岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

「老齢加算廃止と生存権の危機」 その2

2008-12-23 16:57:50 | 社会福祉士
大友信勝先生のお話をもとに。

私のメモから先生の発言を、私の主観において書き出させていただきます。

まず「民主主義とは、最も困難な人を支えることとすれば、
今,民主主義は危機的状況にあるのではないか」と切り出され
セーフティネットの危機を、生活保護の老齢加算廃止の経緯を中心に豊富なデータを
元に話された。
私の日頃感じたことが数字的に裏づけられると同時に多くの新たな知識を得ました。

○生活保護における高齢者の位置と特徴
生活保護受給者の中で高齢者が占める割合が40%以上という国は
日本を除いて他にはない。
なぜ、高いか。
ひとつに、無年金、低年金がある。これは制度設計の問題。
もうひとつが、福祉事務所の水際作戦。これは保護率2%未満に現れる。
(英国10%、ドイツ8%、韓国2.5%)。
これは、日本の場合は稼動年齢にあたる人々を対象から除外することにより、
高齢と疾病、障がいに集中したことによる。
ドイツは圧倒的に稼動年齢者が多い。
(※これは老齢年金の未整備と繋がる)
※=岩清水私見

生活保護の申請が通りやすいのは、「単身」であること。
そして、障がいなど、ハンディがあればなお通りやすい。
ゆえに介護保険の要支援、要介護認定を受けている方が中心になる。
(※障がい者の方でも、65歳以上になれば介護保険優先になる。私は2府県で
地域包括を経験していますが、どちらの地区も担当する方の10%以上が生活保護を
受給されています。残り90%の中にも保護を受けるべき人がかなりおられます)

そして、生活保護受給者の方で、長期入院、長期入所をされている方が数万人単位
(※正確な数字を書き落とす)でおられる。
また、刑務所の一部(3ヶ所)に認知症対象病棟が設置されている。
受刑者の高齢化の進行がわかる。

では、なぜ、高齢者が40%以上占める生活保護費から、老齢加算を廃止するか。
まことに単純な話ですが、人数が多いということは金額も大きいということで、
「骨太の方針」のもと、国と地方が毎年2200億円削減を行うために、狙い撃ちしたことによる。
(※いただいた資料から、老齢加算受給世帯約30万。月額17000円程度となる。
年間総額はいくらになるか)。

国の方針に、地方をどう反応したか。
全国知事会・市長会「新たなセーフティネットの提案」2006年10月
ー生存権保障から「勤労を尊ぶ自助・自立の精神」、個人が貧困と戦う」制度へ。
具体的には、①有期保護の導入(米国「貧困家庭への一時扶助)
②高齢者世帯の分離(生活保護基準切り下げ)、所有土地評価500万円以上の排除)

「新たなセーフティネットの提案」の特徴ー
・モラルハザード
・福祉から就労へ(制裁を伴うワークフェア)
・ナショナルミニマムの切り崩し
(※今回の大不況の対応に自治体が取り組んだといわれるが、この提案があったことは
忘れてはならない)



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2 コメント

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Unknown (masa)
2008-12-25 07:08:01
学生時代、大友信勝先生のゼミで2年間学びました。

国民、市民に立った視点でいつも発言され、「おかしいことはおかしいと思う感性」を持ちなさいと、いつも言われました。
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つながりと継承 (岩清水)
2008-12-25 20:52:44
そうですか。
ゼミ生ですか。
つながっていくものなのですね。
先生は今、生活保護の老齢加算の裁判のための
資料作りに頑張ってられますね。

恩師が頑張ってられるというのは羨ましい。
私の恩師は二人。ともに亡くなりました。
もう教えを聞くわけにはいきません。
恩師は大切にしてください。


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