能。慎重を期すのも必要だ」と継続審議を求めた。


 ただ、賛成した委員からも「情報公開の範囲が狭まるのでは」「本来の権利要求を制限しないかどうか見ていかないといけない」と運用上の注文が出た。


 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は、江戸川区の対応に「百人に一人のために、九十九人に影響が及ぶようなことをしていいのか」と疑問を投げ掛ける。「問題がある請求者は各地にいるが、制度を後退させないための議論が必要」と話した。
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盛り土とともに豊洲市場の重要な土壌汚染対策。その地下水管理システム稼働しても、地下水位低下せず。

2016-10-20 10:11:14 | 築地重要
 土壌汚染対策の最重要な点

 1)しっかり汚染の広がりを調査し、

 2)その調査に従って汚染を除去し、

 3)その無くなったことを確認し、

 4)盛り土や地下水管理の汚染管理の対策を取る。


 盛り土がなかったことで、すでに、豊洲土壌汚染対策は破たんしていますが、さらに、地下水管理もできないということが破たんの内容に付け加わりました。
 元々の地下水位が高かったことから、予想できていたことですが、とても残念です。


************************
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20161019-00000138-jnn-soci

豊洲市場の地下水管理システム稼働も大半の地点で水位下がらず

TBS系(JNN) 10月19日(水)20時13分配信
 豊洲新市場の地下水管理システムが今月14日から本格稼働を始めたにもかかわらず、大半の地点で水位の低下がみられないことが分かりました。

 都によりますと、ポンプによる地下水のくみ上げは24時間態勢で行われているということですが、この5日間で水位が下がったのは21地点のうち4地点にとどまり、青果棟では逆に10センチ水位が上昇した地点もありました。

 都はこれまで、地下水管理システムが本格稼働すれば、水位は下がると説明していました。(19日18:06).
最終更新:10月20日(木)4時52分
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築地市場移転問題2016 当不当の問題から、違法の問題へ〜今、築地再生を考えるべきとき〜

2016-10-19 06:24:56 | 築地重要
築地市場移転問題 当不当の問題から、違法の問題へ
〜今、築地再生を考えるべきとき〜

               中央区議、小児科医師 小坂和輝

                  
第1、築地市場移転問題は、2016年9月に当不当の問題から、違法の問題へ

1、現時点における築地市場移転に関する違法な問題点(順不同)

【問題点1】専門家会議・技術会議の検討の上、土壌汚染対策法の具現化として提言された盛り土の欠如

【問題点2】盛り土を行うことを前提にしているがゆえに「環境アセスメント」のやり直しの必要性

【問題点3】違法な「環境アセスメント」を元に市場開設の「都市計画決定」を行った以上、その「都市計画決定」の無効(参照;『環境影響評価書案のあらましー豊洲新市場建設事業—』東京都中央卸売市場新市場整備部 施設整備課 平成22年12月)

【問題点4】盛り土を行うことを前提とした卸売市場計画に沿わない市場建設。結果として、『卸売市場法(認可の基準)第10条第2号』及び『卸売市場整備方針(平成22年10月26日策定)第3、1 立地に関する事項 (4)』に適合しないが故に、卸売市場として認可されない
*卸売市場法
(認可の基準)
第10条 農林水産大臣は、第八条の認可の申請が次の各号に掲げる基準に適合する場合でなければ、同条の認可をしてはならない。
二号 当該真正に係る中央卸売市場がその開設区域における生鮮食料品等の卸売の中核拠点として適切な場所に開設され、かつ、相当の規模の施設を有するものであること。
*卸売市場整備方針(平成22年10月26日策定)
第3 近代的な卸売市場の立地並びに施設の種類、規模、配置及び構造に関する基本的指標
1 立地に関する事項 
(4)生鮮食料品等の安全・衛生上適切な環境にある地域であること。
【問題点5】市場を分断する315号線下の土壌汚染の残置(朝日新聞 2016年10月5日)


【問題点6】2年間の汚染の検出のないことの確認を要する水質モニタリング検査からの汚染の検出。結果として、再度2年間のモニタリング検査の必要性。

 「形質変更時要届出区域」(土壌汚染対策法11条1項)のままである場合、「生鮮食料品を取り扱う卸売市場用地との場合には想定し得ない」として市場認可をしない農林水産省の方針。(参照;農林水産省 食品産業部会(平成23年3月25日)配布資料 別添7)

【問題点7】技術会議から地下空洞案が出されたとする技術会議の会議録のHPの改ざん

【問題点8】建物の積載荷重の大幅な不足

【問題点9】豊洲建物の耐震性の問題

【問題点10】建物の機能面の問題 
仲卸ブースの狭さや、建物内のスロープ含め動線の問題

 など、問題が山積みであり、現在、豊洲移転は混迷している。(参照;『世界』2016年11月号 No.888 
「豊洲移転はファンタジーになりつつある 築地を再評価すべきとき」対談 森山高至×中澤誠)

2、東京都の移転延期決定
 東京都は、本年8月31日築地市場の豊洲移転を延期することを決定致しました。
 
 豊洲移転候補地は、土壌汚染対策法の「形質変更時要届出区域」(「土壌汚染対策法11条1項」)という“土壌汚染指定区域”のままでは、開設認可をしないことが卸売市場の認可権限を持つ農林水産省の確たる姿勢でありました。土壌汚染対策工事後、2年間の土壌汚染のないことのモニタリングは必須の条件であった状況において、東京都の移転延期の選択は、「法律による行政の原理」に基づく当然の帰結であったと考えます。
 
 ところが、その後、東京都の9月10日の発表で、豊洲市場の建物下の盛り土がなされていないことや、その建物内への汚染地下水の上昇が発覚しました。土壌汚染対策に於いては、「揮発性のベンゼンや猛毒のシアンが土壌にあった場合、盛り土をし、汚染地下水の上昇や汚染物質の揮発を防ぐ対策をとること」が土壌汚染対策法の趣旨であるところ、それら対策を、生鮮食料品を扱うべき肝心の建物下で怠ったことは、明白なる土壌汚染対策法違反であり、築地市場の豊洲移転は、決定的に破たんしたと言えます。

 
 このようなずさんな土壌汚染問題だけではなく、裁判が係属中である豊洲移転候補地の土壌汚染のない価格での土地購入問題をはじめ、築地市場移転問題に秘められた東京都の数々の矛盾がマグマのように一機に吹き出したのが、現在の状況であるととらえることができます。それら矛盾の多くは築地市場の仲卸のかたが中心に構成をする「市場を考える会」の皆様がかつて指摘して来た事柄が現実に起こっているとも私は感じています。

 
 豊洲移転候補地において、<疑問1:専門家会議及び技術会議で約束された土盛り工事が建物下でなされていないことは、明らかな土壌汚染対策法違反>であり、なおかつ、<疑問2:①汚染処理が有効である前提としての「不透水層」の連続性がないこと及び②市場を通過する315号線下の土壌汚染対策を行われていないことから、今後も継続される汚染地下水のモニタリングにおいて、汚染が将来検出される“具体的な”危険性があるため、豊洲市場の「形質変更時要届出区域」という“土壌汚染指定区域”の解除がなされないであろうこと>が考えられます。
 なお、「豊洲新市場の開場に当たっては、土壌汚染対策を着実に実施し、安心・安全な状態で行うこととし、リスクコミュニケーションなどの取組を通じて、都民や市場関係者の理解と信頼を得ていくこと。」 とした『平成24年度東京都中央卸売市場会計予算に付する付帯決議』が東京都には存在し、東京都は中央区の問い合わせに応じる義務があると考えます。
 
*都議会第20号議案 「平成22年度東京都中央卸売市場会計予算に付する付帯決議」
築地市場の老朽化を踏まえると、早期の新市場の開場が必要であるが、これを実現するためには、なお解決すべき課題が多いことから、予算の執行に当たっては、以下の諸点に留意すること。
1 議会として現在地再整備の可能性について、大方の事業者の合意形成に向け検討し、一定期間内に検討結果をまとめるものとする。知事は議会における検討結果を尊重すること。
2 土壌汚染対策について、効果確認実験結果を科学的に検証し有効性を確認するとともに、継続的にオープンな形で検証し、無害化された安全な状態での開場を可能とすること。
3 知事は、市場事業者それぞれの置かれている状況及び意見などを聴取し、合意形成など「新市場整備」が直面している様々な状況を打開するための有効な方策を検討すること。

3、中央区のとるべき道
 平成22年8月12日に区長議長連名で都知事宛てに提出した『豊洲新市場予定地の土壌汚染対策に係る要望について』などから分かる通り、中央区は、豊洲移転候補地の土壌汚染問題が解決されることを条件に、移転容認をしてきた経緯があります。
 2016/9/20の一般質問でも、区長は、「安全性を条件に決断をした」主旨を答弁しています。
 今、土壌汚染問題が解決されるという条件が満たされなくなった以上は、当然に、原点回帰をし、築地市場の築地の地での再整備を、区民と一丸となって再度、東京都に対して求めていくべきと考えます。
 そのために、築地市場の築地での再整備へ向けた補正予算、来年度予算を組むべきです。

4、東京五輪は、築地の食材を
 豊洲市場建物下の土壌汚染対策工事で必須な盛り土を怠っていたことで、卸売市場法の趣旨から見ても、豊洲移転は不可能となり、築地市場移転問題は状況が一変しました。
 今こそ、中央区の悲願であった築地市場の築地での再整備を実現し、東京五輪では、築地の食材でオリンピアン・パラリンピアンをもてなし、“世界のTsukiji”を一大観光拠点に発展させていくべきと考えます。

第2、築地市場移転候補地である豊洲5丁目東京ガス工場跡地の日本最大規模の土壌汚染状況について 
1、「国内最大規模の汚染区域である」ことについて
「豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議」以下、「専門家会議」と略すことと致しますが、これが、2007年の5月19日から始まって、2008年5月31日の第七回まで開催されました。
 
 この「専門家会議」で明らかにされたことは、移転候補地の豊洲は、新聞報道でも取り上げられ、誰もが知る事実とはなりましたが、「国内最大規模の汚染区域である」ということです。
 
 発がん性のあるベンゼンが35箇所の土壌から最高で環境基準の4万3千倍、地下水は5 61箇所から最高1万倍の濃度で検出、シアン化合物も90箇所の土壌から最高で環境基準の860倍、検出されてはならないという地下水から966箇所(全調査地点の23.4%、約1/4)で検出されたと報告されました。基準を下回ると見られた水銀、六価クロム、カドミウムも基準を超え、ヒ素、鉛あわせて調査したすべての有害物質が検出、その数は、全調査地点4,122箇所中の1,475地点、調査地点の三分の一強の地点が環境基準を上回るという深刻な汚染の広がりが明らかになりました。シアンだけ見ましても、単純計算で豊洲の土地約40ヘクタールの1/4で、約10ヘクタールの汚染であります。
 
 ちなみに現状の日本の土壌汚染状況は、平成15年(2003年)土壌汚染対策法が施行以後、ベンゼンについては130倍の検出が最高値であります。指定区域の広さの最大は、岩手県の宮古市のケースで、4.5ヘクタールでした。

2、土壌汚染の原因について

 
 その土壌汚染の原因はなにか。
 
 豊洲移転候補地は、東京ガス豊洲工場が昭和63年(1988年)まで操業されていた土地で、特に昭和31年(1956年)から昭和51年(1976年)までの20年間、石炭を原料に都市ガスを製造していました。製造工程で、ベンゼン、シアン、ヒ素などの有害物質が複製され、敷地土壌と地下水を汚染しました。
 
 さらに衝撃的な話として、2008/6/18の『赤旗』の新聞記事では、昭和32年(57年)から昭和51年(76年)に同工場で勤務していた元社員の男性(69)は、「この場所では、土を盛って土手の囲いを作り、そのなかに石炭からガスを取り出した廃タールをリヤカーで運んで、ためていた。当時は、下にシートを敷く発想はなく、囲いの中にそのまま流し込んでいた」と証言しています。

3、健康被害と風評被害
 

 
 有害化学物質の健康被害も専門家会議で、議論されました。
 
 高濃度のベンゼンやシアンでは、RBCAを用いたリスク評価モデルで、ベンゼンにより発がんリスクがあったり、シアンによる急性障害が出ると専門家会議自体が認めています。
 
 文献的には、ベンゼンの慢性毒性(発がん性、催奇形性)、シアンの急性毒性が健康被害を及ぼす可能性(例えば、市場内に働く女性が多い中、妊娠中の胎児への催奇形性含め健康被害への懸念)は大いに考えられます。シアン化カリウム(青酸カリ)は、150~300mgが致死量となります。
 少なくとも、食の安心・安全、築地のブランドへ及ぼす悪影響も多大であります。

4、不十分な土壌汚染対策が計画されたこと
 専門家会議で、実施された調査や、考えられている対策は、きわめて不十分でありました。

 以下の、理由によります。

理由1)専門家会議メンバーには、地質学者、地震の専門家、有害化学物質の医学専門家がかけており、学際的でありません。


理由2)環境基準を上回った地点の深度方向の調査が不十分です。特にシアンについてです。豊洲移転候補地は、東京都の環境確保条例 第117条に定められる3000㎡以上の土地の改変であることから、東京都土壌汚染対策指針にそった土壌対策が必要になります。その場合、検出されてならないシアンが検出されるすべての土地で深度方向1mおきの土壌調査が必要になりますが、専門家会議においては、シアンが環境基準の10倍未満で検出されている場所を絞込調査の対象から外してあります。


理由3)軟透水層とも言われ、水を通しやすいといわれる有楽町層へ汚染が広がっている指摘があるのに、汚染が下層へ広がるという理由で一切調査が行われていません。すでに豊洲の土地は、「ゆりかもめ」の橋脚工事などで、有楽町層の破壊は起こっているのにかかわらずです。また、田町の東京ガス跡地では、ボーリングの結果、有楽層で汚染が見つかっているといいます。


理由4)専門家会議に提案された土壌改良後、有害化学物質がなくなったことを証明する調査が計画されていません。土壌改良工事が完璧だったとどうやってわかればいいのでしょうか。


理由5)豊洲では、地下水面は、現在、海水面から約4メートルの高さにあります。これを下げることができる技術を示していませんし、また下げたとしても、再度上がる可能性はないといえますでしょうか。台風や高潮、洪水の時は果たして大丈夫でしょうか?


理由6)専門家会議では、30年後に70%の確立でおきる首都直下型地震での液状化対策について、すでに東京都は調査しているという理由で、議論されませんでした。豊洲の地盤は大変弱いことが言われており、地震により有害化学物質が地上に噴出し、市場が閉鎖になる危険性が大いにあります。


 これらの理由から、第七回まで開催された専門家会議の調査内容や土壌汚染対策の技術的可能性の証明は、不十分であったと考えられます。



 専門家会議では、「シアン化合物で土壌や地下水は確かに汚染されている、この汚染された地下水が上昇して、揮発をして、市場内にシアンが浮遊。生鮮食料品に付着する可能性はあります。しかし微量だから健康被害はない」といっています。シアン化合物すなわち青酸カリが付着して、だれが、食べたいと思いますでしょうか。
 食の安心・安全、築地のブランドへ及ぼす悪影響も多大であり、そのような場所への移転計画は、白紙撤回する必要性があると考えます。
 





5、その計画された土壌汚染対策さえ完全になされたかったこと
 盛り土の欠如、地下空間への地下水の上昇、地下水モニタリング調査からの土壌汚染物質の検出、地下空間での大気中の水銀の検出など、第1で述べたこととあわせ、そもそも土壌汚染調査さえすべきところの298地点でなされていないことがあきらかになりました。(参照;TBS『NEWS23』2016.10.13)

6、環境基準に違反することについての理解(大城弁護士の文章「風評被害」ではなく「食の安全性と信頼」の問題 からの抜粋)
 以下、環境基準の考え方について、弁護士の大城先生が書かれています。引用させていただきます。
 「環境基準は、人の健康等を維持するための最低限度としてではなく、「維持されることが望ましい基準」であり、行政上の政策目標だとされます(環境基本法16条1項参照)。たしかに、環境基準をわずかに超えた汚染が存在しても直ちに人の健康に悪影響はないかもしれません。しかし、環境基準を超えた汚染の検出を問題視することが「風評被害」だとする見解には賛成できません。
 豊洲市場に対して、市場関係者や消費者が抱く不安や信頼の喪失は、汚染対策後も環境基準を超える汚染が確認されているという明確な根拠に基づくものだからです。
 技術会議が「土壌と地下水を環境基準以下に処理する」と提言した汚染対策工事後にもかかわらず、環境基準を超える汚染の存在が確認されたことは極めて重い意味を持ちます。
 858億円もの費用を投じて汚染対策工事を行った後でも、「環境基準=維持されることが望ましい基準」に到達していないことが明らかになった土地に、市場を移転することで「食の安全性や信頼が確保」できるのか、「市場関係者や消費者の理解」が得られるのかということが問題なのです。
 市場にとって食の安全・安心は最重要の課題です。食の安全性や信頼が確保できていない市場からは、誰も魚や野菜を買わないからです。
 豊洲市場への移転は、「食の安全性や信頼が確保」されること、「市場関係者や消費者の理解を得ること」という高いハードルを超えなければなりません。しかし、この高いハードルを越えることなく、食の安全・安心を守ることはできないのです。」(引用終わり)

*環境基本法 第十六条
第一項  政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。

第3、日本の食文化の拠点、築地市場地区を核とした活気とにぎわいづくりについて

1、築地という“金(きん)”の土地
 「市場には、その土地の凝縮した姿がある」といわれます。まさに、築地市場は、銀座の隣と言う一等地に位置し、日本橋の魚河岸から昭和10年(1935年)に引き継いで80年以上、5ヘクタールの場外市場とともに、日本の魚食文化の伝統を守り続けてまいりました。 

 いまや、築地市場は、都の魚の89%、全国の10%を賄う「東京都の台所、日本の台所」です。水産物の取扱量は、平成18年で一日当たり2090トン、17億9千万円。年間57万3千トン、4898億円であり、世界一の水産物の取扱高を誇っています。年間取引量は、十年前のピーク時の約七千五百億円からは、市場を通さない流通が拡大してきているため、二千五百億円減りましたが、年間約五千億円にのぼっています。場内の業者数は、水産578、青果100の合計678(2016年)、そして、築地市場の周りにある場外市場349店舗(2016年)とともに築地市場地区の街並みが形成されています。

2、かつての築地の現在地での再整備計画

 築地市場は、開場から50年経ったころから「老朽化、狭隘(きょうあい)化」などを理由に再整備の話が出始めました。
 
 2008/6/17都議会代表質問への回答の中で、主に教育庁など教育畑で経験を長くして平成18年(2006年)就任した比留間英人市場長は、「現在地再整備につきましては、敷地のほぼすべてが利用されており、①再整備工事に不可欠な種地が確保できないこと、②敷地が狭隘なため、品質管理の高度化や新たな顧客ニーズに対応する各種施設を整備する余地がないこと、③アスベスト対策を含め、営業しながらの長期間で困難な工事となるため、顧客離れなど市場業者の経営に深刻な影響を与えることなどから、築地市場の再整備は不可能でございます。」と答弁しております。
 
 果たしてそうでしょうか?
 
 比留間氏の言う課題を克服し、現在地での再整備を成し遂げた市場があります。昭和6年(1931年)開場の大阪市中央卸売市場(本場)です。私は2008/6/17現地視察に伺いこの目で、確かめて参りました。現在地再整備は、十分可能なのです。
 
 大阪市中央卸売市場では、昭和62年(1987年)9月に本場整備促進協議会が発足、昭和63年(1988年)に「本場整備基本計画」をまとめられました。これは、後で述べます築地市場の再整備計画と軌を一にしています。敷地面積12.6ヘクタール、現在18ヘクタールの土地で、平成元年(1989年)事業費644億円、工期9年で着工、その後完成の予定に見直しが入り事業費1027億円となりましたが、本場開設70周年記念にあわせて平成14年(2002年)11月、新市場施設はオープンとなりました。約15年間で再整備を成し遂げたのです。市場棟は、地下1階、地上5階の合計17万㎡、1階は水産売場、三階は青果売場、2階と4階はそれぞれ仲卸の事務所。工事は三期に分けて行われました。
 
 平成19年度(2007年度)の統計で、水産物一日平均647トン、5億円7千万円。年間17万7千トン、1557億円。規模は、築地市場の3割強の取扱量です。
(築地市場 水産物は、平成18年で一日当たり2090トン、17億9千万円。年間57万3千トン、4898億円。)
 
 大阪市中央卸売市場の再整備に関わった市場関係者にお話をお伺いいたしましたが、約15年間の工事でも、客足が遠のくことはなかったといいます。

 築地市場には、かつて再整備の計画がありました。なぜ、それが頓挫したのでしょうか。流れを追ってみたいと思います。
 
 昭和61年(1986年)に「築地市場再整備推進委員会」を設置して計画は具体的に始まり、昭和63年(1988年)に「築地市場再整備基本計画」がまとめられ、平成2年(1990年)基本設計へと進みました。その計画の「基本的な考え方」は、
1)築地市場は、現在地で営業を継続しながら再整備 
2)水産部を一階、青果部を二階とした立体的配置計画
3)物流円滑化のための十分な交通導線、
4)市場業務に影響を及ぼさない施行計画、
5)流通形態の変化、情報化社会に対応、
6)都民に親しまれる開かれた市場等でした。
 待望の再整備が始まったことを市場関係者は、だれもが大変喜び合ったと言うことです。
 
 平成5年(1993年)5月28日に築地市場全業界を挙げて行った「築地市場再整備起工祝賀会」の席上、当時の鈴木都知事は、「私は、さすがに世界の築地と言われるような、都民の皆様のご期待に応えられる卸売市場づくりに全力で取り組んでまいります。」とあります。
 総工費3000億円、工期12年の計画で平成3年(1991年)に着工しました。資金は、東京都の特別会計1000億円と神田市場売却による2000億円を原資とした計画でした。
 ところが、平成8年(1996年)380億円使った段階(立体駐車場、冷蔵庫棟など)で中止。予定通り進んでいれば、平成16年(2004年)、17年(2005年)には、完成のはずでありました。
 
 小山市場長までは仮設工事から本工事へと決められた方針通り続けられてきた現在地再整備事業が、番所市場長となって、推進協議会に諮問することもなく、工事にかかわる公式発表もないまま尻つぼみのように工事は休止状態になりました。それとは別に番所市場長自らが臨海副都心への移転話を各団体へ持ちかけてきたのであります。市場行政の最高責任者としての地位にある者が、都自身の定めたルールを踏み外して、勝手な行動をとることはあり得ないはずであるが、実際に、番所市場長の呼びかけによって、平成7年(1995年)9月29日、日暮里の某所で、一部業者との間に話し合いが持たれたといいます。そうした呼びかけは、水産の卸・仲卸・小売の団体に対しては、一切ありませんでした。そこでこれら三団体は連名で、10月19日付けで市場長宛に「築地市場再整備工事促進について」と題した要望書を出しましたが、市場長からの誠意ある回答は示されず、推進協議会も開かれず、水面下で移転話が進められたのでした。(参照;『築地よ!何処へゆくー時計を失った市場の悲劇』 千草秋夫(ペンネーム) 著)
 
 番所市場長の打ち出した移転問題は、同市場長の思いつきというようなものではなく、都の市場行政の財政的な面から、再整備費用の再検討により、その財源捻出をどうするかについての検討の結果として移転論ということが俎上にのぼったことが可能性として考えられます。
 
 次を引き継いだ大矢市場長は、業界から一致した要請があれば豊洲移転を検討することになるかもといい、平成10年(1998年)12月までに六団体(水産卸・水産仲卸・小売等の買出人団体・青果連合会・関連事業者団体)の一致した表明書を提出してほしいと求めたが、結果は、移転賛成四、反対二(水産仲卸・小売)となりました。水産仲卸である東京魚市場卸協同組合(東卸)がこの時に全組合員投票をやったが、現在地再整備賛成495、移転賛成376であり、東卸は、現在地再整備を機関決定しました。なお、投票前の意向調査時には、組合員に土壌汚染のことは、一切知らされませんでした。平成11年(99年)4月東卸の理事長選挙で、築地での再整備を目指していた理事長が解任され、移転推進の現理事長になり、理事会は機関決定に反して移転推進に動き、組合員と「ねじれ」ができました。
 
 平成11年(99年)9月、4月に就任した石原慎太郎都知事が市場を視察し「古く、狭く、危ない」と言い、11月9日第28回築地市場再整備推進協議会において移転整備の方向でまとめられました。
 平成13年(2001年)東京ガスは、豊洲土壌汚染について公表するも、同12月「第7次東京都卸売市場整備計画」で知事は豊洲に移転すると表明し、平成14年(2002年)「豊洲・晴海開発整備計画―再改定(豊洲)案」で築地市場の豊洲移転が計画として明記された。
 
 平成15年(2003年)5月「豊洲新市場基本構想」策定、平成16年7月(2004年)「豊洲新市場基本計画」策定、平成17年(2005年)9月「豊洲新市場実施計画のまとめ」策定、11月「第8次東京都卸売市場整備計画」において、豊洲市場を平成24年度(2012年度)開場を目途とすると明記するに至ります。
 
 平成19年(2007年)4月の東京都知事選挙では築地移転の是非が争点の一つになり、土壌汚染に関しては、翌月「専門家会議」が設置されました。

 
 この流れでもわかりますように、築地市場の現在地頓挫の理由は、財政的な部分が大きいと言うことです。それに端を発した行政の不手際により、骨肉相食む争いを業者間に生んでしまい、「百年河清を待つ」状態に置かれたのが現況だと思います。

3、市場再整備の費用試算について


 
 では、現状における、問題の財政的な部分、費用試算はどうなっているでしょうか。

 
 2008/6/20都議会経済港湾委員会では、現在地再整備と、豊洲移転の費用の試算が出されました。
 
 敷地面積約23ヘクタールの築地の再整備には、3000億円、これは、中央卸売市場会計の留保金1350億円、豊洲の都有地の売却益720億円、市場の建物整備への国庫補助300億円で合計2370億円、あと630億円足りないとのことです。再整備には約20年かかるとも試算しています。
 
 一方、敷地面積は築地の約1.6倍の37.5ヘクタール(防塩護岸を含めば約44ヘクタール)豊洲移転の総事業費は、4400億円。07年までに1000億円支出して用地取得や護岸整備を行っており、あと3400億円。留保金1350億円と国庫補助100億円、築地市場跡地の売却益を2000億円以上(平成20年1月1日現在の近傍地の公示地価等から試算すると4000億円強と東京都が資産)と見込んでおり、合計3450億円以上であり、財源不足は生じないとしています。ただし、土壌汚染対策費は、新たな汚染発覚前の670億円で試算。実際の対策費は1000億円とも1300億円超とも言われ、場合によっては、現在地再整備より多くかかる可能性もあります。(参照;『築地市場の移転整備 疑問解消BOOK なぜ移転が必要なの?』東京都中央卸売市場 22ページ)
 結局、実際に費やされた豊洲新市場整備費用は(平成28年3月時点)は、5884億円で、着工前の2011年に公表した3926億円、から2000億円増えた。土壌汚染対策費は、858億円と費やした。(朝日新聞2016.9.29『教えて!豊洲へ市場移転』)

4、移転断固反対の中央区から、移転容認へ
 

 
  
 平成11年(99年)11月9日移転整備が出された翌日、区長・議長連名で「築地市場再整備に関する抗議」を提出、29日「築地市場移転に断固反対する会」設立。同日から移転反対署名運動が展開され、12月10日までに10、6032人の署名が集まりました。
 
 中央区は、「7つの疑問(1.移転先の44ヘクタールの土地の確保問題、2.築地市場用地の売却方針のもとでの跡地利用について、3.交通アクセス問題として、豊洲地区における市場の発生集中交通への対応及び幹線道路の整備スケジュールについて、4.場外市場の問題、特に豊洲新市場へ移転を希望する場外市場業者への対応及び市場業者の築地市場移転に伴う負担増について、5.移転までの間の現市場の整備、特に築地市場における衛生対策及び防災対策について、6.豊洲地区における土壌汚染対策について、7.豊洲新市場建設や幹線道路整備の財源について)」など意見書を提出したりしましたが、東京都が粛々と移転に向けて進めて行きました。
 
 平成18年(2006年)2月17日「築地市場移転に断固反対する会」総会が開催され、その活動の終了と、「新しい築地をつくる会」の新たな出発が決議されました。 
 
 その総会の場では、「このままでは東京都が進めるままに決まってしまう。方針を転換するのは賛成だ。同じテーブルに着き、交渉をしていくべきだ。」「そろそろ反対の旗を降ろしてもいい時期ではないか。このままでは、地域も先の見通しが立たない。都と話し合いをすることが先決だ。」などの意見がでていたところです。

 そして、上述の通り、平成22年8月、豊洲土壌汚染が処理されることを条件に移転を容認しました。

第4、築地に纏わる不可解な点
○かつて、築地市場をオリンピックのプレスセンターにする計画があった。
 東京都は、2008年当時のオリンピック誘致計画の中で、築地市場をプレスセンター建設予定地としていた。

○「専門家会議」を開催している最中の強引な環状二号線地上化の都市計画変更
 築地市場移転を前提として、環状二号線は、地上化となりました。
 平成20年(2008年)6月、事業の住民説明会が開催されていました。そこでの住民との質疑応答の中で「環状二号線による大気汚染の悪化は、6万台の車両増加があったとしても大気汚染の悪化はない、その理由は、車の性能が上がるから」などと言い、住民の納得できる回答を得ていません。
 また、『環境影響評価書』の中で築地市場地区にできるトンネル換気塔は、汐留のビル風などによるダウンウォッシュの影響は想定外で食の街への悪影響は、否定し切れていません。同年7月から都は用地取得作業を強引に進めた。
 前提となる築地市場の移転がなくなる可能性は大いにある状況で、住民感情に配慮し、少なくとも、一時計画を中断すべきでありました。

○改正土壌汚染対策法と土壌汚染対策との関係及び旧土壌汚染対策法の附則3条
 専門家会議では、土壌汚染対策法に則らない方法で調査されていることは、既にはじめのところで述べました。その不十分な調査で、学校・公園とともに、土壌汚染があってはならないもののひとつ生鮮食料品を扱う市場を移転されたとすると、“悪しき前例”となり、日本全国で不十分な土壌汚染調査のままに開発が進められることに繋がると考えます。
 
 折りしも国会では、豊洲移転候補地が適応されなかった「土壌汚染対策法」の改正案が、土壌汚染対策強化の必要性に対する国民的関心の中、参議院で平成20年(2008年)5月23日に可決されました。
 改正案では、同法施行前に廃止された有害物質使用特定施設に関わる土地についても、公園等の公共施設や学校、卸売市場等の公益施設の用地となることで、不特定多数の者の健康被害が生じる恐れがある場合、「土壌汚染対策法」が適用することとなり、土壌汚染状況調査の徹底と結果に基づく措置を実施しなければならないと罰則付きで定められています。
 なお、附則3条をもつ従前の「旧 土壌汚染対策法」は、平成15年(2003年)施行については、たいへん不可解な点が見受けられます。
 細かく見ますと、平成13年12月「第7次東京都卸売市場整備計画」に豊洲移転を書いた、4ヵ月後、平成14年(2002年)「旧 土壌汚染対策法」公布、翌年15年(2003年)施行されました。この法律の中に附則第3条なるものが導入されています。この附則第3条では、「平成15年に施行された「土壌汚染対策法」以前に廃止された有害物質施設に係わる工場の敷地であった土地には適用しない」とわざわざ謳い、豊洲土壌汚染地を「土壌汚染対策法」から外す意図が感じられなくもありません。

○築地市場現在地再整備工事の平成8年(1996年)の突然の中止と再整備案の不自然な立ち消え、



○農林中金での消えた東卸の債務十億円、



○土壌汚染調査費や対策費を買い手である東京都が負担する点、

そしてその土地は、ブラウンフィールドであること
 「ブラウンフィールド(塩漬け土地)」という概念が、環境・土木分野でいわれています。汚染対策費が、土地購入費の20%を上回ればそのように定義され、豊洲の土壌汚染地は、土壌汚染対策費586億円、土地購入費1980億円(すでに購入720億円と今年度予算執行をするという1260億円の合計)であり、586億円÷1980億円=0.295 30%で、ブラウンフィールドの定義に合致します。なお、専門家会議が提言した当初の土壌汚染対策費は、973億円であったが、973億円÷1980億円=0.491 50%で、さらに不採算なブランフィールドと定義されることになっていました。
 そして、実際費やした土壌汚染対策費858億円で計算すると、858億円÷1980億円=0.433 43%でブラウンフィールドの定義に合致しています。
 ブラウンフィールドを、汚染がないものとして購入し、なおかつ、その汚染対策費は、買主の都が負担(結局は都民や市場内関係者が負担)するということが、なされようとしている事実をきちんと認識をし、審議していく必要があります。

第5、築地市場移転問題関連裁判
1、一つ目の裁判「コアサンプル廃棄差止め請求訴訟」
 都民、消費者、NPO法人「市場を考える会」を中心に市場関係者からは、土壌汚染の状況を示す唯一の証拠であるコアサンプルを破棄(証拠隠滅)しないように「コアサンプル廃棄差止め請求訴訟」が提起され、平成21年10月7日の第1回公判に始まり、最高裁までなされたが原告敗訴となった。公判では現在、都の土壌汚染対策の問題点や盛り土汚染問題が大きな争点となりました。
2、二つ目の裁判 初めの土地の購入に対する「豊洲市場用地購入費公金支出金返還訴訟」
 汚染を知りながら汚染が無いものとした価格で豊洲土地を平成18年(2006年)に一部購入した経緯が平成22年(2010年)1月5日の朝日新聞で報道されたのをきっかけに、余分にかけられる土壌汚染対策費分支出の公金返還を求める裁判「豊洲市場用地購入費公金支出金返還訴訟」が平成22年9月28日に初公判が行われ、最高裁まで争われた。
 この裁判では、築地市場移転候補地である土壌汚染の土地(全体で37.32ヘクタールのうちの10.18ヘクタール、27%)を不当に高い価格601億円(59万円/m2)で購入しており、余計にかかることになる土壌汚染対策費 全体で586億円のうち、27%分の158億8000万円(=586×10.18/37.32)を、都知事と当時の都幹部5人に返還を求めた。
 しかし、出訴期間の問題があり、却下された。
3、三つ目の裁判 残りの土地の購入に対する「豊洲市場用地購入費公金支出金返還訴訟」
 平成23年度執行予定の残りの土壌汚染の土地を東京ガスから汚染がないものとした価格(23.54ヘクタールを1260億円、53.5万円/m2)で購入することについて、住民監査請求がかけられていたが、都から請求不受理の通知が平成23年1月20日付で出された。
 この不受理を受け、都による豊洲土壌汚染地購入の予算執行の差し止めを求める築地市場移転問題関連で3つめの裁判であり、弁護団長梓澤和幸弁護士(『石に泳ぐ魚』事件でプライバシー侵害された女性を守った)や大城聡弁護士(参照;ハフポスト記事『豊洲市場—移転への高いハードル』)ら不偏不党の立場の志ある総勢14名の弁護士が、これら3つの裁判について、ほぼ手弁当で訴訟代理人を引き受けてくださり、現在も東京地方裁判所で係属中です。石原慎太郎元都知事を含め土地購入当時を知る証人を誰に選定するかの議論が現在の中心論点となっています。(参照;水谷和子氏の陳述書(甲第31号証)及びその根拠資料(甲第32号証、甲第33号証)/ 東京都側 小山利夫氏の陳述書(乙第29号証)、同 笹森竜太郎氏の陳述書(乙第30号証))

第6、原点回帰し、今こそ、築地再生へ
 そもそも、築地市場の土地から莫大な売却益を得ることができ、その土地に多くの利権が絡んでくることでしょう。それによりかけがえのない築地の食文化、魚河岸の文化を犠牲にしてはならないと考えます。


 終わりにあたり、
犬養道子さんという犬養首相のお孫さんに当たる方で、ユーゴスラビア国内の難民援助活動をされていて、ほとんど帰国されることが少ない方が、『中央公論』で築地市場のことを寄稿している文章を引用します。上述の築地市場移転問題を詳細に綴った千草秋夫(ペンネーム)著『築地よ!何処へゆくー時計を失った市場の悲劇』において、最後に引用されていました。 
 「日本へ帰るたびに、相当の無理をしても、必ず行く、行かなければならぬ、たったひとつの場所、それが魚河岸である。まだほんものがそこにはある。魚や野菜だけではない。魚河岸では人間もまっとうで裏おもてがなくて、気っぷうや心意気を持っている。つまり正真正銘ほんまものなのである。人間も、魚も、目玉が濁っていない。付焼刃や、ごまかしがない。これは大したことだ。ああ健在なり、健在なり、うれしくなる、たのしくなる、自分の国に帰って、うれしく、たのしくさせられる。というのは実によいものだ。」

 
 築地市場に最高の賛辞を贈っています。

 
 築地市場から創られる食文化、それを守るほんものの人たち、これらが無責任な政策のもとに、約束された土壌汚染対策もなされないまま土壌汚染地へ行くことを、今こそ白紙撤回し、築地の地での再生を絶対に実現しましょう。

 東京五輪では、築地の食材でオリンピアン・パラリンピアンをもてなし、“世界のTsukiji”を一大観光拠点にますます発展させていきましょう。  

 以上
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